2000年9月20日水曜日

「地球のささやき」発刊にあたって(2000年9月20日)

 エッセイをはじめるにあたって、考えていることがあります。あるいは心構えとでもいいましょうか。つまり、どのような気持ちで、このメールマガジンというメディアの連載をはじめるかということです。
 このエッセイがインターネット上で連載されるということは、単にメールマガジンの読者だけでなく、不特定多数の読者が潜在的に存在するということです。ですから、書く側としては、そのような読者をも意識して書かなければいけません。私自身、インターネット上での連載は、はじめての試みです。しかし、このような状況は一般の出版物と同じです。
 一般の出版物とメールマガジンとの違いは、インターネットの特徴である速報性と自由さにあると思います。つまり、この原稿は、第三者の目を通過することなく、直接読者の目に触れることになります。
 一般の出版物では、プロの編集者やプロの校正者が、文章や内容を何度もチェックしてくれます。デザインもプロが担当し、きれいに仕上げてくれます。そして商品としての本や雑誌ができるわけです。
 ところがこのようなメールマガジンでは、編集や校正、デザインも著者である私がおこないます。ホームページの運営と管理もFTPで私自身がおこなっています。ですから、時間の都合で十分な校正ができないかもしれません。デザインも素人くさいものになります。誤字脱字や不適切な発言があるかもしれませんが、それらすべては、私の責任となります。責任を放棄する気はありません。私宛にE-mailを送っていただければ、直接議論が可能です。そして、不適切な点は、ホームページから即座に削除や訂正が可能です。
 これが、新しいデジタル・メディアの長所と短所でしょう。長所を最大限に活かすために、テクノリサーチさんに無理をいって、FTPでの私の管理をお願いしました。
 今後、メールマガジンのような試みは、たくさんあるでしょう。実際には、もう多数のメールマガジンが発刊され、多くの読者がいると聞いています。ですから、メールマガジンというメディア自体には、なにも新しいことはないはずです。
 ところが、実は新しいことが、たくさんあるのです。それは、私にとって、デジタル・メディアでの連載がはじめてであるということ、このメールマガジンが地域商店街の活発化を目指したボランティア的な趣旨でスタートしていること、などいろいろはじめてのことがあます。そして、なによりもこの連載を読んでみようと思った方と私の出会いがあります。
 私は、博物館の学芸員です。そして、私は、新しい科学教育を開拓するための研究グループを組織しました。そのメンバーとしてテクノリサーチの人も入っていただいてます。このグループは、完全なボランティアとして活動しています。テクノリサーチさんは、私たちのグループのために、サーバーを無償で提供していただいてます。非常にありがたいことで、これによって私たちのグループの活動をインターネットの上でおこなうことが可能になりました。その見かえりとして、博物館のメンバーも無償でデータベースを公開し、CD-ROMを配布しています。
 このような人間関係のなかから、私がこのメールマガジンに参加することになりました。私がテクノリサーチにしていただいたようなボランティアへのお返しとも考えています。そして、なによりも私が楽しんでいます。
 可能な限り、分かりやすく書くつもりです。時には難しく、時には深く考えるべき内容となるかもしれません。ぜひ、楽しんでください。そして、普段使ってない脳細胞を活性化してください。この連載を通じて地球や自然に興味を持ってくださる方が一人でも生まれれば私のしたことも無駄ではなかったと思います。
2000年9月20日
小出良幸