1月の誕生石は、ガーネットです。和名としては、柘榴石(ざくろいし)という名称があります。しかし、今では、ガーネットのほうが普及しているようです。そんなガーネットの話を、今回はしていきましょう。
ガーネットは、英語のgarnetを、そのままカタカナ書きしたものです。ガーネットの和名は、石榴石です。和名の石榴石は、文字が示すように、ガーネットの結晶は、集合して出ることが多く、そのようすが石榴の種(たね)のようにみえることから、つけられたものです。
ガーネットは、立方晶系に属する鉱物です。ガーネットそれ自体は、結晶でひとつの鉱物ですが、単一の成分からできているのではなく、6つの成分の組み合わせでできています。このように、ひとうの結晶だけれど、いくつかの成分(端成分(たんせいぶん)といます)をもち、その間の成分の混合比が自由にとれる結晶を固溶体(こようたい)といいます。
カーネットは、岩石をつくる代表的な鉱物(造岩鉱物)のなかでも、複雑な成分を持つものです。6つの端成分は、パイロープ、アルマンディン、スペサルティン、ウバロバイト、グロッシュラー、アンドラダイト、です。
パイロープ、アルマンディン、スペサルティンの3成分は、連続に成分が変化していく固溶体をつくる系列で、これを3つの端成分の頭の文字を並べて、パイラルスパイト(pyralspite)とよぶことがあります。最後の2成分、グロッシュラーとアンドラダイトも連続的な固溶体の系列をつくり、グランダイト(grandite)と呼ぶことがあります。しかし、パイラルスパイトとグランダイトとの2つの系列は、完全な固溶体をつくりません。
6つのそれぞの端成分に近いガーネットは、特徴をもち、出る場所もちがっています。
パイロープ(pyrope、Mg3Al2(SiO4)3)は、苦礬(くばん)石榴石という和名をもちます。マグネシウムとアルミニウムを、主成分としています。パイロープは、高圧変成岩やカンラン岩からみつかります。淡い桃色から、血のような赤色を示します。
アルマンディン(almandine、Fe3Al2(SiO4)3)は、鉄礬(てつばん)石榴石よばれ、鉄とアルミニウムが主成分です。アルマンディンは、変成岩や酸性火成岩に広く見られる鉱物で、石榴石の仲間で、もっともふつうにみられるものです。暗い赤色から、暗い褐色をもちます。四方に尾をひいた星のように輝くスター効果をもつものもあります。
1月の誕生石のような宝石として、ガーネットとされものは、アルマンディンからパイロープ、そしてその間の固溶体である(ロードライト、rhodoliteとよばれることがあります)の3種です。
スペサルチン(spessartine、Mn3Al2(SiO4)3)は、満礬(まんばん)石榴石とよばれ、マンガンとアルミニウムを主成分としています。スペサルティンは、マンガンをたくさん含む結晶片岩や、マンガン鉱床帯、酸性火成岩にでます。黄橙色から、赤褐色の結晶で、宝石として利用はされません。
ウバロバイト(uvarovite、Ca3Cr2(SiO4)3)は、灰クロム石榴石とよばれ、クロムとカルシウムが主成分です。ウバロバイトはクロム鉄鉱床や接触変成岩にでます。色は、緑色あるいはエメラルドグリーンなのですが、結晶がごく小さいため、宝石としてもちいることができません。
グロッシュラー(grossular、Ca3Al2(SiO4)3)は、灰礬(かいばん)石榴石とよばれ、カルシウムとアルミニウムが主成分です。グロッシュラーと次に説明するアンドラダイトは、石灰質堆積岩が熱変成や広域変成作用を受けたときに生成されます。グロッシュラーは、白色から褐色ですが、南アフリカでとれる緑色のものは、産地名をとって、トランスバール・ジェードとよばれて、珍重されています。
アンドラダイト(andradite、Ca3Fe2(SiO4)3)は、灰鉄石榴石という和名を持ち、カルシウムと鉄が主成分です。この石榴石は、成分や色(黄緑から黒色が多い)が、広い範囲で変化します。アンドラダイトは、上で述べた変成岩だけでなく、アルカリ深成岩に出ることがあります。黒く不透明なものは黒ザクロ石とよばれ、イタリアから産する透明な黄色のものは、トパーズに似ているためトパゾライトとよばれることがあります。
美しい結晶は宝石として用いますが、宝石とならないものは、硬度6~7.5ですが、研磨材として用いられています。最近では、石榴石構造の合成結晶としてYAG(化学組成Y3Al5O12)やYIG(化学組成Y3Fe5O12)が、レーザー発生のための素子や、磁性体として広く用いられています。
・石榴・
ガーネットをいまや、石榴石と書く人はほとんど見かけません。
ちなみに、このエッセイでは、あえて、
和名の石榴石という書き方をしてみました。
しかし、和名の「石榴石」を、
「ざくろいし」と読める人は、どれほどいるでしょうか。
果実である石榴を見たことのある人は、どれほどいるでしょうか。
まして、石榴を食べてみて、その味を知っている人は、
どれくらい、いるでしょうか。
そのような現状を考えると、和名の柘榴石が使われなくなったのは、
仕方がいないことかも知れません。
古くからの和名が、消えていくこと、
それは、単に鉱物名が、カタカナになったというだけでなく、
石榴という、文字、そして自然、文化が
消えていきつつあることを象徴しているのかもしれません。
・ガーネットの赤1・
ガーネットの和名は、柘榴石でした。
英語のgarnetの語源は、ラテン語のgranatusです。
これは、「種(たね)をもつ」という意味で、
日本語と似た語源となっています。
ガーネットは古くから宝石として使われた結晶のようです。
古代エジプト遺跡からは、ガーネットを彫刻したものが出土します。
ギリシア・ローマ時代には、お守りとして用いられたようです。
それは、ガーネットの赤色が、血を連想させるため、
負傷から身を守ると考えれました。
血の色を嫌うのではなく、血の色が身を守ると考えたのです。
ものは、考えようです。
中世の十字軍兵士も、戦場におもむく時、
赤い小さいなガーネットを好んで身に着けたと伝えられています。
そのような丸く小さくカットされたガーネットは、
カーバンクル(carbuncle)と呼ばれています。
・ガーネットの赤2・
ガーネットの赤は、真実、友愛、忠実を象徴しているといいます。
非常にすばらしい言葉をもつ宝石です。
ガーネットも身につけている人は、
真実、友愛、忠実を持っている人でしょうか。
それとも、ガーネットにあやかって、
真実、友愛、忠実を身に着けたいのという
潜在的な願望を示しているのでしょうか。
これも、ものは考えようですね。
2003年1月9日木曜日
2003年1月2日木曜日
6_19 富士山:災害と防災
富士山は、標高3,776mで、日本で一番高い山、つまり歌でうたわれるように「日本一の山」でもあるわけです。でも、富士山は、高いだけでなく、まわりの山から独立し、きれいな円錐形をしているので、姿かたちからも、「日本一の山」というにふさわしい山です。ところが、このきれいな姿は、火山活動の繰り返しでつくられたものなのです。富士山は、これからも活動する活火山なのです。
富士山の最初の火山活動は、約10万年前です。その後、繰り返し起こった噴火と、何度かの山体の崩壊をへて、約1万年前には、今のようなきれいな姿の成層火山となりました。その火山の記録は、周辺に広がる溶岩や火山噴出物などの研究や、古文書などの記録から詳しく再現されてきています。そのような研究から、1万年前に誕生した現在の富士山は、まだ活動途中の火山で、これからもまだまだ活動する若い活火山であることがわかってきました。
富士山の噴火としては、1707年(宝永4年)の噴火が有名です。このときの噴火によって、富士山の南東腹側の3つの火口(宝永(ほうえい)火口と呼ばれています)ができました。300年も前の噴火ですが、このときの噴火はすさまじく、また、当時日本で最大の都市であった江戸に近かったので、記録もたくさん残っています。
その後、富士山では大規模な噴火はないのですが、2000年10月から12月、そして2001年4月から5月にかけて、低周波の地震が、富士山で多発しました。このときのことは、マスコミでも報道され、富士山が噴火するのでは、という心配がされました。しかし、地震がおさまるとともに、報道もおさまりました。まさに、喉もと過ぎれば、なんとやらです。
実は、研究者は、それほど噴火を心配していませんでした。なぜなら、震源は浅くはなかったし、地殻変動も観測されていなかったからです。少し、それについて説明しましょう。
火山とは、マグマが深部から地表に上昇してきて、噴出する現象です。地下にはもちろん岩石がつまっています。マグマがあがってくるには、上にある岩石を押しのけなければなりません。岩石は硬いものです。ですから、押しのける時には、岩石が割れたり、壊れたりします。これが地震です。ですから、マグマがあがってくる時には、震源がだんだん深いところから上に向かって移動してきます。そして、浅いところまで震源がきたとき、火山が噴火するのです。
また、マグマが地表近くまで、上がってくると、地表は持ち上げられます。そこが山なら、山の傾斜に変化がおこります。
このような現象が、今回の富士山の活動では、見られなかったのです。
噴火の可能性がある活火山では、地震計や傾斜計(地表の傾斜を測定する装置)を多数設置して、常時、観測されています。このような観測がされているとこでは、噴火の危険性があるかどうかは、早期に予測することができます。まだ、日時や、噴火の場所、規模などの正確な予測はできませんが、精度は、かなり上がってきています。
火山は、自然現象です。ですから、人は、観測や予測はできますが、防止することはできません。火山噴火は、とめることはできないのです。したがって、火山噴火のような自然現象に対して、人がどう対処するかが、防災という考え方によります。
もし、火山や地震で被害がなかったとしたら、それは、たんなる自然現象にすぎなくなります。もし、被害が生まれたとき、その自然現象は、災害となります。災害とは、自然現象に対して、人がどう対処したかということが加味された、総合的な結果といえます。ですから、災害を減らし、なくすために防災に取り組めば、いいのです。
防災をしないときは、もちろん被害は大きくなります。その時の災害は、人災の要素が多くなっています。ですから、最近では、観測のいきとどいた火山では、大量の人が被害を受けることは少なくなってきました。
防災は、研究者、行政、メディア、そして市民が、有機的に連携することが大切です。研究者の長年の努力よって、観測により噴火の予測は、かなりの精度があがってきました。その情報に基づいて、防災の対策をどうするかについては、近年では行政側の取り組みには、目覚しいものがあります。
あとは、その成果が、市民にどの程度伝えられ、取り入れられるかです。そのためには、メディアが、火山という自然現象への見識をもち、防災の重要さの認識し、そしてそれを市民に伝えるという責務を果たす必要があります。
さらに、最終的には、各個人が、その危険性と安全性を理解し、緊急時の対処を常に意識していなければなりません。ですから、「喉もと過ぎれば」、というのは、まだ、その連携が不十分であるということなのでしょう。
