前回まで紹介してきたように、現在の生物や人為による汚染には、非常に慎重に対処されて進められてきました。着実にステップを踏んで、研究は進められています。20億年前の生物の有無について紹介していきましょう。
ブッシュベルト火成複合岩体の20億年前の岩石にできた亀裂に生物の有無を調べられてきました。その結果をみていきましょう。まずは、前回紹介したように、現在の生物や人為の汚染をなくした試料を用いています。
海洋底の岩石で用いた方法でもあったDNAの染色によって、生物の存在を確認し、その細胞から赤外線を用いた分析によって、たんぱく質を検出しています。赤外線分析では、たんぱく質とともに、粘土が存在していることも明らかになっています。つまり、この亀裂には、外部からの汚染ではなく、掘削前から微生物が生きていることが確認されたことになります。
この結果から、もしこの亀裂ができ、そこに水が入り込み粘土鉱物ができた時、生物が住みついたとすると、その環境がそのまま残っていた可能性がでてきました。海洋底の岩石からは、前に紹介したように1億年前から生き続けている生物の可能性が示されました。ブッシュベルト地域の地層は、20億年前から現在にいたるまで、安定していたところです。ですから、亀裂ができた時期は未確認ですが、亀裂で粘土形成後、生物が住み着いてから、そのまま閉鎖的な環境が維持されていたとすれば、その当時の生物が、生き続けている可能性があります。
今後、生物の遺伝子解析で、どのような生物なのかを検証していけば、進化のスピードもわかるでしょう。超閉鎖環境になれば、進化が少ないとすると、生物種の生存期間の考え方も改めなければなりません。進化の生物の変異の用いる分子時計などの方法論も、改めなければなりません。
この研究手法を使えば、40億年前の変動がないところで岩石が採取できれば、生命誕生初期の生きた生物の発見も可能かもしれません。安定した環境が続けば、進化が起こらないとすると、進化の要因として環境が非常に強いことになります。そして、なにより進化とはなにかを再考させる機会にもなりまそうです。
鈴木さんたちが考えている、この研究に大きな展望があるようです。その実現はかり先になりそうですが、重要なものです。その紹介は、次回としましょう。
・3月はバタバタと・
集中講義が終わりました。
補習が何人かありますが、これで一段落です。
今後、大学では、学位記授与式や
進級者や新入生を迎える準備も進みます。
また、退職のためのセレモニーが続きます。
3月中は、公私ともにバタバタしそうです。
しかし、一番重要なことを忘れないようにしましょう。
もちろん私にとっては研究です。
・最後の教え子たち・
今年で学生を指導をするのが最後になります。
感慨深いものがあります。
退職の時がきた多くの先生たちが
この気持ちを味わうことになるでしょう。
幸い、非常勤講師として
いくつかの講義を担当します。
ただし、自身が所属した学科の専門科目ではなく、
教養科目や他学科の科目なので
学生との接触機会は少なくります。
それもで、授業やその時の出会いがきっかけになり
将来の選択に影響を与えることもあります。
気を抜くことなく、
授業は進めていかなくてはなりませんね。