2025年1月30日木曜日

1_227 過去のプレートテクトニクス 7:砕屑性ジルコン

 プレートテクトニクスのはじまりの直接的証拠があったのは39.5億年前でした。次に、間接的証拠を見ていきましょうた。それは、どのようなもので、直接的証拠より前の時代まで遡れるのでしょうか。


 プレートテクトニクスの年代は、太古代のはじまりの39.5億年前まで遡れることがわかってきました。この時代以降は、各地で岩石が見つかっています。これ以前の冥王代になると岩石は見つかっていません。
 岩石ではなければ、冥王代の物質が見つかっています。それは、冥王代のより後の時代となる太古代に形成された地層の中に見つかる砂粒となっている鉱物です。現在では、ミクロンサイズの鉱物でも、年代測定が可能になってきたことから、冥王代の年代であることが判明しました。
 ただし、年代測定が可能になるには、それなりの条件が必要です。その鉱物が、侵食・運搬作用でも壊れることなく、変質・変成作用などによって成分が移動しないものでなければなりません。そして、年代を示す放射性元素(主にはウランU)を多く含んでいることが必要条件です。また、放射性元素の生成元素(Uだと鉛Pb)を、あまり含んでいない鉱物の方が、精度良く年代を測定することができます。
 そのような条件を満たす鉱物としてジルコンがあります。堆積物となっているので砕屑性ジルコンと呼ばれています。
 もっと古い時代の砕屑性ジルコンが、西オーストラリアのナリアのジャックヒルズ礫岩から、見つかっています。地層ができたのは、約30億年前の太古代中期ですが、その礫岩層から43億年前の砕屑性ジルコンが見つかっています。非常に有名になったので、多くの研究者が、いろいろな方法で多数の年代測定をしてきたので、この年代は確定していると考えられます。
 ジルコンの化学組成はZrSiO4となり、二酸化ケイ素が多いマグマから形成されています。そのような二酸化ケイ素の多いマグマは、酸性マグマと呼ばれ、大陸を構成している花崗岩をつくります。ですから、ジルコンの存在は、花崗岩、つまり大陸地殻の存在を推定させます。大陸地殻は島弧で形成されていきます。
 さらに、砕屑性ジルコンの化学組成(希土類元素のパターン)、結晶の中に含まれている包有物の酸素同位体や形成温度の推定などを調べることで、島弧の下で起こっている火成作用に由来している可能性が指摘されています。島弧は、海洋プレートの沈み込みによって形成される地質場なので、島弧の存在が証明されれば、プレートテクトニクスがあったことになります。
 以上のことから、プレートテクトニクスは、直接的証拠(火成岩)からは39.5億年前には営まれており、間接的証拠(砕屑性ジルコン)からは43億年前まで遡れそうになりました。プレートテクトニクスと島弧の形成には、海洋が存在しなければなりません。そうなると、海の存在は43億年前より古いはずです。地球は、45億年前にできたのですが、海ができればプレートテクトニクスもはじまるということになりそうですね。

・後期授業の終了・
今年後期の講義もすべて終わりました。
あとは定期試験と採点評価がありますが、
とりあえずは一段落の感があります。
大学の専任教員としては、最後の講義となります。
来年度は非常勤講師として
いくつかの科目を担当しますが、
退職後となると、気分は異なりそうです。
来年度の講義の作成をしています。

・時間を買う・
急用で帰省しました。
航空チケットもホテルも
正規料金でとることになりました。
いつもは早くから格安価格の探して
移動や宿泊しているので
予想以上の高額となったので驚きます。
現在のように格安やパックツアばかりを利用していると
通常の正規料金は驚きますね。
どうしても必要な時、
お金には換算できない時間を
買ったと思えばいいのでしょうね。