2025年2月13日木曜日

2_223 20億年前からの生物 2:種の継続期間

 個体の寿命から種の寿命の話になります。種の寿命とは、その種が継続してきた期間を意味します。ではその種の継続期間は、どのように定義して、その定義はどの程度確かなのでしょうか。


 個々の生物の寿命を見てきましたが、生物の多様性を考えると、「寿命」という概念が、必ずしも適用できない種類もあることもわかってきました。では、生物「種」としての寿命は、どう調べればいいのか考えていきましょう。
 種の寿命とは、ある「種」から別の「種」として分化した時が、種の誕生となります。そこから種の寿命がスタートしてから、種がすべていなくなる時(絶滅)までの期間が、種の寿命となります。種の誕生の前と絶滅の後は、種は「不在」となります。不在の証明は難しいものとなりますが、絶滅の判定については定義があります。現生の生物種においては、信頼できる調査によって一定期間(50年間)、生存が確認されない場合を「絶滅」としています。
 ただしこれは、人為的定義によるもので、その種が本当に「不在」となったかどうかの判定ができるものではありません。なぜなら不在の証明は、論理的に不能だからです。一方、種が継続、あるいは生存している証拠は、簡単に示すことができます。その種の個体がひとつでも確認できれば証明できます。有名な例として、シーラカンスがあります。
 シーラカンス(目という大きな分類群レベル)は、古生代から中生代まで生存していことが化石からわかっています。しかし、中生代(白亜紀)と新生代(古第三紀)の境界(K-Pg境界と呼ばれています)以降、化石が見つかっていないので、絶滅していたと考えられていました。ところが、生きているシーラカンスが見つかりました。化石と現生の種の間で、形態的な差異がほとんどないことから、同じ種だとされました。
 長期間、化石が見つからなかったので定義に基づき絶滅と判断しされたのですが、生きている種が見つかったことで、生存期間が一気に6500万年も延長されました。6500万年間も化石が見つからないという不思議は残されていますが、生存の証拠が優先されます。
 種の出現はどのように判定するのでしょうか。種の誕生は、過去の出来事になるため、多くの場合「化石」で、新種と認定された時が、「出現」となります。それは古生物学的手法によって、それまでにない種の化石が見つかったとき、新種の出現と判断されます。少数の化石では、生存の証拠にはできますが、新種の出現とするのは困難です。なぜなら、その化石が、最初の種の誕生の化石とはいえないからです。
 生存期間の判別には、目的の種の化石が、大量にそして連続した多数の地層から見つかるような条件が必要です。そのような条件を満たするのは、深海底に堆積したプランクトン化石の集合物となっている珪質粘土や、それが陸地に持ち上げられた層状チャートがあります。
 ところが、一般の地層で、長期間に渡って、そのような条件を満たす地層は、あまりありません。ある種の化石が見つかり、別の場所の別の時代の地層で似た種の化石が見つかったとしても、全期間を示していないし、種の連続性も保証されないことにもなります。
 化石の同種の認定は、形態の特徴が似ていることを前提としています。化石は、生物の一部で、岩石中に残された部分(骨、歯、種子、葉など)や痕跡(体の一部の印象、形態、別の物質に置き換わったものなど)になっています。そのため不完全な部分同士で、同種として認定していくことになり、その判断は困難でしょう。その上、時代をまたいだり、あるいは地域を超えて同種の判断は、信頼性が落ちていきます。
 他にいい方法はないでしょうか。次回としましょう。

・老人力・
出張時には、レシート類を2日分を紛失しました。
あちこち探し、ホテルにも問い合わせたのですが、
結局は行方不明となりました。
ところが、提出すべき領収書が
財布に入れていたのを失念していました。
かろうじて事なきを得ました。
このようは加齢による能力の変化を
赤瀬川原平が「老人力」と呼びました。
少し前にその本を読み直しました。
耄碌(もうろく)などといわず、「老人力が増した」と
プラス思考で考えていく姿勢がいいですね。
幸い、妻も老人力が増しているので
お互い様となっています。

・年度の混在・
後期の成績評価を提出しました。
研究費で購入した備品類を返却作業や
パソコンの初期化などを進めて
大半を返却しました。
また、初期化できないものと、
大学のSEの人に頼んだものが残っています。
講義で使う消耗品類も次の担当者に託しました。
校務の報告書の提出も今週締切です。
次々と今年度の業務が終わっていきます。
先週は入試に関する出張がありました。
今月中に次年度の講義シラバスの締切りもきます。
これらは、次年度に関わる業務です。
今年度と次年度が混在している時期です。