2つのマグマが混じり合わずに混在するという現象は、考えにくいかもしれません。水と油を想像するとわかりやすいと思いますが、液体でも交じり合わないことがありえます。そのような現象が、本源マグマに発見されました。
いくつかのマグマ系列があることを、前回、紹介しました。そのスタートとなるマグマは、本源マグマや初生マグマと呼ばれています。本源マグマは、起源物質からできて変化してないものです。起源物質の代表的なものは、マントルのカンラン岩になります。ですから、カンラン岩が溶けてできるマグマが、本源マグマとなることが多くなるはずです。
ところが、本源マグマが、地表に噴出することは少ないようです。マグマがマントルできて、上昇してきて、そのまま噴火することはありません。
できたてのマグマは、周りのマントルと比べて密度が小さいので、浮いき(上昇し)ます。マントルから地殻の中を上昇していくと、周りの圧力や温度も下がり、マグマの状態も変化して、周りの岩石とマグマの密度が釣り合うところに達します。そこにマグマだまりができます。つぎつぎと連続的にマグマが上昇してきて蓄積しています。圧力が増してきて、やがで地表に向かって噴火します。
地表に噴火したマグマは、本源マグマとは変わっていす。まず、マグマ溜まりへの上昇中に、温度・圧力が下がると、本源マグマの中に結晶ができます。そのとき結晶分化作用が起こります。また、マグマ溜まりでも結晶ができ分化します。つまり、本源マグマ、地下深部から地表に来るまでに、いろいろなところで結晶分化をして変化していると考えられるのです。
本源マグマは、マントル付近のできる場所には存在するのかもしれませんが、実際に地表では、その存在を確認できない想定上のものでもあります。研究者も、本源マグマを手にできず、苦労していました。苦肉の策として、マントルの岩石を高温・高圧にして溶かして、本源マグマを実験的につくるという方法で調べていました。現実のマグマは手にできないからです。
ところが、今年の11月に本源マグマを発見したという報告がでました。「Journal of Petrology」(岩石学雑誌)の電子版に掲載されたものです。独立行政法人海洋研究開発機構の田村芳彦さんたちが報告しました。報告の題名は、
Mission Immiscible: Distinct subduction components generate two primary magmas of Pagan Volcano, Mariana arc
ミッション・イミッシブル:顕著な沈み込み成分がマリアナ弧、パガン火山の2つの初生マグマを形成する
というものです。
田村さんは、自分の説を「ミッション・イミッシブル仮説」と呼んでいます。もちろん、映画の「ミッション・インポッシブル」をもじっています。イミッシブル(immiscible)とは、「不混和」と呼ばれる現象です。
「不混和」とは、一つのマグマ溜まりに、交じり合わないで2種類のマグマが共存しているものをいいます。珍しい現象ではなく、時々起こっていることが知られています。軽石などに、白っぽいものと黒っぽいものとが縞状になっているものがみつかることがあります。噴火とき、2種類(色が違う)の混じらないマグマが、そのままの吹き飛ばされて固まったものです。これは、種類の違ったマグマが、混じることなく、マグマ溜まりに存在していたことを示しています。マグマの不混和現象の証拠だと考えられています。
このようなマグマの不混和は、稀なことではなく、マグマ溜まりでは時々起こっていることが知られています。マグマの不混和現象と本源マグマが、どのような関係にあるのでしょうか。それは、次回としましょう。
・イミッシブル仮説・
Journal of Petrologyは
岩石学で権威ある雑誌になります。
そのような雑誌に、
映画のタイトルをもじったものをつけるのは
なかなか勇気のいることではなかったかと考えます。
タイトルだけはなく本文中でも
Mission Inevitable 避けられないミッション
Invisible phase 見えない相
などという用語も使って説明しています。
ミッション・イミッシブル仮説は
可能なことでしょうか。
不可能(インポッシブル)でないことを願っています。
・今年最後のエッセイ・
いよいよ今年最後のエッセイとなりました。
次回のエッセイは、新年1月2日の発行になります。
このエッセイが、まだ続くので、
淡々と続けて書くことも考えられます。
あるいは、新年用のエッセイを書くこともありでしょう。
どうするかは、まだ決めていません。
来年のことは、来年、考えましょう。
それでは、皆さんよいお年を。
2013年12月26日木曜日
2013年12月19日木曜日
3_121 本源マグマ 2:結晶分化作用
火成岩の多様性をつくる要因を探りました。それらの要因から生まれる多様性は、現実の岩石で多様性を越えています。一番大きく働いている要因は、結晶分化作用のようです。
マグマの多様性を生み出す話しをしています。多様性を生み出す要因として、前回、起源物質、溶融作用、結晶分別作用というものがあることを紹介ました。要因にすると単純になりますが、それぞれの要因が、条件をいろいろ変動すれば、非常に大きな多様性を生み出せます。
例えば、起源物質では、その候補として、マントルの岩石(カンラン岩)だけであれば比較的単純な鉱物の組み合わせのものになります。しかし、地殻深部が起源物質になると、複雑になります。地殻は、多様な既存の岩石からできていることがわかっています。非常に複雑な起源物質が候補になりえます。それを限定できないと、どのような多様性を生むかは推定できません。実際には、地表でみられる要因が働いた結果の岩石から、起源物質の情報は断片的にしか読み取れません。なぜなら、溶融作用や結晶分化作用を経てマグマは変化し、そのマグマから岩石ができいるからです。
上で述べたように起源物質という多様性を生む要因はあるのですが、実際の火成岩をみると、どうもその効果はあまり大きくないようです。似た環境、似た条件では、似たマグマができることがわります。岩石は、それらのマグマから、結晶分化作用によって生まれる多様性の範疇におさまってしまいそうです。となると、ある地質条件の場所では、どこでも一様なマグマが形成され、そのマグマから結晶分化作用によって、多様性が生まれるというメカニズムがありそうです。
結晶分化のスタートとなるマグマの種類が、それほど多くないことになります。つまり、起源物質や溶融作用の効果は、火成岩の多様性に、それほど大きな効果はなく、似た地質環境では、似たようなマグマができることになります。 以上のことから、火成岩の多様性においてマグマの結晶分化作用が、現実に大きな役割を果たしていそうだと推定できます。結晶分化作用とは、結晶が晶出することによって、マグマが化学組成の変化をしていき、多様な火成岩を生むというメカニズムです。これらの一連のマグマの変化は、マグマ系列と呼ばれています。
