電気石の性質を紹介します。電気石は、名前の通りの特徴をもっています。丸山電気石は、通常の電気石からははずれた化学的な特徴をもっています。その異常さが、丸山電気石の起源と結びついているようです。
今回発見された丸山電気石は、電気石(Tourmalin、トルマリンと呼ばれることもあります)の一種です。トルマリンは、宝石としても利用されていて、10月の誕生石になされています。電気石には、多様な色があるので、かつては色が違うものは別の鉱物だと考えられ、それぞれに名前がつけられていたこともありました。宝石名として今も残っているものもあります。
そもそも電気石とは変わった名称ですが、実は、その名の通り電気を起こすことができる鉱物なのです。電気石は、温度変化があると、結晶の表面に電気が集まります(表面電荷の分極といいます)。このような性質を、焦電効果といいます。電気石は焦電効果を起こすことから命名されました。
焦電効果をもっている物質の多くは、圧力をかけても電気が発生(圧電効果)することがあります。電気石もその性質をもっています。このような性質は電気石だけでなく、石英やトパーズ(黄玉)も持っています。ライターやガスコンロの電子着火などで利用されています。
電気石は、ホウ酸とアルミニウムを含む珪酸塩で、陽イオンとしてアルミニウムの他に鉄とナトリウムを含んでいます。ちなみに典型的な鉱物の化学式(構造式といいます)を示すと、
NaFe3Al6(BO3)3Si6O18(OH)4
となります。うんざりするような式ですね。
鉄がマグネシウムに、ナトリウムがカルシウムやリチウムに置き換わった種類の違う電気石もあることが知られていました。元素の交換は、価数が一致しなければならないので、いくつかの元素が一緒になって交換(置換といいます)することもあります。構造式の意味がわかってくれば、それなりの仕組みがあり、元素の置換なども理解できます。ここではややこしいからいいでしょう。
電気石のグループは、他にもいろいろなところで見つかりますが、花崗岩のマグマが主な起源となります。花崗岩は、大陸の地殻を構成している主要な岩石なので、軽い元素(周期律表の上の方)や、金属やマントルの岩石に入りにくい元素(周期律表の左の方)を含む鉱物が多くなっています。花崗岩は軽い元素からできているため、密度も小さく、地球表層にあるのです。電気石もそのような鉱物の仲間です。つまり、花崗岩や電気石は、大陸地殻の形成の一貫として考える必要があるということです。
今回見つかった丸山電気石は、通常の電気石とは違いカリウムを含むという特徴があります。アルカリ金属として、電気石にはナトリウムやリチウムが入っているのですが、カリウムが入るのは知られていませんでした。それが今回の発見となりました。ちなみに構造式は、
KMgAl2Al5Mg(BO3)3Si6O18(OH)3O
となっています。
カリウムは、リチュウムやナトリウムと同じ電荷数なので、化学的には似た挙動をします。しかし、カリウムは、リチュウムやナトリウムと比べてイオン半径が大きく、同じ場所に入りにくい元素となります。それでも強引に入り込むには、結晶構造が緩やかであるが、圧力がかかった場で強引に入ったになります。今回の丸山電気石は、後者の理由でした。詳細は次回にしましょう。
・正式表記・
このエッセイでは、新鉱物を丸山電気石と表記しています。
しかし、鉱物の和名について、日本鉱物学会では
1955年から、石と鉱以外は片仮名で書くことにしています。
石は非金属光沢を持つ鉱物に、
鉱は金属光沢を持つ鉱物に用いるとしました。
現実は、書かれることが多くなっています。
漢字には、それなりの由来が示されており、
パッと見て意味がつかみやすいからです。
私も古くからの漢字で示された鉱物名が
味があっていいと思います。
・心も持ちよう・
8月から9月にかけて、
毎週のように
どこかに出かけています。
私は野外調査なら、すきで行なっていることなので
体力的に辛らくでも
精神的には解放されるので苦にはなりません。
ところが、校務でいくとなると、
それなりにこなすべき業務もあるので、
なかなか精神的にも疲れます。
そこに体力的な疲労もクワクワるとなかなかきつくなります。
まあ、精神的なものは心の持ちようで
なんとかなるのでしょう。
ですから、気持ちを切り替えたて出かけたいのですが、
そうもいかないのが、問題でもあります。
2014年9月25日木曜日
2014年9月18日木曜日
6_121 丸山電気石 1:新鉱物
「丸山電気石」という鉱物が、新鉱物として認定されました。この鉱物は、海外で発見されたのですが、日本人の名前がついたものとなりました。発見者も日本人です。この新鉱物をめぐる概要とその意義を紹介していきましょう。
早稲田大学の清水連太郎さんと小笠原義秀教授により、「丸山電気石」という鉱物が発見されました。小笠原さんたちが申請して、2014年2月に新鉱物として承認されました。
新鉱物とは、今まで見つかっていない鉱物のことです。新鉱物と認定されるには、それなりの手続きが必要となります。また、「丸山」とは、東京工業大学の丸山茂徳さんのことで、鉱物に人の名前がつくには、それなりの条件があります。その辺りの事情を紹介していきましょう。
新鉱物は、研究者が今まで調べられていない環境や地域に調査をしたり、新しい分析装置が導入されたりすると、多くの新鉱物が見つかることがあります。
新しい地域としては、極地の調査や月面探査など、人類が今まで行ったことのない地域の試料が入手できるようになった時などです。新しい装置とは、微小、微量の試料で、新鉱物認定の際に必要な分析データがとれるようなもの開発されることです。微小部の化学組成の分析ではEPMA(電子線微小分析機)、質量分析ではSIMS(二次イオン質量分析機)、X線回折ではμXMD(微小部X線回折装置)などが開発された時、新しい鉱物が多数見つかってきました。
現在では、かなりの鉱物が知られており、肉眼で見えるような大きな新鉱物は少なくなっています。それでも、定常的に新鉱物が見つかっています。ただし、顕微鏡で見なければならないような小さいものが多くなっています。
岩石を顕微鏡などで調べていくと、今までその種の岩石や、その地域から見つかっていなかった、見慣れない鉱物の存在に気づくことがあります。単に研究者自身が知らない場合もあります。そんな場合、その鉱物を調べていくと、今まで知られていることがわかります。時には、新鉱物の場合もあります。いずれにしても、注意深く岩石を観察し、諦めることなくその鉱物がどんなものかを詳しく調べていく忍耐と労力が必要になります。
