白亜紀末のK-T境界と呼ばれる時代の大絶滅は、隕石衝突が原因であったと考えられています。その説に落ち着くまでに紆余曲折がありました。それを紹介しましょう。
K-T境界の大絶滅の原因で、いちばん確かだとされているのは、隕石衝突説です。その説の概要を見ていきましょう。
直径約10kmの彗星か小天体が落下し、衝突によって、大津波が発生し、またちりやこり、ガスなどが、成層圏までたくさん舞い上がり、太陽光をさえぎって、地球を寒冷化させました。そして植物が大打撃をうけました。食物連鎖の基礎となる植物が大打撃を受けると、それを食べる草食動物も打撃を受けます。変温動物であった恐竜たちは、寒さと飢えで絶滅していったたと考えられています。
ことの起こりは、1977年、アルバレスが、イタリアのグッピオと呼ばれる地域で、K-T境界の地層を見つけたことでした。この地層は、白亜紀には化石がたくさんあるのに、境界から上の第三紀の地層には化石がほとんどないなものでした。そして、K-T境界の地層は、1cmほどの粘土層で、黒っぽく、ススがたくさん含まれているものでした。アルバレスは、そのK-T境界の岩石の化学分析しました。するとそこには、地表にはほとんどない元素がみつかりました。
その元素は、イリジウム(Ir)とよばれる白金(プラチナ、Pt)の仲間の元素です。イリジウムは、K-T境界のところに、濃集していました。その量は、まわりの地層の数倍というものでした。
イリジウムは、地殻つくる岩石にはほとんど含まれません。ですから、K-T境界では、イリジウムをたくさん当時の地表に濃集させる事件があったはずです。その事件を、アルバレスたちは、隕石の衝突と考えたのです。なぜイリジウムかというと、隕石には、地殻の含有量にくらべて、10万倍もおおくイリジウムが含まれています。白金の仲間の元素は、地殻にはほとんど含まれず、なかでもイリジウムがその差がいちばん大きくなっています。
隕石には、イリジウムを比較的多く含みます。ですから、供給源として合格です。しかし、それをK-T境界の大絶滅の原因とするには、いくつかの条件が必要でした。
まず、K-T境界の時代の隕石によるクレータが見けること。隕石の衝突によるほかの証拠、傍証をだすこと。隕石の衝突によって大絶滅があったとすると、その絶滅までは生物の絶滅の兆しはなく、その日が来れば、絶滅が突然におこったという証拠をだすこと。以上の条件を満たす必要がありました。
現在、メキシコのユカタン半島に、隕石の衝突のクレータがみつかっています。そして、そのクレータは、人工衛星による探査でみつかり、現地では各種の物理探査によって確認されました。その衝撃でできたクレータは、直径180kmもあることが、わかってきました。でも、データはすでに存在していたのでした。現地の人が利用していた泉が、クレータの形にそって、点々とあったのです。また、石油探査でも、今ではだいぶ埋まっていますが、大きなくぼみ(クレータ)の存在は知られていました。
衝突の証拠として、衝撃でできた石英の鉱物も特殊な組織、衝突のときに溶けた岩石のガラス、巨大津波でできた地層、衝突で起こった大火災によるスス(煤)などがみつかりました。それに、世界各地のK-T境界からも、イリジウムの濃集が確認されました。
衝突の事件も、いままでK-Tの大絶滅は、その時代より前から絶滅が始まっていたとされたいた地層を調べなおしたところ、K-T境界までその生物は生存していたことが確認されました。そして、絶滅は非常に短い期間で起こったことが確認されていきました。
2002年7月25日木曜日
2002年7月18日木曜日
2_21 6500万年前の大絶滅(その1)
さて、いよいよ、私たちがいちばんよく知っている恐竜の絶滅についてです。この絶滅は、多くの研究者が、その原因をいろいろな視点で研究してきました。でも、その原因はなかなかわからず、不明のままでした。でも、あるとき、とんでもない新説が現れました。そして、それが今や定説となっています。
6500万年前は、中生代と新生代の時代境界です。K-T境界と呼ばれています。K-Tの意味は、時代の略称です。中生代の最後の時代は白亜紀で、ドイツ語でKreide(英語ではCretaceousです)でKと、新生代の最初の時代は第三紀でTertiaryのTと略されています。それで、中生代と新生代の境界を、K-T境界と呼んでいるのです。
中生代は、三畳紀(2億4500万年~2億0500万年前)、ジュラ紀(2億0500万年~1億3800万年前)、白亜紀(1億3800万年~6500万年前)に区分される、1億8000万年間も続いた時代です。また、中生代は、古生代末にあった超大陸パンゲアが分裂する時代であったともいえます。大陸の分裂、つまりプレートテクトニクスによって、南半球では、南極とオーストラリアが分裂し、北半球では海洋底が拡大し、北大西洋を広げ、北アメリカとグリーンランドが分裂しました。
中生代は、温暖な時代で、恐竜の仲間たちが栄えるには、いい時代でした。中生代は、恐竜が栄えた時代として有名ですが、そのほかにも、裸子植物が繁栄し、海ではアンモナイトが栄えました。ジュラ紀には、哺乳類や被子植物も出現しましたが、哺乳類は白亜紀になっても、10cmに満たないような小さな生き物にすぎませんでした。それは、恐竜が栄えていたからです。