マグマ系列は、海洋底の火成岩である中央海嶺玄武岩(Mid-Oceanic Ridge Basalt:MORBと略されます)のソレアイト系列や大陸や海洋島の火山でみられるアルカリ岩系列、日本列島に特徴的にみられるカルクアルカリ系列などが代表的なものです。他にもマグマ系列はありますが、多様な火成岩が、いくつかのマグマ系列で代表されるという、単純な図式があるということになります。いく種類かのマグマから、多様な火成岩が形成されることになります。ある限られた種類のマグマ(本源マグマあるいは初生マグマといいます)があると推定されます。
では、そのいく種類からの本源マグマは、どのようにしてできたのでしょうか。それは地表に噴出して、手にできるものなでしょうか。それがなかなか厄介な問題となります。詳細は次回にしましょう。
・起源物質・
起源物質は、実際には手にできない
地下深部に存在するものです。
それは、科学的に推定するしかありません。
私は、かつてマグマの起源物質を調べていました。
いくつかの方法があるのですが、
私は、同位体組成を用いて調べていました。
素材としていたのは、マントル由来の火成岩でしたが、
同位体組成を調べると、
どのような履歴のマントルであったのかを
推定することができます。
今思えば、遠い昔のような気分ですが。
・忘年会・
いよいよ12月も押し詰まってきました。
子供達は今週で学校が冬休みです。
大学は、25日までです。
私は、4年生の卒業研究の発表会の
予行演習につきあいます。
発表会は1月ですが、
プレゼンテーションの準備ができていれば、
彼らも安心して暮と正月を迎えられるでしょう。
毎年私のゼミではこの予行演習を行なっています。
その後は、忘年会をします。
3年生とは、同日の昼間にやることになりました。
大学内でノンアルコールの昼食会です。
マグマの多様性を生み出す話しをしています。多様性を生み出す要因として、前回、起源物質、溶融作用、結晶分別作用というものがあることを紹介ました。要因にすると単純になりますが、それぞれの要因が、条件をいろいろ変動すれば、非常に大きな多様性を生み出せます。
例えば、起源物質では、その候補として、マントルの岩石(カンラン岩)だけであれば比較的単純な鉱物の組み合わせのものになります。しかし、地殻深部が起源物質になると、複雑になります。地殻は、多様な既存の岩石からできていることがわかっています。非常に複雑な起源物質が候補になりえます。それを限定できないと、どのような多様性を生むかは推定できません。実際には、地表でみられる要因が働いた結果の岩石から、起源物質の情報は断片的にしか読み取れません。なぜなら、溶融作用や結晶分化作用を経てマグマは変化し、そのマグマから岩石ができいるからです。
上で述べたように起源物質という多様性を生む要因はあるのですが、実際の火成岩をみると、どうもその効果はあまり大きくないようです。似た環境、似た条件では、似たマグマができることがわります。岩石は、それらのマグマから、結晶分化作用によって生まれる多様性の範疇におさまってしまいそうです。となると、ある地質条件の場所では、どこでも一様なマグマが形成され、そのマグマから結晶分化作用によって、多様性が生まれるというメカニズムがありそうです。
結晶分化のスタートとなるマグマの種類が、それほど多くないことになります。つまり、起源物質や溶融作用の効果は、火成岩の多様性に、それほど大きな効果はなく、似た地質環境では、似たようなマグマができることになります。 以上のことから、火成岩の多様性においてマグマの結晶分化作用が、現実に大きな役割を果たしていそうだと推定できます。結晶分化作用とは、結晶が晶出することによって、マグマが化学組成の変化をしていき、多様な火成岩を生むというメカニズムです。これらの一連のマグマの変化は、マグマ系列と呼ばれています。
マグマ系列は、海洋底の火成岩である中央海嶺玄武岩(Mid-Oceanic Ridge Basalt:MORBと略されます)のソレアイト系列や大陸や海洋島の火山でみられるアルカリ岩系列、日本列島に特徴的にみられるカルクアルカリ系列などが代表的なものです。他にもマグマ系列はありますが、多様な火成岩が、いくつかのマグマ系列で代表されるという、単純な図式があるということになります。いく種類かのマグマから、多様な火成岩が形成されることになります。ある限られた種類のマグマ(本源マグマあるいは初生マグマといいます)があると推定されます。
では、そのいく種類からの本源マグマは、どのようにしてできたのでしょうか。それは地表に噴出して、手にできるものなでしょうか。それがなかなか厄介な問題となります。詳細は次回にしましょう。
・起源物質・
起源物質は、実際には手にできない
地下深部に存在するものです。
それは、科学的に推定するしかありません。
私は、かつてマグマの起源物質を調べていました。
いくつかの方法があるのですが、
私は、同位体組成を用いて調べていました。
素材としていたのは、マントル由来の火成岩でしたが、
同位体組成を調べると、
どのような履歴のマントルであったのかを
推定することができます。
今思えば、遠い昔のような気分ですが。
・忘年会・
いよいよ12月も押し詰まってきました。
子供達は今週で学校が冬休みです。
大学は、25日までです。
私は、4年生の卒業研究の発表会の
予行演習につきあいます。
発表会は1月ですが、
プレゼンテーションの準備ができていれば、
彼らも安心して暮と正月を迎えられるでしょう。
毎年私のゼミではこの予行演習を行なっています。
その後は、忘年会をします。
3年生とは、同日の昼間にやることになりました。
大学内でノンアルコールの昼食会です。
2013年12月12日木曜日
3_120 本源マグマ 1:火成岩の多様性
大きな多様性が、少ない要素で説明できれば、その要素は多様性の本質に迫っていることになります。しかし、その要素が現実の多様性より広いものを説明しているとしたら、要素をもっと厳選すべきかもしれません。
マグマは、地下深部で岩石が溶けたものをいいます。マグマが固まったものが火成岩となります。岩石の成因として、火成岩のほかに、変成岩と堆積岩があります。
陸地に分布する岩石の種類を区分すると、65%が火成岩になり、27%が変成岩、8%が堆積岩となっています。これを地殻全体に敷衍していいかどうかは慎重にすべきでしょう。例えば、海洋地殻は、表層には生物の死骸が降り積もってできた堆積岩に覆われていますが、表層より下の海洋地殻の大部分は火成岩でできていることが知られています。大陸は上から降り積もる堆積岩はないため、地下まで上記の比率が利用できると考えられています。大陸だけでなく海洋も考えると、地球全体の地殻は、圧倒的に火成岩が多いといえそうです。