この統合的な結果が、火山災害になるか、あるいは火山という自然現象になるかの分かれ目かもしれません。
富士山はまだまだ若く、これからも活動を続けるはずです。ですから、「日本一」の雄姿をみたとき、富士山は、火山噴火によってつくられ、今後もまだ富士山は活動を続けるのだ、ということを再確認する必要があります。富士山は、活火山なのです。
・新シリーズのはじまり・
あけましておめでとうございます。
1月2日発行のメールマガジンですから、
めでたいことの一つも書こうかと思って、
富士山について書き始めたら、
ついつい防災の話になりました。
これは、新企画のシリーズなのです。
もしかしたら、この企画がメールマガジンの読者に
お年玉になればと思っています。
この文章は、ERSDACというところで連載をはじめた企画です。
月一回の予定で、書きはじめました。
ERSDACの連載は、このメールマガジンと連動しています。
そして、ERSDACのホームページでは、このエッセイとともに
高精度の画像が見ることができます。
メールマガジンでは、テキストが主体です。
画像はホームページでということになっています。
しかし、私のホームページでは、
初期の頃は画像を入れていたのですが、
今では、テキストのだけです。
ですから、画像、それも高精度の画像を使って、
科学教育をしてみたいと考えていました。
そのとき、このような企画ができたので、
このメールマガジンと連動すれば、
面白いものになるのではと考えました。
そしてはじめたのが、
月一回の
宇宙、地球、人:宇宙と人のはざまにて
というシリーズです。
・新企画の説明・
ERSDACとは、
Earth Remote Sensing Data Analysis Center
の略で、
財団法人 資源・環境観測解析センター
のことです。
アメリカ合衆国NASAの地球観測衛星Terraに搭載されている
経済産業省が開発したASTERというセンサがあります。
ASTERのデータ利用技術開発と地上データ・システム開発を
ERSDACが担当しています。
ERSDACのデータ利用の目的の一つに
普及・啓発事業があります。
その目的に、私の科学教育の目的が一致し、
この連載をはじめることになりました。
ぜひ、一度ホームページをご覧ください。
http://www.ersdac.or.jp/Others/geoessay_htm/index_geoessay_j.htm
本当は、最高精度の画像(20Mb程度)を公開したかったのですが、
WEBの回線の都合で、
2Mb程度の精度のものしか掲載できませんでした。
でも、個人で楽しむには充分なものだと思います。
衛星画像としてはLANDSATが有名ですが、
ASTERは、LANDSATと同じ波長域をカバーしながら、
分解能、つまり、
どれほどの大きさのものまでが識別できるかというの力
が、格段に勝っています。
LANDSATの分解能が、80mであったのに対し、
ASTERは、15mという精度を誇っています。
さらに、センサを真下だけでなく、後ろに向けて撮影をすることができます。
その2種類の画像を組み合わせて、
標高10mほどの精度で地形データを作成することができます。
それを利用して、今回ホームページで紹介したような
3次元的に鳥瞰図を書くことができます。
私もリモートセンシングについては、興味があったのですが、
まだ、勉強していませんでした。
これから、この連載を通じて学んでいきたいと思っています。
そして、ASTERが見た画像と、
地表からみた私の感想と画像の組み合わせを楽しんでください。
・連載の目的・
以下は、私が、「宇宙、地球、人:宇宙と人のはざまにて」という連載をはじめる動機を書いたいものです。
黒い宇宙空間に浮かぶ青い地球。人類として最初に宇宙に飛び出した宇宙飛行士ガガーリンは「地球は青かった」といいました。日本人として二度も宇宙を旅した毛利衛さんは「国境線はみえません」といいました。こんな宇宙からの視点が、私たちに重要なことをいくつか教えてくれました。そんな中でも、私には、相反する2つの視点が、大切に思えます。
一つは、ひと目で全体を見わたす、という視点を提供してくれました。多くの人にとって地球のイメージは、現在では、宇宙からみたものになっています。それも、アポロ宇宙船がとった、地球の全景だ多いのではないのでしょうか。それほど、宇宙からの情報は、共通の知識、あるいは常識として、私たちの日常生活にはいりこんでいるのです。つまり、「宇宙から見た地球」が身近な存在になっています。
宇宙空間に浮かぶ丸い地球をみせれば、誰でも、地球が丸いことがわかります。また、その地球が、青いこと、国境線がないことも、一枚の衛星画像からわかります。まさに「百聞は一見にしかず」です。宇宙から見た一枚の画像に非常に多くの情報が盛り込まれていたのです。視点を変えること、それも今まで見れなかった全体像を提供することによって、だれでもひと目で理解できるということを、たった一枚の衛星画像が象徴的に示してくれたのです。
地球が、丸いこと、青いこと、国境線がないことを知るためにわざわざ宇宙に行く必要はないのです。地球の表面からでも、十分知ることができます。私たちは、日ごろ、自分の足で歩き、自分の身長程度の高さの視点で身のまわりを見ています。これが、日常的な私たちの視点です。そんな視点でも、地球がまるいこと、そして国境線がないこと、そして青いことも知ることができます。しかし、それは一目瞭然とはいきません。多くの知恵や知識の積み重ねで、それがわかってきます。まさに「地道(じみち)」な積み重ねです。
でも、宇宙からの視点では、誰もが、一見して納得できる知恵を授けてくれたのです。これは地道に対して「天道(あまみち、と呼びましょう)」とでもいうべきことかもしれません。一瞬にして、全体を、誰でも理解させてしまうような方法だってあるのです。宇宙からの視点は、「地道」のほかに、「天道」があることを教えてくれたことのではないでしょうか。
もうひとつ、宇宙からの視点が教えてくれることは、自分たちの生(なま)の視線と宇宙からの視線には、大きな開きがあるということです。「地道」と「天道」には大きな開きがあるのです。
「宇宙から見た地球」は、身近なものといいましたが、本当に身近になっているでしょうか。もしかしたら、それは、テレビやメディアから伝えられるその他多数のニュースの一つ、あるいは自分とはあまりにもかけはなれた現実と、思っていないでしょうか。現実の情報なのですが、「地道」と「天道」とは、あまりに離れているので、現実感がないのです。それは、自分たちの生の視線とは、等身大の視点、つまり「人道(ひとみち、と呼びましょう)」というべきもだからでしょう。
宇宙空間に浮かぶ地球を見た瞬間に、地球とは、宇宙と人の狭間(はざま)に存在するものとなったのではないでしょうか。
図鑑で、ライオンやキリン、ゾウをいくらみても、実物をみなければ感じられないこともあるのです。宇宙から見た地球も、図鑑のライオンと同じはずです。でも、それを補って実在化させるのが、上で述べた方法、「地道」な方法です。多くの知恵や知識の積み重ねでつくりあげる「地道」な方法を、今こそ使うべきです。
このページでは、宇宙からの画像と、地表からの画像が掲載されています。宇宙の画像は、「天道」にあたり、地表からの画像は「地道」にあたります。それに加えて、それぞれの地域にまつわる私自身の考え、経験、見方、そして地質学的な情報も加味して、エッセイも掲載します。いってみれば、私個人の視点ではありますが、「人道」の視点というものにあたるかもしれません。もし、このエッセイという視点(人道)と、地上からの視点(地道)、宇宙からの視点(天道)が、なんらかの形で融合して、読者や閲覧者に、さまざまな視点で見た地球に興味を抱いていただいければ、このページの目的は達成できます。
ぜひ、宇宙から見た地球、人から見た地球など、そして宇宙と人とはまざにいる地球のさまざまな姿を味わってください。
富士山の最初の火山活動は、約10万年前です。その後、繰り返し起こった噴火と、何度かの山体の崩壊をへて、約1万年前には、今のようなきれいな姿の成層火山となりました。その火山の記録は、周辺に広がる溶岩や火山噴出物などの研究や、古文書などの記録から詳しく再現されてきています。そのような研究から、1万年前に誕生した現在の富士山は、まだ活動途中の火山で、これからもまだまだ活動する若い活火山であることがわかってきました。
富士山の噴火としては、1707年(宝永4年)の噴火が有名です。このときの噴火によって、富士山の南東腹側の3つの火口(宝永(ほうえい)火口と呼ばれています)ができました。300年も前の噴火ですが、このときの噴火はすさまじく、また、当時日本で最大の都市であった江戸に近かったので、記録もたくさん残っています。
その後、富士山では大規模な噴火はないのですが、2000年10月から12月、そして2001年4月から5月にかけて、低周波の地震が、富士山で多発しました。このときのことは、マスコミでも報道され、富士山が噴火するのでは、という心配がされました。しかし、地震がおさまるとともに、報道もおさまりました。まさに、喉もと過ぎれば、なんとやらです。
実は、研究者は、それほど噴火を心配していませんでした。なぜなら、震源は浅くはなかったし、地殻変動も観測されていなかったからです。少し、それについて説明しましょう。
火山とは、マグマが深部から地表に上昇してきて、噴出する現象です。地下にはもちろん岩石がつまっています。マグマがあがってくるには、上にある岩石を押しのけなければなりません。岩石は硬いものです。ですから、押しのける時には、岩石が割れたり、壊れたりします。これが地震です。ですから、マグマがあがってくる時には、震源がだんだん深いところから上に向かって移動してきます。そして、浅いところまで震源がきたとき、火山が噴火するのです。
また、マグマが地表近くまで、上がってくると、地表は持ち上げられます。そこが山なら、山の傾斜に変化がおこります。
このような現象が、今回の富士山の活動では、見られなかったのです。
噴火の可能性がある活火山では、地震計や傾斜計(地表の傾斜を測定する装置)を多数設置して、常時、観測されています。このような観測がされているとこでは、噴火の危険性があるかどうかは、早期に予測することができます。まだ、日時や、噴火の場所、規模などの正確な予測はできませんが、精度は、かなり上がってきています。
火山は、自然現象です。ですから、人は、観測や予測はできますが、防止することはできません。火山噴火は、とめることはできないのです。したがって、火山噴火のような自然現象に対して、人がどう対処するかが、防災という考え方によります。
もし、火山や地震で被害がなかったとしたら、それは、たんなる自然現象にすぎなくなります。もし、被害が生まれたとき、その自然現象は、災害となります。災害とは、自然現象に対して、人がどう対処したかということが加味された、総合的な結果といえます。ですから、災害を減らし、なくすために防災に取り組めば、いいのです。
防災をしないときは、もちろん被害は大きくなります。その時の災害は、人災の要素が多くなっています。ですから、最近では、観測のいきとどいた火山では、大量の人が被害を受けることは少なくなってきました。
