2018年9月20日木曜日

5_159 火星の水 4:地下の水

 火星の地下に広がる氷の下に、H2Oの水がある可能性が示されました。複雑な解析や前提があるのですが、今まで生物の存在に対して、否定的な状況だったのですが、これは明るい材料となりそうです。

 火星の表層には、恒常的なH2Oの水はないのですが、地下で水を見つけたという報告がありました。
 火星の南極には、H2Oの氷があります。氷だけでなくチリも混じっている、多層構造になっているようですが、巨大な氷を主成分とする塊があります。広さは200 kmもあるようです。オロセイさんの報告では、それらの氷の層の下、1.6 kmほどの深さのところに、20 kmの広さにわたって、明るく見えるレーダーの反射が見つかりました。
 この明るい部分は、氷の可能性もあったのですが、堆積物の組成や地下の温度構造を想定して、詳しく解析していきました。この明るい部分は、固体状の物質としては強すぎるため、液体の水が染みこんだ堆積物と氷との境界面であることだと推定されました。さらに、装置の検出限界を考えると、液体の水の厚みは、少なくとも数十cm以上となると推定されています。
 かなり複雑な処理をしていますし、いくつかの仮定もおいているので、今後も検討が必要になります。もしこれがH2Oの水の層だとしたら、という仮定が持てるような根拠ができのです。
 この水の層は、地下の深いところに、広くひろがっているので、恒常的に存在しそうです。この水が、どのようにできたのか、そしてどれくらい前にでき、途絶えることなく継続しているのか、などの疑問は今後、解かなければなりません。これまでは、火星生命の探査では、否定できな証拠しか出てきませんでした。これは、火星生命にとっていは、非常に有望な証拠となります。
 もし火星に生命が誕生していれば、そして地球生物のように水を基本的に必要とするものであれば、この水の存在は重要な意味を持ちます。火星には、かつては海や河川もありました。その頃に誕生した生物が、火星の表層から海や河川が恒常的に存在できなくなるような環境になってきたとき、この地下の氷の下に逃げ込んだかもしれません。そして、水が長期間存在していれば、今でも生きのびているかもしれません。などという妄想がもてるようになりました。
 少々深いところですが、この水の層までボーリングすればいいのです。そして、そこに生物いるかどうかをチェックすればいいのです。火星生物の存在する可能な環境が見つかってので、その検証ができるのです。今まで生物の現在の生存にとって、あまり有利な証拠はなかったのですが、今回の報告は希望が持てるものとなりました。

・通常号・
前回は、北海道胆振東部地震で、
急遽作成したエッセイを配信しました。
今回は通常号に戻って、続きのエッセイとなります。
火星の水は、生命の起源となったのでしょうか。
生命は誕生したとしても
現在まで生き延びるは大変だったでしょうか。
真実を知りたいものです。
今後の探査や研究が待たれます。

・後期のスタート・
大学の授業がはじまりました。
地震の被害を受けた学生はいないようですが、
精神的にダメージを受けた学生はいるようです。
一人で地方から出てきた学生にとって、
知り合いの少ない都会での被災は、
心細い思いをした学生もいるようです。
自宅で家族と共に過ごしても、
精神的には疲労感があったのですから、
一人暮らしの学生には辛い体験となったようです。

2018年9月13日木曜日

6_154 台風と地震と

 予定していたエッセイを変更して、今回の北海道の連続した災害について考えたことを書きます。

 今回、北海道は台風21号の被害を受けた直後に、地震が起こりました。私事になりますが、2つの災害での私の状況を書きながら、災害、防災ついて少し考えたことを書きます。とりあえず時系列で私の状況を説明します。

