2014年1月16日木曜日

2_122 最古の生命 1:変成岩から

 グリーンランドの「堆積岩」から、生命の痕跡が見つかりました。日本の研究者が中心になっての研究成果です。実際に化石が見つかっているわけではありませんが、生命の痕跡としています。どのような根拠に基づくのでしょうか。

 このエッセイでは、生命誕生にかかわる話題として、「生命の起源」や「コモノート」などのシリーズで紹介してきました。生命の起源は、常に興味がそそられる話題です。
 2013年12月に最古の生命の証拠が新たに報告がなされました。その概要を紹介してきましょう。
 最古の生命の舞台のおおくは、グリーンランドのイスア(Isua)です。ここには地球で最古の堆積岩がでているためです。もちろん、今回の報告もイスアの試料を用いています。
 当然のことながら、生命の痕跡探しは、化石がみつかる堆積岩でおこなわれます。他の成因の岩石として火成岩や変成岩があります。火成岩はマグマが固まったもので、マグマの中では生命は存在しません。ですから、火成岩からは化石には見つかるはずがありません。変成岩は、もとの岩石種は問いませんが、高温高圧条件で別の岩石になったものです。もとの岩石が堆積岩で化石を含んでいたとしても、化石の痕跡は消えてしまいます。
 したがって、化石探しは堆積岩でということは、当たり前のことになります。堆積岩のある鉱物に着目して、詳細な分析から生命の痕跡が示されたことがありました。その結果を、多くの地質学者は信じていたのですが、実はその岩石が火成岩であったことが判明しました。その報告は否定されました。他にも、イスアでの最古の生命探しは、何度も発見したという報告があり、その後、証拠や手法などの不備が指摘され、立ち消えになるという繰り返しがありました。
 現在まで、イスアの38億年前の地層からは、化石はまだに発見されていませんでした。そんな状況のもと、今回の報告がなされました。東北大学の大友陽子さんたちのグループがおこなった研究の成果でした。2013年12月8日のNature Geoscience(電子版)に掲載されました。タイトルは
Evidence for biogenic graphite in early Archaean Isua metasedimentary rocks
(初期太古代のイスアの変堆積岩中の生物起源のグラファイトの証拠)
というものでした。
 このタイトルにはいつくか気になる術語があります。「変堆積岩(metasedimentary rocks)」と「生物起源のグラファイト(biogenic graphite)」です。
 まず、「変堆積岩」とは、変成作用をうけた堆積岩です。変成岩と言ってもいいのでしょうが、堆積岩のつくりや特徴をよく残しているのですが、岩石やその構成鉱物は変成を受けて別の鉱物に変わっているものをいいます。さきほど述べた、変成岩からは化石が見つからないという一般論に反しています。今回の報告は、そんな岩石から化石の生命の痕跡を見つけたのです。
 次の「生物起源のグラファイト」ですが、グラファイトとは炭素からできている鉱物で石墨とも呼ばれています。鉛筆の芯に使われていものと同じです。炭素だけからできている鉱物なので、その中には化石はありません。炭素は、生物にとって必要不可欠な主要成分です。生物がいたとして、化石が埋まっていたとしても、グラファイトになっていのですから化石は消えてしまっているはずです。しかし、そのグラファイトが生物起源だと認定できるということです。
 それらの詳細は次回としましょう。

・大雪・
週末から連休にかけて、
わが町は大量の雪が降りました。
成人式の参加者は
大変な思いをされたのではないでしょうか。
岩見沢の方の積雪はもっと大変だったようです。
今では、道が通常の半分ほどの幅しかなく
車も人も非常に危ない思いを通行しています。
12月までは雪が少ないと思っていたのですが、
帳尻を合わすように、
暮れから度々大雪が降っています。
今では、例年にない積雪量となっているようです。

・センター試験・
大学は、正月明けから1週分の講義があり、
通常モードにもどりました。
次には定期テストが控えているので、
学生たちには緊張感があるようです。
大学全体では、週末のセンター試験の準備で
なんとなく落ち着かなくなっています。
センター試験は教職員総出での体制となっています。
受験生は、もっと緊迫した気持ちで
今を過ごしているのでしょう。
健闘を祈ります。