防災は、研究者、行政、メディア、そして市民が、有機的に連携することが大切です。研究者の長年の努力よって、観測により噴火の予測は、かなりの精度があがってきました。その情報に基づいて、防災の対策をどうするかについては、近年では行政側の取り組みには、目覚しいものがあります。
あとは、その成果が、市民にどの程度伝えられ、取り入れられるかです。そのためには、メディアが、火山という自然現象への見識をもち、防災の重要さの認識し、そしてそれを市民に伝えるという責務を果たす必要があります。
さらに、最終的には、各個人が、その危険性と安全性を理解し、緊急時の対処を常に意識していなければなりません。ですから、「喉もと過ぎれば」、というのは、まだ、その連携が不十分であるということなのでしょう。
この統合的な結果が、火山災害になるか、あるいは火山という自然現象になるかの分かれ目かもしれません。
富士山はまだまだ若く、これからも活動を続けるはずです。ですから、「日本一」の雄姿をみたとき、富士山は、火山噴火によってつくられ、今後もまだ富士山は活動を続けるのだ、ということを再確認する必要があります。富士山は、活火山なのです。
・新シリーズのはじまり・
あけましておめでとうございます。
1月2日発行のメールマガジンですから、
めでたいことの一つも書こうかと思って、
富士山について書き始めたら、
ついつい防災の話になりました。
これは、新企画のシリーズなのです。
もしかしたら、この企画がメールマガジンの読者に
お年玉になればと思っています。
この文章は、ERSDACというところで連載をはじめた企画です。
月一回の予定で、書きはじめました。
ERSDACの連載は、このメールマガジンと連動しています。
そして、ERSDACのホームページでは、このエッセイとともに
高精度の画像が見ることができます。
メールマガジンでは、テキストが主体です。
画像はホームページでということになっています。
しかし、私のホームページでは、
初期の頃は画像を入れていたのですが、
今では、テキストのだけです。
ですから、画像、それも高精度の画像を使って、
科学教育をしてみたいと考えていました。
そのとき、このような企画ができたので、
このメールマガジンと連動すれば、
面白いものになるのではと考えました。
そしてはじめたのが、
月一回の
宇宙、地球、人:宇宙と人のはざまにて
というシリーズです。
・新企画の説明・
ERSDACとは、
Earth Remote Sensing Data Analysis Center
の略で、
財団法人 資源・環境観測解析センター
のことです。
アメリカ合衆国NASAの地球観測衛星Terraに搭載されている
経済産業省が開発したASTERというセンサがあります。
ASTERのデータ利用技術開発と地上データ・システム開発を
ERSDACが担当しています。
ERSDACのデータ利用の目的の一つに
普及・啓発事業があります。
その目的に、私の科学教育の目的が一致し、
この連載をはじめることになりました。
ぜひ、一度ホームページをご覧ください。
http://www.ersdac.or.jp/Others/geoessay_htm/index_geoessay_j.htm
本当は、最高精度の画像(20Mb程度)を公開したかったのですが、
WEBの回線の都合で、
2Mb程度の精度のものしか掲載できませんでした。
でも、個人で楽しむには充分なものだと思います。
衛星画像としてはLANDSATが有名ですが、
ASTERは、LANDSATと同じ波長域をカバーしながら、
分解能、つまり、
どれほどの大きさのものまでが識別できるかというの力
が、格段に勝っています。
LANDSATの分解能が、80mであったのに対し、
ASTERは、15mという精度を誇っています。
さらに、センサを真下だけでなく、後ろに向けて撮影をすることができます。
その2種類の画像を組み合わせて、
標高10mほどの精度で地形データを作成することができます。
それを利用して、今回ホームページで紹介したような
3次元的に鳥瞰図を書くことができます。
私もリモートセンシングについては、興味があったのですが、
まだ、勉強していませんでした。
これから、この連載を通じて学んでいきたいと思っています。
そして、ASTERが見た画像と、
地表からみた私の感想と画像の組み合わせを楽しんでください。
・連載の目的・
以下は、私が、「宇宙、地球、人:宇宙と人のはざまにて」という連載をはじめる動機を書いたいものです。
黒い宇宙空間に浮かぶ青い地球。人類として最初に宇宙に飛び出した宇宙飛行士ガガーリンは「地球は青かった」といいました。日本人として二度も宇宙を旅した毛利衛さんは「国境線はみえません」といいました。こんな宇宙からの視点が、私たちに重要なことをいくつか教えてくれました。そんな中でも、私には、相反する2つの視点が、大切に思えます。
一つは、ひと目で全体を見わたす、という視点を提供してくれました。多くの人にとって地球のイメージは、現在では、宇宙からみたものになっています。それも、アポロ宇宙船がとった、地球の全景だ多いのではないのでしょうか。それほど、宇宙からの情報は、共通の知識、あるいは常識として、私たちの日常生活にはいりこんでいるのです。つまり、「宇宙から見た地球」が身近な存在になっています。
宇宙空間に浮かぶ丸い地球をみせれば、誰でも、地球が丸いことがわかります。また、その地球が、青いこと、国境線がないことも、一枚の衛星画像からわかります。まさに「百聞は一見にしかず」です。宇宙から見た一枚の画像に非常に多くの情報が盛り込まれていたのです。視点を変えること、それも今まで見れなかった全体像を提供することによって、だれでもひと目で理解できるということを、たった一枚の衛星画像が象徴的に示してくれたのです。
地球が、丸いこと、青いこと、国境線がないことを知るためにわざわざ宇宙に行く必要はないのです。地球の表面からでも、十分知ることができます。私たちは、日ごろ、自分の足で歩き、自分の身長程度の高さの視点で身のまわりを見ています。これが、日常的な私たちの視点です。そんな視点でも、地球がまるいこと、そして国境線がないこと、そして青いことも知ることができます。しかし、それは一目瞭然とはいきません。多くの知恵や知識の積み重ねで、それがわかってきます。まさに「地道(じみち)」な積み重ねです。
でも、宇宙からの視点では、誰もが、一見して納得できる知恵を授けてくれたのです。これは地道に対して「天道(あまみち、と呼びましょう)」とでもいうべきことかもしれません。一瞬にして、全体を、誰でも理解させてしまうような方法だってあるのです。宇宙からの視点は、「地道」のほかに、「天道」があることを教えてくれたことのではないでしょうか。
もうひとつ、宇宙からの視点が教えてくれることは、自分たちの生(なま)の視線と宇宙からの視線には、大きな開きがあるということです。「地道」と「天道」には大きな開きがあるのです。
「宇宙から見た地球」は、身近なものといいましたが、本当に身近になっているでしょうか。もしかしたら、それは、テレビやメディアから伝えられるその他多数のニュースの一つ、あるいは自分とはあまりにもかけはなれた現実と、思っていないでしょうか。現実の情報なのですが、「地道」と「天道」とは、あまりに離れているので、現実感がないのです。それは、自分たちの生の視線とは、等身大の視点、つまり「人道(ひとみち、と呼びましょう)」というべきもだからでしょう。
宇宙空間に浮かぶ地球を見た瞬間に、地球とは、宇宙と人の狭間(はざま)に存在するものとなったのではないでしょうか。
図鑑で、ライオンやキリン、ゾウをいくらみても、実物をみなければ感じられないこともあるのです。宇宙から見た地球も、図鑑のライオンと同じはずです。でも、それを補って実在化させるのが、上で述べた方法、「地道」な方法です。多くの知恵や知識の積み重ねでつくりあげる「地道」な方法を、今こそ使うべきです。
このページでは、宇宙からの画像と、地表からの画像が掲載されています。宇宙の画像は、「天道」にあたり、地表からの画像は「地道」にあたります。それに加えて、それぞれの地域にまつわる私自身の考え、経験、見方、そして地質学的な情報も加味して、エッセイも掲載します。いってみれば、私個人の視点ではありますが、「人道」の視点というものにあたるかもしれません。もし、このエッセイという視点(人道)と、地上からの視点(地道)、宇宙からの視点(天道)が、なんらかの形で融合して、読者や閲覧者に、さまざまな視点で見た地球に興味を抱いていただいければ、このページの目的は達成できます。
ぜひ、宇宙から見た地球、人から見た地球など、そして宇宙と人とはまざにいる地球のさまざまな姿を味わってください。
2002年12月26日木曜日
1_20 太陽のかけら(2002年12月26日)
コンドライトとよばれる石質隕石は、太陽系の初期にできた丸い粒、コンドリュールが集まったものでした。そして、それをうまく読みとると、太陽系誕生の謎が解けます。そんな謎の解明で、いちばんの主役になった隕石を、紹介しましょう。
石質隕石の中に、面白いく、変わった隕石があります。それは、炭素質コンドライトと呼ばれるものです。もちろん、コンドライト仲間ですから、コンドリュールは持っています。炭素質コンドライトは、すべて隕石のうち、約4パーセントしか含まれていません。鉄隕石程度の頻度ではあるのですが、酸素質コンドライトから、読み解けることは、非常に貴重な情報なのです。
この炭素質コンドライトは、太陽系の起源を知る上で重要なものです。そのわけは、化学成分にあります。
炭素質コンドライトにふくまれている全ての元素について、濃度が正確に調べられています。このように、ある物質で、すべての元素について、濃度が調べられているものは、地球のものでも、そうそうありません。すべての元素組成を調べるのは、多数の分析装置をつかっておこなわなければならない、非常に大変なことだからです。
炭素質コンドライトの化学組成と、太陽のものを比べてみると面白いことがわかりました。もちろん、太陽は気体で、隕石は固体ですから、固体にならない成分を比べることはできません。比べるのは、固体として隕石に入る成分だけになります。でも、気体でしか存在しない成分は、全元素の一部ですので、多くの元素で元素で比べることができます。
比べた結果、太陽と隕石は、そっくりな成分からできていることがわかったのです。
前に隕石は、できた年代が一致し、約45億年前だといいました。もちろん、炭素質コンドライトのできた年代も同じです。そして、太陽系の物質の中で、いちばん古い年代であります。45億年前という年代は、太陽ができた時代でもあります。ですから、炭素質コンドライトは、太陽と同時に、それも同じものからできたといえます。いってみれば、太陽と炭素質コンドライトは兄弟、あるいは炭素質コンドライトは、太陽の「カケラ」、太陽をつくった材料の「化石」といえます。さらにいえば、太陽系全体の「カケラ」でもあり、材料でもあるのです。もちろん、地球も炭素質コンドライトのようなものからできたことになります。
