年末になって、系外惑星のニュースが、NASAから飛び込んできました。その系外惑星も、これまで知られていない異形なものでした。しかしその特徴には、どこか愛嬌がありました。
本号が今年最後のエッセイになります。系外惑星のシリーズで終わることになりました。もともとの構想では、前回のエッセイで終わるはずでした。ところが、2019年12月20日にNASAから、系外惑星に関するニュースが配信されました。これを、年末のエッセイの話題にすることにしました。
ケプラー宇宙望遠鏡が、2012年から2014年にかけて発見した系外惑星を、ハッブル望遠鏡で観測して、詳細がわかったというニュースでした。
観測された系外惑星は、恒星のKepler-51(太陽系から約2600光年の距離)を回る3つの惑星のKepler-51b、Kepler-51c、Kepler-51dです。
恒星の前を惑星が通り過ぎるとき、大気を透過したときの光(透過スペクトル)をハッブル望遠鏡で分析しました。すると、主に水素とヘリウムからできていることがわかりました。水は検出できませんでした。大気が厚すぎるので表層の成分しか調べられず、内部の成分はわかりませんでした。ですが、大気の下には、メタンガスがたくさん含まれているのではないか、と推定されています。
また観測の結果、3つの惑星は木星ほどのサイズがあるのですが、密度が非常に小さいことがわかりました。ガス惑星である木星(1.33 g/cm³)と比べても、いずれも100分の1の0.1 g/cm³ほどしかありませんでした。密度から考えると、内部にも重い物質(鉄や岩石など)はほとんどなく、ガスだけからできた惑星になります。NASAはこのような惑星を"cotton candy"(綿あめ)と呼び、"super-puff"(チョウふわふわ)の表現しました。
ところが、一番内側にあるKepler-51bは、恒星の熱で大気を大量に飛ばされているようで、10億年ほどで海王星サイズになってしまうと推定されています。まだそうなっていないということは、今の状態がずっと維持されていたのではなく、「最近」このような状態になったと推定できます。もちろん「最近」とはいっても天文学的な表現で、億年単位の話しです。
どのようにして異形の綿あめ惑星ができたのでしょうか。もともと恒星から遠く離れたところで、メタンや水素化合物が固体になるような距離で(スノーラインと呼ばれる)できた惑星だと考えられます。それが何らかの原因で、恒星の近くに移動したことになります。その結果、水素やメタンが気化して密度の小さい惑星に膨れ上がったということです。
綿あめ惑星の写真は、
https://www.nasa.gov/feature/goddard/2019/cotton-candy-planet-mysteries-unravel-in-new-hubble-observations
で見ることができます。背景の天体配置などは正確です。ただしこの画像は、科学的に推定して作られたものです。写真はふわふわとして可愛く見えます。
・ホワイト・クリスマス・
北海道は、根雪と思っていた雪が
暖かさで何度から融けてしまいました。
それでも、北国の冬ですので、
雪が降り寒波がくると根雪の戻ります。
クリスマスもホワイトでした。
今年は、変動の多い気候でした。
・時代の流れ・
最近の若者は、年賀状を
あまり書かなくなっているようです。
SNSで連絡することが当たり前なので、
それで済ましているようです。
テレビも持っていない学生も多いです。
テレビは三種の神器のひとつと
言われていた時代もありました。
しかし若者も映像やニュースはみています。
映像や動画は、パソコン、スマホ、タブレットなどで
YouTubeやネット放送を見ているようです。
ニュースもネットで配信されるものです。
これも時代の流れですね。
・よいお年を・
このエッセイを週の初めに書いているのですが、
まだ講義は続いています。
ですから、エッセイが届いたころから
私は冬休み入り、一段落となります。
今年最後のエッセイとなります。
よいお年をお迎えください。
2019年12月26日木曜日
2019年12月19日木曜日
5_169 系外惑星 4:大気組成
このシリーズで、系外惑星の軌道と質量以外の情報を調べるのは、難しいといいました。しかし、いくつかの惑星で、大気組成が観測されてきました。そこで、今までの太陽系の常識を覆すものが、見つかってきました。
系外惑星では、軌道や質量は求められますが、それ以外の性質を求めるのは難しいと紹介しました。これは少し考えればわかります。遠くの天体では、恒星は光を発しているので観測できますが、惑星は光を発していません。ですから、惑星の存在を探ること、そこから軌道や質量は恒星の変動を観測することで可能です。ところが、いくつかの系外惑星で、もっと詳しい情報が得られてきました。2つの系外惑星を紹介しましょう。
かに座方向に97光年のところある恒星(GJ-3470)でみつかった、GJ-3470bという系外惑星です。この惑星は、質量が地球の12.6倍、公転周期が3.3日となっています。短時間の周期で、恒星の非常に近いところを回っていました。サイズは海王星に似ていて、恒星に近いところを回っているので、「ホット・ネプチューン」に分類されていました。海王星型の惑星なら、大気は水蒸気やメタンがになるはずです。
公転周期が短いので、太陽の前を通るときの観測(12回)と、後ろを通るときの観測(20回)が繰り返しおこなわれました。この惑星からは、太陽に暖められて大気が飛び出していました。惑星から飛び出した大気に、恒星からの光の波長が吸収されて、大気組成を調べることできました。その結果、水素やヘリウムという、まるで木星のようなガス惑星に似た大気でした。「ホット・ジュピター」と呼ばれる惑星の典型でした。海王星と考えられていのですが、その大気組成とは異なっていました。系外惑星、GJ-3470bも今までの太陽系の常識を覆しました。
もう一つは、しし座方向に124光年のところにある恒星(K2-18)にあるK2-18bです。この系外惑星は、公転周期が30日ほどでした。この惑星は、ハビタブルゾーンの軌道にありました。質量は約8.9倍で、地球と海王星の中間になります。地球より大きな「スーパー・アース」、あるいは海王星より小さい「サブ・ネプチューン」などに分類されています。