9月4日(火)
 大学の同窓会、同期の同窓会を札幌にておこない、11時ころ列車で友人と共に最寄り駅に帰る。雨が降っているが、まだひどくはなっていない。夜、台風のひどい強風と雨となり、時々目覚める。3時ころ、ひどい音が我が家の外でする。向かいの家のトタンが飛んできたものであった。隣人と消防が、我が家のチャイムを鳴らして、自宅に入ってきて、ベランダに引っかかったトタンを撤去してくれる。
9月5日(水)
 大学に家内に車で送迎してもらう。線路に倒木があり各地でJRが運休している。国道脇で巨木が何本も倒れているのを見えた。夕方、多くの線路が復旧しだしたので、翌日の調査には出かけられそうであるので、一安心する。
9月6日(木)
 明け方3時頃、大地震発生。その直後に停電。一旦は目が覚めるが、翌朝調査にでかけるので再度無理に寝る。余震で何度も目が覚める。朝、停電は継続中であった。大地震であったのはわかるが、停電で情報が届かず、様子がよくわからない。飛行機で調査地に向かう予定であったので、自家用車で出かけるつもりで、準備を進める。スマホやラジオで、地震の被害として、JRやバスなど公共の乗り物の全面運休、信号の停止がわかる。危険なので車での空港移動を躊躇する。7時頃、飛行機も全便運休になったことがJALのホームページでわかり、調査の中止を決定する。9時から、旅館やレンタカーでキャンセルの連絡をする。最初の旅館に連絡したとき、発送した荷物の転送を頼む。水とガスは大丈夫。食料も冷蔵庫、冷凍庫にあるので2日は大丈夫だと思う。懐中電灯を集めたら、家族分や全体の明かりになるものが2つあり、電池も数日は大丈夫そうである。緊急用のラジオもあった。昼、大学のある地域は電気が回復した(ということが、7日に大学に連絡して知る)。
 水が止まるという、次男が、ウワサを聞き、風評だとは思ったが、もしもときのために、バケツに水をためる。水は止まる気配はないが、昼から、家内に手元にある材料で、数回分の食事にできるように、カレーをつくりおきしてもらう。食後、20時ころには家族全員就寝。私はぬるくなりかけたビールを消費する。
9月7日(金)
 大学では電気の復旧しているので、車で大学に出る。途中の道路は、信号がほんが消えているが、一部のみで点灯しているだけであった。家内が車に乗って帰る。研究室をチェックしたところ、被害は軽微であった。インターネットもつながっている。スマホの充電をしならが、同窓生にメール連絡をする。昼、家内に車で迎えにきてもらい、自宅に帰る。夜、ガスで土鍋でコメを炊くが、少々固めになったが食べられる。ラジオで状況をチェック。私はベッドに入り寝始める。22時前、次男が通電したいうので、外を見ると街灯がついている。ブレーカを入れて、自宅の電気機器を順次確認する。ほぼ問題なく復旧している。久しぶりテレビからの情報を少し見て寝る。
9月8日(土)
 大学に車でいく。同窓生などにメールで安否確認の連絡をする。帰りにコンビニを覗くが食料は空っぽであった。家内が朝、生鮮食料を少し入手。残っている冷凍食品で、一旦解凍されたものを様子をみて食べていく。
9月9日(日)
 午前中、地元のスーパーやホームセンターをめぐり状況をみる。緊急用商品が空っぽになっている。生鮮食品も少ないが、少しずつ流通で配送されたものが、並べられるが、一瞬で購入されていく。流通の回復は認められる。
9月10日(月)
 いつものように歩いて、大学に出勤する。地震の被害は流通に残っているが、見た目にはわからない。歩いていくる時、あちこち寄り道をしながら、被害状況をみると、台風の被害が目につく。倒木によって遮断された道路の通行の確保や危険の回避のみが応急処理でなされている。