新鉱物の発見は、それなりの科学的データをそろえて、国際鉱物学連合(IMA)に申請して、承認されるという手続きを踏んでいかなければなりません。必要なデータとしては、鉱物の産状記載、化学組成、結晶構造、物理的特性などで、小笠原さんらはカナダ・マニトバ大学のHawthorne教授らと共同で申請を行いました。そして、承認の結果が、2014年6月、Mineralogical Magazine(鉱物学雑誌)に鉱物の内容が報告され、8月には国際鉱物学連合のホームページでも公開8月にプレス発表がありました。
・空騒ぎ・
以前に書いたことがあったのですが、
私も新鉱物を発見したことがあります。
EPMAで分析しているとき、
ある岩石には通常では考えられてない鉱物が見つかりました。
ケイ素(Si)が多く、酸化物ではない組成でした。
SiCという鉱物が候補として考えられました。
玄武岩ではそんな鉱物が存在するはずがありません。
でも、現実にその可能性がありました。
研究所で私が騒いだので、ある人が答えを出してくれました。
それは、研磨剤だというものでした。
岩石を磨く時に使うもので
「カーボランダム」として知られていました。
まあ、空騒ぎで終わりました。
・秋・
北海道は急に秋めいてきました。
晴れると温かいのですが、
曇っていて風でもあると、肌ざむく
上着やヤッケがないと過ごせないほどの気温となりました。
9月も下旬になろうとしてます。
そろそろ紅葉がはじまる季節となりました。
早稲田大学の清水連太郎さんと小笠原義秀教授により、「丸山電気石」という鉱物が発見されました。小笠原さんたちが申請して、2014年2月に新鉱物として承認されました。
新鉱物とは、今まで見つかっていない鉱物のことです。新鉱物と認定されるには、それなりの手続きが必要となります。また、「丸山」とは、東京工業大学の丸山茂徳さんのことで、鉱物に人の名前がつくには、それなりの条件があります。その辺りの事情を紹介していきましょう。
新鉱物は、研究者が今まで調べられていない環境や地域に調査をしたり、新しい分析装置が導入されたりすると、多くの新鉱物が見つかることがあります。
新しい地域としては、極地の調査や月面探査など、人類が今まで行ったことのない地域の試料が入手できるようになった時などです。新しい装置とは、微小、微量の試料で、新鉱物認定の際に必要な分析データがとれるようなもの開発されることです。微小部の化学組成の分析ではEPMA(電子線微小分析機)、質量分析ではSIMS(二次イオン質量分析機)、X線回折ではμXMD(微小部X線回折装置)などが開発された時、新しい鉱物が多数見つかってきました。
現在では、かなりの鉱物が知られており、肉眼で見えるような大きな新鉱物は少なくなっています。それでも、定常的に新鉱物が見つかっています。ただし、顕微鏡で見なければならないような小さいものが多くなっています。
岩石を顕微鏡などで調べていくと、今までその種の岩石や、その地域から見つかっていなかった、見慣れない鉱物の存在に気づくことがあります。単に研究者自身が知らない場合もあります。そんな場合、その鉱物を調べていくと、今まで知られていることがわかります。時には、新鉱物の場合もあります。いずれにしても、注意深く岩石を観察し、諦めることなくその鉱物がどんなものかを詳しく調べていく忍耐と労力が必要になります。
新鉱物の発見は、それなりの科学的データをそろえて、国際鉱物学連合(IMA)に申請して、承認されるという手続きを踏んでいかなければなりません。必要なデータとしては、鉱物の産状記載、化学組成、結晶構造、物理的特性などで、小笠原さんらはカナダ・マニトバ大学のHawthorne教授らと共同で申請を行いました。そして、承認の結果が、2014年6月、Mineralogical Magazine(鉱物学雑誌)に鉱物の内容が報告され、8月には国際鉱物学連合のホームページでも公開8月にプレス発表がありました。
・空騒ぎ・
以前に書いたことがあったのですが、
私も新鉱物を発見したことがあります。
EPMAで分析しているとき、
ある岩石には通常では考えられてない鉱物が見つかりました。
ケイ素(Si)が多く、酸化物ではない組成でした。
SiCという鉱物が候補として考えられました。
玄武岩ではそんな鉱物が存在するはずがありません。
でも、現実にその可能性がありました。
研究所で私が騒いだので、ある人が答えを出してくれました。
それは、研磨剤だというものでした。
岩石を磨く時に使うもので
「カーボランダム」として知られていました。
まあ、空騒ぎで終わりました。
・秋・
北海道は急に秋めいてきました。
晴れると温かいのですが、
曇っていて風でもあると、肌ざむく
上着やヤッケがないと過ごせないほどの気温となりました。
9月も下旬になろうとしてます。
そろそろ紅葉がはじまる季節となりました。
2014年9月11日木曜日
1_134 ファーストスターの痕跡 3:巨大ブラックホール
モンスター星は、予想を遥かに超える質量をもっていた可能性があります。モンスター星は、巨大ブラックホールになって終わります。このシナリオは、今まで謎とされていた、銀河の中心にある巨大ブラックホール誕生の答えになるかもしれません。
シミュレーションによるとファーストスターは、太陽質量の40倍程度のものができることが判明してきて、実際の観測とも一致しました。ところが、さらにシミュレーションを詳しくおこなっていくと、ファーストスターの中には、太陽の質量の100倍を超えるような、巨大天体もできることがわかってきました。もちろん、そのようなモンスター星が観測されたこともありませんし、その痕跡も見つかっていませんでした。
そもそも、星の質量の違いをどう検証するかが問題となります。そこで星の化学組成が重要や役割を果たすことになります。
太陽質量の40倍の天体では、カルシウムなどより重い元素はほとんと合成されません。ですから、見つかっている第二世代にあたる星は、炭素、マグネシウム、カルシウムを含みますが、鉄はほとんど含んでいませんでした。
太陽の質量の100倍を超えるようなモンスター星では、星の中や超新星爆発で、カルシウムよりもっと重い元素が合成されて、飛び散ることがわかってきました。シミュレーションでは、そのような天体が存在しうることはわかったのですが、観測ではまだ見つかっていませんでした。
モンスター星があったのではないかという予想のもと、150個ほどの星の探査がなされました。狙いは地小さいな質量の星、つまり古い星から、モンスター星の痕跡を見つけることです。探査で、調べられた多数の古い星の中から、1つだけ特異なものが見つかりました。それが、青木さんたちが発見した「SDSS J0018-0939」でした。
鉄が太陽の1/300程度で、炭素やマグネシウムも1/1000以下でした。鉄が比較的多く、その他の元素が非常に少ないことが特徴でした。このような鉄は、太陽の100倍以上の巨大な質量のファーストスターでの元素合成に由来したと推定されます。つまり、シミュレーションで予測されたモンスター星です。