恒星を横切った時に観測(9回)がなされました。その時、惑星大気の分光分析されて、組成が求められました。この惑星は、ハビタブルゾーンにある系外惑星ではじめて大気組成が明らかになったものでした。大気には、水素とヘリウムの他に、水蒸気も見つかりました。
ただし、この惑星には、特殊な条件がありました。まず恒星が赤色矮星であることです。赤色矮星は、一般的な恒星(主系列星)と比べて低温で、核融合反応はゆっくりと進んでいます。質量は小さいのですが、寿命が長く(1000億年以上)で、周りに惑星系があれば、安定した条件が長期間維持されると考えられます。またこの系外惑星は、公転と自転が一致し、惑星の同じ面が常に恒星を向いています。地球と月の関係(潮汐固定)と同じです。表面温度は、265K(-8℃)と推定されています。
大気中の水蒸気の発見は、惑星には表面の条件が整っていれば、水、つまり海の存在が期待されます。自転が固定されているので、恒星に暖められた大気が循環することで、場所によっては、水が安定に存在できる場所が生まれるかもしれません。ただし、このような海王星のようなガスの多い惑星で、地表に硬い大地があり、海洋があるかどうはまだ不明です。
多数の系外惑星からは、特異性、意外性の報告が目に付きます。これいいことなのかもしれません。地球が宇宙の中心であるという天動説から、地動説へと気づく「コペルニクス的転回」が、系外惑星から生まれつつあります。今後も、もっとたくさんの特異性が発見されるでしょう。どこまでが地球、太陽系の理屈が通じるのか、注意深くチェックしていく必要があると思います。
・コペルニクス的転回・
コペルニクス的転回は、
もちろんコペルニクス自身が、言ったものではありません。
これを言ったのは、哲学者のカントでした。
カントが、自己の認識を180度変更する
という意味として用いた言葉でした。
認識(主観)と対象(客観)の関係が
従来は客観→主観(認識は対象に依存)であったのを
主観→客観と、カントは転回しました。
これは、自分の認識がより中心になっているという意味です。
その意味では「天動説」的ですが。
・寒暖の繰り返し・
北海道は、まだ温かい日と寒い日が繰り返しています。
11月には根雪になったか
と思えるほどの雪になっていたのですが、
雨が降ったり、暖かさで雪が融けたりしました。
例年冬になっても温かい日もあるのですが、
さすがに何度も雨というのはあまり経験がありません。
まあ、これも気候の変動幅のひとつなのでしょうね。
系外惑星では、軌道や質量は求められますが、それ以外の性質を求めるのは難しいと紹介しました。これは少し考えればわかります。遠くの天体では、恒星は光を発しているので観測できますが、惑星は光を発していません。ですから、惑星の存在を探ること、そこから軌道や質量は恒星の変動を観測することで可能です。ところが、いくつかの系外惑星で、もっと詳しい情報が得られてきました。2つの系外惑星を紹介しましょう。
かに座方向に97光年のところある恒星(GJ-3470)でみつかった、GJ-3470bという系外惑星です。この惑星は、質量が地球の12.6倍、公転周期が3.3日となっています。短時間の周期で、恒星の非常に近いところを回っていました。サイズは海王星に似ていて、恒星に近いところを回っているので、「ホット・ネプチューン」に分類されていました。海王星型の惑星なら、大気は水蒸気やメタンがになるはずです。
公転周期が短いので、太陽の前を通るときの観測(12回)と、後ろを通るときの観測(20回)が繰り返しおこなわれました。この惑星からは、太陽に暖められて大気が飛び出していました。惑星から飛び出した大気に、恒星からの光の波長が吸収されて、大気組成を調べることできました。その結果、水素やヘリウムという、まるで木星のようなガス惑星に似た大気でした。「ホット・ジュピター」と呼ばれる惑星の典型でした。海王星と考えられていのですが、その大気組成とは異なっていました。系外惑星、GJ-3470bも今までの太陽系の常識を覆しました。
もう一つは、しし座方向に124光年のところにある恒星(K2-18)にあるK2-18bです。この系外惑星は、公転周期が30日ほどでした。この惑星は、ハビタブルゾーンの軌道にありました。質量は約8.9倍で、地球と海王星の中間になります。地球より大きな「スーパー・アース」、あるいは海王星より小さい「サブ・ネプチューン」などに分類されています。
恒星を横切った時に観測(9回)がなされました。その時、惑星大気の分光分析されて、組成が求められました。この惑星は、ハビタブルゾーンにある系外惑星ではじめて大気組成が明らかになったものでした。大気には、水素とヘリウムの他に、水蒸気も見つかりました。
ただし、この惑星には、特殊な条件がありました。まず恒星が赤色矮星であることです。赤色矮星は、一般的な恒星(主系列星)と比べて低温で、核融合反応はゆっくりと進んでいます。質量は小さいのですが、寿命が長く(1000億年以上)で、周りに惑星系があれば、安定した条件が長期間維持されると考えられます。またこの系外惑星は、公転と自転が一致し、惑星の同じ面が常に恒星を向いています。地球と月の関係(潮汐固定)と同じです。表面温度は、265K(-8℃)と推定されています。
大気中の水蒸気の発見は、惑星には表面の条件が整っていれば、水、つまり海の存在が期待されます。自転が固定されているので、恒星に暖められた大気が循環することで、場所によっては、水が安定に存在できる場所が生まれるかもしれません。ただし、このような海王星のようなガスの多い惑星で、地表に硬い大地があり、海洋があるかどうはまだ不明です。
多数の系外惑星からは、特異性、意外性の報告が目に付きます。これいいことなのかもしれません。地球が宇宙の中心であるという天動説から、地動説へと気づく「コペルニクス的転回」が、系外惑星から生まれつつあります。今後も、もっとたくさんの特異性が発見されるでしょう。どこまでが地球、太陽系の理屈が通じるのか、注意深くチェックしていく必要があると思います。
・コペルニクス的転回・
コペルニクス的転回は、
もちろんコペルニクス自身が、言ったものではありません。
これを言ったのは、哲学者のカントでした。
カントが、自己の認識を180度変更する