 ここ数年、被害の大きな災害が各地で起こっています。北海道のように連続して起こることは稀まもしれませんが、災害は多くなっています。自分も被災してみて、防災について考えました。
 まずは自身や家族の身を守ることが、基本となる思います。まずは、自衛といえるでしょう。次に地域住民の助け合いや連携が必要かと思います。そして、公からの情報提供や支援と、いう順になるしょうか。
 そして情報についていも考えました。スマホとインターネットからの情報は、今回被災してみて、非常に重要で有用だということもわかりました。次男を見ていると、スマホで情報を次々と仕入れるのは、良いことです。
 一方で、その中には風評が多々含まれています。それを慎重に見分ける必要があります。次男が、泊原発の新聞の記事を読んでいたのですが、ヘッドラインのみを読んで、内容をよく読んでないこともがありました。そんな不確かな、思い込みの情報が、よかれと思ってインターネットを通じて流すことが、風評となっていくのだということも実感した。
 インターネットだけでなく、大量の情報がある現代社会で、情報をどう受け入れ、どう処理、どう解釈し、どう他人に発信するのか。慎重であるべきだと痛感しました。重要そうにみえる情報は、一気に拡散していきます。ですから、人の情報に対する心がまえ、インターネットに関するスキルの必要性も感じました。

・災害に対して・
このエッセイは野外調査に出る前に
予約していたものを解除し、
新たに書いたものです。
野外調査を中止にしたので、
大学でもいろいろと予定変更になりました。
出張の取りやめの手続きと、研究計画の変更、
大学生協でのチケットのキャンセルなどを急遽しました。
2年前の熊本地震も調査出発の直前に起こり、
同じようにキャンセルしたことがありました。
災害が続くと、人の心構えが重要であるを痛感します。
自然災害は避けることはできません。
ですから復旧段階で、人が如何に着実に
避難、対処するかが求められます。

2018年9月6日木曜日

5_158 火星の水 3:科学的後退

 存在が証明できれば、そこから次なるステップにいけます。しかし、存在が証明できないときは、後退を余儀なくされます。どのような後退の仕方をするかも、なかなか悩ましい問題です。

 科学は面倒くさい手段を取っていきます。科学的な証明は、証拠と論理に基づいてなされていきます。例えば、火星生命や化石が発見されとしたとしましょう。その生命や化石をだれでも調査でき、検証できれば、その存在証明ができます。その後、生物がどのように誕生したのか、どのような生物なのか、地球生物との共通点と相違点などが、次なるステップとなるでしょう。現状までに、何度かの探査が繰り返されてきたのですが、まだ火星生命(化石)の存在は、確認ができていません。少なくともすべての科学者が納得できるような証拠は、出されていません。
 生物の存在が証明できないのであれば、研究を諦めるかというと、一歩下がってスタートすることになります。
 火星には、生命が誕生でき、長く生存でき、進化できるような条件を満たしていたのか、などを探ることです。前回紹介したH2Oの液体の存在が、生命の誕生にとって非常に重要な条件だと考えられています。ですから、液体の水を火星で見つけることに重点がおかれることになります。
 このステップに関しては、成果を上げています。かつては、水が存在した証拠は見つかっています。火星には、海にできる海岸地形や、河川がつくりだした地形があることは、火星表層の詳細な地形調査でわかってきました。
 2015年のNASAが、火星の表面で「過塩素酸塩」を検出したいう報告をしました。過塩素酸塩は、水が存在しなければ、合成されない物質です。それまでにも、この物資は発見されていたのですが、今回は地質学的に重要な意義を持つ場所で見つかりました。火星には、斜面で、暗い筋ができたり消えたりするところが見つかっていました。それは、季節変化だと考えられていました。5年前に見つかっていた筋で、この物質が発見されました。2つの根拠から、水が存在するとされていました。ただし、水を直接、検出したわけでありませんでした。
 火星の両極には白っぽく見える氷があります。その大部分は二酸化炭素の個体ですが、一部はH2Oの氷であることもわかっています。ですから、恒常的にH2Oの氷があることはわかってきました。
 生命誕生や進化には、液体の水として、長期に渡って継続的に存在している場所があるかどうかが重要になります。もし、現在も生きている生物が存在するならば、そのような現在も水の存在することが不可欠になるはずです。
 これまで、液体の水の存在は不明でした。火星表面は詳細に調べられているので、大規模な海や恒常的な河川はありません。季節変化でできる河川はありそうですが、それは恒常的な水の存在ではありません。
 あるとすれば、地下になるでしょう。しかし、氷ではだめです。液体の水が重要です。オロセイさんたちは、地下でH2Oの液体を発見したとサイエンス誌の報告しました。その手段は、軌道上の探査機のレーダーでした。詳細は次回としましょう。