そんな恐竜たちが、ある日、忽然と、みんな消えてしまったのです。K-T境界で絶滅したのは、恐竜だけでは、ありませんでした。陸上の動物や海生の動物もたくさん絶滅しました。さらに、植物も多数絶滅しました。セコウスキーとラウプの見積もりによりますと、当時の全生物種の60から75パーセントが絶滅したと推定しいます。原生動物や藻類にいたっては、属という分類で、90パーセント絶滅したといわれています。
P-T境界、つまり古生代と中生代の大絶滅と比べると、少しましというべきですが、それにしても、大変な大絶滅です。地球生命が遭遇した、史上2番目の大絶滅になります。
P-T境界と同様に、K-T境界の大絶滅の原因は、長らく定説がありませんでした。恐竜の絶滅の原因に関しては、多くの研究者が、多くの仮説を提出してきました。たとえば、海水準の変化、気候帯の移動、火山噴火、超新星爆発、地球磁場の逆転、太陽活動の激変、などなど、いろいろな説が唱えられました。しかし、これぞ、という説はなかなかありませんでした。
K-T境界の大絶滅の原因として、いまでももっとも有力な、隕石衝突説が、ある化学分析から生まれました。それを説明すると長くなりそうです。以下は次回にしましょう。
6500万年前は、中生代と新生代の時代境界です。K-T境界と呼ばれています。K-Tの意味は、時代の略称です。中生代の最後の時代は白亜紀で、ドイツ語でKreide(英語ではCretaceousです)でKと、新生代の最初の時代は第三紀でTertiaryのTと略されています。それで、中生代と新生代の境界を、K-T境界と呼んでいるのです。
中生代は、三畳紀(2億4500万年~2億0500万年前)、ジュラ紀(2億0500万年~1億3800万年前)、白亜紀(1億3800万年~6500万年前)に区分される、1億8000万年間も続いた時代です。また、中生代は、古生代末にあった超大陸パンゲアが分裂する時代であったともいえます。大陸の分裂、つまりプレートテクトニクスによって、南半球では、南極とオーストラリアが分裂し、北半球では海洋底が拡大し、北大西洋を広げ、北アメリカとグリーンランドが分裂しました。
中生代は、温暖な時代で、恐竜の仲間たちが栄えるには、いい時代でした。中生代は、恐竜が栄えた時代として有名ですが、そのほかにも、裸子植物が繁栄し、海ではアンモナイトが栄えました。ジュラ紀には、哺乳類や被子植物も出現しましたが、哺乳類は白亜紀になっても、10cmに満たないような小さな生き物にすぎませんでした。それは、恐竜が栄えていたからです。
そんな恐竜たちが、ある日、忽然と、みんな消えてしまったのです。K-T境界で絶滅したのは、恐竜だけでは、ありませんでした。陸上の動物や海生の動物もたくさん絶滅しました。さらに、植物も多数絶滅しました。セコウスキーとラウプの見積もりによりますと、当時の全生物種の60から75パーセントが絶滅したと推定しいます。原生動物や藻類にいたっては、属という分類で、90パーセント絶滅したといわれています。
P-T境界、つまり古生代と中生代の大絶滅と比べると、少しましというべきですが、それにしても、大変な大絶滅です。地球生命が遭遇した、史上2番目の大絶滅になります。
P-T境界と同様に、K-T境界の大絶滅の原因は、長らく定説がありませんでした。恐竜の絶滅の原因に関しては、多くの研究者が、多くの仮説を提出してきました。たとえば、海水準の変化、気候帯の移動、火山噴火、超新星爆発、地球磁場の逆転、太陽活動の激変、などなど、いろいろな説が唱えられました。しかし、これぞ、という説はなかなかありませんでした。
K-T境界の大絶滅の原因として、いまでももっとも有力な、隕石衝突説が、ある化学分析から生まれました。それを説明すると長くなりそうです。以下は次回にしましょう。
2002年7月11日木曜日
6_13 7月の誕生石
7月の誕生石は、ルビーです。ルビーは、赤く、まさに深紅、真紅ともいうべき、きれいな色の宝石です。
ルビーは、コランダムという鉱物です。コランダムは、酸化アルミニウム(Al2O3)という化学組成をもちます。酸化アルミニウムは、アルミナとも呼ばれます。コランダムは、灰色、または青みがかった灰色、茶色などの結晶で、等粒状の塊として出ることが多いです。
ルビーは、モース硬度が9、比重が4.0~4.1、六方晶系の結晶です。ルビーの多くは、六角形短柱状の結晶として変成岩中でみつかります。ルビーは、比重が大きいので、風化して、砂礫として川を流れると、沈みやすくなり、堆積物として、川底に集まりやすくなります。そんな砂礫の堆積物から、効率的に、ルビーが採掘されます。
9月の誕生石、サファイアもコランダムという鉱物です。赤いものだけをルビーといって、それ以外の色のものをサファイアといいます。赤くても、透明なものや淡い赤のものは、ピンクサファイアとして、ルビーとはルビーは、赤い宝石という意味の紅玉という和名をもちます。ルビー(ruby)という言葉も、中世ラテン語のrubinus(赤い)からきています。日本語も、英語も、ルビーの赤にちなんで、名づけられています。
ルビーの赤色は、少し含まれるクロム(Cr)という元素のためです。ルビーでは、深みのある赤がよいものとされています。ミャンマーでとれたルビーは、ほかの産地のものよりも、クロムの含有が多く、しかもそれ以外の不純物が少ないために、美しい濃赤色を示す。最高級のルビーは、ミャンマーのモゴーク地域からとれるもので、ピジョン・ブラッド(ハトの血)とよばれるものです。区別しています。