という意味として用いた言葉でした。
認識(主観)と対象(客観)の関係が
従来は客観→主観(認識は対象に依存)であったのを
主観→客観と、カントは転回しました。
これは、自分の認識がより中心になっているという意味です。
その意味では「天動説」的ですが。
・寒暖の繰り返し・
北海道は、まだ温かい日と寒い日が繰り返しています。
11月には根雪になったか
と思えるほどの雪になっていたのですが、
雨が降ったり、暖かさで雪が融けたりしました。
例年冬になっても温かい日もあるのですが、
さすがに何度も雨というのはあまり経験がありません。
まあ、これも気候の変動幅のひとつなのでしょうね。
2019年12月12日木曜日
5_168 系外惑星 3:ハビタブルゾーン
TESSが、地球型惑星を探す理由は、私たちのことを、もっと知りたいという、隠れた意図があるのではないでしょうか。その探査には、ハビタブルゾーンという考えを知ることが、重要になります。
地球型惑星とは、サイズもさることながら、軌道もある程度遠くを回っている必要があります。それがTESSで、地球型惑星を探す理由ともなっています。地球に似た惑星であれば、生命が存在する可能性があります。もちろん、惑星の存在は観測できますが、生命の存在が直接観測できるわけではありません。ですから、あくまでも「可能性」を探すことになります。では、どのようにして、その可能性を探ることができるのでしょうか。
地球型惑星と呼ぶには、サイズだけではなく、軌道も恒星から一定以上遠くを回っている必要があります。系外惑星としてサイズも公転軌道も観測できます。ただし、生命が存在する可能性があるのは、小さな地球サイズの惑星で、しかも軌道がある一定の領域になければなりません。その領域の範囲は、「ハビタブルゾーン」と呼ばれています。
小さな惑星と限定するのは、大きな惑星は表面に大量のガスをもつガス惑星になります。太陽系でいえば、木星や土星のような天体で、そこでは水も生命も存在しそうにあります。小さければ、大気も薄く、硬い表面をもつ惑星、岩石惑星が期待できます。
また、ハビタブルゾーンとは「生存可能領域」と訳されていますが、液体の水が惑星表面に存在できる領域となります。実際に水を観測することは困難ですが、水が惑星表面に存在するには、薄めの大気があり、平均気温が0℃から100℃の範囲に維持されている必要があります。その位置は、恒星の明るさと距離によって計算できます。恒星が明るければ、ハビタブルゾーンの軌道は遠く離れ、暗いと近くなります。
ハビタブルゾーンにある地球型惑星は、明るい恒星では見つけにくく、暗い星では見つけやすくなります。もしその領域に地球型惑星が見つかれば、生命や水の存在が観測できなくても、間接的に水があり、生命が存在する可能性を示します。
しかし注意が必要です。ハビタブルゾーンの地球型惑星には水が存在し、水が存在すれば、生命が存在する可能性があるという論理構造は、実は地球や私たちの太陽系が、宇宙に当たり前に素材する恒星、惑星だという前提にしています。地球を典型的なものとして、地球型惑星を探そうという考えです。さらに水が惑星表面に長時間維持されていれば、生命が発生し継続的に存続し、進化していく可能性もあります。この推論も、私たちの地球や生命を典型ということを前提にしています。
それらの前提に普遍性があるかどうかには、根拠はありません。私たちの太陽、地球、生命が、唯一無二で、特異な例なのかもしれません。もしそうなら、地球を典型とするわけにはいきません。
これまで発見された系外惑星の多様性をみていると、私たちの太陽系も、非常に多様な惑星の一つに過ぎないことを知らされました。多様性をもっと調べていく必要がありそうです。それは私たちのことをもっと知ることになるはずです。
・暖気・
北海道では火曜日から2日続いて
暖かい日が続きました。
すると今まで積もっていた雪が溶けていました。
根雪と思っていたのですが。
北海道では根雪になると防寒の冬靴をはきます。
この靴は、防寒と滑り止めを特化しています。
防水機能は少々劣っています。
そのため、ぐしょぐしょの道を歩くと
水が靴に染み込んできます。
雨靴ではすべるので、
この時期に氷が溶けるような天気は
非常に困ってしまいます。
・卒業研究・
今年も学科の4年生が
卒業研究のレポートを執筆し提出をしました。
私のゼミの学生も数名書きました。
学科では卒業研究を必修としているので
卒業するためにはレポートを
必ず提出しなければなりません。
分厚いレポートになるので、
2年間かてで準備していきます。
ゼミにでて指示に従っていれば、
文章を書くのが苦手な学生でも
大部のレポートが書けます。
でも、コツコツと積み上げていく努力が必要です。
それが苦手な学生は苦労しますが。
地球型惑星とは、サイズもさることながら、軌道もある程度遠くを回っている必要があります。それがTESSで、地球型惑星を探す理由ともなっています。地球に似た惑星であれば、生命が存在する可能性があります。もちろん、惑星の存在は観測できますが、生命の存在が直接観測できるわけではありません。ですから、あくまでも「可能性」を探すことになります。では、どのようにして、その可能性を探ることができるのでしょうか。
地球型惑星と呼ぶには、サイズだけではなく、軌道も恒星から一定以上遠くを回っている必要があります。系外惑星としてサイズも公転軌道も観測できます。ただし、生命が存在する可能性があるのは、小さな地球サイズの惑星で、しかも軌道がある一定の領域になければなりません。その領域の範囲は、「ハビタブルゾーン」と呼ばれています。
小さな惑星と限定するのは、大きな惑星は表面に大量のガスをもつガス惑星になります。太陽系でいえば、木星や土星のような天体で、そこでは水も生命も存在しそうにあります。小さければ、大気も薄く、硬い表面をもつ惑星、岩石惑星が期待できます。
また、ハビタブルゾーンとは「生存可能領域」と訳されていますが、液体の水が惑星表面に存在できる領域となります。実際に水を観測することは困難ですが、水が惑星表面に存在するには、薄めの大気があり、平均気温が0℃から100℃の範囲に維持されている必要があります。その位置は、恒星の明るさと距離によって計算できます。恒星が明るければ、ハビタブルゾーンの軌道は遠く離れ、暗いと近くなります。