ただし、問題もありました。それは、鉄のような重い元素を生み出せるようなモンスター星は、質量が300倍、時には1000倍の天体になります。ですからモンスター星の最後は、巨大なブラックホールになる可能性があります。巨大ブラックホールから、元素が大量に放出できるのか、という問題があります。一部の物質が放出される可能性もあるようですが、まだ十分解明されていません。
今回の発見によって、もしモンスター星で合成された元素による「第二世代の星」だということが確定すると、有利なことがあります。ファーストスターの中でも巨大な質量をもった星は、最終的に巨大ブラックホールとなっていきます。巨大ブラックホールは、現在の銀河の中心に見つかるようなサイズだと予想されます。今まで銀河の巨大ブラックホールの起源はわかっていなかったのですが、その答えを示したことになるかもしれません。
ただし、ファーストスターにどの程度の頻度でモンスター星ができるのか。その量は銀河の巨大ブラックホールの数(銀河の数)に匹敵するものなのか。さまざまな疑問は湧いてきます。でも、いろいろと想像を掻き立てる報告でした。
・予約発行・
昨日まで調査にでていました。
そのため、この一連のエッセイは、
事前に用意して書いてあったものを、
予約発行していたものです。
旅先でもネットに接続は可能なのですが、
安定した接続をできるかどうかは不明です。
ですから、調査に出る前にはいつも予約発行しています。
帰ってきてからでは、発行は間に合わないので
すべてを準備して、心置きなく調査に向かいました。
・そんな境遇に・
夏休みは私にとっては、全くありませんでした。
校務と研究に勤しんでいるということで
充実した夏ということでしょうか。
出かけることが多かったので、
気分転換にはなったのですが、
体力的にはつらいものがあります。
しかし、そんな境遇になる時期というものでしょう。
なんとかのり切らねばなりませんね
シミュレーションによるとファーストスターは、太陽質量の40倍程度のものができることが判明してきて、実際の観測とも一致しました。ところが、さらにシミュレーションを詳しくおこなっていくと、ファーストスターの中には、太陽の質量の100倍を超えるような、巨大天体もできることがわかってきました。もちろん、そのようなモンスター星が観測されたこともありませんし、その痕跡も見つかっていませんでした。
そもそも、星の質量の違いをどう検証するかが問題となります。そこで星の化学組成が重要や役割を果たすことになります。
太陽質量の40倍の天体では、カルシウムなどより重い元素はほとんと合成されません。ですから、見つかっている第二世代にあたる星は、炭素、マグネシウム、カルシウムを含みますが、鉄はほとんど含んでいませんでした。
太陽の質量の100倍を超えるようなモンスター星では、星の中や超新星爆発で、カルシウムよりもっと重い元素が合成されて、飛び散ることがわかってきました。シミュレーションでは、そのような天体が存在しうることはわかったのですが、観測ではまだ見つかっていませんでした。
モンスター星があったのではないかという予想のもと、150個ほどの星の探査がなされました。狙いは地小さいな質量の星、つまり古い星から、モンスター星の痕跡を見つけることです。探査で、調べられた多数の古い星の中から、1つだけ特異なものが見つかりました。それが、青木さんたちが発見した「SDSS J0018-0939」でした。
鉄が太陽の1/300程度で、炭素やマグネシウムも1/1000以下でした。鉄が比較的多く、その他の元素が非常に少ないことが特徴でした。このような鉄は、太陽の100倍以上の巨大な質量のファーストスターでの元素合成に由来したと推定されます。つまり、シミュレーションで予測されたモンスター星です。
ただし、問題もありました。それは、鉄のような重い元素を生み出せるようなモンスター星は、質量が300倍、時には1000倍の天体になります。ですからモンスター星の最後は、巨大なブラックホールになる可能性があります。巨大ブラックホールから、元素が大量に放出できるのか、という問題があります。一部の物質が放出される可能性もあるようですが、まだ十分解明されていません。
今回の発見によって、もしモンスター星で合成された元素による「第二世代の星」だということが確定すると、有利なことがあります。ファーストスターの中でも巨大な質量をもった星は、最終的に巨大ブラックホールとなっていきます。巨大ブラックホールは、現在の銀河の中心に見つかるようなサイズだと予想されます。今まで銀河の巨大ブラックホールの起源はわかっていなかったのですが、その答えを示したことになるかもしれません。
ただし、ファーストスターにどの程度の頻度でモンスター星ができるのか。その量は銀河の巨大ブラックホールの数(銀河の数)に匹敵するものなのか。さまざまな疑問は湧いてきます。でも、いろいろと想像を掻き立てる報告でした。
・予約発行・
昨日まで調査にでていました。
そのため、この一連のエッセイは、
事前に用意して書いてあったものを、
予約発行していたものです。
旅先でもネットに接続は可能なのですが、
安定した接続をできるかどうかは不明です。
ですから、調査に出る前にはいつも予約発行しています。
帰ってきてからでは、発行は間に合わないので
すべてを準備して、心置きなく調査に向かいました。
・そんな境遇に・
夏休みは私にとっては、全くありませんでした。
校務と研究に勤しんでいるということで
充実した夏ということでしょうか。
出かけることが多かったので、
気分転換にはなったのですが、
体力的にはつらいものがあります。
しかし、そんな境遇になる時期というものでしょう。
なんとかのり切らねばなりませんね
2014年9月4日木曜日
1_133 ファーストスターの痕跡 2:自己抑制
ビックバン直後には、巨大が質量をもつ星ができると思われていたのですが、シミュレーションをしてみると、それほど大きなものにならなかったことがわかってきました。その時に働くのが、自己抑制と呼ばれているものです。
ビックバンによってできた最初の元素は、水素とヘリウムだけなので、ファーストスターは、水素とヘリウムだけで形成されていたはずです。質量も大きかったはずで、太陽の質量の数百倍はあったモンスター星だと考えられていました。
ところが、こんな大きな天体は、現在の宇宙にはみられないものです。ファーストスターがモンスター星だという根拠はありませんでした。さらに、そのような予想と観測とは一致していないという矛盾もありました。前に紹介したような第二世代にあたるような古い天体の化学組成がわかってきたのですが、そこから予想される第一世代の星とは、一致しませんでした。