コランダムの中に、ルチルとよばれる鉱物の非常に小さい針状の結晶が、多数ふまれていることがあります。そのとき、ルビーを表面にまるみをつけてカット(カボション・カット)すると、星状に光り輝くことがあります。これをスター効果といいます。そのようなルビーは、スタールビーとよばれ、珍重され、高価になります。
ミャンマー、タイ、カンボジア、スリランカ、タンザニアなどが、ルビーのおもな産地となっています。
11世紀のフランス「宝石の書」には、ドラゴンの額のまんなかには赤味を帯びた一個の目があって、「カルブンクルス(carbunculus)」と呼ばれています。カルブンクルスは、どんな宝石よりも赤い燃えるような光を放っていて、いかなる闇をもってしても、この光を消すことはできない、とされいます。このカルブンクルスは、まさに、ルビーを代表とする赤い色の宝石を意味していました。しかし、14世紀には、カルブンクルスは、しだいにその意味を変えて、架空の宝石となり、やがては「賢者の石」と同じと考えられ、錬金術の象徴となりました。
ルビーは、宝石としても利用されますが、時計や精密機器の軸受などにつかわれたり、レーザーの素子としても活用されています。ルビーは、物理的・化学的性質が安定していることから、1960年に、はじめて、固体レーザー、ルビーレーザーとして使われました。
合成ルビーは、1904年にその製造法は発明されました。当初の火炎溶融法によってつくれていましたが、最近では、フラック法や熱水法による新しい方法によってつくられるようになり、天然ルビーに近いものができるようになりました。そのため、天然石と合成石との区別が、困難になってきました。
ルビーは、コランダムという鉱物です。コランダムは、酸化アルミニウム(Al2O3)という化学組成をもちます。酸化アルミニウムは、アルミナとも呼ばれます。コランダムは、灰色、または青みがかった灰色、茶色などの結晶で、等粒状の塊として出ることが多いです。
ルビーは、モース硬度が9、比重が4.0~4.1、六方晶系の結晶です。ルビーの多くは、六角形短柱状の結晶として変成岩中でみつかります。ルビーは、比重が大きいので、風化して、砂礫として川を流れると、沈みやすくなり、堆積物として、川底に集まりやすくなります。そんな砂礫の堆積物から、効率的に、ルビーが採掘されます。
9月の誕生石、サファイアもコランダムという鉱物です。赤いものだけをルビーといって、それ以外の色のものをサファイアといいます。赤くても、透明なものや淡い赤のものは、ピンクサファイアとして、ルビーとはルビーは、赤い宝石という意味の紅玉という和名をもちます。ルビー(ruby)という言葉も、中世ラテン語のrubinus(赤い)からきています。日本語も、英語も、ルビーの赤にちなんで、名づけられています。
ルビーの赤色は、少し含まれるクロム(Cr)という元素のためです。ルビーでは、深みのある赤がよいものとされています。ミャンマーでとれたルビーは、ほかの産地のものよりも、クロムの含有が多く、しかもそれ以外の不純物が少ないために、美しい濃赤色を示す。最高級のルビーは、ミャンマーのモゴーク地域からとれるもので、ピジョン・ブラッド(ハトの血)とよばれるものです。区別しています。
コランダムの中に、ルチルとよばれる鉱物の非常に小さい針状の結晶が、多数ふまれていることがあります。そのとき、ルビーを表面にまるみをつけてカット(カボション・カット)すると、星状に光り輝くことがあります。これをスター効果といいます。そのようなルビーは、スタールビーとよばれ、珍重され、高価になります。
ミャンマー、タイ、カンボジア、スリランカ、タンザニアなどが、ルビーのおもな産地となっています。
11世紀のフランス「宝石の書」には、ドラゴンの額のまんなかには赤味を帯びた一個の目があって、「カルブンクルス(carbunculus)」と呼ばれています。カルブンクルスは、どんな宝石よりも赤い燃えるような光を放っていて、いかなる闇をもってしても、この光を消すことはできない、とされいます。このカルブンクルスは、まさに、ルビーを代表とする赤い色の宝石を意味していました。しかし、14世紀には、カルブンクルスは、しだいにその意味を変えて、架空の宝石となり、やがては「賢者の石」と同じと考えられ、錬金術の象徴となりました。
ルビーは、宝石としても利用されますが、時計や精密機器の軸受などにつかわれたり、レーザーの素子としても活用されています。ルビーは、物理的・化学的性質が安定していることから、1960年に、はじめて、固体レーザー、ルビーレーザーとして使われました。
合成ルビーは、1904年にその製造法は発明されました。当初の火炎溶融法によってつくれていましたが、最近では、フラック法や熱水法による新しい方法によってつくられるようになり、天然ルビーに近いものができるようになりました。そのため、天然石と合成石との区別が、困難になってきました。
2002年7月4日木曜日
2_20 2億4500万年前の大絶滅(その4)
さて、P-T境界(2億4500万年前)の古生代と中生代の時代境界の大絶滅の話も、第4回となり、最終回です。P-T境界の事件とは、いったいどのようにして起こったのでしょうか。やはり、東京大学の磯崎行雄さんたちのグループの研究成果を参考にして、見ていきます。