ハビタブルゾーンにある地球型惑星は、明るい恒星では見つけにくく、暗い星では見つけやすくなります。もしその領域に地球型惑星が見つかれば、生命や水の存在が観測できなくても、間接的に水があり、生命が存在する可能性を示します。
しかし注意が必要です。ハビタブルゾーンの地球型惑星には水が存在し、水が存在すれば、生命が存在する可能性があるという論理構造は、実は地球や私たちの太陽系が、宇宙に当たり前に素材する恒星、惑星だという前提にしています。地球を典型的なものとして、地球型惑星を探そうという考えです。さらに水が惑星表面に長時間維持されていれば、生命が発生し継続的に存続し、進化していく可能性もあります。この推論も、私たちの地球や生命を典型ということを前提にしています。
それらの前提に普遍性があるかどうかには、根拠はありません。私たちの太陽、地球、生命が、唯一無二で、特異な例なのかもしれません。もしそうなら、地球を典型とするわけにはいきません。
これまで発見された系外惑星の多様性をみていると、私たちの太陽系も、非常に多様な惑星の一つに過ぎないことを知らされました。多様性をもっと調べていく必要がありそうです。それは私たちのことをもっと知ることになるはずです。
・暖気・
北海道では火曜日から2日続いて
暖かい日が続きました。
すると今まで積もっていた雪が溶けていました。
根雪と思っていたのですが。
北海道では根雪になると防寒の冬靴をはきます。
この靴は、防寒と滑り止めを特化しています。
防水機能は少々劣っています。
そのため、ぐしょぐしょの道を歩くと
水が靴に染み込んできます。
雨靴ではすべるので、
この時期に氷が溶けるような天気は
非常に困ってしまいます。
・卒業研究・
今年も学科の4年生が
卒業研究のレポートを執筆し提出をしました。
私のゼミの学生も数名書きました。
学科では卒業研究を必修としているので
卒業するためにはレポートを
必ず提出しなければなりません。
分厚いレポートになるので、
2年間かてで準備していきます。
ゼミにでて指示に従っていれば、
文章を書くのが苦手な学生でも
大部のレポートが書けます。
でも、コツコツと積み上げていく努力が必要です。
それが苦手な学生は苦労しますが。
2019年12月5日木曜日
5_167 系外惑星 2:トランジット法
TESSの観測方法は、トランジット法と呼ばれるものです。系外惑星を探す方法としては、もっとも一般的なものです。ただし、長所も欠点もあります。TESSは、その欠点を他の観測で補っていきます。
TESSによる初期的な成果は、前回紹介しました。TESSは、近傍の恒星をターゲットにしています。ターゲットになる恒星は、12等級より明るく、太陽に似た恒星(G型とK型主系列星)、約50万個が対象となっています。1000個の赤色矮星も加わっています。
TESSの惑星探査法が「トランジット法」と呼ばれるものです。トランジット法とは、恒星の周りを惑星が周ることで、恒星の明るさがわずかですが変化します。この明るさの変化を観測する方法が、トランジット法です。この探査で、地球サイズ以上の惑星、公転周期が60日以内のものが見つかると考えられています。
今後、多数の地球型惑星を発見していくことと思います。TESSが地球近傍で明るい恒星の探査をしていますので、発見されれば、地球からの別の望遠鏡でより詳しい観測をすることができます。その観測で、惑星の質量や軌道や公転周期、状況などの詳細がわかってくことが期待されます。これが近傍の恒星の探査をする重要な意味です。
例えば、TESSによって観測された53光年のところにあるHD 21749(レチクル座の方向の8等星)の恒星から、2つの系外惑星が発見されています。それを地上から観測して、惑星「HD 21749 b」は、サイズが地球の約2.7倍、質量は約23倍、表面温度は150℃、公転周期は約36日と推定されました。高温で大きい惑星で、地球とはあまり似ていませんでした。トランジット法では、大きな惑星、恒星近傍の惑星、公転周期の短い惑星の発見がされやすくなります。この惑星の特徴は、今まで発見されたTESSの惑星で、もっとも公転周期の長いものとなっていることでした。
HD 21749の恒星系からは、もうひとつの惑星「HD 21749 c」が発見されています。この惑星は、サイズが地球の約90%、質量は80%で、地球に似ています。表面が岩石からできている惑星だと考えられています。ただし、公転周期は約8日で恒星に非常に近いところを回っていて、表面温度は約430℃になると推定されています。
発見された恒星系や惑星のより詳しい観測が、地上の望遠鏡や宇宙望遠鏡でなされることになります。そこで新しい情報が付け加わります。全天を網羅的に観測することが、TESSの役割となります。ご近所の系外惑星のカタログづくりとなるわけです。
・師走・
いよいよ師走となりました。
以前は、いろいろとアセリがあったのですが、
最近はアセリなくなりました。
でも、今も変わらず、師走になると、
1年のたつ速さを噛み締めてしまいます。
年齢のせいでその速さは加速されているようです。
年々すべき仕事が終わることなく続き
日々それに追われているせいでしょうか。
仕事で1年というくくりで、
振り返ることも少なくなりました。
仕事が終わった時が区切りとなるだけです。
そして次なる仕事へと気持ちを切り替えていきます。
そんなとき、エッセイのこのメモは
1年の振り返り役に立っています。
今年のエッセイも残すところ、後3回となりました。
・雨・
北海道はまた、週末から今週はじめにかけて
暖かくなり、雨も降りました。
根雪かと思った雪が、かなり溶けました。
しかし、翌日からはまた冷え込み、雪になりました。
北海道だけでなく、日本の各地で
激しい寒暖の繰り返しが起こっているようです。
体調を壊す人もいることでしょう。
私も少々風邪気味になっていきました。
無理しないで、睡眠と栄養をとるように心がけましょう。
TESSによる初期的な成果は、前回紹介しました。TESSは、近傍の恒星をターゲットにしています。ターゲットになる恒星は、12等級より明るく、太陽に似た恒星(G型とK型主系列星)、約50万個が対象となっています。1000個の赤色矮星も加わっています。