火成岩は、マグマが固まったもので、火成岩の起源をさぐれることは、マグマの起源をさぐることになり、地球の種たる岩石の起源を探ることになります。起源の探求は、火成岩の研究において重要なテーマとなっています。
火成岩の種類は非常に多様です。その多様な種類に対応するマグマがあったはず。それを網羅的に知るには、火成岩の研究のネタは尽きることはなさそうです。
もし、あるいく種類かのマグマが、性質を変化をしながら、多様な火成岩をつくりだすのであれば、そのメカニズムを解明すれば、火成岩の起源は解決してしまいます。となれば、研究テーマが尽きるかもしれません。
多様性形成のメカニズムの解明は、火成岩岩石学の研究テーマですが、その概略は、実はわかっています。
マグマを生み出す素材(起源物質と呼びます)となる岩石の種類、マグマが溶けるときに起こる溶融作用、そしてマグマが固まるときに起こる結晶分別作用が重要な役割を果たします。
起源物質の種類が違えば、それが溶けてできるマグマも違ったものなるはずです。起源物質の多様性を見極めれば溶融作用とは、マグマの溶け方で、起源物質がどのように、どの程度が溶けるのか、によってできるマグマも違ってきます。
マグマが固まる時、いくつかの結晶ができて、沈降や浮遊していきます。するとその結晶は、マグマが分かれて(分別あるいは分化といいます)いきます。分別した結晶の分だけ、マグマの化学組成は変化していきます。分別作用が継続すると、マグマの成分の変化により結晶の種類が変わり、結晶の種類が変わるとマグマの組成変化の方向を変わります。結晶分別作用では、マグマが固まるまで起こり続ける作用です。
これらの要因が組み合わされることによって、火成岩の多様性ができています。これらの要因から生まれる多様性の範囲は、非常に広いものです。実際の岩石にはないほどの広がりがあります。十分すぎるほどの広がりがありますが、現実の火成岩には、そこまでの多様性はないようです。そうなると、現実のマグマあるいは火成岩において、どの要因が主として多様性を生み出しているか、を見極めていく必要があります。
それは、次回としましょう。
・研究のスパイラル・
多様性を多様なままとらえることも必要です。
それが個別の記載となります。
個別の記載がある程度集まってくると
多様性を生み出す仕組みを考えていくことになります。
より普遍的な要因を求めることになります。
多くの研究者がそれを目指しテーマでもあります。
要因がわかると、それを個別の自然に適用していきます。
そのようなチェックが進むと、
要因があっているか、間違っているか、
あるいは今回紹介したように、
どの要因が一番効くのかが興味となります。
こんなスパイラル、あるいはループが研究を深めていきます。
・いったりきたりの季節・
冬だと思っていたのに、
先日雨が降りました。
冷たい雨で、道路の氷があまり溶けることなく
滑りやすくなっていました。
歩くのが怖くなるような道路状況でした。
今年は、季節がいったりきたりします。
でも、冬の寒さは来ていますが。
マグマは、地下深部で岩石が溶けたものをいいます。マグマが固まったものが火成岩となります。岩石の成因として、火成岩のほかに、変成岩と堆積岩があります。
陸地に分布する岩石の種類を区分すると、65%が火成岩になり、27%が変成岩、8%が堆積岩となっています。これを地殻全体に敷衍していいかどうかは慎重にすべきでしょう。例えば、海洋地殻は、表層には生物の死骸が降り積もってできた堆積岩に覆われていますが、表層より下の海洋地殻の大部分は火成岩でできていることが知られています。大陸は上から降り積もる堆積岩はないため、地下まで上記の比率が利用できると考えられています。大陸だけでなく海洋も考えると、地球全体の地殻は、圧倒的に火成岩が多いといえそうです。
火成岩は、マグマが固まったもので、火成岩の起源をさぐれることは、マグマの起源をさぐることになり、地球の種たる岩石の起源を探ることになります。起源の探求は、火成岩の研究において重要なテーマとなっています。
火成岩の種類は非常に多様です。その多様な種類に対応するマグマがあったはず。それを網羅的に知るには、火成岩の研究のネタは尽きることはなさそうです。
もし、あるいく種類かのマグマが、性質を変化をしながら、多様な火成岩をつくりだすのであれば、そのメカニズムを解明すれば、火成岩の起源は解決してしまいます。となれば、研究テーマが尽きるかもしれません。
多様性形成のメカニズムの解明は、火成岩岩石学の研究テーマですが、その概略は、実はわかっています。
マグマを生み出す素材(起源物質と呼びます)となる岩石の種類、マグマが溶けるときに起こる溶融作用、そしてマグマが固まるときに起こる結晶分別作用が重要な役割を果たします。
起源物質の種類が違えば、それが溶けてできるマグマも違ったものなるはずです。起源物質の多様性を見極めれば溶融作用とは、マグマの溶け方で、起源物質がどのように、どの程度が溶けるのか、によってできるマグマも違ってきます。
マグマが固まる時、いくつかの結晶ができて、沈降や浮遊していきます。するとその結晶は、マグマが分かれて(分別あるいは分化といいます)いきます。分別した結晶の分だけ、マグマの化学組成は変化していきます。分別作用が継続すると、マグマの成分の変化により結晶の種類が変わり、結晶の種類が変わるとマグマの組成変化の方向を変わります。結晶分別作用では、マグマが固まるまで起こり続ける作用です。
これらの要因が組み合わされることによって、火成岩の多様性ができています。これらの要因から生まれる多様性の範囲は、非常に広いものです。実際の岩石にはないほどの広がりがあります。十分すぎるほどの広がりがありますが、現実の火成岩には、そこまでの多様性はないようです。そうなると、現実のマグマあるいは火成岩において、どの要因が主として多様性を生み出しているか、を見極めていく必要があります。
それは、次回としましょう。
・研究のスパイラル・
多様性を多様なままとらえることも必要です。
それが個別の記載となります。
個別の記載がある程度集まってくると
多様性を生み出す仕組みを考えていくことになります。
より普遍的な要因を求めることになります。
多くの研究者がそれを目指しテーマでもあります。
要因がわかると、それを個別の自然に適用していきます。
そのようなチェックが進むと、
要因があっているか、間違っているか、
あるいは今回紹介したように、
どの要因が一番効くのかが興味となります。
こんなスパイラル、あるいはループが研究を深めていきます。
・いったりきたりの季節・
冬だと思っていたのに、
先日雨が降りました。
冷たい雨で、道路の氷があまり溶けることなく
滑りやすくなっていました。
歩くのが怖くなるような道路状況でした。
今年は、季節がいったりきたりします。
でも、冬の寒さは来ていますが。
2013年12月5日木曜日
6_118 かぐや 2:プロセラルム盆地