・熱中症・
先週は、帰省していました。
暑かったです。
北海道は涼しかったので、バテてました。
暑い中、母に関する所用で
あちこち、歩き回ったので、
夜、調子が悪くなってきた。
熱中症になってしまいました。
2日間不調で所用を
こなすのに支障をきたしました。

・老母・
酷暑の京都で、母は一人で、
かなりよぼよぼになっていますが、
たくましく生きています。
毎日、連絡をとっていたのですが、
いつも暑いという言葉を聞いていました。
その暑さは実感しました。
北海道に来ていれば、暑く苦しい思いをしなくて
すんだはずなのですが、まあ、母の希望です。
独居できるかぎり、現状で暮らせればと思います。
子としては、そんな母を
できる限りサポートするしかありません。

2018年8月30日木曜日

5_157 火星の水 2:水の存在

 火星で、恒常的に水が存在する可能性が示されました。かつての調査で、火星には水の痕跡が各地で確認されています。しかし今更なぜ、水の存在が重要になってくるのでしょうか。その発見の意義を考えていきましょう。

 前回、火星探査の歴史の概略を見てきました。そして、現在も継続して使用されている探査機があることも紹介しました。そのうちのひとつ火星探査機マーズエクスプレスの観測データから、火星に地下には、液体の水が存在する可能性があることはわかってきました。
 2018年7月25日の科学雑誌「サイエンス(Science)」にイタリアの天文物理研究所のオロセイ(Roberto Orosei)さんたちの研究グループによる報告が掲載されました。
 Radar evidence of subglacial liquid water on Mars
 (火星の氷河下の液体の水のレーダーによる証拠)
というタイトルの論文でした。
 生命を探そうという探査が以前にもあったことは紹介ました。ですから、水の存在についての探査というと、今更という気がします。しかし、これ論文には、重要な科学的意義があります。前回も述べましたが、生命の存在をまだ確認はされていません。隕石からの化石の報告もありましたが、まだ多くの研究者が認めているものではありません。
 もし、化石が見つかれば、誕生の条件や絶滅の原因が問題になります。もし。現在、生きている生物が発見されれば、その実体や仕組みなどが問題となります。化石でも生物でも、その発見は、非常に重要なものです。
 ところが、現在のところ、SFにでてくるような文明もった生物は地表にはいないことは確実です。さらに、地表を闊歩するような大型の動物、繁茂する植物も地衣類も存在しないようです。微生物や化石は、これまで調べた範囲では、納得できるような証拠は見つかっていません。しかし、見つかっていないことを、議論してもしかたがありません。不在の証明は不可能なのです。
 科学的に考えるのであれば、微生物や小さい化石の存在を発見するには、これまで以上にすぐれた探査機を送り込むか、研究者が火星に長期滞在して探すしかないでしょう。もし生物が、小さくても、地表付近に、ある程度の量が存在しているのなら、精密な探査機での何度かの探査、あるいは人による長期の調査で発見できるはずです。でも、これはすぐには達成できない、難しい探査、調査になります。
 現状では、遠回りかもしれませんが、生物の誕生や生存に必要な条件を探っていくことが、一番の近道かもしれません。現在でも生物が生存しているには、液体の水が恒常的に存在するかどうかが、重要な条件になります。そんな水が発見されたというのが。この論文の意義です。