TESSの惑星探査法が「トランジット法」と呼ばれるものです。トランジット法とは、恒星の周りを惑星が周ることで、恒星の明るさがわずかですが変化します。この明るさの変化を観測する方法が、トランジット法です。この探査で、地球サイズ以上の惑星、公転周期が60日以内のものが見つかると考えられています。
今後、多数の地球型惑星を発見していくことと思います。TESSが地球近傍で明るい恒星の探査をしていますので、発見されれば、地球からの別の望遠鏡でより詳しい観測をすることができます。その観測で、惑星の質量や軌道や公転周期、状況などの詳細がわかってくことが期待されます。これが近傍の恒星の探査をする重要な意味です。
例えば、TESSによって観測された53光年のところにあるHD 21749(レチクル座の方向の8等星)の恒星から、2つの系外惑星が発見されています。それを地上から観測して、惑星「HD 21749 b」は、サイズが地球の約2.7倍、質量は約23倍、表面温度は150℃、公転周期は約36日と推定されました。高温で大きい惑星で、地球とはあまり似ていませんでした。トランジット法では、大きな惑星、恒星近傍の惑星、公転周期の短い惑星の発見がされやすくなります。この惑星の特徴は、今まで発見されたTESSの惑星で、もっとも公転周期の長いものとなっていることでした。
HD 21749の恒星系からは、もうひとつの惑星「HD 21749 c」が発見されています。この惑星は、サイズが地球の約90%、質量は80%で、地球に似ています。表面が岩石からできている惑星だと考えられています。ただし、公転周期は約8日で恒星に非常に近いところを回っていて、表面温度は約430℃になると推定されています。
発見された恒星系や惑星のより詳しい観測が、地上の望遠鏡や宇宙望遠鏡でなされることになります。そこで新しい情報が付け加わります。全天を網羅的に観測することが、TESSの役割となります。ご近所の系外惑星のカタログづくりとなるわけです。
・師走・
いよいよ師走となりました。
以前は、いろいろとアセリがあったのですが、
最近はアセリなくなりました。
でも、今も変わらず、師走になると、
1年のたつ速さを噛み締めてしまいます。
年齢のせいでその速さは加速されているようです。
年々すべき仕事が終わることなく続き
日々それに追われているせいでしょうか。
仕事で1年というくくりで、
振り返ることも少なくなりました。
仕事が終わった時が区切りとなるだけです。
そして次なる仕事へと気持ちを切り替えていきます。
そんなとき、エッセイのこのメモは
1年の振り返り役に立っています。
今年のエッセイも残すところ、後3回となりました。
・雨・
北海道はまた、週末から今週はじめにかけて
暖かくなり、雨も降りました。
根雪かと思った雪が、かなり溶けました。
しかし、翌日からはまた冷え込み、雪になりました。
北海道だけでなく、日本の各地で
激しい寒暖の繰り返しが起こっているようです。
体調を壊す人もいることでしょう。
私も少々風邪気味になっていきました。
無理しないで、睡眠と栄養をとるように心がけましょう。
2019年11月28日木曜日
5_166 系外惑星 1:TESSへの期待
太陽系外の惑星の発見は、度々ニュースになり、このエッセイでも何度か取り上げてきました。系外惑星には、多様な惑星、そして異形の惑星、地球に似た惑星などがあることがわかってきました。
ノーベル物理学賞は、ピーブルズ博士の他に、系外惑星を発見したマイヨール博士とケロー博士に贈られました。その後、太陽系外惑星の探査のためにケプラー衛星が打ち上げられ、大きな成果を上げました。系外惑星の探査の結果は、驚きの連続でした。9年半にもおよぶ観測期間も推進装置のトラブルで、52018年11月15日に終わりました。
ケプラー衛星は、はくちょう座の方角だけを向くようにして、観測していました。星域は限定されていたのですが、50万個以上の恒星を観測して、2600個以上の太陽系外惑星を発見しています。観測期間が長かったとはいえ、限られた星域でこれだけ多くの系外惑星が発見できたのは、大きな成果となります。多様な惑星、異形の惑星が見つかりました。
遠くの恒星系まで観測したので、恒星近傍を巡る大きな惑星が見つかりやすく、そのような異形さが目立った結果となったのかもしれません。つまり、少々バイアスのかかった観測結果を見ているかもしれません。多様性は知ることは重要ですが、平均的な姿を知ることも重要です。
ケプラーの後継機として探査衛星TESSが、2018年7月25日から観測を開始しています。TESSの特徴は、ケプラーとは軌道が違っていることと、観測できる星域が格段に広い点です。期間が限定されているでの、近くて明るい恒星の周りにある太陽系外惑星を探査することになります。最初の1年は南天を、次の1年で北天を観測する予定になっています。
TESSの観測では、太陽系近傍の恒星で比較的小さな天体、恒星から少し離れた惑星も発見できるはずです。地球に似た惑星がどの程度あるのか、その多様性も調べることができるはずです。そこから、平均的な惑星系を知ることができるのではないでしょうか。
TESSは、11月18日現在、太陽系外惑星の候補(TESS Object of Interest:TOIと略されています)が1414個あり、その内惑星の半径が地球の4倍以下のもの候補が443個出てきて、270個がすでに惑星でないと分かっています。現在、34個が惑星だと確認されています。4ヶ月あまりで34個の地球に似た惑星を発見しています。大きな成果です。
・バイアス・
最近、論文で系外惑星について調べていました。
多数の惑星の多様な姿をみると、
私たちの太陽系が珍しいもののように感じます。
そこにはバイアスがかかっていることに注意が必要です。
ケプラーでは、恒星近傍の大きな惑星が
発見しやすいというバイアスがありました。
そのバイアスの効果の有無や程度を
今回のTESSは明らかにしてくれるはずです。
・寒暖差・
北海道は、先週末から暖気がおとずれ、
先週初めまでの寒波で降った雪が一気に融けました。
雪が融けるのは助かります。
一度、寒波がくると、体が冬に向けて寒さに備えます。
そこに暖かさが戻ってきました。
気温変化の激しい天気で
体調を壊しそうで心配です。
十分な休息をとれるように心がけたいですね。
