地震波には、液体も伝伝わっていくものがあります。そんな地震波から、外核を通り内核の情報もえられます。ひとつの地震でも、いろいろな経路を経ているものがあります。そんな地震を利用して、内核の解析が進められました。
地球内部には、液体の鉄(外核)の中に、固体の鉄(内核)が重力によってその位置に固定はされています。ただ、液体の中にある固体なので、浮遊状態でもあるので、動きやすい状態になっています。
ワン(Wang E.)らの共同研究として、ネイチャー誌に2024年6月12日に
Inner core backtracking by seismic waveform change reversals
(地震波形の変化の反転によって逆回転する内核)
という論文が報告されました。この論文は、内核の運動を調べたところ、逆転していることがわかったというものです。
核の内部は、液体も通過する地震波(P波)を用いて観測することができます。以前から核の内部は観測されており、内核にもいくつかの構造があること、地球の表面に対して、回転していることも知られていました。
この報告では、1991年から2023年の間にサウスサンドウィッチ諸島で発生した地震のデータを集めています。サウスサンドウィッチ諸島は、南米と南極半島の間のドレイク海峡の東にある列島です。この列島は、大西洋の海洋プレートが沈み込んでいるため、地震が多く発生します。そして、内核を通った地震波が観測できる位置に、ちょうど北米大陸があります。内核を貫通する地震波(PKIKP波と呼ばれています)を、北米大陸の北部にある地震計群で観測しました。
起こった地震がひとつであっても、外核や内核の内部で異なった経路を通った成分が含まれています。それを見分けていくことで、より詳しい核の情報を読み取ろうとしています。
サウスサンドウィッチ諸島の42地点で起こった121個の地震から、はっきりとした143組のペアとなっている地震を見つけています。その中には、3から7通りの経路をもった地震も16件、見つかっています。
それらを分析して、内核が逆転しているという現象を発見してます。その詳細は次回としましょう。
・アイディア勝負・
地震波は地球内部を調べるための有効な方法です。
地球内部を、深部まで調べることができます。
そのためには地震が起こる必要があります。
地震は、自然現象なので、いつ起こるかわかりません。
発生する地震任せに見えますが、
規模を問わなければ、沈み込み帯や海嶺、衝突帯など
プレート境界と呼ばれるところでは
しょっちゅう地震は起こっています。
常時観測と情報ネットワークの体制があれば、
データは自動的に入手できます。
そうなると後はデータ解析の手法や
アイディアの勝負となります。
今回紹介している論文のそんな一つです。
・峠越え・
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今週初めに1泊2日で調査に出ました。
今年最後の野外調査になります。
山間の峠を通るルートを
予定しているので、雪が心配です。
山では積雪のニュースが流れました。
我が家の車は、まだ冬タイヤには交換していません。
もし雪なら峠越えのルートは、
変更することになります。
当日の天候次第ですが。