炭素質コンドライトに含まれている成分を、詳しくみていきますと、水(H2O)や二酸化炭素(CO2)、炭素(C)などの気体になりやすい成分も含んでいいます。多いものでは、重量で10パーセント以上も含んでいることもあります。このような成分が、地球の大気や海洋になり、そして、海洋からは生命が生まれます。
さらに、炭素質コンドライトには、鉄(鉄の硫化物のかたち)も、たくさん含まれています。硫化鉄は、石の成分より、溶ける温度が低く、なおかつ比重が大きいので、原始地球で温度が高くなると、固体成分としては、硫化鉄が最初に溶けて、そして深部に沈んでいきます。地球内部の高温高圧の状態では、硫化鉄は、鉄とイオウに分解し、重い鉄は、さらに内部に、軽いイオウは地球表層に逃げていきます。沈んでいった鉄は、もちろん地球の核になっていきます。
このようにみていくと、太陽系で最初にできた素材を、そのまま利用して、少々加熱調理すれば、簡単に地球はできてしまいそうです。炭素質コンドライトは、太陽、地球、そして私たち自身の材料だったのです。
・雪の調査行・
実は、このメールマガジンが出るころは、
道南のほうをうろうろしています。
だめでもともといいう気持ちで、海と川の石と砂の採集するための
調査を決行しています。
北海道では、冬は調査調査ができません。
でも、もしかしたら道南のほうの調査ができるのではないかと、
淡い望みを抱いて調査をしています。
12月23日から28日までです。
冬休みですので、家族旅行をかねています。
もちろん、同じ泊るのなら温泉です。
宿泊は温旅館となります。
なにしろ、北海道は広いせいもあるのでしょうけれど、
日本でいちばん温泉の多い都道府県だそうです。
泊まるなら温泉でしょう。
・継続の動機・
本号で121号です。
「地球のささやき」は、週刊メールマガジンですので、
2年以上休むことなく発行し続けてきました。
もちろん、「まぐまぐ」という発行システム、
そして発行予約ができるという機能があったから、
成し遂げられたことです。
でも、なんといっても、
読者がいて、そして時々いただくメールが、
継続のいちばんの要因だと思っています。
もちろん、だれも読む人がいなければ、
このマガジン自体が成立しませんが、
一人でも読者がいて、私が書く気があれば
メールマガジンとして成立するわけです。
そして、一人でも、このマガジンを必要であるということを
私に伝えてくれる人が、私には連載を続ける意義があるわけです。
ホームページについているメールカウンターとは、
そのような読者たちと私との交信の歴史でもあり、
そして、私の継続の動機ともなっています。
反応してくれる読者がいる限り、
私には書く、根拠や励みにになりますし、
いまのところやめるような事情もありません。
それに、書きたいことが、まだまだいっぱいあります。
地球のネタは当分つきそうにありません。
隕石もまだまだ紹介したいことがありますし、
地球に関する新しい報告もあったのですが、
なかなか紹介することもできないままでした。
たとえば、グリーンランド38億年前の化石の間違い。
火星から飛んできた別の隕石からも生命の痕跡を見かったという報告。
マントルに海水が7億年前から逆流していという話。
道南の調査旅行の紀行。
などなど、いっぱいあります。
来年も、地球に関する話題を提供し続けるつもりです。
よろしくお願いします。
・行く年・
本号が、今年最後のメールマガジンとなりました。
隕石シリーズは、来年にも続きます。
そして、来年からは、月一回連載の新シリーズを考えています。
ちょっと変わったものを考えています。
それは、新年の第1号(1月2日号)からはじめますので、
お楽しみにしてください。
この1年間、購読いただいて、ありがとうございました。
メールをいただいた方々、大変励みになりました。
ありがとうございました。
では、よいお年をお迎えください。
石質隕石の中に、面白いく、変わった隕石があります。それは、炭素質コンドライトと呼ばれるものです。もちろん、コンドライト仲間ですから、コンドリュールは持っています。炭素質コンドライトは、すべて隕石のうち、約4パーセントしか含まれていません。鉄隕石程度の頻度ではあるのですが、酸素質コンドライトから、読み解けることは、非常に貴重な情報なのです。
この炭素質コンドライトは、太陽系の起源を知る上で重要なものです。そのわけは、化学成分にあります。
炭素質コンドライトにふくまれている全ての元素について、濃度が正確に調べられています。このように、ある物質で、すべての元素について、濃度が調べられているものは、地球のものでも、そうそうありません。すべての元素組成を調べるのは、多数の分析装置をつかっておこなわなければならない、非常に大変なことだからです。
炭素質コンドライトの化学組成と、太陽のものを比べてみると面白いことがわかりました。もちろん、太陽は気体で、隕石は固体ですから、固体にならない成分を比べることはできません。比べるのは、固体として隕石に入る成分だけになります。でも、気体でしか存在しない成分は、全元素の一部ですので、多くの元素で元素で比べることができます。
比べた結果、太陽と隕石は、そっくりな成分からできていることがわかったのです。
前に隕石は、できた年代が一致し、約45億年前だといいました。もちろん、炭素質コンドライトのできた年代も同じです。そして、太陽系の物質の中で、いちばん古い年代であります。45億年前という年代は、太陽ができた時代でもあります。ですから、炭素質コンドライトは、太陽と同時に、それも同じものからできたといえます。いってみれば、太陽と炭素質コンドライトは兄弟、あるいは炭素質コンドライトは、太陽の「カケラ」、太陽をつくった材料の「化石」といえます。さらにいえば、太陽系全体の「カケラ」でもあり、材料でもあるのです。もちろん、地球も炭素質コンドライトのようなものからできたことになります。
炭素質コンドライトに含まれている成分を、詳しくみていきますと、水(H2O)や二酸化炭素(CO2)、炭素(C)などの気体になりやすい成分も含んでいいます。多いものでは、重量で10パーセント以上も含んでいることもあります。このような成分が、地球の大気や海洋になり、そして、海洋からは生命が生まれます。
さらに、炭素質コンドライトには、鉄(鉄の硫化物のかたち)も、たくさん含まれています。硫化鉄は、石の成分より、溶ける温度が低く、なおかつ比重が大きいので、原始地球で温度が高くなると、固体成分としては、硫化鉄が最初に溶けて、そして深部に沈んでいきます。地球内部の高温高圧の状態では、硫化鉄は、鉄とイオウに分解し、重い鉄は、さらに内部に、軽いイオウは地球表層に逃げていきます。沈んでいった鉄は、もちろん地球の核になっていきます。
このようにみていくと、太陽系で最初にできた素材を、そのまま利用して、少々加熱調理すれば、簡単に地球はできてしまいそうです。炭素質コンドライトは、太陽、地球、そして私たち自身の材料だったのです。
・雪の調査行・
実は、このメールマガジンが出るころは、
道南のほうをうろうろしています。
だめでもともといいう気持ちで、海と川の石と砂の採集するための
調査を決行しています。
北海道では、冬は調査調査ができません。
でも、もしかしたら道南のほうの調査ができるのではないかと、
淡い望みを抱いて調査をしています。
12月23日から28日までです。
冬休みですので、家族旅行をかねています。
もちろん、同じ泊るのなら温泉です。
宿泊は温旅館となります。
なにしろ、北海道は広いせいもあるのでしょうけれど、
日本でいちばん温泉の多い都道府県だそうです。
泊まるなら温泉でしょう。
・継続の動機・
本号で121号です。
「地球のささやき」は、週刊メールマガジンですので、
2年以上休むことなく発行し続けてきました。
もちろん、「まぐまぐ」という発行システム、
そして発行予約ができるという機能があったから、
成し遂げられたことです。
でも、なんといっても、
読者がいて、そして時々いただくメールが、
継続のいちばんの要因だと思っています。
もちろん、だれも読む人がいなければ、
このマガジン自体が成立しませんが、
一人でも読者がいて、私が書く気があれば
メールマガジンとして成立するわけです。
そして、一人でも、このマガジンを必要であるということを
私に伝えてくれる人が、私には連載を続ける意義があるわけです。
ホームページについているメールカウンターとは、
そのような読者たちと私との交信の歴史でもあり、
そして、私の継続の動機ともなっています。
反応してくれる読者がいる限り、
私には書く、根拠や励みにになりますし、
いまのところやめるような事情もありません。
それに、書きたいことが、まだまだいっぱいあります。
地球のネタは当分つきそうにありません。
隕石もまだまだ紹介したいことがありますし、
地球に関する新しい報告もあったのですが、
なかなか紹介することもできないままでした。
たとえば、グリーンランド38億年前の化石の間違い。
火星から飛んできた別の隕石からも生命の痕跡を見かったという報告。
マントルに海水が7億年前から逆流していという話。
道南の調査旅行の紀行。
などなど、いっぱいあります。
来年も、地球に関する話題を提供し続けるつもりです。
よろしくお願いします。
・行く年・
本号が、今年最後のメールマガジンとなりました。
隕石シリーズは、来年にも続きます。
そして、来年からは、月一回連載の新シリーズを考えています。
ちょっと変わったものを考えています。
それは、新年の第1号(1月2日号)からはじめますので、
お楽しみにしてください。
この1年間、購読いただいて、ありがとうございました。
メールをいただいた方々、大変励みになりました。
ありがとうございました。
では、よいお年をお迎えください。
2002年12月19日木曜日
1_19 コンドライト(2002年12月19日)
隕石のなかで、いちばん「普通」のものを、今回は紹介しましょう。そんな「普通」の隕石から、なにが読み取れるのでしょう。探っていきましょう。
隕石の中でいちばん多いのは、石質隕石、鉄隕石、石鉄隕石のうち、どれだと思いますか。鉄隕石を思い浮かべた方も、たくさんおられるのではないでしょうか。実際には、石質隕石がいちばん多く、鉄隕石、石鉄隕石の順に少なくなっていきます。
石質隕石は、隕石の個数で見ていくと、大半(94%)を占めます。ちなみに、鉄隕石は4.8%で、石鉄隕石は1.2%しかありません。ですから、隕石といえば、石質隕石なのです。鉄隕石が多いという誤解は、どこから生まれたのでしょか。
多分、隕石と地球の石とで、いちばん違っているは、石鉄隕石か、鉄隕石です。石鉄隕石は、珍しさもあり、大きいものも少ないため、鉄隕石が、珍しい隕石の代表として見せられることが多くなったのだと思われます。
博物館でも、隕石のコーナーの目玉として、大きな鉄隕石がよく展示されています。博物館によっては、鉄隕石を切って金属の断面を出して見せたり、磨いて金属の鉄の塊として見せているところもあるくらいです。ですから、つい隕石といえば、鉄隕石という先入観を持ってしまっているのかもしれません。
さて、石質隕石には、どのようなものがあるのでしょうか。石質隕石には、多く分けて、2つの種類があります。それは、コンドライトとエイコンドライトと呼ばれるものです。両者とも、英語の単語を、そのままカタカナにして日本語としても使っています。