P-T境界の古生代と中生代の境界時代(2億4500万年前)おこった事件は、当時、一つしかなかった超海洋パンサラサに、その記録が残っていました。陸から遠く離れた深海底でできたチャート、そして、その海洋のやはり陸から遠く離れた浅海の海山にできた石灰岩にも、その絶滅の記録は残っていました。
深海底では超酸素欠乏事件として、浅海では火山灰として記録が残されていました。その火山は、どうも中国大陸の付近かそれより西でおこった酸性のマグマによる大規模な火山噴火でした。
P-T境界の時代には、超海洋パンサラサとパンゲアと呼ばれる一つ超大陸だけがありました。現在の大陸と海洋の配置から考えると、非常にへんな分布をしていたことになります。どうも、超大陸ができると、なにか大変な事件が起こるようです。
大量絶滅は、一つの原因で起こる場合と、いくつもの複合した原因でおこる場合があります。一つの原因は、巨大隕石の衝突や、巨大火山の噴火などの大事件によって起こる場合です。いくつもの複合した原因でおこる場合は、超大陸などの形成によって、複雑な因果関係によってさまざまな事件が短期に起こったために大絶滅になったということです。ただし、この複雑な原因を考えるとき、本当に原因となったのは、何かをはっきりさせることが重要です。
たとえば、地球の内部に大規模な異変があった場合、地表では各種の事件がおこったはずです。そのうちのどれが、絶滅の原因となったかを、はっきりする必要があります。
大規模絶滅は、当然、大規模な事件によるもののはずです。そのような事件は、多くの別の事件を引き起こしたはずです。推理小説に例えるなら「殺人事件はあった。犯人は誰だ」ということです。
動機を持る者が一杯いたとしても、その殺人が起こしやすくした関係者が何人もいたとしても、直接手を下した犯人は、何人かに絞れるはずです。それを見極めることが重要です。また、殺人事件によって生じた変化が引き金として、直後に別の事件が起こっているかもしれません。それに惑わされず、因果関係をはっきり見極めることが重要です。
超大陸の形成も、遠因では、あるでしょう。でも、超大陸があると、なにが起こるのか、大規模な火山活動や深海底の超酸素欠乏事件をどう説明するのでしょうか。
じつは、まだこれという原因が定まっていないのです。磯崎さんのモデルもまだ、完成していません。でも、仮説は出されています。「プルームの冬」という仮説です。それは、次のようなものです。
超大陸パンゲアができると、大陸のまわりに沈み込み帯が、多数できます。そして、やがて、沈み込んだプレートの反作用として、地球深部から「スーパーホットプルーム」と呼ばれる熱いマントル物質が、上がってきます。このプルームが、激しい火山活動を起こします。
激しい火山活動のときに噴出した火山灰が、光合成をストップさせたのではないかと、磯崎さんは、考えています。成層圏にまで吹き上げられた火山灰によって、まるで「核の冬」のように、地表に光が届かなくなり、光合成をする生物が、極端に少なくなります。当時の酸素を活用する生物が、主要なものだったのです。酸素を供給する生物が大量絶滅すると、大気や海洋の酸素が少なくなり、生物全体は、大打撃つまり大絶滅がおこります。
以上が、磯崎さんが考えているシナリオです。まだ、証拠が不十分です。現在、いろいろ智恵を絞って、犯人探しの真っ最中です。
P-T境界の古生代と中生代の境界時代(2億4500万年前)おこった事件は、当時、一つしかなかった超海洋パンサラサに、その記録が残っていました。陸から遠く離れた深海底でできたチャート、そして、その海洋のやはり陸から遠く離れた浅海の海山にできた石灰岩にも、その絶滅の記録は残っていました。
深海底では超酸素欠乏事件として、浅海では火山灰として記録が残されていました。その火山は、どうも中国大陸の付近かそれより西でおこった酸性のマグマによる大規模な火山噴火でした。
P-T境界の時代には、超海洋パンサラサとパンゲアと呼ばれる一つ超大陸だけがありました。現在の大陸と海洋の配置から考えると、非常にへんな分布をしていたことになります。どうも、超大陸ができると、なにか大変な事件が起こるようです。
大量絶滅は、一つの原因で起こる場合と、いくつもの複合した原因でおこる場合があります。一つの原因は、巨大隕石の衝突や、巨大火山の噴火などの大事件によって起こる場合です。いくつもの複合した原因でおこる場合は、超大陸などの形成によって、複雑な因果関係によってさまざまな事件が短期に起こったために大絶滅になったということです。ただし、この複雑な原因を考えるとき、本当に原因となったのは、何かをはっきりさせることが重要です。
たとえば、地球の内部に大規模な異変があった場合、地表では各種の事件がおこったはずです。そのうちのどれが、絶滅の原因となったかを、はっきりする必要があります。
大規模絶滅は、当然、大規模な事件によるもののはずです。そのような事件は、多くの別の事件を引き起こしたはずです。推理小説に例えるなら「殺人事件はあった。犯人は誰だ」ということです。
動機を持る者が一杯いたとしても、その殺人が起こしやすくした関係者が何人もいたとしても、直接手を下した犯人は、何人かに絞れるはずです。それを見極めることが重要です。また、殺人事件によって生じた変化が引き金として、直後に別の事件が起こっているかもしれません。それに惑わされず、因果関係をはっきり見極めることが重要です。
