2002年12月19日木曜日

1_19 コンドライト(2002年12月19日)

 隕石のなかで、いちばん「普通」のものを、今回は紹介しましょう。そんな「普通」の隕石から、なにが読み取れるのでしょう。探っていきましょう。

 隕石の中でいちばん多いのは、石質隕石、鉄隕石、石鉄隕石のうち、どれだと思いますか。鉄隕石を思い浮かべた方も、たくさんおられるのではないでしょうか。実際には、石質隕石がいちばん多く、鉄隕石、石鉄隕石の順に少なくなっていきます。
 石質隕石は、隕石の個数で見ていくと、大半(94%)を占めます。ちなみに、鉄隕石は4.8%で、石鉄隕石は1.2%しかありません。ですから、隕石といえば、石質隕石なのです。鉄隕石が多いという誤解は、どこから生まれたのでしょか。
 多分、隕石と地球の石とで、いちばん違っているは、石鉄隕石か、鉄隕石です。石鉄隕石は、珍しさもあり、大きいものも少ないため、鉄隕石が、珍しい隕石の代表として見せられることが多くなったのだと思われます。
 博物館でも、隕石のコーナーの目玉として、大きな鉄隕石がよく展示されています。博物館によっては、鉄隕石を切って金属の断面を出して見せたり、磨いて金属の鉄の塊として見せているところもあるくらいです。ですから、つい隕石といえば、鉄隕石という先入観を持ってしまっているのかもしれません。
 さて、石質隕石には、どのようなものがあるのでしょうか。石質隕石には、多く分けて、2つの種類があります。それは、コンドライトとエイコンドライトと呼ばれるものです。両者とも、英語の単語を、そのままカタカナにして日本語としても使っています。
 コンドライトは、直径数ミリメートルの丸い粒を含んでいるのが特徴です。この丸い粒を、コンドリュールとよびます。コンドライトとは、コンドリュールを含む隕石ということができます。
 一方、エイコンドライトは、英語ではAchondorite と書きます。コンドライトは、Chondoriteと書きますから、コンドライトに「A」という文字がついた語が、エイコンドライトです。英語では、「A」が接頭語としてつくと、否定の意味を表すことがあります。エイコンドライトの「A」の場合もそうです。エイコンドライトとは、コンドライトではない、つまりコンドリュールを含まない石質隕石のことです。
 石質隕石をよくみて、丸い粒があればコンドライト、なければエイコンドライトという区分ができます。
 では、コンドライトとエイコンドライトは、どちらが多いでしょうか。コンドライトが、ほとんど(91.3%)で、エイコンドライトは少し(8.7%)しかありません。
 つまりは、隕石といえば、コンドライトなのです、全隕石のなかの86%がコンドライトになります。もちろん、コンドライトも細分されていますが、コンドライトに共通する特徴は、とりもなおさず、コンドリュールがあることです。
 このコンドリュールが、太陽系でいちばん最初にできた固体物質だと考えられています。その理由は、いくつもあるのですが、そのいちばんのものは、コンドリュールの丸い形と年代にあります。
 コンドリュールは、丸い形といいましたが、3次元的には球で。宇宙の無重力の状態では、液体は球になります。そして、液体の温度が下がると、球の形をしたまま、固体になります。
 もし、その液体が、マグマのような岩石の溶けたものであれば、マグマから岩石ができるようなプロセスで固まっていくはずです。つまり、高温で結晶になるものから順番に固まり、最後にいちばん低い温度で結晶になるものができます。また、急に冷え固まると、結晶が充分できないうちに固まってしまい巣、それは、火山岩のように急に固まったつくり(組織)をしているはずです。
 コンドリュールには、液の成分の違い、冷えるスピードの違いなど、ひとつひとつ違った履歴があるはずです。このようなさまざまな履歴をもったコンドリュールが集まったものが、コンドライトになります。
 なかには、一緒には、けっしてできないようなコンドリュールも、ひとつのコンドライトから見つかることがあります。まるで、地球の堆積岩の礫岩のようです。礫岩の礫には、さまざまなでき方のものが混在しています。礫岩と同じように、さまざまな履歴のコンドリュールが、ひとつのコンドライト中にみつかるのです。
 年代については、別の機会に紹介しますが、どのコンドリュールも、できた年代が一致し、45.6億年前です。これは、太陽系の物質の中で、いちばん古い年代であります。コンドリュールの形成が、いちばん最初に、それも一気に、太陽系全体で起こったことを意味します。
 太陽系の初期にできたカケラがコンドライトには詰まっているのです。コンドライトにつまっている太陽系のはじまりの情報を、ジグソーパズルを仕上げるように読み解ければ、私たちの太陽系誕生の謎が解けるわけです。
 読み解いた太陽系の誕生の様子も、そのうち、紹介しましょう。

・隕石シリーズ・
隕石シリーズが続いてきます。
まだまだ、続きそうです。
書いている本人も、どれくらい書くつもりなのわかりません。
隕石に関するネタは一杯あります。
でも、とりあえずは、机の中の3種類の隕石については、
紹介したいのです。
まだ、1種類しか紹介していません。
でも、あまり長くなるようだと飽きてしまいますので、
ほどほどにしておきますが、
あと数回は続けるつもりです。
ご期待、あるいはお付き合いください。

・またまた間違い・
わたしにとって、石鉄隕石という語は、どうも鬼門のようです。
実は、前回のメールマガジンで、
「1_17 宇宙からの贈り物」(2002年11月28日)
で、石鉄隕石を石質隕石と、何度も書き間違いをしました。
そのお詫びを長々と書きました。
実は、そのエッセイの中で、
なんと4箇所も同じ間違いをしでかしました。
Kogさんから
「またまた“鉄”と“質”との混乱状態が発生したようですね。(^o^)」
という指摘がありました。

それに対して、私は、

「またまた、それも、4箇所もやってしまいました。
読み返したら、誤字も一箇所ありました。
どうしようもないですね。
単に、誤字ならば、意味は通じるのですが、
今回の場合のように、意味が通じなくなる、
あるいは、誤解を招く、そして、理解できなくなるような場合は、最悪ですね。
何度か見直したつもりなのですが、だめですね。
私の文章はもともと誤字が多いのですが、前々回と今回は特にひどいようです。
前々回は、時間がなかったので、いいわけめいたことができますが、
今回は、見直したつもりなのですが、だめですね。
発行直前に書いて、そして何度か推敲しても、十分推敲できないようです。
何日か前に書いて、発行前にもう一度見直せればよいのですが、
なかなかそうする余裕がありません。
気をつけて推敲するしかないようです。」
というお詫びをしました。

やさしいKogさんは、

「類似した用語や同音異義語が交互に出てくるような文章を
作成しますと、非常にミスが出やすくなります。
手書きの場合は文字を手が覚えているので良いのですが、
キーボードで変換するとついつい間違いを見逃すことになり勝ちですね。」
と慰めてもらいました。

今回も、変換ミス、校正もれがあるかもしれませんが、
もう、言い訳はしません。
指摘をお願いします。
そして私の注意をうながしてください。
よろしくお願いします。