コンドライトは、直径数ミリメートルの丸い粒を含んでいるのが特徴です。この丸い粒を、コンドリュールとよびます。コンドライトとは、コンドリュールを含む隕石ということができます。
一方、エイコンドライトは、英語ではAchondorite と書きます。コンドライトは、Chondoriteと書きますから、コンドライトに「A」という文字がついた語が、エイコンドライトです。英語では、「A」が接頭語としてつくと、否定の意味を表すことがあります。エイコンドライトの「A」の場合もそうです。エイコンドライトとは、コンドライトではない、つまりコンドリュールを含まない石質隕石のことです。
石質隕石をよくみて、丸い粒があればコンドライト、なければエイコンドライトという区分ができます。
では、コンドライトとエイコンドライトは、どちらが多いでしょうか。コンドライトが、ほとんど(91.3%)で、エイコンドライトは少し(8.7%)しかありません。
つまりは、隕石といえば、コンドライトなのです、全隕石のなかの86%がコンドライトになります。もちろん、コンドライトも細分されていますが、コンドライトに共通する特徴は、とりもなおさず、コンドリュールがあることです。
このコンドリュールが、太陽系でいちばん最初にできた固体物質だと考えられています。その理由は、いくつもあるのですが、そのいちばんのものは、コンドリュールの丸い形と年代にあります。
コンドリュールは、丸い形といいましたが、3次元的には球で。宇宙の無重力の状態では、液体は球になります。そして、液体の温度が下がると、球の形をしたまま、固体になります。
もし、その液体が、マグマのような岩石の溶けたものであれば、マグマから岩石ができるようなプロセスで固まっていくはずです。つまり、高温で結晶になるものから順番に固まり、最後にいちばん低い温度で結晶になるものができます。また、急に冷え固まると、結晶が充分できないうちに固まってしまい巣、それは、火山岩のように急に固まったつくり(組織)をしているはずです。
コンドリュールには、液の成分の違い、冷えるスピードの違いなど、ひとつひとつ違った履歴があるはずです。このようなさまざまな履歴をもったコンドリュールが集まったものが、コンドライトになります。
なかには、一緒には、けっしてできないようなコンドリュールも、ひとつのコンドライトから見つかることがあります。まるで、地球の堆積岩の礫岩のようです。礫岩の礫には、さまざまなでき方のものが混在しています。礫岩と同じように、さまざまな履歴のコンドリュールが、ひとつのコンドライト中にみつかるのです。
年代については、別の機会に紹介しますが、どのコンドリュールも、できた年代が一致し、45.6億年前です。これは、太陽系の物質の中で、いちばん古い年代であります。コンドリュールの形成が、いちばん最初に、それも一気に、太陽系全体で起こったことを意味します。
太陽系の初期にできたカケラがコンドライトには詰まっているのです。コンドライトにつまっている太陽系のはじまりの情報を、ジグソーパズルを仕上げるように読み解ければ、私たちの太陽系誕生の謎が解けるわけです。
読み解いた太陽系の誕生の様子も、そのうち、紹介しましょう。
・隕石シリーズ・
隕石シリーズが続いてきます。
まだまだ、続きそうです。
書いている本人も、どれくらい書くつもりなのわかりません。
隕石に関するネタは一杯あります。
でも、とりあえずは、机の中の3種類の隕石については、
紹介したいのです。
まだ、1種類しか紹介していません。
でも、あまり長くなるようだと飽きてしまいますので、
ほどほどにしておきますが、
あと数回は続けるつもりです。
ご期待、あるいはお付き合いください。
・またまた間違い・
わたしにとって、石鉄隕石という語は、どうも鬼門のようです。
実は、前回のメールマガジンで、
「1_17 宇宙からの贈り物」(2002年11月28日)
で、石鉄隕石を石質隕石と、何度も書き間違いをしました。
そのお詫びを長々と書きました。
実は、そのエッセイの中で、
なんと4箇所も同じ間違いをしでかしました。
Kogさんから
「またまた“鉄”と“質”との混乱状態が発生したようですね。(^o^)」
という指摘がありました。
それに対して、私は、
「またまた、それも、4箇所もやってしまいました。
読み返したら、誤字も一箇所ありました。
どうしようもないですね。
単に、誤字ならば、意味は通じるのですが、
今回の場合のように、意味が通じなくなる、
あるいは、誤解を招く、そして、理解できなくなるような場合は、最悪ですね。
何度か見直したつもりなのですが、だめですね。
私の文章はもともと誤字が多いのですが、前々回と今回は特にひどいようです。
前々回は、時間がなかったので、いいわけめいたことができますが、
今回は、見直したつもりなのですが、だめですね。
発行直前に書いて、そして何度か推敲しても、十分推敲できないようです。
何日か前に書いて、発行前にもう一度見直せればよいのですが、
なかなかそうする余裕がありません。
気をつけて推敲するしかないようです。」
というお詫びをしました。
やさしいKogさんは、
「類似した用語や同音異義語が交互に出てくるような文章を
作成しますと、非常にミスが出やすくなります。
手書きの場合は文字を手が覚えているので良いのですが、
キーボードで変換するとついつい間違いを見逃すことになり勝ちですね。」
と慰めてもらいました。
今回も、変換ミス、校正もれがあるかもしれませんが、
もう、言い訳はしません。
指摘をお願いします。
そして私の注意をうながしてください。
よろしくお願いします。
隕石の中でいちばん多いのは、石質隕石、鉄隕石、石鉄隕石のうち、どれだと思いますか。鉄隕石を思い浮かべた方も、たくさんおられるのではないでしょうか。実際には、石質隕石がいちばん多く、鉄隕石、石鉄隕石の順に少なくなっていきます。
石質隕石は、隕石の個数で見ていくと、大半(94%)を占めます。ちなみに、鉄隕石は4.8%で、石鉄隕石は1.2%しかありません。ですから、隕石といえば、石質隕石なのです。鉄隕石が多いという誤解は、どこから生まれたのでしょか。
多分、隕石と地球の石とで、いちばん違っているは、石鉄隕石か、鉄隕石です。石鉄隕石は、珍しさもあり、大きいものも少ないため、鉄隕石が、珍しい隕石の代表として見せられることが多くなったのだと思われます。
博物館でも、隕石のコーナーの目玉として、大きな鉄隕石がよく展示されています。博物館によっては、鉄隕石を切って金属の断面を出して見せたり、磨いて金属の鉄の塊として見せているところもあるくらいです。ですから、つい隕石といえば、鉄隕石という先入観を持ってしまっているのかもしれません。
さて、石質隕石には、どのようなものがあるのでしょうか。石質隕石には、多く分けて、2つの種類があります。それは、コンドライトとエイコンドライトと呼ばれるものです。両者とも、英語の単語を、そのままカタカナにして日本語としても使っています。
コンドライトは、直径数ミリメートルの丸い粒を含んでいるのが特徴です。この丸い粒を、コンドリュールとよびます。コンドライトとは、コンドリュールを含む隕石ということができます。
一方、エイコンドライトは、英語ではAchondorite と書きます。コンドライトは、Chondoriteと書きますから、コンドライトに「A」という文字がついた語が、エイコンドライトです。英語では、「A」が接頭語としてつくと、否定の意味を表すことがあります。エイコンドライトの「A」の場合もそうです。エイコンドライトとは、コンドライトではない、つまりコンドリュールを含まない石質隕石のことです。
石質隕石をよくみて、丸い粒があればコンドライト、なければエイコンドライトという区分ができます。
では、コンドライトとエイコンドライトは、どちらが多いでしょうか。コンドライトが、ほとんど(91.3%)で、エイコンドライトは少し(8.7%)しかありません。
つまりは、隕石といえば、コンドライトなのです、全隕石のなかの86%がコンドライトになります。もちろん、コンドライトも細分されていますが、コンドライトに共通する特徴は、とりもなおさず、コンドリュールがあることです。
このコンドリュールが、太陽系でいちばん最初にできた固体物質だと考えられています。その理由は、いくつもあるのですが、そのいちばんのものは、コンドリュールの丸い形と年代にあります。
コンドリュールは、丸い形といいましたが、3次元的には球で。宇宙の無重力の状態では、液体は球になります。そして、液体の温度が下がると、球の形をしたまま、固体になります。
もし、その液体が、マグマのような岩石の溶けたものであれば、マグマから岩石ができるようなプロセスで固まっていくはずです。つまり、高温で結晶になるものから順番に固まり、最後にいちばん低い温度で結晶になるものができます。また、急に冷え固まると、結晶が充分できないうちに固まってしまい巣、それは、火山岩のように急に固まったつくり(組織)をしているはずです。
コンドリュールには、液の成分の違い、冷えるスピードの違いなど、ひとつひとつ違った履歴があるはずです。このようなさまざまな履歴をもったコンドリュールが集まったものが、コンドライトになります。
なかには、一緒には、けっしてできないようなコンドリュールも、ひとつのコンドライトから見つかることがあります。まるで、地球の堆積岩の礫岩のようです。礫岩の礫には、さまざまなでき方のものが混在しています。礫岩と同じように、さまざまな履歴のコンドリュールが、ひとつのコンドライト中にみつかるのです。
年代については、別の機会に紹介しますが、どのコンドリュールも、できた年代が一致し、45.6億年前です。これは、太陽系の物質の中で、いちばん古い年代であります。コンドリュールの形成が、いちばん最初に、それも一気に、太陽系全体で起こったことを意味します。
太陽系の初期にできたカケラがコンドライトには詰まっているのです。コンドライトにつまっている太陽系のはじまりの情報を、ジグソーパズルを仕上げるように読み解ければ、私たちの太陽系誕生の謎が解けるわけです。
読み解いた太陽系の誕生の様子も、そのうち、紹介しましょう。
・隕石シリーズ・
隕石シリーズが続いてきます。
まだまだ、続きそうです。
書いている本人も、どれくらい書くつもりなのわかりません。
隕石に関するネタは一杯あります。
でも、とりあえずは、机の中の3種類の隕石については、
紹介したいのです。
まだ、1種類しか紹介していません。
でも、あまり長くなるようだと飽きてしまいますので、
ほどほどにしておきますが、
あと数回は続けるつもりです。
ご期待、あるいはお付き合いください。
・またまた間違い・
わたしにとって、石鉄隕石という語は、どうも鬼門のようです。
実は、前回のメールマガジンで、
「1_17 宇宙からの贈り物」(2002年11月28日)
で、石鉄隕石を石質隕石と、何度も書き間違いをしました。
そのお詫びを長々と書きました。
実は、そのエッセイの中で、
なんと4箇所も同じ間違いをしでかしました。
Kogさんから
「またまた“鉄”と“質”との混乱状態が発生したようですね。(^o^)」
という指摘がありました。
それに対して、私は、
