2014年9月4日木曜日

1_133 ファーストスターの痕跡 2:自己抑制

 ビックバン直後には、巨大が質量をもつ星ができると思われていたのですが、シミュレーションをしてみると、それほど大きなものにならなかったことがわかってきました。その時に働くのが、自己抑制と呼ばれているものです。

 ビックバンによってできた最初の元素は、水素とヘリウムだけなので、ファーストスターは、水素とヘリウムだけで形成されていたはずです。質量も大きかったはずで、太陽の質量の数百倍はあったモンスター星だと考えられていました。
 ところが、こんな大きな天体は、現在の宇宙にはみられないものです。ファーストスターがモンスター星だという根拠はありませんでした。さらに、そのような予想と観測とは一致していないという矛盾もありました。前に紹介したような第二世代にあたるような古い天体の化学組成がわかってきたのですが、そこから予想される第一世代の星とは、一致しませんでした。
 その不一致に対して、2011年に京都大学の細川隆史さんたちが、シミュレーションをしたところ、面白いことがいくつかわかってきました。
 細川さんたちのシミュレーションによると、ファーストスターは、ビックバンの3億年くらいあとから形成されてきます。最初は太陽質量の1/100くらいの星の種(原始星)からはじまるのですが、周りにある大量のガスが星に集まってきます。そのまま成長していくと、当初の予想のような太陽の数100倍のモンスター星になるはずなのですが、太陽の20倍くらいの大きさになると、星は激しく輝きだします。そして、太陽の10万倍くらの明るさになります。
 非常に明るい輝きが、周りのガスの集まることを妨げてます。輝きが星の成長にブレーキをかけるのです。細川さんたちは、星が成長するまでの10万年くらいをシミュレーションしてみると、星は多数できるのですが、最終的に太陽質量の40倍くらいの星が残ることがわかってきました。
 このようなメカニズムを、細川さんたちは、「成長の自己抑制機構」が働いたと考えています。この自己抑制の機構によって、モンスター星には至らないことがわかったのです。
 太陽の質量の40倍の天体では、星の内部の核融合やその後の超新星爆発では、炭素、マグネシウム、カルシウムなどの元素が合成されます。鉄のよう重い元素はほとんどできません。そのような条件に相当する天体が、前に「1_130 宇宙の年齢 3:最古の天体」(2014.08.14発行)で紹介した天体でした。そのような天体が、いくつか見つかっていました。
 細川さんたちのシミュレーションによって、観測と理論が一致しました。これで話が終わればよかったのですが、そうはならなかったのです。それが今回紹介している報告へとつながります。

・調査目的・
このエッセイが発行される頃には、
四国に調査にでています。
今回は、高知県の西部を調査しています。
以前でかけたところを、再調査してます。
主たる目的は、専門的になりますが、
 層状チャートの観察
 タービダイト層の構造の計測
 付加体中の序列外スラストの観察
です。
中でも層状チャートは主たる目的になりますので、
少々厳しいルートになりますが、
頑張っていこうと考えています。
可能であれば、日を改めて2度、
たどり着きたいと思っています。
期間が限られていますので、
どこまできるかは不明ですが。

・振り子列車・
北海道各地を巡っています。
列車で北海道をめぐっていると、
北海道の広さを痛感させられます。
身体自体は動かさないのですが、
腰が痛くなり、体がだるくなります。
特に列車だと振り子列車がだめです。
私は、列車にはほとんど寄ったことがないのですが、
振り子列車だけは、長時間乗っていると気持ちが悪くなります。
他にも同じことをいう人が何人もいますので
私だけの理由ではないようです。
どうも振り子の揺れが三半規管を狂わせるようです。