・地球生物・
水の存在が、生物にとって重要であるとするのは、
地球生物からの類推です。
もし水の存在を必要としない生物がいたとするのなら
この探査の方法は使えません。
しかし、現在の私の科学では、炭素を中心とした生物には
水の存在が不可欠だと考えられます。
他のメタンやエタンなどが液体として存在する条件であったとしたら
どのような生物が存在しうるかはまだ不明です。
炭素以外の元素、例えば珪素などを利用する生物は想像し難いものです。
もしマグマの海が恒常的ある惑星環境なら、
そのよう生物が存在することは可能かもしれませんが。

・想定外・
地球や地球生物、私たちの太陽系が、
ごくありふれた一般的なものだという前提を置くことは
よくなされている仮定です。
「メディオクリティの仮定」などと呼ばれています。
私たちの太陽系は、一般的な惑星系だと考えられていたのですが
太陽系外惑星で、多様な惑星系があることがわかりました。
少なくとも惑星系では、「メディオクリティの仮定」が
成り立たないことは明らかになりました。
自然は人間の想像を遥かに越えるようです。
地球生物も、宇宙に多数、多様に存在する
ひとつ生物タイプに過ぎないかもしれません。
もし、想定外の事実が一つ見つかると、
太陽系の生物自体の見直しも、
必要になってくるかもしれませんね。

2018年8月23日木曜日

5_156 火星の水 1:探査の歴史

 火星は、20世紀から探査がはじまり、21世紀になっても探査が継続されています。それは、研究者が火星に強い興味を抱いているためでしょう。そんな探査から新しいことがわかってきました。

 人類は、古くから火星に並々ならぬ興味を持っていました。火星は、地球に近い天体であること、惑星なので動きが不思議であること、色が赤いっぽく見えること、などで古くからいろいろな想像を掻き立てられる星でした。色が赤く見える惑星なので、戦争や血をイメージさせるので、ギリシア神話やローマ神話など、各地の神話にも、そのイメージを反映した物語がで登場しています。
 19世紀には、ローウェルやスキアパレッリが望遠鏡で観測したところ、運河のような筋が見えたという報告が出され、火星には発達した文明があるという空想がされてきました。そこから、いくつものSFが生まれました。
 20世紀後半には、アメリカのマリナー、バイキング、マーズ・グローバル・サーベイヤー、マーズ・パスファインダーなど、いくつもの探査が実施されてきました。その中には、火星探査で生命の痕跡の有無を調べる実験なども行われてました。1997年のマーズ・パスファインダーにはソジャーナという探査車が地表を動き回って、詳しい調査がなされました。
 1996年には、火星から飛んできた隕石から生命の痕跡(化石)を発見したという研究報告もあり、大きな話題になりました。しかし、現在では、化石ではなく、無機的につくられたものではないか、と多くの研究者は考えるようになっています。
 21世紀にも、何度も探査がなされています。2004年にはスピリットとオポチュニティの2つの探査車が、2008年にはフェニックスが極地付近のクレータ内を、2012年にキュリオシティは長期にわたって長距離の探査をおこないました。
 このような探査からも、生命の存在はいまだ確認はされていなのですが、否定もされていません。現在では、生命が存在できる環境や条件があったのか、あるいは現在もあるのかということが焦点となっています。
 現在稼働中の探査機として、欧州宇宙機関(ESA)のマーズ・エクスプレスから分離したマーズ・エクスプレス・オービターや、2006年に火星の周回軌道に入ったマーズ・リコネッサンス・オービターがあります。
 マーズ・エクスプレスは15年にわたって探査を続けており、搭載された電波高度計からの情報を解析したところ、重要な発見がありました。それは、次回にしましょう。

・短い夏・
北海道は、先週から涼しくなってきました。
大雪山の黒岳では、初雪が観測されました。
初雪は、例年より早いものだそうです。
本州は、例年にない猛暑で、
北海道でも7月から8月上旬は暑い日が続きました。
しかし、先週末から今週にかけては涼しいです。
朝夕は、半袖では寒いので、上着を来ています。
北海道の短い夏も、終わったのでしょうか。