月の表側(地球に面している方)の黒っぽい部分(海と呼ばれる)ところは、大きな衝突でできたもののようです。月の表側にだけ黒っぽい部分が多いという謎は、一度の巨大な隕石の衝突によるものなら、なんとなく納得できそうです。
「かぐや」は日本が打ち上げた月探査用の人工衛星で、2007年から2009年にかけて、2年間弱にわたって調査をしました。「かぐや」は、大量の観測データを取得しました。その解析は現在もなされていて、成果も出されています。そんな成果として、前回紹介している月の表のクレータの謎を解き明かしました。
月の表(地球から見える側)は、黒っぽいところ(海と呼ばれています)と白っぽいところ(高地)が織りなす模様があります。黒っぽい海は、白っぽい高地より新しい時代に形成された、衝突によるクレーターの跡であることがわかっています。海は、衝突によって引き起こされた火山活動で、玄武岩のマグマが噴出して、月面を覆ったものです。さらに、海は高地と比べて、地殻も薄く、化学成分だけでなく放射性元素も違っていることもわかっています。
海をつくった衝突が、なぜ、地球側に集中しているかが、謎でした。本来なら地球の陰にあたり、衝突の影響が減るはずです。なのに多いのは不思議なことです。
産業技術総合研究所の中村良介さんたちのグループは、クレーターの起源を解明しました。「かぐや」が得た約7000万地点、200億点以上の可視赤外線反射率スペクトルちうデータを解析した結果でした。
可視赤外線反射率スペクトルの解析とは、月の表面から反射する光(可視光から赤外線の範囲)の反射の光(電磁波)を用いて、波長ごとの特性から、その地点が、どのような鉱物からできているかを調べました。月を構成している岩石の主要鉱物であるカンラン石、斜長石、高カルシウム輝石、低カルシウム輝石を見分けることができ、その量も推定できます。
衝突の衝撃によってマントルまで溶けた岩石では、低カルシウム輝石ができることがわかっています。その分布を、「かぐや」の膨大なデータから調べました。低カルシウム輝石の多いところ(20%以上含む)は、いくつかの場所に集まっていました。
一つは、月の裏側の南極周辺にある「南極エイトケン盆地(直径約2500km)」と呼ばれる部分に広く散らばって分布しています。もう一つは、雨の海の周縁に低カルシウム輝石が多く分布しています。さらに、雨の海を含むプロセラルム盆地とよばれるところに広く分布することがわかりました。
プロセラルム盆地は、雨の海を含み、その周辺に分布する、表側の黒っぽい部分です。直径3000kmの広さをもっています。プロセラルム盆地は、月の表の黒っぽい部分のほとんどを含んでしまうほどの大きさです。うさぎの模様でいうと、耳以外のうさぎの体と臼もふくめた部分にあたります。非常の拾い範囲となります。
かつて、月の表側に海が多い理由として、月の表のクレーターは巨大な衝突で形成されたという仮説がありました。しかし、証拠がなく、仮説のままでした。
今回、中村さんたちが、鉱物の分布から、雨の海を中心とするプロセラルム盆地が、衝突の範囲であり、衝突の結果、飛び散ったものの形も示しました。
直径3000kmもの衝突クレーターをつくるには、径が300kmもある隕石が衝突した考えられます。非常に大きな衝突です。重要なことは、一度の衝突によってできたのであれば、海の分布の不均質さが説明できます。衝突が一回であれば、月のどこにあたっても不思議ではありません。
同じ理屈で、南極エイトケン盆地も衝突の可能性があります。黒っぽいクレーターは、あまりみられません。ここでは、玄武岩を噴出するようなマグマの活動は引き起こされなかったことになります。当たる角度は衝突の様子の違いによるものかはわかりませんが、こちらは南極付近ですが裏側での衝突です。
月の裏と表の違いの謎は、どうやら大きな一度の衝突のせいだということになりそうです。月の形成にまつわる衝突は地球を巻き込んだものですが、プロセラルム盆地は月だけの衝突です。でも、本当に地球には影響がなかったのでしょうか。気になるとこです。
・嵐の盆地・
プロセラルムとは、ラテン語で「嵐」という意味です。
「嵐の海」という地形があります。
月では一番大きな海の地形です。
嵐の海を含む盆地のことを、プロセラルム盆地と呼んでいます。
プロセラルム盆地は、日本語にすると嵐の盆地となります。
うさぎの模様でいうと
足から胴にかけての部分にあたります。
・冬本番・
12月になり、北海道は雪になりました。
わが町にも、除雪が今シーズンはめて入りました。
湿った重たい雪で、除雪が大変です。
平日の除雪は、家内の役割です。
私は雪の中を歩いてきました。
もう、クツも冬仕様となりました。
いよいよ冬も本番となりました。
・二度とできない経験・
今、4年生は卒業研究の追い込みの真っ最中です。
皆、苦労しながら、取り組んでいます。
大変さに負けてしまいそうな学生もいますが、
その大変さを乗り越えれば、
きっと大きな達成感、満足感など
言葉に表せないような経験ができるはずです。
2年かけて取り組んできた研究の集大成です。
二度とできない経験をしてもらいたいものです。
「かぐや」は日本が打ち上げた月探査用の人工衛星で、2007年から2009年にかけて、2年間弱にわたって調査をしました。「かぐや」は、大量の観測データを取得しました。その解析は現在もなされていて、成果も出されています。そんな成果として、前回紹介している月の表のクレータの謎を解き明かしました。
月の表(地球から見える側)は、黒っぽいところ(海と呼ばれています)と白っぽいところ(高地)が織りなす模様があります。黒っぽい海は、白っぽい高地より新しい時代に形成された、衝突によるクレーターの跡であることがわかっています。海は、衝突によって引き起こされた火山活動で、玄武岩のマグマが噴出して、月面を覆ったものです。さらに、海は高地と比べて、地殻も薄く、化学成分だけでなく放射性元素も違っていることもわかっています。
海をつくった衝突が、なぜ、地球側に集中しているかが、謎でした。本来なら地球の陰にあたり、衝突の影響が減るはずです。なのに多いのは不思議なことです。
産業技術総合研究所の中村良介さんたちのグループは、クレーターの起源を解明しました。「かぐや」が得た約7000万地点、200億点以上の可視赤外線反射率スペクトルちうデータを解析した結果でした。
可視赤外線反射率スペクトルの解析とは、月の表面から反射する光(可視光から赤外線の範囲)の反射の光(電磁波)を用いて、波長ごとの特性から、その地点が、どのような鉱物からできているかを調べました。月を構成している岩石の主要鉱物であるカンラン石、斜長石、高カルシウム輝石、低カルシウム輝石を見分けることができ、その量も推定できます。
衝突の衝撃によってマントルまで溶けた岩石では、低カルシウム輝石ができることがわかっています。その分布を、「かぐや」の膨大なデータから調べました。低カルシウム輝石の多いところ(20%以上含む)は、いくつかの場所に集まっていました。