その不一致に対して、2011年に京都大学の細川隆史さんたちが、シミュレーションをしたところ、面白いことがいくつかわかってきました。
細川さんたちのシミュレーションによると、ファーストスターは、ビックバンの3億年くらいあとから形成されてきます。最初は太陽質量の1/100くらいの星の種(原始星)からはじまるのですが、周りにある大量のガスが星に集まってきます。そのまま成長していくと、当初の予想のような太陽の数100倍のモンスター星になるはずなのですが、太陽の20倍くらいの大きさになると、星は激しく輝きだします。そして、太陽の10万倍くらの明るさになります。
非常に明るい輝きが、周りのガスの集まることを妨げてます。輝きが星の成長にブレーキをかけるのです。細川さんたちは、星が成長するまでの10万年くらいをシミュレーションしてみると、星は多数できるのですが、最終的に太陽質量の40倍くらいの星が残ることがわかってきました。
このようなメカニズムを、細川さんたちは、「成長の自己抑制機構」が働いたと考えています。この自己抑制の機構によって、モンスター星には至らないことがわかったのです。
太陽の質量の40倍の天体では、星の内部の核融合やその後の超新星爆発では、炭素、マグネシウム、カルシウムなどの元素が合成されます。鉄のよう重い元素はほとんどできません。そのような条件に相当する天体が、前に「1_130 宇宙の年齢 3:最古の天体」(2014.08.14発行)で紹介した天体でした。そのような天体が、いくつか見つかっていました。
細川さんたちのシミュレーションによって、観測と理論が一致しました。これで話が終わればよかったのですが、そうはならなかったのです。それが今回紹介している報告へとつながります。
・調査目的・
このエッセイが発行される頃には、
四国に調査にでています。
今回は、高知県の西部を調査しています。
以前でかけたところを、再調査してます。
主たる目的は、専門的になりますが、
層状チャートの観察
タービダイト層の構造の計測
付加体中の序列外スラストの観察
です。
中でも層状チャートは主たる目的になりますので、
少々厳しいルートになりますが、
頑張っていこうと考えています。
可能であれば、日を改めて2度、
たどり着きたいと思っています。
期間が限られていますので、
どこまできるかは不明ですが。
・振り子列車・
北海道各地を巡っています。
列車で北海道をめぐっていると、
北海道の広さを痛感させられます。
身体自体は動かさないのですが、
腰が痛くなり、体がだるくなります。
特に列車だと振り子列車がだめです。
私は、列車にはほとんど寄ったことがないのですが、
振り子列車だけは、長時間乗っていると気持ちが悪くなります。
他にも同じことをいう人が何人もいますので
私だけの理由ではないようです。
どうも振り子の揺れが三半規管を狂わせるようです。
ビックバンによってできた最初の元素は、水素とヘリウムだけなので、ファーストスターは、水素とヘリウムだけで形成されていたはずです。質量も大きかったはずで、太陽の質量の数百倍はあったモンスター星だと考えられていました。
ところが、こんな大きな天体は、現在の宇宙にはみられないものです。ファーストスターがモンスター星だという根拠はありませんでした。さらに、そのような予想と観測とは一致していないという矛盾もありました。前に紹介したような第二世代にあたるような古い天体の化学組成がわかってきたのですが、そこから予想される第一世代の星とは、一致しませんでした。
その不一致に対して、2011年に京都大学の細川隆史さんたちが、シミュレーションをしたところ、面白いことがいくつかわかってきました。
細川さんたちのシミュレーションによると、ファーストスターは、ビックバンの3億年くらいあとから形成されてきます。最初は太陽質量の1/100くらいの星の種(原始星)からはじまるのですが、周りにある大量のガスが星に集まってきます。そのまま成長していくと、当初の予想のような太陽の数100倍のモンスター星になるはずなのですが、太陽の20倍くらいの大きさになると、星は激しく輝きだします。そして、太陽の10万倍くらの明るさになります。
非常に明るい輝きが、周りのガスの集まることを妨げてます。輝きが星の成長にブレーキをかけるのです。細川さんたちは、星が成長するまでの10万年くらいをシミュレーションしてみると、星は多数できるのですが、最終的に太陽質量の40倍くらいの星が残ることがわかってきました。
このようなメカニズムを、細川さんたちは、「成長の自己抑制機構」が働いたと考えています。この自己抑制の機構によって、モンスター星には至らないことがわかったのです。
太陽の質量の40倍の天体では、星の内部の核融合やその後の超新星爆発では、炭素、マグネシウム、カルシウムなどの元素が合成されます。鉄のよう重い元素はほとんどできません。そのような条件に相当する天体が、前に「1_130 宇宙の年齢 3:最古の天体」(2014.08.14発行)で紹介した天体でした。そのような天体が、いくつか見つかっていました。
細川さんたちのシミュレーションによって、観測と理論が一致しました。これで話が終わればよかったのですが、そうはならなかったのです。それが今回紹介している報告へとつながります。
・調査目的・
このエッセイが発行される頃には、
四国に調査にでています。
今回は、高知県の西部を調査しています。
以前でかけたところを、再調査してます。
主たる目的は、専門的になりますが、
層状チャートの観察
タービダイト層の構造の計測
付加体中の序列外スラストの観察
です。
中でも層状チャートは主たる目的になりますので、
少々厳しいルートになりますが、
頑張っていこうと考えています。
可能であれば、日を改めて2度、
たどり着きたいと思っています。
期間が限られていますので、
どこまできるかは不明ですが。
・振り子列車・
北海道各地を巡っています。
列車で北海道をめぐっていると、
北海道の広さを痛感させられます。
身体自体は動かさないのですが、
腰が痛くなり、体がだるくなります。
特に列車だと振り子列車がだめです。
私は、列車にはほとんど寄ったことがないのですが、
振り子列車だけは、長時間乗っていると気持ちが悪くなります。
他にも同じことをいう人が何人もいますので
私だけの理由ではないようです。
どうも振り子の揺れが三半規管を狂わせるようです。
2014年8月28日木曜日
1_132 ファーストスターの痕跡 1:モンスター星
前回までの「宇宙の年齢」の話をしているとき、最古の星の話題も扱いました。そんな矢先、「ファーストスター」の痕跡の発見というニュースが入ってきました。「地球の歴史」が連続してしまいますが、「ファーストスター」の痕跡について紹介していきましょう。