超大陸の形成も、遠因では、あるでしょう。でも、超大陸があると、なにが起こるのか、大規模な火山活動や深海底の超酸素欠乏事件をどう説明するのでしょうか。
じつは、まだこれという原因が定まっていないのです。磯崎さんのモデルもまだ、完成していません。でも、仮説は出されています。「プルームの冬」という仮説です。それは、次のようなものです。
超大陸パンゲアができると、大陸のまわりに沈み込み帯が、多数できます。そして、やがて、沈み込んだプレートの反作用として、地球深部から「スーパーホットプルーム」と呼ばれる熱いマントル物質が、上がってきます。このプルームが、激しい火山活動を起こします。
激しい火山活動のときに噴出した火山灰が、光合成をストップさせたのではないかと、磯崎さんは、考えています。成層圏にまで吹き上げられた火山灰によって、まるで「核の冬」のように、地表に光が届かなくなり、光合成をする生物が、極端に少なくなります。当時の酸素を活用する生物が、主要なものだったのです。酸素を供給する生物が大量絶滅すると、大気や海洋の酸素が少なくなり、生物全体は、大打撃つまり大絶滅がおこります。
以上が、磯崎さんが考えているシナリオです。まだ、証拠が不十分です。現在、いろいろ智恵を絞って、犯人探しの真っ最中です。
2002年6月27日木曜日
2_19 2億4500万年前の大絶滅(その3)
P-T境界(2億4500万年前)の大絶滅の話も、3回目となりました。前回は、チャートという石から見た深海底での情報に基づいたものでした。今回は、石灰岩という、浅い海で溜まったものを見ていきます。やはり、東京大学の磯崎行雄さんたちのグループの研究成果を参考に見ていきます。
P-T境界(2億4500万年前)の岩石で、日本で見つかっているのは、チャートが一箇所だけであるのに対し、石灰岩とよばれる岩石では、4箇所から見つかっています。ただし、石灰岩の時代は、P-T境界より少し古く、2億6000万年前となっています。その時代は、M-W境界とよばれています。その時代にも、P-T境界に匹敵するような絶滅が起こっていることが明らかになってきました。そして、M-W境界とP-T境界の時間差は、1500万年(最近の研究でP-T境界は2億5100万年前とされているので、900万年の時間差になります)しかないのです。ですから、非常に短時間で2つの事件が起こったので、後のP-T境界の絶滅の事件が、顕生代で最大のものとなったと考えられています。
石灰岩は、岐阜県大垣市赤坂、愛媛県東宇和郡城川町、大分県津久見(つくみ)市、宮崎県西臼杵郡高千穂町上村(かむら)の4箇所から、M-W境界のものが見つかっています。さて、このような地層からどのようなことが、わかるのでしょうか。
石灰岩は、チャートと同じ陸から遠い海の火山(海山とよばれます)の頂上付近の比較的溜まったものです。現在のサンゴ礁をつくっていたような生物の化石の集合した岩石です。石灰岩は、チャートより、ずっと浅い海でたまったのものですから、浅海での影響を記録しています。
M-W境界の石灰岩は、陸からきた堆積物をほとんど含まないものです。ですから、パンサラサと呼ばれる、当時は一つしかなかった超海洋で、陸からの影響をほとんど受けなかった環境だと考えられます。海山は、できてから数1000kmという距離を、プレートテクトニクスによって移動して、日本列島にたどり着いたのです。
この石灰岩を見ていくと、M-W境界より下では、黒色の石灰岩で、上は明るい灰色の石灰岩からできています。黒色石灰岩は、有機物をたくさん含んでいます。そして化石は、そんなにおおくありません。一方、上の石灰岩は、化石をたくさん含んでいます。
そして、重要なことは、M-W境界には、凝灰岩とよばれる岩石が挟まっていることです。凝灰岩とは、火山灰が固まったものです。ですから、どこかで火山が噴火して、はるばると海の真中まで、飛んできたものです。挟まっている凝灰岩は、風化によって、軟らかい、あわい緑色の粘土状態になっていますが、もともとは流紋岩やデイサイトとよばれる火山によるものだと考えられています。流紋岩やデイサイトは、列島(島弧と呼ばれる)や大陸で活動する火山です。
凝灰岩の暑さは、赤坂では5mmほどで、上村では2mmほどしかありません。しかし、磯崎さんたちは、もっと西に当たる中国四川省北部の朝天の同時代の地層を調べたところ、同じような火山灰を発見しました。そして、その火山灰の厚さは、なんと2mもあるのです。この凝灰岩は、南中国全域で見つかることから、この火山は、非常に大規模なもので、あったと考えられます。それに、なんといっても、この火山は、数1000kmも離れた海洋まで、火山灰を降らせる大規模なものだったようです。
チャート中にも、M-W境界に相当する時代の凝灰岩が見つかっています。さて、それは、P-T境界にも連動しているのでしょうか。そしてそれぞれの絶滅のシナリオはどんなでしょうか。長くなってしまいました。それは、またまた、次回です。
P-T境界(2億4500万年前)の岩石で、日本で見つかっているのは、チャートが一箇所だけであるのに対し、石灰岩とよばれる岩石では、4箇所から見つかっています。ただし、石灰岩の時代は、P-T境界より少し古く、2億6000万年前となっています。その時代は、M-W境界とよばれています。その時代にも、P-T境界に匹敵するような絶滅が起こっていることが明らかになってきました。そして、M-W境界とP-T境界の時間差は、1500万年(最近の研究でP-T境界は2億5100万年前とされているので、900万年の時間差になります)しかないのです。ですから、非常に短時間で2つの事件が起こったので、後のP-T境界の絶滅の事件が、顕生代で最大のものとなったと考えられています。
