2018年8月16日木曜日

1_163 大陸の移動 4:シミュレーション

 大陸移動には、従来の考えでは説明できないことがありました。シミュレーションによって検証したところ、別の運動をすることがわかりました。その結果、今まで不明の現象を説明できました。

 プレートの運動は、海洋プレートの動きだけでなく、大陸の移動をも起こします。つまり、プレート運動では、海洋も大陸の移動も説明できなければなりません。これまで、スラブ(沈み込む海洋プレート)が沈み込むときの「引張力」が、プレートの運動の原動力だとされていました。その考えでは、引張力が働けば、海洋プレートの移動の方向に対して、大陸プレートが抵抗力となり、移動速度が遅くなりように働くと考えられていました。これは、相対的に海嶺方向に向かって大陸プレートが移動することになります。このような運動をするのであれば、インド大陸がユーラシア大陸に高速で移動してぶつかったという現象が説明できませんでした。
 海洋研究開発機構の吉田さんと浜野さんのシミュレーションをしたところ、「スラブ引張力」では、大陸プレートの移動が起こらないという結果が出されました。シミュレーションは、いくつかの条件のもとでおこわなわれています。海洋プレートの海嶺と海溝の間に大陸プレートが位置するような場合です。そして、大陸プレートと海洋プレートの粘性の比が大きい(3桁ほど)場合、つまり大陸のマントルが固く振る舞う場合、大陸プレートの移動のスピードが大きくなることが示されました。
 そのような条件では、大陸プレートは、海溝側に向かって進むことがわかりました。これまでの考えでは、海嶺側に向かって進むことになっていましたが、逆方向に進むことになります。大陸が分裂後の移動や、小さく分裂した大陸の高速の移動などが、従来の考えではうまく説明できませんでした。例えば、大陸の分裂とは超大陸パンゲアの分裂のことで、分裂から西洋の拡大へとつながっていった運動です。大陸の高速移動とは、上で述べたパンゲアから分離したインド大陸が、高速の北上してユーラシア大陸への衝突という事実に相当します。
 これらの運動が、吉田さんと浜野さんのシミュレーションでは、説明可能でした。吉田さんと浜野さんの論文のタイトルになっていた「パンゲアの分裂とインド亜大陸の北方移動」の意味するところです。

・お盆には・
今年のお盆は、どのようにお過ごしでしょうか。
私は、いつものように大学で過ごしていました。
大学は16日まで休みですが、
通常の日と同じように、大学でています。
守衛さんのいるところから入ることができます。
記名が必要ですが、いつもと同じように仕事ができます。
私は、弁当をもっていきますので
研究室にさへ入れれば、いつものように夕方まで仕事ができます。
今年もいつも同じような日々を過ごしています。

・入稿・
お盆休みを早め終わり、
16日には仕事をはじめている会社もあります。
私がお願いする印刷屋さんも早めに仕事をはじめています。
業者の方が、大学が閉まっているので
来てもらうことができません。
私が、本の原稿を会社まで、
朝一番に持参することにしました。
そのあとは、街を少しうろうろすることにしています。
一段落のあとのひとときの息抜きでしょうか。