前回のエッセイで、「宇宙の年齢」のシリーズは終りました。ところが、終わった直後の8月22日に、このシリーズに関係するニュースが飛び込んできました。そのニュースとは、私たちの銀河の中に「第一世代の星」が見つかったというものです。「第一世代の星」は最初の星のことで、ここではファーストスターと呼ぶことにします。
国立天文台の青木和光さんたちのグループが、8月21日付のサイエンス誌に報告したものです。この論文がプレス解禁になり、ニュースとなったのです。論文の内容を少し詳しく紹介したいと思います
前に種族IIの星には、形成年代の古いものがあり、そのうちの一つが「最古の星」であったことを紹介ました(1_130 宇宙の年齢 3:最古の天体 2014.08.14発行)。ファーストスターの根拠は、星からの光を分析してえられる化学組成のデータでした。今回のファーストスターも、同じ方法による化学組成に基づくものでした。
この報告で注意すべき点がいくつかあります。論文のタイトルは、
"A chemical signature of first-generation very-massive stars"
「第一世代の大質量の星の化学的痕跡」
というものですが、ファーストスターを発見したのではなく、「化学的痕跡」を発見したということです。また、大質量ということにどんな意味があるのでしょうか。そのような点に着目して、少々ややこしい話になりますが、できるだけわかりやすく説明していきましょう。
この観測は、日本が誇るハワイにあるすばる望遠鏡を用いておこなわれました。今回の発見は、「SDSS J0018-0939」と呼ばれる星で、地球から1000光年ほどの距離にあります。ただし、太陽質量の半分程度という非常に小さな質量しかありませんでした。わざわざ小さい星が調べられたのには、それなりの訳がありました。
星の寿命は、星の質量に反比例するからです。つまり、小さい質量の星ほど寿命がく、質量が大きい星ほど寿命が短いということがわかっています。ですから、小さい質量の星の中には、ファーストスターの痕跡をもった星があるかもしれません。
そんな背景から、青木さんたちは、小さい質量の星を狙って観測を続けていました。ただし、ファーストスターを狙っていたわけではありません。狙っていたのはファーストスターの痕跡でした。これが、少々ややこしいところです。
そもそもファーストスターとは、どのよう星だったのでしょうか。
ビックバンの直後にできたファーストスターは、宇宙の大きさは今よりずっと小さかったときにできました。材料は近くに大量にあったので、星は大きな質量を持っていたはずです。それは、太陽の数百倍の質量を持っていた「モンスター星」ではないかと予想されていました。
ところが、どうもそうでないことがわかってきました。それは別のグループの研究になるのですが、次回としましょう。
・帯広へ・
8月下旬から9月上旬にかけての
校務による出張が続きます。
体調を壊さないように注意が必要です。
このメールマガジンの発行日には
校務で帯広に出ています。
日帰りで往復します。
帯広は特急列車で2時間余りでいけるところなので
近い気がします。
まあ、往復となる疲れるのですが、
気分転換と思いましょう。
・北見へ・
先週末は、校務で旭川から北見に行きました。
少々雨に降られたのですが、
移動中に雨が降ったのですが、
肝心の用事のときは、雨には降られずに
なんとか校務がこなせました。
北見は何度か来たことがあるのですが、
今回は、久しぶりの訪問となりました。
有名なオホーツクビールの店にいったのですが、
団体の予約があり満席で、
残念ながら味わうことができませんでした。
北見はかつて薄荷(ハッカ)で有名でした。
しかし、今ではほとんどつくられていません。
その辺の事情は、北見ハッカ記念館で知ることができました。
他にも、薄荷蒸溜所とハーブ園をみることできました。
薄荷の花が咲き始めていました。
前回のエッセイで、「宇宙の年齢」のシリーズは終りました。ところが、終わった直後の8月22日に、このシリーズに関係するニュースが飛び込んできました。そのニュースとは、私たちの銀河の中に「第一世代の星」が見つかったというものです。「第一世代の星」は最初の星のことで、ここではファーストスターと呼ぶことにします。
国立天文台の青木和光さんたちのグループが、8月21日付のサイエンス誌に報告したものです。この論文がプレス解禁になり、ニュースとなったのです。論文の内容を少し詳しく紹介したいと思います
前に種族IIの星には、形成年代の古いものがあり、そのうちの一つが「最古の星」であったことを紹介ました(1_130 宇宙の年齢 3:最古の天体 2014.08.14発行)。ファーストスターの根拠は、星からの光を分析してえられる化学組成のデータでした。今回のファーストスターも、同じ方法による化学組成に基づくものでした。
この報告で注意すべき点がいくつかあります。論文のタイトルは、
"A chemical signature of first-generation very-massive stars"
「第一世代の大質量の星の化学的痕跡」
というものですが、ファーストスターを発見したのではなく、「化学的痕跡」を発見したということです。また、大質量ということにどんな意味があるのでしょうか。そのような点に着目して、少々ややこしい話になりますが、できるだけわかりやすく説明していきましょう。
この観測は、日本が誇るハワイにあるすばる望遠鏡を用いておこなわれました。今回の発見は、「SDSS J0018-0939」と呼ばれる星で、地球から1000光年ほどの距離にあります。ただし、太陽質量の半分程度という非常に小さな質量しかありませんでした。わざわざ小さい星が調べられたのには、それなりの訳がありました。
星の寿命は、星の質量に反比例するからです。つまり、小さい質量の星ほど寿命がく、質量が大きい星ほど寿命が短いということがわかっています。ですから、小さい質量の星の中には、ファーストスターの痕跡をもった星があるかもしれません。
そんな背景から、青木さんたちは、小さい質量の星を狙って観測を続けていました。ただし、ファーストスターを狙っていたわけではありません。狙っていたのはファーストスターの痕跡でした。これが、少々ややこしいところです。
そもそもファーストスターとは、どのよう星だったのでしょうか。
ビックバンの直後にできたファーストスターは、宇宙の大きさは今よりずっと小さかったときにできました。材料は近くに大量にあったので、星は大きな質量を持っていたはずです。それは、太陽の数百倍の質量を持っていた「モンスター星」ではないかと予想されていました。