・私の夏休み・
本州はまだ、学校は夏休み中でしょう。
北海道の、小中高校は、今週から学校がはじまりました。
私は、夏休みとして、来週から帰省します。
私だけで、1週間滞在して、母のことで、
いろいろ折衝や対応してきます。
後半の3日、家内が合流します。
もしかすると、一日だけ長男が
合流できるかもしれませんが。
家族があちこちにいると
旅行も兼ねて、あちこちで会うことが
夏休みになってしまいますね。

2018年8月16日木曜日

1_163 大陸の移動 4:シミュレーション

 大陸移動には、従来の考えでは説明できないことがありました。シミュレーションによって検証したところ、別の運動をすることがわかりました。その結果、今まで不明の現象を説明できました。

 プレートの運動は、海洋プレートの動きだけでなく、大陸の移動をも起こします。つまり、プレート運動では、海洋も大陸の移動も説明できなければなりません。これまで、スラブ(沈み込む海洋プレート)が沈み込むときの「引張力」が、プレートの運動の原動力だとされていました。その考えでは、引張力が働けば、海洋プレートの移動の方向に対して、大陸プレートが抵抗力となり、移動速度が遅くなりように働くと考えられていました。これは、相対的に海嶺方向に向かって大陸プレートが移動することになります。このような運動をするのであれば、インド大陸がユーラシア大陸に高速で移動してぶつかったという現象が説明できませんでした。
 海洋研究開発機構の吉田さんと浜野さんのシミュレーションをしたところ、「スラブ引張力」では、大陸プレートの移動が起こらないという結果が出されました。シミュレーションは、いくつかの条件のもとでおこわなわれています。海洋プレートの海嶺と海溝の間に大陸プレートが位置するような場合です。そして、大陸プレートと海洋プレートの粘性の比が大きい(3桁ほど)場合、つまり大陸のマントルが固く振る舞う場合、大陸プレートの移動のスピードが大きくなることが示されました。
 そのような条件では、大陸プレートは、海溝側に向かって進むことがわかりました。これまでの考えでは、海嶺側に向かって進むことになっていましたが、逆方向に進むことになります。大陸が分裂後の移動や、小さく分裂した大陸の高速の移動などが、従来の考えではうまく説明できませんでした。例えば、大陸の分裂とは超大陸パンゲアの分裂のことで、分裂から西洋の拡大へとつながっていった運動です。大陸の高速移動とは、上で述べたパンゲアから分離したインド大陸が、高速の北上してユーラシア大陸への衝突という事実に相当します。
 これらの運動が、吉田さんと浜野さんのシミュレーションでは、説明可能でした。吉田さんと浜野さんの論文のタイトルになっていた「パンゲアの分裂とインド亜大陸の北方移動」の意味するところです。

・お盆には・
今年のお盆は、どのようにお過ごしでしょうか。
私は、いつものように大学で過ごしていました。
大学は16日まで休みですが、
通常の日と同じように、大学でています。
守衛さんのいるところから入ることができます。
記名が必要ですが、いつもと同じように仕事ができます。
私は、弁当をもっていきますので
研究室にさへ入れれば、いつものように夕方まで仕事ができます。
今年もいつも同じような日々を過ごしています。

・入稿・
お盆休みを早め終わり、
16日には仕事をはじめている会社もあります。
私がお願いする印刷屋さんも早めに仕事をはじめています。
業者の方が、大学が閉まっているので
来てもらうことができません。
私が、本の原稿を会社まで、
朝一番に持参することにしました。
そのあとは、街を少しうろうろすることにしています。
一段落のあとのひとときの息抜きでしょうか。

