2014年1月9日木曜日

3_124 本源マグマ 5:特異か普遍か

 2つの本源マグマの発見は、沈み込み帯で起こる火山活動全般に再考を迫る可能性があります。発見された2つの本源マグマが、特異な背景を持つものなのか、それとも普遍的なものかによって、地質学の進展においては大きな違いとなります。

 田村さんたちが報告した本源マグマ自体が珍しいものであるうえに、2種類も見つかったことも驚きです。非常に貴重な発見だといえます。そして、もっとも重要なことは、沈み込み帯におけるマグマ形成のメカニズムに、再考を迫ったことでした。
 列島のマグマ形成は以下のメカニズムだと考えられています。海溝で列島の下に沈み込む海洋プレートは、深くなるにつれて水分などの成分が絞り出されます。それらの成分が、列島下のマントルにつけ加わると、岩石を溶かす効果が起こります。絞り出された成分は、多くは水分ですが、海洋プレートの上層にあった堆積物が、高温高圧のために少し溶けたもの(メルトと呼ばれています)も、マントルに供給されます。水分とメルトが混じったものが、マントルの岩石を溶かしマグマをつくります。そのようなマグマが、列島の火山の起源となると考えられていました。
 沈み込む海洋プレートから絞り出された水とメルトは、量や比率は変化しますが、両者が混じってマントルを溶かすために使われていると考えられていました。それらの成分は、マグマの中に混っていることになります。
 ところが、今回、本源マグマとして、つまりマントルが溶けたものとして、水分の多いマグマとメルトが多いものとが見つかったのです。さらに、同じ火山体に、同時期に2つ、本源マグマとして存在したことになります。このような事実をどう考えればいいのでしょうか。少なくとも今までの考えでは、地表には出てくるはずのないマグマです。
 実際の試料やデータ、さらには状況証拠から、沈み込んだプレートから水分とメルトが絞り出されるのですが、それらが混じることのない状態(イミッシブル、不混和)のまま移動し、別々にマントルを溶かして、異なる本源マグマをつくったと考えられるのです。これが、田村さんたちのいう「ミッション・イミッシブル仮説」です。
 「ミッション・イミッシブル仮説」が、この地域、この火山だけに起こった特異な現象なのか、それとも普遍的に見られる現象なのかを、今後、解明していく必要があります。
 もし局所的な現象であれば、なぜ本源マグマが2つも形成されたのか、その地域性や特異性を説明してく必要があります。もし普遍的現象であるのなら、他の列島の火山でも、このようなイミッシブル現象が起こっていなかったかを検証していく必要があります。「ミッション・イミッシブル仮説」が起こっていたとなると、列島のマグマ形成メカニズムに大きな変更を迫ることになります。今度の研究に期待したいものです。

・利器のありがたさ・
明けましておめでとうございます。
穏やかな正月を迎えられたでしょうか。
我が家は、30日の夜に給湯器が、突然、故障しました。
そのため、風呂に入れなくなりました。
サービスセンターにいろいろ業者に手を回していただき
1月4日には新しい設備が入手でき
取り付けられることになりました。
そのため風呂は、大晦日と正月は、
毎日、スーパー銭湯や温泉に通うことになりました。
正月なのでいいことだともいえますが、
毎日のことだと少々疲れます。
大雪でも出かけなければなりません。
4日の午前中には給湯器をつけていただき、
お湯のある生活、自宅で風呂に入れる生活に戻れました。
お湯が出ることが当たり前の生活に馴れると
そのありがたさを忘れてしまいます。
今年の正月は利器のありがたさを
再確認することができました。

・授業再開・
大学が授業が再開しました。
息子たちは、今週一杯冬休みです。
まあ、クラブで学校にはでていますが。
4年生は卒業研究の発表の準備。
3年生以下は、定期試験の準備。
教員はセンター試験と定期試験の準備。
正月明けから3月までは、
なにかと慌ただしい日々が続きます。