最古の岩石が見つかったという報告がありました。冥王代と呼ばれる時代で、これまでより2億年近く古い年代でした。まずは、最古の岩石と最初の岩石について考えていきましょう。
以前書いた論文で、地球で最古の岩石は、どのようなものかを論じたことがありました。岩石は、変成岩、堆積岩、そして火成岩の3つの成因に区分できました。その中で一番最初の岩石を考えました。まずは、それぞれの成因を整理していきましょう。
変成岩は、既存の岩石が地下で高温や高圧になることで、もとの岩石が溶けることなく別の結晶へと変化(再結晶といいます)することです。溶けてしまえばマグマができ、火成岩になるので、溶けずに、固体の状態で再結晶することが特徴です。堆積岩は、風化により陸地の岩石が砕屑物になり、河川によって湖や海底に運ばれ、堆積したものです。水の関与が重要になります。火成岩は地下深部のマントルが溶けてマグマができ、冷え固まったものになります。固体が液体になり、再度固体になるという変化をします。
これらの3つの成因で、もっとも古い岩石はどれになるのでしょうか。
変成岩は、既存の岩石が再結晶するので、既存の岩石が必要になります。既存の岩石の種類は問いませんので、変成岩、堆積岩、火成岩のいずれでもいいことになります。変成作用を重複して受けた変成岩も存在しますが、その変成岩も、既存の岩石を必要とします。突き詰めてとどっていきますと、既存の岩石は、堆積岩か火成岩にたどりつくはずです。
堆積岩の形成には、砕屑物が水に運ばれたり、水に成分が溶け込む必要があります。水は、かつては地球形成初期からあったと考えられていたのですが、現在では、冥王代の中ごろに、小惑星帯あたりから飛来した多数の小天体の衝突でもたらされたと考えられるようになりました。
他にも生物の遺骸(チャートや石灰岩)や化学的沈殿(岩塩や石膏)からでできるものものあります。生物の遺骸からできた堆積岩は生物が誕生していなくてはなりませんが、最古の堆積岩は生物誕生のもっと前です。化学的沈殿も水が関与していますので、水が地球にもたらされて以降になります。
水ができる前は、月の表面のように、岩石だけが広がる乾燥した表層となります。そこでも衝突が起これば、既存の岩石は破壊され、砕屑物が飛び散ります。月の表層には、これらの破片でできた堆積岩(レゴリスと呼ばれています)ができています。既存の岩石はどれでもいいのですが、変成岩と同じように、もっとも古い既存の岩石を辿っていくと、火成岩にたどり着きます。
以上のことから、地球に最初にできたはずの岩石は、火成岩だったと考えられます。では、最初の火成岩はどのようなものだったのでしょうか。次回としましょう。
・更新された年代・
このシリーズの書くきっかけは、
次回から紹介していきますが。
これまでの最古の岩石を
更新した年代が報告されました。
この論文には、他にも注目すべき点がいくつかあり
それをシリーズにして
紹介していこうと考えました。
・北海道の夏・
先週前半まで暑くてたまらず
エアコンをつけたのですが、
中ごろあたりから北海道らしい、
清々しい夏の天候が訪れました。
北海道らしい天気とは、
日差しは強いのですが、
乾燥しているため、
日陰に入ると涼しく過ごせます。
日が傾くと涼しくなり、
夜も窓を閉め、
夏掛けが布団をかけて寝ます。
こんな北海道の夏は気持ちいいものです。