2018年8月9日木曜日

1_162 大陸の移動 3:スラブ

 地球の内部から表層にかけての運動は、熱の対流が原動力となっています。表層のプレート運動を詳細に見ていくと、どのような力が原動力かは、難しい問題となります。大陸の移動に関する新しい考えが提示されました。

 地表での大陸間の精密な観測事実からプレートの運動がわかり、プレートテクトニクスが実証されました。地震波の観測からマントル内の密度差、温度差から、マントル物質の対流が推定され、現在ではプルームテクトニクスと呼ばれる運動論が提唱されています。
 地表では、プレートとして連続的な運動として認識されていますが、マントル内の物質の分布状況を見ると、断続的な運動に依存しているようです。プルームの運動(マントル対流)の原動力は、地球の内部の冷却と熱の放出という物理的な過程でした。物質の運動は断続的ですが、温度の流れとしては継続的に続いているようです。
 大局的には熱放出に伴う対流運動となりますが、表層のプレート運動としてみると、その詳細は必ずしも解明されているわけではありません。
 かつては、海嶺で海洋プレートができて広がる、と単純に考えられていたのですが、それでは海洋プレートの沈み込みも起こらず、深く沈み込むんでいくこともなさそうでした。
 その後、作用しているさまざまな力から、プレートの運動を定量的に捉えるようになってくると、別の原動力が候補になってきました。すべてのプレート運動の原動力は、冷えた海洋プレートが沈み込むときに働く力だと考えられるようになってきました。海嶺でできた海洋プレートが海底をいどうするうちに冷やされ密度が大きくなります。ある密度以上になると、なんらかのきっかけがあれば、海洋プレートは沈み込むことができます。大陸プレートと海洋プレートがぶつかれば、海洋プレートが沈み込みます。海洋プレート同士であれば、より冷えて密度の大きい、古い海洋プレートが沈み込みます。沈み込む海洋プレートの沈み込みが、表層のすべてのプレートの原動力と考えられました。これも、熱の対流の一部と捉えることができます。沈み込む海洋プレートのことをスラブと呼ぶので、この原動力は「スラブ引張力(ひっぱりりょく)」と呼ばれていました。
 「スラブ引張力」によって、海洋プレートの沈み込みだけでなく、海嶺でも張力が発生して、マグマ形成も促します。また、海洋プレートの運動が解明されれば、大陸プレートの運動も自ずから理解されることになります。
 しかし、「スラブ引張力」では、大陸プレートの移動が起こらないという結果が見出されました。海洋研究開発機構の吉田晶樹さんと浜野洋三さんが、2015年のScientific Reportsに報告されました。論文のタイトルは、
Pangea breakup and northward drift of the Indian subcontinent reproduced by a numerical model of mantle convection
(マントル対流の計算モデルによって再現されたパンゲアの分裂とインド亜大陸の北方移動)
というものでした。
 パンゲアとはパンゲア超大陸のことです。超大陸やインドが、なぜ大陸プレートの運動と関係するのでしょうか。詳しくは、次回としましょう。

・集中・
大学の8月の最初の週の試験期間が終わると共に
涼しくなってきました。
皮肉なことです。
私としては、おこないたい作業があったので、
涼しくなり、集中できて助かっています。
一日、しっかりと集中できています。
細かい作業が必要なのですが、はかどります。
そして、校務も一気に行え効率的です。
このまま涼しくなってくれると助かるのですが。

・編集中・
現在、本の執筆が佳境にはいっています。
初稿が完成し、現在、編集作業をこなっています。
進行状況によっては、お盆明けには、
印刷屋さんに入稿したいと考えています。
私としては、できるだけ初稿の校正が少なくなるように
推敲をしていく必要があります。
ただし、少々文章量が増えたので、
予算内で印刷ができるかどうかが、心配です。
もしだめなら、少部数のデジタル出版に
変更することになるかもしれません。
そうなると、初稿の校正は、不可能となります。
まあ、今できることを、限られた時間で
優先順にできる範囲でやるだけです。