ノーベル物理学賞は、ピーブルズ博士の他に、系外惑星を発見したマイヨール博士とケロー博士に贈られました。その後、太陽系外惑星の探査のためにケプラー衛星が打ち上げられ、大きな成果を上げました。系外惑星の探査の結果は、驚きの連続でした。9年半にもおよぶ観測期間も推進装置のトラブルで、52018年11月15日に終わりました。
ケプラー衛星は、はくちょう座の方角だけを向くようにして、観測していました。星域は限定されていたのですが、50万個以上の恒星を観測して、2600個以上の太陽系外惑星を発見しています。観測期間が長かったとはいえ、限られた星域でこれだけ多くの系外惑星が発見できたのは、大きな成果となります。多様な惑星、異形の惑星が見つかりました。
遠くの恒星系まで観測したので、恒星近傍を巡る大きな惑星が見つかりやすく、そのような異形さが目立った結果となったのかもしれません。つまり、少々バイアスのかかった観測結果を見ているかもしれません。多様性は知ることは重要ですが、平均的な姿を知ることも重要です。
ケプラーの後継機として探査衛星TESSが、2018年7月25日から観測を開始しています。TESSの特徴は、ケプラーとは軌道が違っていることと、観測できる星域が格段に広い点です。期間が限定されているでの、近くて明るい恒星の周りにある太陽系外惑星を探査することになります。最初の1年は南天を、次の1年で北天を観測する予定になっています。
TESSの観測では、太陽系近傍の恒星で比較的小さな天体、恒星から少し離れた惑星も発見できるはずです。地球に似た惑星がどの程度あるのか、その多様性も調べることができるはずです。そこから、平均的な惑星系を知ることができるのではないでしょうか。
TESSは、11月18日現在、太陽系外惑星の候補(TESS Object of Interest:TOIと略されています)が1414個あり、その内惑星の半径が地球の4倍以下のもの候補が443個出てきて、270個がすでに惑星でないと分かっています。現在、34個が惑星だと確認されています。4ヶ月あまりで34個の地球に似た惑星を発見しています。大きな成果です。
・バイアス・
最近、論文で系外惑星について調べていました。
多数の惑星の多様な姿をみると、
私たちの太陽系が珍しいもののように感じます。
そこにはバイアスがかかっていることに注意が必要です。
ケプラーでは、恒星近傍の大きな惑星が
発見しやすいというバイアスがありました。
そのバイアスの効果の有無や程度を
今回のTESSは明らかにしてくれるはずです。
・寒暖差・
北海道は、先週末から暖気がおとずれ、
先週初めまでの寒波で降った雪が一気に融けました。
雪が融けるのは助かります。
一度、寒波がくると、体が冬に向けて寒さに備えます。
そこに暖かさが戻ってきました。
気温変化の激しい天気で
体調を壊しそうで心配です。
十分な休息をとれるように心がけたいですね。
2019年11月18日月曜日
6_168 2019年ノーベル物理学賞 3:地球の立ち位置
ノーベル物理学賞の内容に紹介しています。前回のピーブルズ博士の研究は多岐に渡っていたのですが、マイヨール博士とケロー博士の研究はわかりやすいもので、そのインパクも想像しやすいものです。
2019年のノーベル物理学賞は、ピーブルズ博士ともう一組、スイスのマイヨール博士とケロー博士が受賞しました。その内容は「太陽と似た恒星の周りを公転する系外惑星の発見」という業績に対して与えられました。この業績は、わかりやすいものです。
ただし、実際の観測はなかなか困難なものでした。惑星は自ら光を発していません。恒星の光を反射をしているだけです。他の恒星の周りの惑星を、その反射の明かりだけで、遠く地球から、直接、観測するのは不可能です。そこで考案されたのが、恒星の運動が、惑星よってブレるのを観測しようという方法です。
大きな惑星が回っていれば、恒星も共通の重心を回って動いています。もしその動きが、恒星のブレとして検出でき、周期性がわかれば、惑星の存在が間接的ですが、知ることができます。星のブレは、恒星の発する光の波長の変化を、ドプラー効果として観測するものです。ドプラー効果から、惑星のサイズや公転周期を推定していきます。
マイヨール博士は、1977年から13年間かけて、291個の恒星を定期的に観測したところ、37個の恒星で周期変化をみつけました。しかし残念ながら、それらすべてが連星でした。連星とは、2つの恒星が共通重心で回っているもので惑星によるブレではありませんでした。
1995年には、ブリティッシュ・コロンビア大学の研究グループが、21個の恒星を、12年間にわたって定期的に観測したのですが、「15年以下の公転周期を持つ木星の質量(木星質量)の1から3倍の惑星は存在しない」という結果を報告していました。
ところが、マイヨール博士と当時大学院生であったケローさんが、より高精度の観測機を用い、以前の観測でドプラー効果が検出できなかった142個の恒星を選んで観測しました。すると、約50光年のペガスス座51番星(51Peg)に、太陽系以外ではじめて惑星があることを発見し、1955年に報告しました。この惑星は、51Peg bと命名されました。bとはその恒星系の最初の惑星となり、以降、惑星が見つかったら、c、d、・・・アルファベットがつけられていきます。
さらに驚くべきことに、この惑星は木星の半分程度(0.47倍)の質量をもったガス惑星なのですが、たった4.2日間で恒星の周りを公転していました。私たちの太陽系では、想像もしていなかった惑星の発見でした。木星のようなガス惑星でありながら、太陽のすぐ近くを、それもものすごい公転速度で巡っていました。このような惑星は、「ホットジュピター(暑い木星)」と呼ばれました。
その後、次々と系外惑星が見つかり、現在、その数は4000個以上になっています。その中には、異形の惑星も多数見つかってきました。多様な系外惑星の発見で、我々の太陽系が典型的な惑星系とば呼べず、多様な惑星系のひとつにすぎないことがわかってきました。その魁となったのが、マイヨール博士とケロー博士の発見でした。
その結果、我々の太陽系の形成モデルも変更が迫られ、より普遍性があるモデルが必要になりました。また、その中でなぜホットジュピターの異形の惑星ができるのかも、説明される必要もあります。