一つは、月の裏側の南極周辺にある「南極エイトケン盆地(直径約2500km)」と呼ばれる部分に広く散らばって分布しています。もう一つは、雨の海の周縁に低カルシウム輝石が多く分布しています。さらに、雨の海を含むプロセラルム盆地とよばれるところに広く分布することがわかりました。
プロセラルム盆地は、雨の海を含み、その周辺に分布する、表側の黒っぽい部分です。直径3000kmの広さをもっています。プロセラルム盆地は、月の表の黒っぽい部分のほとんどを含んでしまうほどの大きさです。うさぎの模様でいうと、耳以外のうさぎの体と臼もふくめた部分にあたります。非常の拾い範囲となります。
かつて、月の表側に海が多い理由として、月の表のクレーターは巨大な衝突で形成されたという仮説がありました。しかし、証拠がなく、仮説のままでした。
今回、中村さんたちが、鉱物の分布から、雨の海を中心とするプロセラルム盆地が、衝突の範囲であり、衝突の結果、飛び散ったものの形も示しました。
直径3000kmもの衝突クレーターをつくるには、径が300kmもある隕石が衝突した考えられます。非常に大きな衝突です。重要なことは、一度の衝突によってできたのであれば、海の分布の不均質さが説明できます。衝突が一回であれば、月のどこにあたっても不思議ではありません。
同じ理屈で、南極エイトケン盆地も衝突の可能性があります。黒っぽいクレーターは、あまりみられません。ここでは、玄武岩を噴出するようなマグマの活動は引き起こされなかったことになります。当たる角度は衝突の様子の違いによるものかはわかりませんが、こちらは南極付近ですが裏側での衝突です。
月の裏と表の違いの謎は、どうやら大きな一度の衝突のせいだということになりそうです。月の形成にまつわる衝突は地球を巻き込んだものですが、プロセラルム盆地は月だけの衝突です。でも、本当に地球には影響がなかったのでしょうか。気になるとこです。
・嵐の盆地・
プロセラルムとは、ラテン語で「嵐」という意味です。
「嵐の海」という地形があります。
月では一番大きな海の地形です。
嵐の海を含む盆地のことを、プロセラルム盆地と呼んでいます。
プロセラルム盆地は、日本語にすると嵐の盆地となります。
うさぎの模様でいうと
足から胴にかけての部分にあたります。
・冬本番・
12月になり、北海道は雪になりました。
わが町にも、除雪が今シーズンはめて入りました。
湿った重たい雪で、除雪が大変です。
平日の除雪は、家内の役割です。
私は雪の中を歩いてきました。
もう、クツも冬仕様となりました。
いよいよ冬も本番となりました。
・二度とできない経験・
今、4年生は卒業研究の追い込みの真っ最中です。
皆、苦労しながら、取り組んでいます。
大変さに負けてしまいそうな学生もいますが、
その大変さを乗り越えれば、
きっと大きな達成感、満足感など
言葉に表せないような経験ができるはずです。
2年かけて取り組んできた研究の集大成です。
二度とできない経験をしてもらいたいものです。
2013年11月28日木曜日
6_117 かぐや 1:裏と表
(2013.11.28)
月の裏と表の違いは、黒っぽい部分の有無です。黒っぽい部分は、表にのみあります。その黒っぽい部分が、どうしてできたのでしょうか。日本の月探査衛星「かぐや」のデータから、その成因がわかってきました。
地球の衛星の月には、裏と表があります。地球から見えるほうが表で、見えない方が裏となります。地球が自転し、月は地球の周りを公転しながら、月自身も自転しています。ですから、地球から見れば、本来なら月の裏も表も見えるべきものです。ところが、月は常に表側を地球に向けています。その理由は、月の自転と公転は同期しているためです。同期とは、月の自転と公転が一致しているということです。月が1回公転するとき、自転も1回します。その結果、地球に常に同じ側を向けていることになります。その原因が一種の共鳴現象ではないかと考えられています。
地球から月の表しか見えないので、裏側がどうなっているかは謎でした。明らかになったのは、1959年でした。旧ソ連の月探査機(ルナ3号)は、月を半周して地球に戻るというコースで飛びました。その時、月の裏側の撮影をしました。地球に向かう途中に、ルナ3号は、不鮮明ながら17枚分の撮影データを送ってきました。これが、人類がはじめて見た月の裏の様子でした。その後、多くの無人探査機やアポロ計画なので、月は詳しく調べられるようになりました。
その結果、月の裏は表とは全く違った様相であることがわかりました。表側は、黒っぽところと白っぽいところが入り乱れたつくりになっています。黒っぽのところが、日本人には、餅をつくうさぎに見えます。月の模様として、各地でいろいろな物語がつくられました。
黒っぽいところは、新しい岩石からできていて「海」とよばれています。岩石は玄武岩で、マグマが地表(月面)に噴出した火山岩でした。新しいというのは、クレーターの数による年代推定からもわかっていましたが、アポロによる玄武岩の年代測定で決定できました。
一方、裏側は、白っぽいところだけしかありません。地形もやや高いことから、「高地」と呼ばれています。月の裏側は、高地だけからできています。高地には、多数のクレータが形成されています。ですから、玄武岩より、古い時代に形成された岩石からできていることになります。斜長岩(アノーソサイト)とよばれる、特殊な岩石からできています。斜長岩は、特殊な条件でできるマグマからできた深成岩です。黒っぽいところとは、かなり違った性質や時代を持っています。海と高地の成因は大きく違っているはずです。
では、月の裏(玄武岩)と表(斜長岩)の起源は、どのようなものでしょうか。表には玄武岩の海がいくつもあることは、大きな何度も大きな隕石の衝突があったことになります。表は、地球を向いているのですから、地球を盾にしている状態ですので。裏に大きな衝突跡があるべきなのに、表にあるのはなぜでしょうか。少々、辻褄があわない気がします。
その矛盾を説明する考えとして、一度の衝突でできたという考えがあります。日本の月探査機「かぐや」のデータが活用されています。その内容は、次回としましょう。
・かぐや・
かぐやは、2007年9月14日に打ち上げられた
日本の月探査機です。
月周回軌道に達した後、2機の衛星を分離して
高度100kmの月の周回軌道で観測しました。
約1年半にわたり、さまざまな観測をしました。
2009年6月にかぐやは、
月面に落下させられ、役目を終えました。
かぐやの得たデータは、今も活用されています。
その成果が今回、紹介するエッセイでもあります。
・かぐや姫・
高畑勲監督の「かぐや姫の物語」が封切りされました。
私はまだ見ていませんが、大作のようです。
日本人は、子供の頃から
かぐや姫の話しを聞いて育ってきました。
