2002年7月11日木曜日

6_13 7月の誕生石

 7月の誕生石は、ルビーです。ルビーは、赤く、まさに深紅、真紅ともいうべき、きれいな色の宝石です。

 ルビーは、コランダムという鉱物です。コランダムは、酸化アルミニウム(Al2O3)という化学組成をもちます。酸化アルミニウムは、アルミナとも呼ばれます。コランダムは、灰色、または青みがかった灰色、茶色などの結晶で、等粒状の塊として出ることが多いです。
 ルビーは、モース硬度が9、比重が4.0~4.1、六方晶系の結晶です。ルビーの多くは、六角形短柱状の結晶として変成岩中でみつかります。ルビーは、比重が大きいので、風化して、砂礫として川を流れると、沈みやすくなり、堆積物として、川底に集まりやすくなります。そんな砂礫の堆積物から、効率的に、ルビーが採掘されます。
 9月の誕生石、サファイアもコランダムという鉱物です。赤いものだけをルビーといって、それ以外の色のものをサファイアといいます。赤くても、透明なものや淡い赤のものは、ピンクサファイアとして、ルビーとはルビーは、赤い宝石という意味の紅玉という和名をもちます。ルビー(ruby)という言葉も、中世ラテン語のrubinus(赤い)からきています。日本語も、英語も、ルビーの赤にちなんで、名づけられています。
 ルビーの赤色は、少し含まれるクロム(Cr)という元素のためです。ルビーでは、深みのある赤がよいものとされています。ミャンマーでとれたルビーは、ほかの産地のものよりも、クロムの含有が多く、しかもそれ以外の不純物が少ないために、美しい濃赤色を示す。最高級のルビーは、ミャンマーのモゴーク地域からとれるもので、ピジョン・ブラッド(ハトの血)とよばれるものです。区別しています。
 コランダムの中に、ルチルとよばれる鉱物の非常に小さい針状の結晶が、多数ふまれていることがあります。そのとき、ルビーを表面にまるみをつけてカット(カボション・カット)すると、星状に光り輝くことがあります。これをスター効果といいます。そのようなルビーは、スタールビーとよばれ、珍重され、高価になります。
 ミャンマー、タイ、カンボジア、スリランカ、タンザニアなどが、ルビーのおもな産地となっています。
 11世紀のフランス「宝石の書」には、ドラゴンの額のまんなかには赤味を帯びた一個の目があって、「カルブンクルス(carbunculus)」と呼ばれています。カルブンクルスは、どんな宝石よりも赤い燃えるような光を放っていて、いかなる闇をもってしても、この光を消すことはできない、とされいます。このカルブンクルスは、まさに、ルビーを代表とする赤い色の宝石を意味していました。しかし、14世紀には、カルブンクルスは、しだいにその意味を変えて、架空の宝石となり、やがては「賢者の石」と同じと考えられ、錬金術の象徴となりました。
 ルビーは、宝石としても利用されますが、時計や精密機器の軸受などにつかわれたり、レーザーの素子としても活用されています。ルビーは、物理的・化学的性質が安定していることから、1960年に、はじめて、固体レーザー、ルビーレーザーとして使われました。
 合成ルビーは、1904年にその製造法は発明されました。当初の火炎溶融法によってつくれていましたが、最近では、フラック法や熱水法による新しい方法によってつくられるようになり、天然ルビーに近いものができるようになりました。そのため、天然石と合成石との区別が、困難になってきました。