「またまた、それも、4箇所もやってしまいました。
読み返したら、誤字も一箇所ありました。
どうしようもないですね。
単に、誤字ならば、意味は通じるのですが、
今回の場合のように、意味が通じなくなる、
あるいは、誤解を招く、そして、理解できなくなるような場合は、最悪ですね。
何度か見直したつもりなのですが、だめですね。
私の文章はもともと誤字が多いのですが、前々回と今回は特にひどいようです。
前々回は、時間がなかったので、いいわけめいたことができますが、
今回は、見直したつもりなのですが、だめですね。
発行直前に書いて、そして何度か推敲しても、十分推敲できないようです。
何日か前に書いて、発行前にもう一度見直せればよいのですが、
なかなかそうする余裕がありません。
気をつけて推敲するしかないようです。」
というお詫びをしました。
やさしいKogさんは、
「類似した用語や同音異義語が交互に出てくるような文章を
作成しますと、非常にミスが出やすくなります。
手書きの場合は文字を手が覚えているので良いのですが、
キーボードで変換するとついつい間違いを見逃すことになり勝ちですね。」
と慰めてもらいました。
今回も、変換ミス、校正もれがあるかもしれませんが、
もう、言い訳はしません。
指摘をお願いします。
そして私の注意をうながしてください。
よろしくお願いします。
2002年12月12日木曜日
1_18 石鉄隕石の起源(2002年12月12日)
隕石には、石質隕石と、鉄隕石、石鉄隕石の3種類があるといいました。そのうち、前回は、不思議な隕石、石鉄隕石について紹介しました。今回、その石鉄隕石の起源を、もう少し、詳しく探っていきましょう。
前回、隕石は、地球外から飛んできといいました。となると、隕石は、地球外のどこで、どのようにしてできたのかが知りたくなります。前回は石鉄隕石について紹介しましたが、この石鉄隕石を材料にして、もう少し詳しく、その起源をみていきましょう。
石鉄隕石は、太陽系で一番最初にできた隕石(石質隕石のある種のタイプ)とは、違っています。もし、一番最初にできたとしたら、宇宙空間で形成されていますから、そのような証拠が必要です。しかし、いまのところ見つかっていませんし、次に述べるように、特殊な環境を考えなければ、この石のような鉱物の組み合わせや、つくり(組織といいます)は、つくることができないのです。
石鉄隕石は、材料となる物質から一度溶けたものからできました。それは、原始的と考えられる隕石(別のエッセイで紹介する予定です)が、一番古く、石鉄隕石は、やや若い年代のものを含んでいます。また、原始的隕石は、溶けた経験がないのですが、石鉄隕石は、溶けた経験を持ちます。このようなことから、石鉄隕石のできたところは、特殊な場を考えなければならないようです。
金属鉄と鉱物が、一度溶けた(分化したといいます)経験をもったものからできたとすると、その溶けて分化した場所としては、比重の違う鉄とかんらん石が混じり得るようなところでなければなりません。そのような場所として、無重力空間、つまり、宇宙空間が考えられます。
もし、無重力空間でできたなら、鉄もかんらん石も丸い粒(コンドリュールとよばれます)のような球状をしてるはずです。重力のないところでは、液体はすべて球になります。ところが、この石鉄隕石は、かんらん石は、鉱物自身が持っている形(自形といいます)をしていて、その隙間を金属の鉄が埋めています(他形といいます)。
このような組織は、普通の岩石では、最初にかんらん石が結晶化し、後で鉄が固まったと考えるべきです。しかし、金属鉄とかんらん石は、共存できませんし、結晶化する温度(晶出温度とか凝固点といいます)も、鉄のほうが高温、つまり、先に結晶化します。ですから、全く違う組織となるべきです。
ですから、石鉄隕石が、無重力空間での結晶化は考えにくいのです。
石鉄隕石の結晶の組み合わせや組織は、もともとありえないものなのです。しかし、私の机の中には、石鉄隕石は存在します。このようなありえないものをつくるには、めったにありえないけれど、現実としてきっと存在する場が必要になります。それが、起こりうる場として、マントルと核の境界部が想定されています。
たとえば、地球には金属鉄でできた核と、かんらん石を主とする岩石からなるマントルがあります。両者の関係は、石鉄隕石でみた関係です。地球では、層として、分離されています。そのような層境界では、地球規模で見れば、明瞭に別れているのですが、人間のサイズで、細かく見れば、石鉄隕石のようなものが、どうしても境界部にはできてしまうのです。
このようなことから、石鉄隕石が、惑星のマントルと核の境界からできたものと考えられているのです。それも、今はなき、惑星です。その原始の惑星は、壊れてしまったのです。だって、私の机の中にそのかけらがあるのですから。
・隕石シリーズ・
前回は、お宝シリーズでしたので、
隕石シリーズは1回休みとなりました。
ですから、今回は、前々回の続きです。
次回は、石質隕石について、何回かお話しましょう。
コンドライト
炭素質隕石
エイコンドライト
火星起源隕石
鉄隕石
隕石のふるさと
隕石の発見
などなど、いろいろ話題が豊富で、きりがないので、ほどほどします。
隕石にも、
集める人、
見つける人、
儲けようとする人、
研究する人、
愛でる人、
などなど、いろいろ人間の物語があります。
話が脱線しないように、気をつけなければなりません。
・訂正・
前々回のマガジンの最後のLetterのところの記述で、
「石質隕石」と書いたところがあります。
それは、「石鉄隕石」の間違いです。
また、「重量の影響を受けない」も「重力の影響を受けない」の間違いです。
Kogさんから指摘いただきました。
どうもありがとうございました。
前回は、実は時間がなくて、推敲が十分でありませんでした。
まったく情けない限りです。
私は、ホームポジションからのブラインドタッチによる入力はできず、
でたらめに指を使っています。
ですから、ミスタイプも多く、
変換で変な文字になれば、すぐに過ぎ気付くのですが、
似たような文字になってしまうと、ついつい見逃してしまいます。
ですから、前回もそのようなミスでした。
十分推敲をすれば、このようなミスは減るのですが、
今回は、時間がなくて、充分推敲できませんでした。
まあ、私の原稿には、もともとミスが多いので
それを言い訳しているわけです。
大目に見てください。
このエッセイは、
地球に関するさまざまな話題を紹介して、
読者の皆様に、地球に興味を持っていただきたいというのが、
本来の目的です。
ですから、少々のミスは、ご容赦ください。
これは、開き直りですね。
でも、皆様、こりずに、ミスを教えてください、
私の原本は修正しています。
ですから、皆様の善意は蓄積されています。
よろしお願いします
これは哀願です。
もう、言い訳では、これくらいしましょう。
十分でしょう。
前回、隕石は、地球外から飛んできといいました。となると、隕石は、地球外のどこで、どのようにしてできたのかが知りたくなります。前回は石鉄隕石について紹介しましたが、この石鉄隕石を材料にして、もう少し詳しく、その起源をみていきましょう。
石鉄隕石は、太陽系で一番最初にできた隕石(石質隕石のある種のタイプ)とは、違っています。もし、一番最初にできたとしたら、宇宙空間で形成されていますから、そのような証拠が必要です。しかし、いまのところ見つかっていませんし、次に述べるように、特殊な環境を考えなければ、この石のような鉱物の組み合わせや、つくり(組織といいます)は、つくることができないのです。
石鉄隕石は、材料となる物質から一度溶けたものからできました。それは、原始的と考えられる隕石(別のエッセイで紹介する予定です)が、一番古く、石鉄隕石は、やや若い年代のものを含んでいます。また、原始的隕石は、溶けた経験がないのですが、石鉄隕石は、溶けた経験を持ちます。このようなことから、石鉄隕石のできたところは、特殊な場を考えなければならないようです。
金属鉄と鉱物が、一度溶けた(分化したといいます)経験をもったものからできたとすると、その溶けて分化した場所としては、比重の違う鉄とかんらん石が混じり得るようなところでなければなりません。そのような場所として、無重力空間、つまり、宇宙空間が考えられます。
もし、無重力空間でできたなら、鉄もかんらん石も丸い粒(コンドリュールとよばれます)のような球状をしてるはずです。重力のないところでは、液体はすべて球になります。ところが、この石鉄隕石は、かんらん石は、鉱物自身が持っている形(自形といいます)をしていて、その隙間を金属の鉄が埋めています(他形といいます)。
このような組織は、普通の岩石では、最初にかんらん石が結晶化し、後で鉄が固まったと考えるべきです。しかし、金属鉄とかんらん石は、共存できませんし、結晶化する温度(晶出温度とか凝固点といいます)も、鉄のほうが高温、つまり、先に結晶化します。ですから、全く違う組織となるべきです。
ですから、石鉄隕石が、無重力空間での結晶化は考えにくいのです。
石鉄隕石の結晶の組み合わせや組織は、もともとありえないものなのです。しかし、私の机の中には、石鉄隕石は存在します。このようなありえないものをつくるには、めったにありえないけれど、現実としてきっと存在する場が必要になります。それが、起こりうる場として、マントルと核の境界部が想定されています。
たとえば、地球には金属鉄でできた核と、かんらん石を主とする岩石からなるマントルがあります。両者の関係は、石鉄隕石でみた関係です。地球では、層として、分離されています。そのような層境界では、地球規模で見れば、明瞭に別れているのですが、人間のサイズで、細かく見れば、石鉄隕石のようなものが、どうしても境界部にはできてしまうのです。
このようなことから、石鉄隕石が、惑星のマントルと核の境界からできたものと考えられているのです。それも、今はなき、惑星です。その原始の惑星は、壊れてしまったのです。だって、私の机の中にそのかけらがあるのですから。
・隕石シリーズ・
前回は、お宝シリーズでしたので、
隕石シリーズは1回休みとなりました。
ですから、今回は、前々回の続きです。
次回は、石質隕石について、何回かお話しましょう。
コンドライト
炭素質隕石
エイコンドライト
火星起源隕石
鉄隕石
隕石のふるさと
隕石の発見
などなど、いろいろ話題が豊富で、きりがないので、ほどほどします。
隕石にも、
集める人、
見つける人、
儲けようとする人、
研究する人、
愛でる人、
などなど、いろいろ人間の物語があります。
話が脱線しないように、気をつけなければなりません。
・訂正・
前々回のマガジンの最後のLetterのところの記述で、
「石質隕石」と書いたところがあります。
それは、「石鉄隕石」の間違いです。
また、「重量の影響を受けない」も「重力の影響を受けない」の間違いです。
Kogさんから指摘いただきました。
どうもありがとうございました。
前回は、実は時間がなくて、推敲が十分でありませんでした。
まったく情けない限りです。
私は、ホームポジションからのブラインドタッチによる入力はできず、
でたらめに指を使っています。
ですから、ミスタイプも多く、
変換で変な文字になれば、すぐに過ぎ気付くのですが、