月は身近な存在となっているはずですが、
月を見る機会はあるでしょうか。
私は、早朝歩いて大学に通っていますので、
朝の月はよく見ます。
また、北海道の冬は日が短いので、
夕方にも月を見ることがあります。
私は、夜の付きではなく、朝と夕方の月を見ています。
月の裏と表の違いは、黒っぽい部分の有無です。黒っぽい部分は、表にのみあります。その黒っぽい部分が、どうしてできたのでしょうか。日本の月探査衛星「かぐや」のデータから、その成因がわかってきました。
地球の衛星の月には、裏と表があります。地球から見えるほうが表で、見えない方が裏となります。地球が自転し、月は地球の周りを公転しながら、月自身も自転しています。ですから、地球から見れば、本来なら月の裏も表も見えるべきものです。ところが、月は常に表側を地球に向けています。その理由は、月の自転と公転は同期しているためです。同期とは、月の自転と公転が一致しているということです。月が1回公転するとき、自転も1回します。その結果、地球に常に同じ側を向けていることになります。その原因が一種の共鳴現象ではないかと考えられています。
地球から月の表しか見えないので、裏側がどうなっているかは謎でした。明らかになったのは、1959年でした。旧ソ連の月探査機(ルナ3号)は、月を半周して地球に戻るというコースで飛びました。その時、月の裏側の撮影をしました。地球に向かう途中に、ルナ3号は、不鮮明ながら17枚分の撮影データを送ってきました。これが、人類がはじめて見た月の裏の様子でした。その後、多くの無人探査機やアポロ計画なので、月は詳しく調べられるようになりました。
その結果、月の裏は表とは全く違った様相であることがわかりました。表側は、黒っぽところと白っぽいところが入り乱れたつくりになっています。黒っぽのところが、日本人には、餅をつくうさぎに見えます。月の模様として、各地でいろいろな物語がつくられました。
黒っぽいところは、新しい岩石からできていて「海」とよばれています。岩石は玄武岩で、マグマが地表(月面)に噴出した火山岩でした。新しいというのは、クレーターの数による年代推定からもわかっていましたが、アポロによる玄武岩の年代測定で決定できました。
一方、裏側は、白っぽいところだけしかありません。地形もやや高いことから、「高地」と呼ばれています。月の裏側は、高地だけからできています。高地には、多数のクレータが形成されています。ですから、玄武岩より、古い時代に形成された岩石からできていることになります。斜長岩(アノーソサイト)とよばれる、特殊な岩石からできています。斜長岩は、特殊な条件でできるマグマからできた深成岩です。黒っぽいところとは、かなり違った性質や時代を持っています。海と高地の成因は大きく違っているはずです。
では、月の裏(玄武岩)と表(斜長岩)の起源は、どのようなものでしょうか。表には玄武岩の海がいくつもあることは、大きな何度も大きな隕石の衝突があったことになります。表は、地球を向いているのですから、地球を盾にしている状態ですので。裏に大きな衝突跡があるべきなのに、表にあるのはなぜでしょうか。少々、辻褄があわない気がします。
その矛盾を説明する考えとして、一度の衝突でできたという考えがあります。日本の月探査機「かぐや」のデータが活用されています。その内容は、次回としましょう。
・かぐや・
かぐやは、2007年9月14日に打ち上げられた
日本の月探査機です。
月周回軌道に達した後、2機の衛星を分離して
高度100kmの月の周回軌道で観測しました。
約1年半にわたり、さまざまな観測をしました。
2009年6月にかぐやは、
月面に落下させられ、役目を終えました。
かぐやの得たデータは、今も活用されています。
その成果が今回、紹介するエッセイでもあります。
・かぐや姫・
高畑勲監督の「かぐや姫の物語」が封切りされました。
私はまだ見ていませんが、大作のようです。
日本人は、子供の頃から
かぐや姫の話しを聞いて育ってきました。
月は身近な存在となっているはずですが、
月を見る機会はあるでしょうか。
私は、早朝歩いて大学に通っていますので、
朝の月はよく見ます。
また、北海道の冬は日が短いので、
夕方にも月を見ることがあります。
私は、夜の付きではなく、朝と夕方の月を見ています。
2013年11月21日木曜日
2_121 最古の有性生殖 2:アワフキムシ
アワフキムシの交尾中の化石が見つかりました。最古の交尾化石としてニュースになりました。その化石を見つけるために、大量の化石が処理されました。その処理の中で、研究は深まっていきます。
前回、生物の生殖戦略として、無性生殖と有性生殖があるということを紹介しました。動物や植物などは有性生殖をし、単細胞生物の多くは無性生殖をします。いずれの生殖方法も、生物の生存戦略として成功しています。
今回、紹介しているのは、昆虫で有性生殖している状態の化石が、みつかったというものでした。昆虫の種類は、アワフキムシというもので、現在もその子孫がいます。現在生きているアワフキムシの子孫の交尾姿勢は、化石の交尾状態と同じでした。非常によく保存された化石で、交尾器の状態まで詳しく観察することができました。
これまで昆虫の交尾の確認されている化石が、33例あるそうです。その多くはコハクの中に閉じ込められたものです。昆虫の種類は、ホタルや蚊、ウンカ、ヨコバイ、アメンボ、ミツバチ、アリなどです。今回のアワフキムシの化石は、コハクではなく、火山灰の中から見つかっています。これが新しい特徴でもあります。
北京の大学のドン・レン(Dong Ren)博士たちは、化石コレクションを用いて研究をしました。内モンゴルから発見された化石のコレクションで、20万個ほどの昆虫化石の標本のうち1200個以上のアワフキムシ標本がありました。それらを網羅的に研究しました。そして、今回の交尾中の化石が見つかったのです。
交尾中の化石は、中国東北部の内モンゴル自治区に分布する1億6500万年前(中期ジュラ紀)に形成されたジューロンシャン層(Jiulongshan)から見つかりました。交尾中の化石としては、最古のものでした。
ドン・レンらは、アワフキムシのオスとメス、200標本の交尾器を観察しています。大量の標本を調査したメリットとして、オスとメスの交尾器がよくわかった状態で、交尾の様子も検証できます。
化石から、アワフキムシは、植物に停まりながらオスとメスが向かい合って、柔軟性のある腹部を合わせて交尾していたようです。そこに火山灰が激しく降ってきて、そのまま生き埋めになったようです。
昆虫にとっては、やっとペアが見つかり交尾にいたった至福の瞬間に訪れた突然の死でした。子孫が残せるはずが、実現できずに、昆虫のペアにとっては、不幸であった違いありません。しかし、多数の標本を調べて、やっと交尾状態の標本を見つけた研究者にとっては、幸運であったはずです。「他人の不幸は蜜の味」なのでしょうか。
・秘事・