ところが、どうもそうでないことがわかってきました。それは別のグループの研究になるのですが、次回としましょう。
・帯広へ・
8月下旬から9月上旬にかけての
校務による出張が続きます。
体調を壊さないように注意が必要です。
このメールマガジンの発行日には
校務で帯広に出ています。
日帰りで往復します。
帯広は特急列車で2時間余りでいけるところなので
近い気がします。
まあ、往復となる疲れるのですが、
気分転換と思いましょう。
・北見へ・
先週末は、校務で旭川から北見に行きました。
少々雨に降られたのですが、
移動中に雨が降ったのですが、
肝心の用事のときは、雨には降られずに
なんとか校務がこなせました。
北見は何度か来たことがあるのですが、
今回は、久しぶりの訪問となりました。
有名なオホーツクビールの店にいったのですが、
団体の予約があり満席で、
残念ながら味わうことができませんでした。
北見はかつて薄荷(ハッカ)で有名でした。
しかし、今ではほとんどつくられていません。
その辺の事情は、北見ハッカ記念館で知ることができました。
他にも、薄荷蒸溜所とハーブ園をみることできました。
薄荷の花が咲き始めていました。
2014年8月21日木曜日
1_131 宇宙の年齢 4:宇宙背景放射
宇宙の年齢が、昨年から137億年から138億年になりました。その理由は、用いたデータが、WMAPからPlanckに変わったためです。年齢が変わったというより、精度が上がったためでした。
前回は、古い天体の年代から宇宙の年齢の下限を決める方法のうち、最新の情報を紹介しました。次に、宇宙の年齢を直接推定するために、観測と理論を結びつける方法を紹介します。
前に紹介したように、宇宙を構成する物質やエネルギーなどの組成を割り出して、そこから宇宙の膨張率を求めれば、宇宙の年齢をかなり正確に見積もることができます。宇宙の組成を正確に求める方法として、宇宙(マイクロ波)背景放射を観測する方法があります。
マイクロ波とは、電子レンジで使用されているもので、水分に吸収されやすい性質があります。大気中には水蒸気があるのため、宇宙から届くマイクロ波は地上から観測しづらくなっています。そのため、衛星を打ち上げて、地球の大気の影響を受けないところで観測する方法がとられています。今まで、3度におよぶ衛星観測がなされていきました。
最初は、COBE(Cosmic Background Explorer)という衛星による1989年から1996年にかけての観測でした。宇宙背景放射と均質性と不均質性(むら)を正確に測定することが目的でした。背景放射の温度である2.73度(絶対温度)の波長(マイクロ波)で測定されました。宇宙は大局的には非常に均質でありながらも、10万分の1のむらがあることがわかりました。この結果によって、ビックバン理論の根拠(均質さ)を示すとともに、ビックバンの様子(むら)を知ることにもつながりました。
2001年6月打ち上げられたWMAP(Wilkinson Microwave Anisotropy Probe)衛星は、2010年8月まで観測をおこないました。WMAPは、COBEより位置の分解能と感度を上げました。位置の分解能とはより狭い範囲を精度よくはかることで、感度とはより測定精度(有効桁数)を上げて測定することでした。WMAPによって、それまでの宇宙の基本的なデータが、いろいろと書き換えられました。
宇宙の組成が、バリオン(見えている物質)が4%、ダークマターが23%、ダークエネルギーが73%となり、ハッブル定数(71±4km/s/Mpc)も正確きめられ、宇宙の年齢が137±2億年となりました。この137億年という値が、宇宙の年齢として、広がりました。ただし、±2億年という誤差がつくことなく、137億年がひとり歩きしていきました。
3機目にあたるPlanck衛星が、2009年5月に打ち上げられ、2013年10月に運用が終了しました。Planck衛星は、宇宙背景放射をより高感度、高分解能で観測するためでした。その結果が、2013年3月21日に公開されました。
宇宙の組成は、バリオンが4.9%、ダークマターが26.8%、ダークエネルギーが68.3%となりました。そして、ハッブル定数は67.15±1.2km/s/Mpcとなり、宇宙年齢は137.98±0.37億年となりました。これが宇宙の年齢の138億年の根拠となります。
WMAPと比べるPlanckのデータは、数値としてはほんの少しの変化しか与えませんでした。しかし、その精度は、2桁よくなりました。そしてCOBEやWMAPのデータをより強固なものにし、より高精度になりました。
今後も観測は続くでしょうが、これらの値は、より下の桁での変動はあるでしょうが、確定されたといえるでしょう。宇宙の年齢も、2013年にだされた138億年で確定となりました。これからは138億年という年齢を研究者が使い、メディアでこの数値が使われるようになります。しばらくすると、この138億年が宇宙の年齢として定着していくでしょう。
・盛夏が終わる・
北海道は涼しくなりだしました。
朝夕は半袖では少々肌寒くなりました。
夜はもちろん窓を閉めきって寝ています。
これからしばらく、雪の降るまでが、
過ごしやすい快適な時期となります。
ただし、私は、後期のはじまる9月下旬まで
毎週末や不定期に雑多な校務があります。
9月になれば1週間だけ調査にでれます。
それだけを楽しみに過ごします。
・人間ドック・
このメールマガジンが発行される日に
私は、人間ドックにいきます。
毎年恒例で、家内とともに1日の人間ドックを受けます。
午後に問診や栄養指導があるのですが、
検診自体は午前中に終わります。
検査後は、所用を済ませて帰るだけとなります。
その所用がいろいろあって少々面倒なのですが。
しかし、人間ドックも私にとっては
休養の一日となります。
前回は、古い天体の年代から宇宙の年齢の下限を決める方法のうち、最新の情報を紹介しました。次に、宇宙の年齢を直接推定するために、観測と理論を結びつける方法を紹介します。
前に紹介したように、宇宙を構成する物質やエネルギーなどの組成を割り出して、そこから宇宙の膨張率を求めれば、宇宙の年齢をかなり正確に見積もることができます。宇宙の組成を正確に求める方法として、宇宙(マイクロ波)背景放射を観測する方法があります。
マイクロ波とは、電子レンジで使用されているもので、水分に吸収されやすい性質があります。大気中には水蒸気があるのため、宇宙から届くマイクロ波は地上から観測しづらくなっています。そのため、衛星を打ち上げて、地球の大気の影響を受けないところで観測する方法がとられています。今まで、3度におよぶ衛星観測がなされていきました。