恒星からの距離に応じて水の存在できる領域(ハビタブルゾーン)の惑星、また地球サイズの惑星も見つかりました。もしハビタブルゾーンに地球サイズの惑星があれば、そこには生命が誕生しているのでしょうか。系外惑星の発見は、そのようなことを考えさせるきっかけになりました。
・寒波・
先週末から北海道は寒波に見舞われています。
あちこちで除雪車が動き出したというニュースも流れました。
わが町は、週末に雪が降っていたのですが、
除雪するほどではありませんでした。
ところが、日曜日には嵐となり、すごく冷え込みました。
週の初めには道路が凍ってつるつるになっていました。
転びそうになりながら、早朝の凍てつく道を歩いています。
・執筆中の論文・
このシーリーズの最初に、
現在執筆中の論文で、系外惑星についてまとめている
と書きました。
ところが、論文を書き進めているうちに、
ページ数がオーバーしてしまいました。
しかたなく、その部分を削除しました。
次回の論文では、系外惑星などの多様性も含めた、
地球や私たちの太陽系のテクトニクスを考えるものとなります。
まあ、論文を書き進めていくと、
このようなことはよく起こることなので、
しかたがないでしょう。
締め切りのぎりぎりまで呻吟していましたが、
今週初めにやっと投稿することができました。
2019年のノーベル物理学賞は、ピーブルズ博士ともう一組、スイスのマイヨール博士とケロー博士が受賞しました。その内容は「太陽と似た恒星の周りを公転する系外惑星の発見」という業績に対して与えられました。この業績は、わかりやすいものです。
ただし、実際の観測はなかなか困難なものでした。惑星は自ら光を発していません。恒星の光を反射をしているだけです。他の恒星の周りの惑星を、その反射の明かりだけで、遠く地球から、直接、観測するのは不可能です。そこで考案されたのが、恒星の運動が、惑星よってブレるのを観測しようという方法です。
大きな惑星が回っていれば、恒星も共通の重心を回って動いています。もしその動きが、恒星のブレとして検出でき、周期性がわかれば、惑星の存在が間接的ですが、知ることができます。星のブレは、恒星の発する光の波長の変化を、ドプラー効果として観測するものです。ドプラー効果から、惑星のサイズや公転周期を推定していきます。
マイヨール博士は、1977年から13年間かけて、291個の恒星を定期的に観測したところ、37個の恒星で周期変化をみつけました。しかし残念ながら、それらすべてが連星でした。連星とは、2つの恒星が共通重心で回っているもので惑星によるブレではありませんでした。
1995年には、ブリティッシュ・コロンビア大学の研究グループが、21個の恒星を、12年間にわたって定期的に観測したのですが、「15年以下の公転周期を持つ木星の質量(木星質量)の1から3倍の惑星は存在しない」という結果を報告していました。
ところが、マイヨール博士と当時大学院生であったケローさんが、より高精度の観測機を用い、以前の観測でドプラー効果が検出できなかった142個の恒星を選んで観測しました。すると、約50光年のペガスス座51番星(51Peg)に、太陽系以外ではじめて惑星があることを発見し、1955年に報告しました。この惑星は、51Peg bと命名されました。bとはその恒星系の最初の惑星となり、以降、惑星が見つかったら、c、d、・・・アルファベットがつけられていきます。
さらに驚くべきことに、この惑星は木星の半分程度(0.47倍)の質量をもったガス惑星なのですが、たった4.2日間で恒星の周りを公転していました。私たちの太陽系では、想像もしていなかった惑星の発見でした。木星のようなガス惑星でありながら、太陽のすぐ近くを、それもものすごい公転速度で巡っていました。このような惑星は、「ホットジュピター(暑い木星)」と呼ばれました。
その後、次々と系外惑星が見つかり、現在、その数は4000個以上になっています。その中には、異形の惑星も多数見つかってきました。多様な系外惑星の発見で、我々の太陽系が典型的な惑星系とば呼べず、多様な惑星系のひとつにすぎないことがわかってきました。その魁となったのが、マイヨール博士とケロー博士の発見でした。
その結果、我々の太陽系の形成モデルも変更が迫られ、より普遍性があるモデルが必要になりました。また、その中でなぜホットジュピターの異形の惑星ができるのかも、説明される必要もあります。
恒星からの距離に応じて水の存在できる領域(ハビタブルゾーン)の惑星、また地球サイズの惑星も見つかりました。もしハビタブルゾーンに地球サイズの惑星があれば、そこには生命が誕生しているのでしょうか。系外惑星の発見は、そのようなことを考えさせるきっかけになりました。
・寒波・
先週末から北海道は寒波に見舞われています。
あちこちで除雪車が動き出したというニュースも流れました。
わが町は、週末に雪が降っていたのですが、
除雪するほどではありませんでした。
ところが、日曜日には嵐となり、すごく冷え込みました。
週の初めには道路が凍ってつるつるになっていました。
転びそうになりながら、早朝の凍てつく道を歩いています。
・執筆中の論文・
このシーリーズの最初に、
現在執筆中の論文で、系外惑星についてまとめている
と書きました。
ところが、論文を書き進めているうちに、
ページ数がオーバーしてしまいました。
しかたなく、その部分を削除しました。
次回の論文では、系外惑星などの多様性も含めた、
地球や私たちの太陽系のテクトニクスを考えるものとなります。
まあ、論文を書き進めていくと、
このようなことはよく起こることなので、
しかたがないでしょう。
締め切りのぎりぎりまで呻吟していましたが、
今週初めにやっと投稿することができました。
2019年11月14日木曜日
6_167 2019年ノーベル物理学賞 2:宇宙の理論化
今年のノーベル賞物理学賞についてのシリーズです。まず、ピーブルズ博士の業績に関する話題から紹介していきます。専門ではないので、うまく説明できていない点があるかもしれません。ご容赦いただければと思います。
今年のノーベル賞物理学賞者のピーブルズ博士の業績をいくつか紹介していきましょう。