石灰岩は、岐阜県大垣市赤坂、愛媛県東宇和郡城川町、大分県津久見(つくみ)市、宮崎県西臼杵郡高千穂町上村(かむら)の4箇所から、M-W境界のものが見つかっています。さて、このような地層からどのようなことが、わかるのでしょうか。
石灰岩は、チャートと同じ陸から遠い海の火山(海山とよばれます)の頂上付近の比較的溜まったものです。現在のサンゴ礁をつくっていたような生物の化石の集合した岩石です。石灰岩は、チャートより、ずっと浅い海でたまったのものですから、浅海での影響を記録しています。
M-W境界の石灰岩は、陸からきた堆積物をほとんど含まないものです。ですから、パンサラサと呼ばれる、当時は一つしかなかった超海洋で、陸からの影響をほとんど受けなかった環境だと考えられます。海山は、できてから数1000kmという距離を、プレートテクトニクスによって移動して、日本列島にたどり着いたのです。
この石灰岩を見ていくと、M-W境界より下では、黒色の石灰岩で、上は明るい灰色の石灰岩からできています。黒色石灰岩は、有機物をたくさん含んでいます。そして化石は、そんなにおおくありません。一方、上の石灰岩は、化石をたくさん含んでいます。
そして、重要なことは、M-W境界には、凝灰岩とよばれる岩石が挟まっていることです。凝灰岩とは、火山灰が固まったものです。ですから、どこかで火山が噴火して、はるばると海の真中まで、飛んできたものです。挟まっている凝灰岩は、風化によって、軟らかい、あわい緑色の粘土状態になっていますが、もともとは流紋岩やデイサイトとよばれる火山によるものだと考えられています。流紋岩やデイサイトは、列島(島弧と呼ばれる)や大陸で活動する火山です。
凝灰岩の暑さは、赤坂では5mmほどで、上村では2mmほどしかありません。しかし、磯崎さんたちは、もっと西に当たる中国四川省北部の朝天の同時代の地層を調べたところ、同じような火山灰を発見しました。そして、その火山灰の厚さは、なんと2mもあるのです。この凝灰岩は、南中国全域で見つかることから、この火山は、非常に大規模なもので、あったと考えられます。それに、なんといっても、この火山は、数1000kmも離れた海洋まで、火山灰を降らせる大規模なものだったようです。
チャート中にも、M-W境界に相当する時代の凝灰岩が見つかっています。さて、それは、P-T境界にも連動しているのでしょうか。そしてそれぞれの絶滅のシナリオはどんなでしょうか。長くなってしまいました。それは、またまた、次回です。
2002年6月20日木曜日
2_18 2億4500万年前の大絶滅(その2)
2億4500万年前のP-T境界と呼ばれる古生代と中生代の境界では、無脊椎動物の種の数で、最大で96パーセントが絶滅したと考えられる事件が起こりました。なにか、とんでもない事件がおこったようです。それがどのような事件だったのか、みていきましょう。ここでは、東京大学の磯崎行雄さんたちのグループの研究成果を参考に見ていきます。
まず、古生代と中生代の境界を調べるには、その時代の地層が必要です。日本でも、数ヶ所で見つかっています。一つはチャートとよばれる陸から遠い海洋でたまった地層です。もう一つは、石灰岩とよばれる岩石です。チャートと同じ陸から遠い海の火山(海山とよばれます)の頂上付近で溜まった現在のサンゴ礁をつくるような岩石です。
今回は、チャートのみを取り上げましょう。チャートには、どんなことが記録されていたのでしょうか。
現在のところ、愛知県と岐阜県の県境の犬山地域に分布するチャートに、P-T境界のものが見つかっています。このような地層から、どのようなことがわかるのでしょうか。チャートは、深海にたまったものですから、深海にまでおよぶような事件があれば、記録されているはずです。
犬山のチャートの大部分は、赤色(正確にはレンガ色)をしています。しかし、P-T境界の地層は、チャートというより、チャート質あるいは珪質泥岩というべきような岩石で、チャートと泥岩の中間的なものです。さらに、、P-T境界部の岩石は、まっ黒の有機物に富む泥岩があり、その周りのものは灰色の珪質泥岩となってあり、さらに離れると、暗黒色から灰色のチャートになり、やがて、赤色のチャートへと連続的に変化しています。その境界部の厚さは、約30mです。
大部分のチャートの色である赤は、鉄の酸化物の色です。赤鉄鉱(Fe2O3)という鉱物による色です。赤鉄鉱は、酸化的な環境でできる鉱物ですから、当時のチャートの溜まった環境、つまり深海底は、酸素がたくさんあり、鉄を3価まで、酸化させるほどであったことになります。
ところが、P-T境界の黒色部の地層には、チャートはなく、有機物に富む泥岩になっています。このような岩石は、深海底が還元的な条件になっていたと考えられます。酸化的条件では、有機物は細菌によって分解され、地層に入ることはありません。しかし、還元的環境では、有機物が分解されなかったと考えられます。また、P-T境界付近の黒っぽいチャートには、赤鉄鉱がまったく含まれないで、黄鉄鉱(FeS)という鉄を含む鉱物になっています。