最初は、COBE(Cosmic Background Explorer)という衛星による1989年から1996年にかけての観測でした。宇宙背景放射と均質性と不均質性(むら)を正確に測定することが目的でした。背景放射の温度である2.73度(絶対温度)の波長(マイクロ波)で測定されました。宇宙は大局的には非常に均質でありながらも、10万分の1のむらがあることがわかりました。この結果によって、ビックバン理論の根拠(均質さ)を示すとともに、ビックバンの様子(むら)を知ることにもつながりました。
2001年6月打ち上げられたWMAP(Wilkinson Microwave Anisotropy Probe)衛星は、2010年8月まで観測をおこないました。WMAPは、COBEより位置の分解能と感度を上げました。位置の分解能とはより狭い範囲を精度よくはかることで、感度とはより測定精度(有効桁数)を上げて測定することでした。WMAPによって、それまでの宇宙の基本的なデータが、いろいろと書き換えられました。
宇宙の組成が、バリオン(見えている物質)が4%、ダークマターが23%、ダークエネルギーが73%となり、ハッブル定数(71±4km/s/Mpc)も正確きめられ、宇宙の年齢が137±2億年となりました。この137億年という値が、宇宙の年齢として、広がりました。ただし、±2億年という誤差がつくことなく、137億年がひとり歩きしていきました。
3機目にあたるPlanck衛星が、2009年5月に打ち上げられ、2013年10月に運用が終了しました。Planck衛星は、宇宙背景放射をより高感度、高分解能で観測するためでした。その結果が、2013年3月21日に公開されました。
宇宙の組成は、バリオンが4.9%、ダークマターが26.8%、ダークエネルギーが68.3%となりました。そして、ハッブル定数は67.15±1.2km/s/Mpcとなり、宇宙年齢は137.98±0.37億年となりました。これが宇宙の年齢の138億年の根拠となります。
WMAPと比べるPlanckのデータは、数値としてはほんの少しの変化しか与えませんでした。しかし、その精度は、2桁よくなりました。そしてCOBEやWMAPのデータをより強固なものにし、より高精度になりました。
今後も観測は続くでしょうが、これらの値は、より下の桁での変動はあるでしょうが、確定されたといえるでしょう。宇宙の年齢も、2013年にだされた138億年で確定となりました。これからは138億年という年齢を研究者が使い、メディアでこの数値が使われるようになります。しばらくすると、この138億年が宇宙の年齢として定着していくでしょう。
・盛夏が終わる・
北海道は涼しくなりだしました。
朝夕は半袖では少々肌寒くなりました。
夜はもちろん窓を閉めきって寝ています。
これからしばらく、雪の降るまでが、
過ごしやすい快適な時期となります。
ただし、私は、後期のはじまる9月下旬まで
毎週末や不定期に雑多な校務があります。
9月になれば1週間だけ調査にでれます。
それだけを楽しみに過ごします。
・人間ドック・
このメールマガジンが発行される日に
私は、人間ドックにいきます。
毎年恒例で、家内とともに1日の人間ドックを受けます。
午後に問診や栄養指導があるのですが、
検診自体は午前中に終わります。
検査後は、所用を済ませて帰るだけとなります。
その所用がいろいろあって少々面倒なのですが。
しかし、人間ドックも私にとっては
休養の一日となります。
2014年8月7日木曜日
1_129 宇宙の年齢 2:膨張を探る
宇宙の年齢を探るためには、ビックバン理論に基づき、観測から膨張の様子を正確に知ることが重要になります。しかし、そこには、まだ見つかっていない物質やエネルギーがあることがわかってきました。
宇宙の年齢を観測から探る方法として、古い天体を観測して年齢の下限を求める方法がありました。この方法も観測技術が進んで、かなりいいところまではいっていますが、原則的には宇宙の年齢は求めることはできません。限定することと決定することは違います。
一方、理論では、ビックバンのモデルに基づいて推定するものがありました。理論なので、概数しか求めることができません。正確に求めるには、観測との融合が必要です。理論と観測が融合したハッブルが行なった観測手法をより高精度におこなわれています。
その原理は、ビックバン理論にもとづき、膨張の様子を観測でとらえ、計算により年齢を求めるというものです。宇宙は、ビックバンの時の勢いのまま、現在も膨張しているはずだと考えられていました。宇宙の膨張の様子を正確に観測すれば、その勢いから大きさゼロの状態に遡れば、宇宙の年齢が計算できるというものです。現在の膨張の観測から、理論に基づき、始まりの時を求めることになります。このとき、宇宙の年齢の決め手になるのが、ハップル定数です。
宇宙が一様に膨張しているとすれると、ハッブル定数から、宇宙の年齢が簡単にもとめられると考えられていました。ところが、宇宙の膨張がビックバンの時に比べて減速しているのか、加速しているのかによって、宇宙の年齢の見積もりにおおきなズレが生じます。
その決め手になるのが、宇宙の物質密度と膨張に関するエネルギーです。宇宙の物質密度とは、宇宙に存在する物質の量によって決まり、宇宙が縮もうとする力、膨張を減速させる力になります。宇宙に物質が多ければ、万有引力によって、宇宙は縮もうとする力が働きます。ですから、宇宙にどの程度の物質があるかによって、現在の膨張からいつ収縮に転換するかが変わってきます。もし、物質量が少なければ、膨張を止めることができないかもしれません。物質量を知ることが重要になります。
これが、なかなかやっかいで、まだ不明な部分があります。
私たちが知っている、あるいは見ている物質は、バリオンとよばれる素粒子で構成されています。バリオンが占めている比率は、宇宙全体の物質とエネルギーの全量のうち、約5%程度に過ぎないことがわかってきました。
見える物質以外にも、見えない物質(ダークマター、暗黒物質などと呼ばれています)が、27%ほどあることがわかってきました。なんと宇宙は、見えている物質より、見えない物質の方が、5倍以上もあることになります。この両者が宇宙の膨張を減速させる働きがあります。このダークマターの量を決定することが宇宙の年齢を決める決め手だと考えられていました。ダークマターの実体はまだよくわかっていません。
すでに気づかれていると思いますが、バリオンとダークマターを合わせて32%にしかなりません。他の70%ほどは何かというと、見えないエネルギー(ダークエネルギーと呼ばれています)だとされています。かつては、このような存在は知られていませんでした。ですから、宇宙の年齢を決めるには、バリオン以外のダークマター探しが重要だと考えらていました。ところが、このダークエネルギーは、宇宙の膨張を加速する働きがあります。ダークエネルギーを考慮しなければ、宇宙の年齢が求められないことになりました。
