今回のシリーズは、隕石が由来を探る話題でした。コンドライトという主たるタイプの隕石が、どの母天体からきたかを突き止めました。母天体の衝突した時期が重要な情報になっていました。
3編の論文により、炭素質コンドライト、Hコンドライト、Lコンドライトの母天体が推定されました。どの天体に由来するのかを、順番に見ていきましょう。
炭素質コンドライトの母天体を推定してますが、炭素質コンドライトはいくつかの分類に細分されています。分類の詳細を省きますが、区分ごとに母天体となる小惑星の族が推定されています。CMコンドライト(ケーニッヒ族からの可能性もある)とCRコンドライトはヴェリタス族から、CIコンドライトはポラナ族(クラリッサ族、ミサ族、ホフマイスター族)から、COコンドライト、CVコンドライト、CKコンドライトはエオス族から、それぞれ由来したと推定されました。
小さな(メートルサイズ)の炭素質コンドライトも、普通コンドライトと同じように破片ができ、落下してきていることになります。炭素質コンドライトは同じ隕石に由来する破片が多く、他のコンドライトと比べると比率は小さくなっています。炭素質コンドライトは、揮発成分を多く含んでいるため、大気圏に突入時に、気化や熱分解で崩れてしまうものが多くなります。ブロズらの研究では、炭素質コンドライトには同じ隕石に由来した破片が多いこと、そして小さくなりすぎて見つかりにくくなっていると考えました。
Hコンドライトは、580万年前の衝突によるカリン族と、760万年前のコロニス2族のどちらかに由来していると考えられました。Hコンドライトは、照射年代が500万から800万年前と広がりあるのですが、それは2つの衝突に由来しているためと考えられます。両族がHコンドライトという同じ化学組成のグループに属しているのですが、より大きなコロニス族に属しています。さらに大きな衝突が以前起こって、その後小さな衝突が起こったのではないでしょうか。
マーセットらの研究では、Lコンドライトは、多数(6000個以上)の小惑星からなるマッサリア族に由来しており、その衝突は4億7000万年前の大規模なものでした。また、4000万年前にもこれより小規模な衝突があったと考えられています。
石灰岩の研究から、オルドビス紀中期(約4億6600万年前)に氷河期と大規模な絶滅があったことが知られています。氷河期による寒冷化で大絶滅が起こったと考えられます。衝突クレーターの存在や、Lコンドライトに由来する微小の物質が見つかっています。氷河期と大絶滅の原因は、大規模な天体衝突によるのではないかと考えられていました。4億7000万年前のLコンドライトの衝突時期は、オルドビス紀の事件と時期が似ています。
現在もこの衝突に由来する隕石が多くの占めています(全落下の20%以上)になっています。4000万年前の衝突も、Lコンドライトが多い原因となっていると考えられます。
他にも、LLコンドライトは1500万年前に衝突を経験したフローラ族を起源とする可能性も可能性があるのではないと推定しています。
地球近傍小惑星のシミュレーションで衝突を再現し、その結果を隕石の年代と対応させて、隕石の母天体を探ってきました。そして、主たる隕石(90%程度)の由来を明らかにしてきました。これらの研究の手法はオーソドックなものにみえます。しかし、このアイディアを思いついて、それを研究成果にするには、多くの努力が必要になります。
・心の余裕・
もう師走となりました。
今年は、退職という大きな節目を迎えました。
幸い研究室が1年間使用可能にしていただいてので
大学の研究室にいくという生活パターンは
変わることがありませんでした。
気持ちの上では大きな変化が生じました。
それは、授業の減少という時間的なゆとりだけでなく
対人関係の校務がなくなったことが大きかったようです。
行動にはあまり変化が起こっていませんが
心の余裕できたことで、
研究が深めることができました。
・師走の恒例行事・
例年、11月になると郵便局で年賀状が販売されます。
そのために、購入する枚数を確認するために
住所を整理して、年々数を減らしてきました。
そして12月になると年賀状を購入して
文面の準備をしていました。
まだ、住所の整理すらスタートしていません。
今年からは、ずっと送る人だけで
減少させることはありません。
また年賀状もいつでも買えるようになってきました。
そんな状況で、急ぐ気持ちがなくなりました。