鉱物の種類や堆積物の性質から、このような岩石は、還元的(酸素の乏しい)環境でできたと考えられます。つまり、犬山地域のチャートができた環境は、赤鉄鉱がたまるような酸素の多い環境であったのに、P-T境界の時期だけ、非常に還元的、つまり酸欠状態になったことを示しています。そして、それは、一時的な現象で、ふたたび酸素の多い、もとの環境にもどっています。
このような事件は、海洋貧酸素事件とよばれ、過去に似たような事件は何度も起こっています。その継続期間は、100万年を越えることはありません。ところが、P-T境界の事件は、化石の研究から、約2000万年に及んでいて、いちばんの酸欠事件(有機物に富む泥岩)は、1000万年に及んだことがわかりました。磯崎さんは、この酸素欠乏の事件を、超酸素欠乏事件(superanoxia)とよびました。
P-T境界の時代は、ほとんどの大陸が、パンゲアとよばれる一つ超大陸になっていました。そして、海は一つのパンサラサと呼ばれる一つの超海洋だけでした。有機物に富む泥岩は、その超海洋パンサラサの深海でたまったものです。そんな深海にまで及んだ超酸素欠乏事件は、結果です。なぜそのような事件が起こったのでしょうか。つまり、原因はなんだったんでしょう。謎は深まります。続きは、次回です。
まず、古生代と中生代の境界を調べるには、その時代の地層が必要です。日本でも、数ヶ所で見つかっています。一つはチャートとよばれる陸から遠い海洋でたまった地層です。もう一つは、石灰岩とよばれる岩石です。チャートと同じ陸から遠い海の火山(海山とよばれます)の頂上付近で溜まった現在のサンゴ礁をつくるような岩石です。
今回は、チャートのみを取り上げましょう。チャートには、どんなことが記録されていたのでしょうか。
現在のところ、愛知県と岐阜県の県境の犬山地域に分布するチャートに、P-T境界のものが見つかっています。このような地層から、どのようなことがわかるのでしょうか。チャートは、深海にたまったものですから、深海にまでおよぶような事件があれば、記録されているはずです。
犬山のチャートの大部分は、赤色(正確にはレンガ色)をしています。しかし、P-T境界の地層は、チャートというより、チャート質あるいは珪質泥岩というべきような岩石で、チャートと泥岩の中間的なものです。さらに、、P-T境界部の岩石は、まっ黒の有機物に富む泥岩があり、その周りのものは灰色の珪質泥岩となってあり、さらに離れると、暗黒色から灰色のチャートになり、やがて、赤色のチャートへと連続的に変化しています。その境界部の厚さは、約30mです。
大部分のチャートの色である赤は、鉄の酸化物の色です。赤鉄鉱(Fe2O3)という鉱物による色です。赤鉄鉱は、酸化的な環境でできる鉱物ですから、当時のチャートの溜まった環境、つまり深海底は、酸素がたくさんあり、鉄を3価まで、酸化させるほどであったことになります。
ところが、P-T境界の黒色部の地層には、チャートはなく、有機物に富む泥岩になっています。このような岩石は、深海底が還元的な条件になっていたと考えられます。酸化的条件では、有機物は細菌によって分解され、地層に入ることはありません。しかし、還元的環境では、有機物が分解されなかったと考えられます。また、P-T境界付近の黒っぽいチャートには、赤鉄鉱がまったく含まれないで、黄鉄鉱(FeS)という鉄を含む鉱物になっています。
鉱物の種類や堆積物の性質から、このような岩石は、還元的(酸素の乏しい)環境でできたと考えられます。つまり、犬山地域のチャートができた環境は、赤鉄鉱がたまるような酸素の多い環境であったのに、P-T境界の時期だけ、非常に還元的、つまり酸欠状態になったことを示しています。そして、それは、一時的な現象で、ふたたび酸素の多い、もとの環境にもどっています。
このような事件は、海洋貧酸素事件とよばれ、過去に似たような事件は何度も起こっています。その継続期間は、100万年を越えることはありません。ところが、P-T境界の事件は、化石の研究から、約2000万年に及んでいて、いちばんの酸欠事件(有機物に富む泥岩)は、1000万年に及んだことがわかりました。磯崎さんは、この酸素欠乏の事件を、超酸素欠乏事件(superanoxia)とよびました。
P-T境界の時代は、ほとんどの大陸が、パンゲアとよばれる一つ超大陸になっていました。そして、海は一つのパンサラサと呼ばれる一つの超海洋だけでした。有機物に富む泥岩は、その超海洋パンサラサの深海でたまったものです。そんな深海にまで及んだ超酸素欠乏事件は、結果です。なぜそのような事件が起こったのでしょうか。つまり、原因はなんだったんでしょう。謎は深まります。続きは、次回です。
2002年6月13日木曜日
2_17 2億4500万年前の大絶滅(その1)
生物が、地球の歴史の主要な登場人物として現れるのは、顕生代とよばれる時代です。顕生代は、5億7000万年前のカンブリア紀からはじまり、現在まで続いています。顕生代に入っても、生物の大絶滅は、起こりました。いや、生物がたくさん出現する顕生代であるので、絶滅の記録は、より詳しくわかっています。そんな絶滅の歴史を見ていきましょう。
地質の時代区分は、地層に含まれる化石(過去の生物)の出現(新しい生物種の誕生)や消滅(ある生物種の絶滅)によってなされます。特に、繁栄して全地球的に広がり、そして絶滅していく種は、時代を区分するのに有効です。そのような化石を示準(しじゅん)化石とよんでいます。