似たような文字になってしまうと、ついつい見逃してしまいます。
ですから、前回もそのようなミスでした。
十分推敲をすれば、このようなミスは減るのですが、
今回は、時間がなくて、充分推敲できませんでした。
まあ、私の原稿には、もともとミスが多いので
それを言い訳しているわけです。
大目に見てください。
このエッセイは、
地球に関するさまざまな話題を紹介して、
読者の皆様に、地球に興味を持っていただきたいというのが、
本来の目的です。
ですから、少々のミスは、ご容赦ください。
これは、開き直りですね。
でも、皆様、こりずに、ミスを教えてください、
私の原本は修正しています。
ですから、皆様の善意は蓄積されています。
よろしお願いします
これは哀願です。
もう、言い訳では、これくらいしましょう。
十分でしょう。
2002年12月5日木曜日
6_18 12月の誕生石
12月の誕生石は、トルコ石とラピスラズリです。どちらも、色はあざやかなのですが、透明感のない宝石です。今年の最後の宝石についてのエッセイです。
トルコ石は、古くから装飾用に使われてきました。古代エジプトの出土品として見つかります。ですから、人類が非常に早くから用いていた宝石といえます。
なぜ、当時の人が用いてきたのかは、今ではわかりませんが、多分、色の美しさからではないでしょうか。トルコ石は、青緑色や、空色、濃青色をもちます。このような色の岩石は珍しので、珍重されたのだと思います。商品としては、色の濃いものほど、価値があります。
トルコ石は、CuAl6(PO4)4(OH)8・4H2Oという複雑な化学組成を持つ鉱物で、アルミのリン酸塩と、銅の水酸化物によってできています。トルコ石の青色は、銅の含有量が多いときに出る色で、銅が少なくなると青色が淡くなり、鉄や亜鉛が加わると緑色をおびてきます。
トルコ石は、乾燥地帯の褐鉄鉱や砂岩の中に、脈石状や塊状に形成されます。その時、褐鉄鉱や小さな砂をトルコ石の中に取り込み、褐色や黒色の網目模様をもつことがあります。これを「ネット」と呼んで、珍重されます。
トルコ石の青色は、乾燥状態で長く放置したり、日光に長くさらしたり、熱を加えたり、酸およびアンモニアなどに触れると、変色したり、つやがなくなったりします。また、硬度5~6と、それほど硬くもありません。ですから、取り扱いには注意が必要です。
トルコ石は、英語でも、Turquoiseといいます。ですから、トルコでたくさん取れるのだろう思ってしまうのですが、トルコでは、まったく採れないのです。トルコ石の産地は、昔からペルシア(現在のイラク)とシナイ半島でした。しかし、トルコ石は、トルコを経由して、トルコ人の商隊によって、ヨーロッパに持ち込まれたため、このような名前がついたと考えられます。
イラクやシナイ半島は、現在では紛争地域で、供給は不安定です。トルコ石は、アメリカ合衆国のニューメキシコ州でも採れ、アメリカ・インディアンも、装身具として利用していました。ほかに、中国の湖北省でも多く産出します。日本では、ほとんど出ることはなく、栃木県で少量でたことがあるだけです。
つぎは、ラピスラズリについてです。
ラピスラズリも、トルコ石と同様、古くから利用されてきました。やはり、青色が特徴です。日本名は、瑠璃(るり)とよばれ、仏教でも、七宝(しっぽう)の一つして、珍重されました。
ラピスラズリ(lapis‐lazuli)というのは、ペルシア語の紺碧色を意味するラズリに、ラテン語で石を意味するラピスがついてできた言葉です。
ラピスラズリは、ソーダライト族とよばれる鉱物ではありますが、アウイン(藍方石)、ノゼアン(黝(ゆう)方石)、ラズライト、ソーダライト(方ソーダ石)を成分として、その4つの成分が混合した(固溶体といいます)結晶です。複雑な化学組成をもつ鉱物です。
ラピスラズリの濃い群青(ぐんじょう)色は、ラズライトの成分が示す色です。ラピスラズリを粉末にして、この特徴的な群青色を利用したものが、ウルトラマリン(群青)とよばれる顔料や岩絵の具です。
ラピスラズリは、単一の大きな結晶はまれで、粒状のものがあつまって塊となっています。ですから他の鉱物が混じることもあります。黄鉄鉱(金色を示す)と方解石(白色を示す)の細かい結晶が、ほどよく混じっているものが、貴重とされています。
アフガニスタンのバダクーシャは、古くからの産地で、ロシアのバイカル湖周辺、チリのオバールなども有名です。アフガニスタンでは、古くから品質のいいのラピスラズリを産出し、ツタンカーメンの仮面を飾っていました。
12月の誕生石は、両方とも、青色の宝石です。12月には、青色が似合うのでしょうか。
・カラーコーディネイト・
トルコ石やラピスラズリは、紀元前3000年には、
古代エジプトの出土品として知られています。
また、中米のアステカ文明でも、
儀式用仮面やナイフのモザイクに、トルコ石を用いています。
なぜ、古代エジプト人やアステカ人は、
このような宝石を愛したのでしょうか。
エジプトも、アステカ文明も、
黄金を利用しました。
その黄金の装飾には、トルコ石やラピスラズリの青色が
非常にあったからでしょう。
黄金色をよく引き立たせるために、青色を利用されてきたのです。
古代の人には、素晴らしい色彩感覚があったのです。
まさにカラーコーディネイトというべきものでしょう。
そして、ラピスラズリでも、濃い青の中に、金や白の混じったもの、
つまり、うまくコーディネイトされたものが、いいものとなるのです。
もちろん、その分、値段も、高くなりますが。
・変色・
トルコ石もラピスラズリも身を守る宝石として使われていました。
特に、トルコ石は、色が変わっていくことから珍重されました。
色の変化が、さまざまな信仰やいい伝えを生んでいます。
最愛の人の危険や不貞を色の変化で知らせるとか、
色を変化させて、病気を遠ざける
と信じられていました。
また成功の保証を象徴するとしています。
色が変わるという鉱物の特徴が、
一見弱点なのですが、
宝石としての長所として利用されているのです。
・イミテーション・
宝石には、イミテーション(模造品、人工物)がつきものです。
トルコ石には、淡色のものを色を濃くしたもの、
人工的な合成トルコ石、
粉末を圧縮成形した再生トルコ石、
プラスチック製、ガラス製、陶器製
などがあります。
ラピスラズリでは、
ジャスパーに着色し、銅を混ぜてつくっています。
フランスのピエール・ギルソン社のつくるラピスラズリは、
天然のラピスラズリと、成分が変わらないそうです。
トルコ石は、古くから装飾用に使われてきました。古代エジプトの出土品として見つかります。ですから、人類が非常に早くから用いていた宝石といえます。
なぜ、当時の人が用いてきたのかは、今ではわかりませんが、多分、色の美しさからではないでしょうか。トルコ石は、青緑色や、空色、濃青色をもちます。このような色の岩石は珍しので、珍重されたのだと思います。商品としては、色の濃いものほど、価値があります。
トルコ石は、CuAl6(PO4)4(OH)8・4H2Oという複雑な化学組成を持つ鉱物で、アルミのリン酸塩と、銅の水酸化物によってできています。トルコ石の青色は、銅の含有量が多いときに出る色で、銅が少なくなると青色が淡くなり、鉄や亜鉛が加わると緑色をおびてきます。
トルコ石は、乾燥地帯の褐鉄鉱や砂岩の中に、脈石状や塊状に形成されます。その時、褐鉄鉱や小さな砂をトルコ石の中に取り込み、褐色や黒色の網目模様をもつことがあります。これを「ネット」と呼んで、珍重されます。
トルコ石の青色は、乾燥状態で長く放置したり、日光に長くさらしたり、熱を加えたり、酸およびアンモニアなどに触れると、変色したり、つやがなくなったりします。また、硬度5~6と、それほど硬くもありません。ですから、取り扱いには注意が必要です。
トルコ石は、英語でも、Turquoiseといいます。ですから、トルコでたくさん取れるのだろう思ってしまうのですが、トルコでは、まったく採れないのです。トルコ石の産地は、昔からペルシア(現在のイラク)とシナイ半島でした。しかし、トルコ石は、トルコを経由して、トルコ人の商隊によって、ヨーロッパに持ち込まれたため、このような名前がついたと考えられます。
イラクやシナイ半島は、現在では紛争地域で、供給は不安定です。トルコ石は、アメリカ合衆国のニューメキシコ州でも採れ、アメリカ・インディアンも、装身具として利用していました。ほかに、中国の湖北省でも多く産出します。日本では、ほとんど出ることはなく、栃木県で少量でたことがあるだけです。
つぎは、ラピスラズリについてです。
ラピスラズリも、トルコ石と同様、古くから利用されてきました。やはり、青色が特徴です。日本名は、瑠璃(るり)とよばれ、仏教でも、七宝(しっぽう)の一つして、珍重されました。
ラピスラズリ(lapis‐lazuli)というのは、ペルシア語の紺碧色を意味するラズリに、ラテン語で石を意味するラピスがついてできた言葉です。
ラピスラズリは、ソーダライト族とよばれる鉱物ではありますが、アウイン(藍方石)、ノゼアン(黝(ゆう)方石)、ラズライト、ソーダライト(方ソーダ石)を成分として、その4つの成分が混合した(固溶体といいます)結晶です。複雑な化学組成をもつ鉱物です。
ラピスラズリの濃い群青(ぐんじょう)色は、ラズライトの成分が示す色です。ラピスラズリを粉末にして、この特徴的な群青色を利用したものが、ウルトラマリン(群青)とよばれる顔料や岩絵の具です。
ラピスラズリは、単一の大きな結晶はまれで、粒状のものがあつまって塊となっています。ですから他の鉱物が混じることもあります。黄鉄鉱(金色を示す)と方解石(白色を示す)の細かい結晶が、ほどよく混じっているものが、貴重とされています。
アフガニスタンのバダクーシャは、古くからの産地で、ロシアのバイカル湖周辺、チリのオバールなども有名です。アフガニスタンでは、古くから品質のいいのラピスラズリを産出し、ツタンカーメンの仮面を飾っていました。
12月の誕生石は、両方とも、青色の宝石です。12月には、青色が似合うのでしょうか。
・カラーコーディネイト・
トルコ石やラピスラズリは、紀元前3000年には、
古代エジプトの出土品として知られています。
また、中米のアステカ文明でも、
儀式用仮面やナイフのモザイクに、トルコ石を用いています。
なぜ、古代エジプト人やアステカ人は、
このような宝石を愛したのでしょうか。
エジプトも、アステカ文明も、
黄金を利用しました。
その黄金の装飾には、トルコ石やラピスラズリの青色が
非常にあったからでしょう。
黄金色をよく引き立たせるために、青色を利用されてきたのです。
古代の人には、素晴らしい色彩感覚があったのです。
まさにカラーコーディネイトというべきものでしょう。
そして、ラピスラズリでも、濃い青の中に、金や白の混じったもの、
つまり、うまくコーディネイトされたものが、いいものとなるのです。
もちろん、その分、値段も、高くなりますが。
・変色・
トルコ石もラピスラズリも身を守る宝石として使われていました。
特に、トルコ石は、色が変わっていくことから珍重されました。
色の変化が、さまざまな信仰やいい伝えを生んでいます。
最愛の人の危険や不貞を色の変化で知らせるとか、
色を変化させて、病気を遠ざける
と信じられていました。
また成功の保証を象徴するとしています。