宇宙の膨張を減速させるバリオンとダークマター、そして加速させるダークエネルギーから、宇宙は構成されていることになります。非常にやっかいな存在です。宇宙の膨張の様子だけでなく、宇宙の物質とエネルギーの比率、そしてそれらが膨張に与える効果がわからなければ、宇宙の年齢が正確に決めることができません。また、比率が分かったとして、それぞれの膨張に与える効果が、どれほどかを知らなければ、宇宙の年齢を決定するパラメーターが得られないということになります。
それを決定するために、いくつかの重要な観測がなされました。それは次回としましょう。
・高湿度・
北海道は8月になり、
遅い台風のせいで蒸し暑い天気が続いています。
台風の影響で北海道では前線がずっとかかり、
湿度の高い、梅雨のような天気となっています。
本州などの梅雨と比べると
気温はそれほど高くはないのでしょうが、
北海道人にはこの蒸し暑さが堪えます。
エアコンのない生活なので、
暑さにはじっと耐えるしかありません。
まあ、夜は比較的気温も下がるので
なんとか寝れるので、暑いのですが
体力的は持っているのですが、
校務が次々とあるのでなかなか大変です。
・コツコツと・
大学は定期試験も終わり、
学生たちは夏休みに入ります。
教員は、採点、集計、入力があります。
また4年生の卒業研究へと対応など
なかなか気の休まる時が来ません。
お盆があければ、少しだけ休めそうですが、
その後は、また校務が目白押しです。
忙しいことに愚痴をいっても楽にはなりません。
自分に与えられた空き時間の中で、
すべきことをコツコツとこなすしかありませんね。
宇宙の年齢を観測から探る方法として、古い天体を観測して年齢の下限を求める方法がありました。この方法も観測技術が進んで、かなりいいところまではいっていますが、原則的には宇宙の年齢は求めることはできません。限定することと決定することは違います。
一方、理論では、ビックバンのモデルに基づいて推定するものがありました。理論なので、概数しか求めることができません。正確に求めるには、観測との融合が必要です。理論と観測が融合したハッブルが行なった観測手法をより高精度におこなわれています。
その原理は、ビックバン理論にもとづき、膨張の様子を観測でとらえ、計算により年齢を求めるというものです。宇宙は、ビックバンの時の勢いのまま、現在も膨張しているはずだと考えられていました。宇宙の膨張の様子を正確に観測すれば、その勢いから大きさゼロの状態に遡れば、宇宙の年齢が計算できるというものです。現在の膨張の観測から、理論に基づき、始まりの時を求めることになります。このとき、宇宙の年齢の決め手になるのが、ハップル定数です。
宇宙が一様に膨張しているとすれると、ハッブル定数から、宇宙の年齢が簡単にもとめられると考えられていました。ところが、宇宙の膨張がビックバンの時に比べて減速しているのか、加速しているのかによって、宇宙の年齢の見積もりにおおきなズレが生じます。
その決め手になるのが、宇宙の物質密度と膨張に関するエネルギーです。宇宙の物質密度とは、宇宙に存在する物質の量によって決まり、宇宙が縮もうとする力、膨張を減速させる力になります。宇宙に物質が多ければ、万有引力によって、宇宙は縮もうとする力が働きます。ですから、宇宙にどの程度の物質があるかによって、現在の膨張からいつ収縮に転換するかが変わってきます。もし、物質量が少なければ、膨張を止めることができないかもしれません。物質量を知ることが重要になります。
これが、なかなかやっかいで、まだ不明な部分があります。
私たちが知っている、あるいは見ている物質は、バリオンとよばれる素粒子で構成されています。バリオンが占めている比率は、宇宙全体の物質とエネルギーの全量のうち、約5%程度に過ぎないことがわかってきました。
見える物質以外にも、見えない物質(ダークマター、暗黒物質などと呼ばれています)が、27%ほどあることがわかってきました。なんと宇宙は、見えている物質より、見えない物質の方が、5倍以上もあることになります。この両者が宇宙の膨張を減速させる働きがあります。このダークマターの量を決定することが宇宙の年齢を決める決め手だと考えられていました。ダークマターの実体はまだよくわかっていません。
すでに気づかれていると思いますが、バリオンとダークマターを合わせて32%にしかなりません。他の70%ほどは何かというと、見えないエネルギー(ダークエネルギーと呼ばれています)だとされています。かつては、このような存在は知られていませんでした。ですから、宇宙の年齢を決めるには、バリオン以外のダークマター探しが重要だと考えらていました。ところが、このダークエネルギーは、宇宙の膨張を加速する働きがあります。ダークエネルギーを考慮しなければ、宇宙の年齢が求められないことになりました。
宇宙の膨張を減速させるバリオンとダークマター、そして加速させるダークエネルギーから、宇宙は構成されていることになります。非常にやっかいな存在です。宇宙の膨張の様子だけでなく、宇宙の物質とエネルギーの比率、そしてそれらが膨張に与える効果がわからなければ、宇宙の年齢が正確に決めることができません。また、比率が分かったとして、それぞれの膨張に与える効果が、どれほどかを知らなければ、宇宙の年齢を決定するパラメーターが得られないということになります。
それを決定するために、いくつかの重要な観測がなされました。それは次回としましょう。
・高湿度・
北海道は8月になり、
遅い台風のせいで蒸し暑い天気が続いています。
台風の影響で北海道では前線がずっとかかり、
湿度の高い、梅雨のような天気となっています。
本州などの梅雨と比べると
気温はそれほど高くはないのでしょうが、
北海道人にはこの蒸し暑さが堪えます。
エアコンのない生活なので、
暑さにはじっと耐えるしかありません。
まあ、夜は比較的気温も下がるので
なんとか寝れるので、暑いのですが
体力的は持っているのですが、
校務が次々とあるのでなかなか大変です。
・コツコツと・
大学は定期試験も終わり、
学生たちは夏休みに入ります。
教員は、採点、集計、入力があります。
また4年生の卒業研究へと対応など
なかなか気の休まる時が来ません。
お盆があければ、少しだけ休めそうですが、
その後は、また校務が目白押しです。
忙しいことに愚痴をいっても楽にはなりません。
自分に与えられた空き時間の中で、
すべきことをコツコツとこなすしかありませんね。
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