2002年7月18日木曜日

2_21 6500万年前の大絶滅(その1)

 さて、いよいよ、私たちがいちばんよく知っている恐竜の絶滅についてです。この絶滅は、多くの研究者が、その原因をいろいろな視点で研究してきました。でも、その原因はなかなかわからず、不明のままでした。でも、あるとき、とんでもない新説が現れました。そして、それが今や定説となっています。
 6500万年前は、中生代と新生代の時代境界です。K-T境界と呼ばれています。K-Tの意味は、時代の略称です。中生代の最後の時代は白亜紀で、ドイツ語でKreide(英語ではCretaceousです)でKと、新生代の最初の時代は第三紀でTertiaryのTと略されています。それで、中生代と新生代の境界を、K-T境界と呼んでいるのです。
 中生代は、三畳紀(2億4500万年~2億0500万年前)、ジュラ紀(2億0500万年~1億3800万年前)、白亜紀(1億3800万年~6500万年前)に区分される、1億8000万年間も続いた時代です。また、中生代は、古生代末にあった超大陸パンゲアが分裂する時代であったともいえます。大陸の分裂、つまりプレートテクトニクスによって、南半球では、南極とオーストラリアが分裂し、北半球では海洋底が拡大し、北大西洋を広げ、北アメリカとグリーンランドが分裂しました。
 中生代は、温暖な時代で、恐竜の仲間たちが栄えるには、いい時代でした。中生代は、恐竜が栄えた時代として有名ですが、そのほかにも、裸子植物が繁栄し、海ではアンモナイトが栄えました。ジュラ紀には、哺乳類や被子植物も出現しましたが、哺乳類は白亜紀になっても、10cmに満たないような小さな生き物にすぎませんでした。それは、恐竜が栄えていたからです。
 そんな恐竜たちが、ある日、忽然と、みんな消えてしまったのです。K-T境界で絶滅したのは、恐竜だけでは、ありませんでした。陸上の動物や海生の動物もたくさん絶滅しました。さらに、植物も多数絶滅しました。セコウスキーとラウプの見積もりによりますと、当時の全生物種の60から75パーセントが絶滅したと推定しいます。原生動物や藻類にいたっては、属という分類で、90パーセント絶滅したといわれています。
 P-T境界、つまり古生代と中生代の大絶滅と比べると、少しましというべきですが、それにしても、大変な大絶滅です。地球生命が遭遇した、史上2番目の大絶滅になります。
 P-T境界と同様に、K-T境界の大絶滅の原因は、長らく定説がありませんでした。恐竜の絶滅の原因に関しては、多くの研究者が、多くの仮説を提出してきました。たとえば、海水準の変化、気候帯の移動、火山噴火、超新星爆発、地球磁場の逆転、太陽活動の激変、などなど、いろいろな説が唱えられました。しかし、これぞ、という説はなかなかありませんでした。
 K-T境界の大絶滅の原因として、いまでももっとも有力な、隕石衝突説が、ある化学分析から生まれました。それを説明すると長くなりそうです。以下は次回にしましょう。