色が変わるという鉱物の特徴が、
一見弱点なのですが、
宝石としての長所として利用されているのです。
・イミテーション・
宝石には、イミテーション(模造品、人工物)がつきものです。
トルコ石には、淡色のものを色を濃くしたもの、
人工的な合成トルコ石、
粉末を圧縮成形した再生トルコ石、
プラスチック製、ガラス製、陶器製
などがあります。
ラピスラズリでは、
ジャスパーに着色し、銅を混ぜてつくっています。
フランスのピエール・ギルソン社のつくるラピスラズリは、
天然のラピスラズリと、成分が変わらないそうです。
2002年11月28日木曜日
1_17 宇宙からの贈り物(2002年11月28日)
私の机の引き出しの中には、3つの石ころかがあります。石ころといっても、ちょっと変わっています。ひとつは、一見なんの変哲もない石ころです。もうひとつは、鉄でできています。さいごのひとつは、石と鉄が混じったものです。今回は、そんな石ころの話です。
地球の表面には、酸素があります。また、地球の大地をつくっている岩石は、ほとんどが、酸素とくっついています。つまり、酸化物となっています。ですから岩石といえば、酸化物のことになります。それは、地球の表面に酸素があるというだけでなく、地球をつくっている岩石自体が、酸素をたくさん含んでいるのです。これは、宇宙で当たり前のことなのでしょうか。それとも、不思議なことなのでしょうか。
それを調べるには、他の惑星たちを見てみればいいのです。幸いなことに、私たちは、他の惑星について、いくつもの探査機を派遣して、その表面の様子を調べています。ですから、地球ほどではないですが、それぞれの惑星がどのような表面をもっているかを知ることができます。
その結果、地球と似たような惑星(地球型惑星といいます)である水星、金星、火星の地表は、地球の岩石と似た、酸化物からできてることがわかりました。どうも、このような「石」が、惑星をつくる材料となっているようです。
ところで、私の机の引き出しの中にある3種類の石は、実は隕石です。
石からできてる隕石は石質隕石といい、鉄からできるいる隕石を鉄隕石(あるいは隕鉄ともいいます)、石と鉄からできている隕石は、石鉄隕石といいます。これが、私が、個人的に買って、持っている石の素性です。そんなに高いものではなく、数千円で買ったものです。
特に、石鉄隕石は、石の部分が、オリーブ色で透き通っていてきれいです。オリーブ色ところは、かんらん石という鉱物でできています。このようなタイプの石質隕石は、パラサイトとよばれる種類のものです。
隕石は、単にきれいととか、珍しいというだけでなく、地球の歴史を解き明かす重要な秘密を持っていたのです。
隕石は、大きくみると、上で述べたような、石質隕石、石鉄隕石、鉄隕石の3種類に分けられます。なかでも、この石鉄隕石は、不思議なものなのです。
鉄は酸化物ではありません。かたや、かんらん石は酸化物です。それが、混じって塊となっているのです。かんらん石は、地球のマントルや海洋地殻の主要な成分です。そして、かんらん石の成分として、鉄が含まれています。かんらん石の中の鉄は、酸化物です。
このようなものをつくる環境は、なかなか考えにくいものです。まったく化学的な環境が違うものがくっついているのですから。できそうなところしては、実験室のようなサイズではなく、多きなサイズ、たとえば、数百から数千kmの惑星規模を考えれば、酸化状態と金属状態が分離されていても、化学的境界部でもこのような混合部分が生じるはずです。
さらに不思議なことに、地球では、このような鉄とかんらん石が、きれいに混じっているものはつくれません。なぜなら、鉄とかんらん石は、鉄が7.86、かんらん石が3.2で、2倍以上の比重の違うものが、よくば混ざることはなく、分離します。これは、重力が邪魔をしているからです。ですから、石質隕石は、重量の影響を受けないところか、あるいは、金属の鉄とかんらん石が上下に層をなしている境界部分しかできそうにありません。
結論として、石鉄隕石は、今は亡き小さな惑星(微惑星といいます)が、割れて砕けたものだと考えられています。この小さな石ころは、惑星の奥深く形成されたものです。それはどんなところでしょうか。この小さな石ころは、私の想像力をくすぐってやまないのです。
・隕石シリーズのスタート・
今回から数回(回数はまだ未定です)にわたって、
隕石シリーズを連載します。
隕石からどんなことがわかるのでしょうか。
そして、どんな地球や太陽系の歴史、
あるいは想像もしないようなことが
読み取れかもしれません。
そんな隕石にまつわる話を紹介していきます。
その第一弾として、今回は不思議な石質隕石を紹介しました。
・隕石の名称・
私が持っている石質隕石は、
15×12×5mmほどの小さいものです。
パラサイトとよばれる種類で、
名称はエスケル(Esquel)と呼ばれています。
隕石の名称は、隕石が落ちたところ、
あるいは、発見されたところの地名をつけます。
ですから、小さな田舎町で、聞いたこともないような名前だったりします。
エスケルは、アルゼンチンのチュブート(Chubut)という地域にあります。
もちろん、エスケルは、
私もいったことも、聞いたこともない、
まったく知らないところです。
・隕石の履歴・
私が持っているエスケルは、その素性がよくわかっています。
この隕石は、1951年、地主が貯蔵用タンクの穴を
掘っているときに見つけたものです。
私が持っている隕石は、切り刻まれていますが、
もともとは、ひとつの塊でした。
その塊は、まわりには黒くこげて、
融けたものがくっついました
(フージョンックラストとよばれます)。
ですから、地球に落ちてきて
そんなに時間がたっていないと考えられています。
隕石は、個人の持ち物であれば、商品として売られます。
そして、ときには切り刻まれて、
あるときは、科学者の研究材料に、
あるときは、装飾に、
あるときは、財産として、
あるときは、ご神体として、
あるときは、コレクションとして、
あるときは、私のように眺めて楽しむために
標本商から買われるのです。
地球の表面には、酸素があります。また、地球の大地をつくっている岩石は、ほとんどが、酸素とくっついています。つまり、酸化物となっています。ですから岩石といえば、酸化物のことになります。それは、地球の表面に酸素があるというだけでなく、地球をつくっている岩石自体が、酸素をたくさん含んでいるのです。これは、宇宙で当たり前のことなのでしょうか。それとも、不思議なことなのでしょうか。
それを調べるには、他の惑星たちを見てみればいいのです。幸いなことに、私たちは、他の惑星について、いくつもの探査機を派遣して、その表面の様子を調べています。ですから、地球ほどではないですが、それぞれの惑星がどのような表面をもっているかを知ることができます。
その結果、地球と似たような惑星(地球型惑星といいます)である水星、金星、火星の地表は、地球の岩石と似た、酸化物からできてることがわかりました。どうも、このような「石」が、惑星をつくる材料となっているようです。
ところで、私の机の引き出しの中にある3種類の石は、実は隕石です。
石からできてる隕石は石質隕石といい、鉄からできるいる隕石を鉄隕石(あるいは隕鉄ともいいます)、石と鉄からできている隕石は、石鉄隕石といいます。これが、私が、個人的に買って、持っている石の素性です。そんなに高いものではなく、数千円で買ったものです。
特に、石鉄隕石は、石の部分が、オリーブ色で透き通っていてきれいです。オリーブ色ところは、かんらん石という鉱物でできています。このようなタイプの石質隕石は、パラサイトとよばれる種類のものです。
隕石は、単にきれいととか、珍しいというだけでなく、地球の歴史を解き明かす重要な秘密を持っていたのです。
隕石は、大きくみると、上で述べたような、石質隕石、石鉄隕石、鉄隕石の3種類に分けられます。なかでも、この石鉄隕石は、不思議なものなのです。
鉄は酸化物ではありません。かたや、かんらん石は酸化物です。それが、混じって塊となっているのです。かんらん石は、地球のマントルや海洋地殻の主要な成分です。そして、かんらん石の成分として、鉄が含まれています。かんらん石の中の鉄は、酸化物です。
このようなものをつくる環境は、なかなか考えにくいものです。まったく化学的な環境が違うものがくっついているのですから。できそうなところしては、実験室のようなサイズではなく、多きなサイズ、たとえば、数百から数千kmの惑星規模を考えれば、酸化状態と金属状態が分離されていても、化学的境界部でもこのような混合部分が生じるはずです。
さらに不思議なことに、地球では、このような鉄とかんらん石が、きれいに混じっているものはつくれません。なぜなら、鉄とかんらん石は、鉄が7.86、かんらん石が3.2で、2倍以上の比重の違うものが、よくば混ざることはなく、分離します。これは、重力が邪魔をしているからです。ですから、石質隕石は、重量の影響を受けないところか、あるいは、金属の鉄とかんらん石が上下に層をなしている境界部分しかできそうにありません。
結論として、石鉄隕石は、今は亡き小さな惑星(微惑星といいます)が、割れて砕けたものだと考えられています。この小さな石ころは、惑星の奥深く形成されたものです。それはどんなところでしょうか。この小さな石ころは、私の想像力をくすぐってやまないのです。
・隕石シリーズのスタート・
今回から数回(回数はまだ未定です)にわたって、
隕石シリーズを連載します。
隕石からどんなことがわかるのでしょうか。
そして、どんな地球や太陽系の歴史、
あるいは想像もしないようなことが
読み取れかもしれません。
そんな隕石にまつわる話を紹介していきます。
その第一弾として、今回は不思議な石質隕石を紹介しました。
・隕石の名称・
私が持っている石質隕石は、
15×12×5mmほどの小さいものです。
パラサイトとよばれる種類で、
名称はエスケル(Esquel)と呼ばれています。
隕石の名称は、隕石が落ちたところ、
あるいは、発見されたところの地名をつけます。
ですから、小さな田舎町で、聞いたこともないような名前だったりします。
エスケルは、アルゼンチンのチュブート(Chubut)という地域にあります。
もちろん、エスケルは、
私もいったことも、聞いたこともない、
まったく知らないところです。
・隕石の履歴・
私が持っているエスケルは、その素性がよくわかっています。
この隕石は、1951年、地主が貯蔵用タンクの穴を
掘っているときに見つけたものです。
私が持っている隕石は、切り刻まれていますが、
もともとは、ひとつの塊でした。
その塊は、まわりには黒くこげて、
融けたものがくっついました
(フージョンックラストとよばれます)。
ですから、地球に落ちてきて
そんなに時間がたっていないと考えられています。
隕石は、個人の持ち物であれば、商品として売られます。
そして、ときには切り刻まれて、
あるときは、科学者の研究材料に、
あるときは、装飾に、
あるときは、財産として、
あるときは、ご神体として、
あるときは、コレクションとして、
あるときは、私のように眺めて楽しむために
標本商から買われるのです。
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