時代区分されているということは、基本的に、その時代に生物の絶滅があり、新しい生物の出現した、という種の交替劇がおこなわれていることになります。大きな時代区分では、大量の絶滅があったことを意味します。
顕生代において、大きな時代区分は、古生代と中生代の境界、そして中生代と新生代の境界の2つがあります。そこでは、もちろん大絶滅がおこっています。今回は、古生代と中生代の境界でおこった大絶滅を見ていきましょう。
古生代と中生代の境界は、古生代最後の時代、ペルム紀(英語でPermian)と中生代最初の時代、三畳紀(英語でTriassic)の頭文字をとって、P-T境界とよばれています。年代では、今から2億4500万年前になります。P-T境界の大絶滅は、顕生代でも、最大の絶滅でした。
P-T境界の大絶滅は、古くから知られており、1840年にフィリップス(J. Phillips)が提唱しました。それは、ダーウィンの「種の起源」よりも古いのです。つまり、地質学あるいは古生物学は、進化論に先行して、生物の交替劇を、地層から読み取っていたのです。そこには、進化という考えより、天変地異説(カタストロッフィズム)の影響が、強かったのかもしれません。キリスト教的な考えでは、「ノアの洪水」のような天変地異があったと考えられていたのです。そんな天変地異による大絶滅と考えられていたのでしょう。
さて、P-T境界の絶滅は、いかほどのものだったのでしょうか。それは、すざましいものだったと考えられています。というのも、化石のデータが充分あるので、定量的に、その絶滅が把握できるのです。
なんと、当時、海で生きていた無脊椎動物の種の数で、最大の見積もりでは、96パーセントが絶滅したと考えられています。もちろん、陸上の生物(昆虫や脊椎動物)にも、絶滅はおよんでいます。ほんの数パーセントしか、この「天変地異」を生きのびることができなかったのです。
ですから、古生物学で、古生代の生物と中生代の生物は、大きく変化していることがわかっています。消えていった古生代を代表する生物としては、フズリナ、筆石、三葉虫、四射サンゴなどがあげられます。それが、すべていっせいに姿を消してしまったのです。
では、いったい、2億4500万年前に、何が起こったのでしょうか。何かとんでもない「天変地異」が起こったはずです。そして、もちろん、私たちの祖先は、そのとでもない「天変地異」を生き延びたのです。なにが起こったのかを説明すると、長くなりそうです。次回としましょう。
地質の時代区分は、地層に含まれる化石(過去の生物)の出現(新しい生物種の誕生)や消滅(ある生物種の絶滅)によってなされます。特に、繁栄して全地球的に広がり、そして絶滅していく種は、時代を区分するのに有効です。そのような化石を示準(しじゅん)化石とよんでいます。
時代区分されているということは、基本的に、その時代に生物の絶滅があり、新しい生物の出現した、という種の交替劇がおこなわれていることになります。大きな時代区分では、大量の絶滅があったことを意味します。
顕生代において、大きな時代区分は、古生代と中生代の境界、そして中生代と新生代の境界の2つがあります。そこでは、もちろん大絶滅がおこっています。今回は、古生代と中生代の境界でおこった大絶滅を見ていきましょう。
古生代と中生代の境界は、古生代最後の時代、ペルム紀(英語でPermian)と中生代最初の時代、三畳紀(英語でTriassic)の頭文字をとって、P-T境界とよばれています。年代では、今から2億4500万年前になります。P-T境界の大絶滅は、顕生代でも、最大の絶滅でした。
P-T境界の大絶滅は、古くから知られており、1840年にフィリップス(J. Phillips)が提唱しました。それは、ダーウィンの「種の起源」よりも古いのです。つまり、地質学あるいは古生物学は、進化論に先行して、生物の交替劇を、地層から読み取っていたのです。そこには、進化という考えより、天変地異説(カタストロッフィズム)の影響が、強かったのかもしれません。キリスト教的な考えでは、「ノアの洪水」のような天変地異があったと考えられていたのです。そんな天変地異による大絶滅と考えられていたのでしょう。
さて、P-T境界の絶滅は、いかほどのものだったのでしょうか。それは、すざましいものだったと考えられています。というのも、化石のデータが充分あるので、定量的に、その絶滅が把握できるのです。
なんと、当時、海で生きていた無脊椎動物の種の数で、最大の見積もりでは、96パーセントが絶滅したと考えられています。もちろん、陸上の生物(昆虫や脊椎動物)にも、絶滅はおよんでいます。ほんの数パーセントしか、この「天変地異」を生きのびることができなかったのです。
ですから、古生物学で、古生代の生物と中生代の生物は、大きく変化していることがわかっています。消えていった古生代を代表する生物としては、フズリナ、筆石、三葉虫、四射サンゴなどがあげられます。それが、すべていっせいに姿を消してしまったのです。
では、いったい、2億4500万年前に、何が起こったのでしょうか。何かとんでもない「天変地異」が起こったはずです。そして、もちろん、私たちの祖先は、そのとでもない「天変地異」を生き延びたのです。なにが起こったのかを説明すると、長くなりそうです。次回としましょう。
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