交尾の生物の営みとして重要な生態となります。
博物館の知り合いに、
ある種の昆虫の生態を調べているTa学芸員がいました。
彼は、昆虫の交尾中の瞬間が重要だといって
よく写真撮影をしていました。
形態の違ったオスとメスが交尾しているときは
同種だと判定できる重要な瞬間でもあります。
昆虫の雌雄や種区分の判定には、
解剖して、交尾器を出して顕微鏡で観察して研究していました。
生態や生物学的研究では、
交尾器が重要な役割をしています。
交尾は昆虫であろうと
秘事を覗くような淫靡な気配が漂います。
でも、研究は淡々と進めるべきでしょうね。
・冬の到来・
先週の大雪も一気に溶けました。
そして、雨となりました。
初雪としては、10月に札幌の山並みで見ており
例年どおりでしょうか。
急に寒くなったかと思うと、
すぐに暖かくなったりしました。
寒暖の変化の激しさが、
今年の天候の特徴でしょうか。
行きつ戻りつしながら、冬が訪れます。
前回、生物の生殖戦略として、無性生殖と有性生殖があるということを紹介しました。動物や植物などは有性生殖をし、単細胞生物の多くは無性生殖をします。いずれの生殖方法も、生物の生存戦略として成功しています。
今回、紹介しているのは、昆虫で有性生殖している状態の化石が、みつかったというものでした。昆虫の種類は、アワフキムシというもので、現在もその子孫がいます。現在生きているアワフキムシの子孫の交尾姿勢は、化石の交尾状態と同じでした。非常によく保存された化石で、交尾器の状態まで詳しく観察することができました。
これまで昆虫の交尾の確認されている化石が、33例あるそうです。その多くはコハクの中に閉じ込められたものです。昆虫の種類は、ホタルや蚊、ウンカ、ヨコバイ、アメンボ、ミツバチ、アリなどです。今回のアワフキムシの化石は、コハクではなく、火山灰の中から見つかっています。これが新しい特徴でもあります。
北京の大学のドン・レン(Dong Ren)博士たちは、化石コレクションを用いて研究をしました。内モンゴルから発見された化石のコレクションで、20万個ほどの昆虫化石の標本のうち1200個以上のアワフキムシ標本がありました。それらを網羅的に研究しました。そして、今回の交尾中の化石が見つかったのです。
交尾中の化石は、中国東北部の内モンゴル自治区に分布する1億6500万年前(中期ジュラ紀)に形成されたジューロンシャン層(Jiulongshan)から見つかりました。交尾中の化石としては、最古のものでした。
ドン・レンらは、アワフキムシのオスとメス、200標本の交尾器を観察しています。大量の標本を調査したメリットとして、オスとメスの交尾器がよくわかった状態で、交尾の様子も検証できます。
化石から、アワフキムシは、植物に停まりながらオスとメスが向かい合って、柔軟性のある腹部を合わせて交尾していたようです。そこに火山灰が激しく降ってきて、そのまま生き埋めになったようです。
昆虫にとっては、やっとペアが見つかり交尾にいたった至福の瞬間に訪れた突然の死でした。子孫が残せるはずが、実現できずに、昆虫のペアにとっては、不幸であった違いありません。しかし、多数の標本を調べて、やっと交尾状態の標本を見つけた研究者にとっては、幸運であったはずです。「他人の不幸は蜜の味」なのでしょうか。
・秘事・
交尾の生物の営みとして重要な生態となります。
博物館の知り合いに、
ある種の昆虫の生態を調べているTa学芸員がいました。
彼は、昆虫の交尾中の瞬間が重要だといって
よく写真撮影をしていました。
形態の違ったオスとメスが交尾しているときは
同種だと判定できる重要な瞬間でもあります。
昆虫の雌雄や種区分の判定には、
解剖して、交尾器を出して顕微鏡で観察して研究していました。
生態や生物学的研究では、
交尾器が重要な役割をしています。
交尾は昆虫であろうと
秘事を覗くような淫靡な気配が漂います。
でも、研究は淡々と進めるべきでしょうね。
・冬の到来・
先週の大雪も一気に溶けました。
そして、雨となりました。
初雪としては、10月に札幌の山並みで見ており
例年どおりでしょうか。
急に寒くなったかと思うと、
すぐに暖かくなったりしました。
寒暖の変化の激しさが、
今年の天候の特徴でしょうか。
行きつ戻りつしながら、冬が訪れます。
2013年11月14日木曜日
2_120 最古の有性生殖 1:生殖戦略
最近、昆虫の交尾中の化石が見つかり、ニュースになりました。初めての例ではないですが、このような化石の写真を見るのは、私は初めてでしたので、驚きました。今回は、交尾の化石の意味するところを紹介していきましょう。
先日、交尾したまま化石がみつかり話題になりました。私も、この論文の写真をみて驚きました。このような化石は、可能性としてはあるでしょうが、非常に稀なはずです。その上この化石は、非常に鮮明に交接の状況が保存されています。
この論文の写真は非常に衝撃があったようで、いくつかの科学ニュース誌で取り上げられました。「最古のセックス」というタイトルをつけて、少々センセーショナルに報じたものもありました。
生物学的に「セックス」とは、生殖行為のことで、雌雄が交接することをいいます。雌雄が生殖をするのは、子孫を残すために不可欠な行為です。雌雄で子孫を残す方法は、有性生殖と呼ばれます。
生物に雌雄の性別があるのは、いろいろなメリット、デメリットがあります。
まずデメリットは、少なくとも雌雄の2匹がいないと子孫が残せないということです。どちらか一方では子孫は残せません。雌雄が常に一緒にいれば、出会いに関する問題が解消されますが、通常はばらばらに暮らしていています。生殖時に、雌雄がお互いを見つけて交尾します。相手を探すための仕組みが必要となります。
相手を見つけるために、鳥はさえずり、セミは鳴き、蛍は光り、蛾はフェロモンをだし、カゲロウは大量発生します。種によっては、生殖にのみを目的としているかのような、不思議な生き方をしているものもいます。
また、相手を探す時や交尾中は無防備なることも多く、危険の多い行動となります。つまり、有性生殖には、生殖に多大な労力を費やし、危険を背負わなければなりません。
一方、メリットとしては、雌雄で半分ずつの遺伝子が子に伝わるので、遺伝上の多様性をつくりやすくなります。これが最大のメリットといえるでしょう。子は、親の雌雄から半分ずつ遺伝子を受け継ぎますので、片方の親と遺伝子の半分は同じですが、半分は違っています。遺伝子の交換により、子孫に進化を促すという機能が組み込まれています。複雑な体制や機能を持つ雌雄のある生物は、長生きをするものが多く、進化のスピードは遅くなります。進化の速度を上げる方法として、有性生殖は有効な戦略となったのでしょう。
自然界には優勢生殖をとる種が多数い、後述の無誠意生殖よりあとにでてきました。そこには、生存戦略上、有利な点があったからです。それは、有害な突然変異を減らす仕組みが働くためだと考えられています。
