このシリーズでは、これまで、隕石が由来した母天体がわかったという一連の3編の論文が発表され、それらの論文のタイトルになっている、隕石の大雑把な特徴を紹介してきました。今回から、論文の中身に入ってきましょう。
前回まで、論文のタイトルにあった炭素質コンドライト、普通コンドライトのLコンドライトについて紹介してきました。論文の内容では、タイトルに入っていなかったのですが、Hコンドライトなどについても、母天体を特定しています。
一連の論文で進められた研究方法は、小惑星同士の衝突で飛び散る破片のシミュレーション、実際の隕石の年代、小惑星の軌道や表層の化学組成の観測データとの比較などで、いくつかの隕石の種類の母天体を推定しています。
ここでいう隕石の年代とは、形成年代ではなく、衝突してから落下までの期間のことを意味します。その期間は、隕石に宇宙線が照射されてできた核反応生成物の量によって決める手法があり、「宇宙線照射年代」と呼ばれています。多くの隕石で、数100万年程度(500万年あたりに年代値のピークがある)の年代となります。ただし、鉄隕石には古いもの(10億年から1億年)が見つかります。
古い年代が少ないということは、地球に隕石として落下するような軌道をもった小惑星は、短い期間に落下してしまっていることになります。小惑星が、そのような軌道をもつようになったのは、「最近」のことと考えられます。
地球と交差する可能性のある軌道をもった小惑星は「地球近傍小惑星」と呼ばれ、観測されています。数は少ないですが、隕石の落下から公転軌道を推定されたものなどがあります。
論文では、軌道を変える現象として、太陽の放射(光や)の影響も考えられています。天体の表面に当たった側(昼側)は温められ、そこが自転で夜になちき、熱を赤外線で放射されます。その放射の力がわずかですか、継続的に働く力なので、天体が小さければ軌道を変化させる推力となります。ヤルコフスキー効果と呼ばれるものです。ヤルコフスキー効果は、小さい天体ほど影響を受けます。また、地球近傍小惑星に対しても、微妙な軌道計算には影響を与えます。
地球に落下する隕石の起源は、大きな天体で、ヤルコフスキー効果の影響を受けないはずです。大きな天体の軌道を変えるのは、天体同士の衝突になります。衝突によって飛び散った破片で、大きな天体となったものは、最初の軌道を保ったままで、似た軌道を持つ天体群となります。そのようは軌道をもった小惑星群は、族(ファミリー)と呼ばれます。
各種の小惑星族の公転軌道をもとにして、長期間に渡って軌道をシミュレーションしていくことで、分裂した時期を推定しています。そして、その分裂を起こしたと考えられる衝突で、飛び散った破片が、地球に届く隕石の量をシミュレーションしています。その結果を、現実に見つかっている隕石の種類の量や比率と一致するかどうかと比べて検証しています。
3回の小惑星同士の衝突で、多くの隕石が由来することが分かってきました。詳細は次回としましょう。
・北海道の冬・
北海道は何度かの積雪やドカ雪もあり、
一気に秋から冬に突入しました。
白鳥も渡ってきて、
近所の田畑に朝夕、ねぐらから飛んできます。
しかし、まだ11月なので、
何度かの雪も、根雪とはならず、
溶けてしまいました。
そんな繰り返しが、
冬へと向かっていくのでしょう。
これから北海道は長い冬の季節となります。
・北九州の旅・
先週の北九州の旅は、
まったく初めてのところばかりで
非常に楽しかったのです。
関門海峡も初めて見ることができました。
人道トンネルも半分までですが
歩くことができました。
長男の予定があえば、
また車を出してくれるとのことです。
来年もまた、北九州を訪れたいと思いました。