有性生殖するために、染色体を半分にする減数分裂がおこり、精子や卵子などの配偶子ができます。配偶子の形成、あるいは生殖時に、有害な変異をもつものは、淘汰されることが多くなり、安全率の高くする生殖になるというものです。
有性生殖はメリット、デメリットがあり、どのような戦略を取るかによってその割合は違ってきます。今後の繁栄や衰退は不明ですが、少なくとも現在生きている種は、生存戦略上は成功者であるはずです。
有性生殖に対して、一匹で子孫を残す方法もあり、無性生殖といいます。一つの個体が二つに分裂して増える方法です。同じ遺伝子のコピーをするだけなので、条件さえ整えば、簡単に増えることができます。生殖活動にかかわる労力は、有性生殖に比べて少なくてすみます。非常に単純で有効な子孫を残すシステムでもあります。
もし増殖中に、ミスコピー(突然変異)が生じたら、以降の個体はすべてそのミスコピーのまま複製されていきます。突然変異がその種にとって不利なものであれば、種の縮小や絶滅を引き起こします。突然変異が有利なものであれば、その個体の進化を促進します。突然変異は諸刃の刃として、進化の手段として組み込まれています。ただし、偶然に頼った進化戦略といえます。でも、生き残っている種が多数いることから、成功している戦略といえます。
次回は、化石の話しをしていきましょう。
・化石の画像・
インターネットが見れる環境であれば、
次の論文の写真をみてください。
http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0078188
なかなか感動的な化石であることがわかるはずです。
よく保存されていたなあと、感心してしまいます。
横向きに交尾状態のまま埋もれたようです。
なぜこのような化石が残ったかは次回紹介しますが、
インパクトのある化石です。
・冬到来・
北海道は週末からの寒波で
一気に真冬の様相になりました。
一面、雪景色です。
場所によっては除雪車が、早くも出動となりました。
根雪ではなく、すぐに溶けるでしょうが、
多くの車はスタットレスに履き替えたことでしょう。
我が家も、急遽、冬のタイヤに変えました。
久しぶりの冬道なので、
みんなゆっくりと走っています。
北国は、冬、到来です。
先日、交尾したまま化石がみつかり話題になりました。私も、この論文の写真をみて驚きました。このような化石は、可能性としてはあるでしょうが、非常に稀なはずです。その上この化石は、非常に鮮明に交接の状況が保存されています。
この論文の写真は非常に衝撃があったようで、いくつかの科学ニュース誌で取り上げられました。「最古のセックス」というタイトルをつけて、少々センセーショナルに報じたものもありました。
生物学的に「セックス」とは、生殖行為のことで、雌雄が交接することをいいます。雌雄が生殖をするのは、子孫を残すために不可欠な行為です。雌雄で子孫を残す方法は、有性生殖と呼ばれます。
生物に雌雄の性別があるのは、いろいろなメリット、デメリットがあります。
まずデメリットは、少なくとも雌雄の2匹がいないと子孫が残せないということです。どちらか一方では子孫は残せません。雌雄が常に一緒にいれば、出会いに関する問題が解消されますが、通常はばらばらに暮らしていています。生殖時に、雌雄がお互いを見つけて交尾します。相手を探すための仕組みが必要となります。
相手を見つけるために、鳥はさえずり、セミは鳴き、蛍は光り、蛾はフェロモンをだし、カゲロウは大量発生します。種によっては、生殖にのみを目的としているかのような、不思議な生き方をしているものもいます。
また、相手を探す時や交尾中は無防備なることも多く、危険の多い行動となります。つまり、有性生殖には、生殖に多大な労力を費やし、危険を背負わなければなりません。
一方、メリットとしては、雌雄で半分ずつの遺伝子が子に伝わるので、遺伝上の多様性をつくりやすくなります。これが最大のメリットといえるでしょう。子は、親の雌雄から半分ずつ遺伝子を受け継ぎますので、片方の親と遺伝子の半分は同じですが、半分は違っています。遺伝子の交換により、子孫に進化を促すという機能が組み込まれています。複雑な体制や機能を持つ雌雄のある生物は、長生きをするものが多く、進化のスピードは遅くなります。進化の速度を上げる方法として、有性生殖は有効な戦略となったのでしょう。
自然界には優勢生殖をとる種が多数い、後述の無誠意生殖よりあとにでてきました。そこには、生存戦略上、有利な点があったからです。それは、有害な突然変異を減らす仕組みが働くためだと考えられています。
有性生殖するために、染色体を半分にする減数分裂がおこり、精子や卵子などの配偶子ができます。配偶子の形成、あるいは生殖時に、有害な変異をもつものは、淘汰されることが多くなり、安全率の高くする生殖になるというものです。
有性生殖はメリット、デメリットがあり、どのような戦略を取るかによってその割合は違ってきます。今後の繁栄や衰退は不明ですが、少なくとも現在生きている種は、生存戦略上は成功者であるはずです。
有性生殖に対して、一匹で子孫を残す方法もあり、無性生殖といいます。一つの個体が二つに分裂して増える方法です。同じ遺伝子のコピーをするだけなので、条件さえ整えば、簡単に増えることができます。生殖活動にかかわる労力は、有性生殖に比べて少なくてすみます。非常に単純で有効な子孫を残すシステムでもあります。
もし増殖中に、ミスコピー(突然変異)が生じたら、以降の個体はすべてそのミスコピーのまま複製されていきます。突然変異がその種にとって不利なものであれば、種の縮小や絶滅を引き起こします。突然変異が有利なものであれば、その個体の進化を促進します。突然変異は諸刃の刃として、進化の手段として組み込まれています。ただし、偶然に頼った進化戦略といえます。でも、生き残っている種が多数いることから、成功している戦略といえます。
次回は、化石の話しをしていきましょう。
・化石の画像・
インターネットが見れる環境であれば、
次の論文の写真をみてください。
http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0078188
なかなか感動的な化石であることがわかるはずです。
よく保存されていたなあと、感心してしまいます。
横向きに交尾状態のまま埋もれたようです。
なぜこのような化石が残ったかは次回紹介しますが、
インパクトのある化石です。
・冬到来・
北海道は週末からの寒波で
一気に真冬の様相になりました。
一面、雪景色です。
場所によっては除雪車が、早くも出動となりました。
根雪ではなく、すぐに溶けるでしょうが、
多くの車はスタットレスに履き替えたことでしょう。
我が家も、急遽、冬のタイヤに変えました。
久しぶりの冬道なので、
みんなゆっくりと走っています。
北国は、冬、到来です。
登録:
投稿 (Atom)