まずは、ビックバンについてです。ジョージ・ガモフの科学普及書を読んでいたとき、ビックバンの記憶が強く残りました。ガモフらが提唱したビックバン(ガモフは火の玉宇宙と呼んだ)で宇宙が始まった経緯が、普及書では詳しく解説されていました。その後、ビックバンの状態から温度も予測し、元素が合成されたことも示されていました。ガモフは、それが現時点ではどのような温度(5K)になっているかも予測していました。
ビックバンの時の温度が、その後の宇宙の膨張で波長がのびていきます。ピーブルズ博士らは、現在ではマイクロ波の波長にまでのびていることを理論的に示しました。
マイクロ波を測定する技術は、当時はまだありませんでした。ところが、別の分野、別の目的でマイクロ波が観測されました。人工衛星の電波を補足するためのアンテナが、その波長をノイズとして捉えました。そのノイズが、宇宙マイクロ波背景放射に相当するものであることが、認識され報告されました。その観測をした研究者らは、ノーベル賞を受賞しています。予測と観測が一致したことで、ビックバンの有力な証拠となりました。
電波技術が進むと、地上付近ではマイクロ波の雑音が多くなり、精度を上げることが困難になります。そこで、人工衛星(COBEと呼ばれる)を打ち上げ、地球外で観測することで精度を上げていきました。結果、マイクロ波から見た温度は、均質ではなく、10万分の1程度の揺らき(温度非等方性)があることがわかりました。現在では、宇宙マイクロ波背景放射の精度は、さらに上がっています。ピーブルズ博士は、そのようなゆらぎを定量的に計算する方法論も示しています。
他にも、宇宙の形成から3分後に起こったとされる元素の合成(ヘリウムの存在量)、38万年後(電子の捕獲)やその後(密度のゆらぎ)、現状の銀河の分布、ダークマターなどを統計的に説明する方法など、現在の宇宙論の基礎になるような重要な定式化を数々おこなってきました。現在の宇宙論のいたるところにピーブルズ博士は貢献しているともいえます。
今回の受賞理由として、「高度に観念的な分野を精密な科学へと変化させた」としています。確かに、宇宙のはじまりや温度のゆらぎ、銀河の分布など、概念としてはわかりますが、現実とどう結びつけるかはなかなか難しいものがあります。そこに仮説(理論)を投入して、観測と結びつけということになります。観測の精度が上がれば、仮説の信頼度も上がります。逆に仮説から観測の方向性も決めることができます。
ピーブルズ博士の業績はいずれも優れたものなので、それらが観測で実証されたとき、あるいは観測が理論で説明できた時などに、受賞すると一番わかりやすかったはずです。そんなタイミングがなかったのでしょう。今回の受賞は、それら数多くの業績に対して与えられました。彼の業績はいずれも重要なものなので、素直に受賞を祝いたいと思います。
・ガモフ全集・
12冊+別巻3冊からなる「ガモフ全集」があります。
いくつかの巻では、トムキンス氏が主人公で
いろいろな不思議がことを体験していきます。
そのような興味を惹く展開で、
先端の科学を紹介していきます。
元素合成や相対性理論、宇宙のはじまりなど、
宇宙に関することが中心でした。
他にも、生命や地球に関する専門でない巻もありました。
高校生の頃に全集を購入して読み始めました。
先端の科学を楽しく紹介されていました。
非常にワクワクとして読みました。
ガモフも数々の宇宙論で業績があったのですが、
ノーベル賞を受賞していません。
研究者の中には無冠ですが、偉大な人も多々います。
まあ、彼らはノーベル賞のために
研究しているのではないでしょうが。
・火の玉宇宙・
ガモフ全集の中で、
「わが世界線」という巻があります。
これは、ガモフ自身の自伝となっています。
もともとソビエト連邦の物理学者でしたが、
アメリカに亡命してきたことも記されていました。
命がけの逃避行があったことも知りました。
そんな経歴にかかわらず、
ガモフは明るくジョーク好きでした。
例えば、自分では「火の玉宇宙」として提唱したのですが、
フレッド・ホイルに「ビックバン」と揶揄されたので
その言葉を自身も使いだしたことで、
現在のビックバンが定着しました。
今年のノーベル賞物理学賞者のピーブルズ博士の業績をいくつか紹介していきましょう。
まずは、ビックバンについてです。ジョージ・ガモフの科学普及書を読んでいたとき、ビックバンの記憶が強く残りました。ガモフらが提唱したビックバン(ガモフは火の玉宇宙と呼んだ)で宇宙が始まった経緯が、普及書では詳しく解説されていました。その後、ビックバンの状態から温度も予測し、元素が合成されたことも示されていました。ガモフは、それが現時点ではどのような温度(5K)になっているかも予測していました。
ビックバンの時の温度が、その後の宇宙の膨張で波長がのびていきます。ピーブルズ博士らは、現在ではマイクロ波の波長にまでのびていることを理論的に示しました。
マイクロ波を測定する技術は、当時はまだありませんでした。ところが、別の分野、別の目的でマイクロ波が観測されました。人工衛星の電波を補足するためのアンテナが、その波長をノイズとして捉えました。そのノイズが、宇宙マイクロ波背景放射に相当するものであることが、認識され報告されました。その観測をした研究者らは、ノーベル賞を受賞しています。予測と観測が一致したことで、ビックバンの有力な証拠となりました。
電波技術が進むと、地上付近ではマイクロ波の雑音が多くなり、精度を上げることが困難になります。そこで、人工衛星(COBEと呼ばれる)を打ち上げ、地球外で観測することで精度を上げていきました。結果、マイクロ波から見た温度は、均質ではなく、10万分の1程度の揺らき(温度非等方性)があることがわかりました。現在では、宇宙マイクロ波背景放射の精度は、さらに上がっています。ピーブルズ博士は、そのようなゆらぎを定量的に計算する方法論も示しています。
他にも、宇宙の形成から3分後に起こったとされる元素の合成(ヘリウムの存在量)、38万年後(電子の捕獲)やその後(密度のゆらぎ)、現状の銀河の分布、ダークマターなどを統計的に説明する方法など、現在の宇宙論の基礎になるような重要な定式化を数々おこなってきました。現在の宇宙論のいたるところにピーブルズ博士は貢献しているともいえます。
今回の受賞理由として、「高度に観念的な分野を精密な科学へと変化させた」としています。確かに、宇宙のはじまりや温度のゆらぎ、銀河の分布など、概念としてはわかりますが、現実とどう結びつけるかはなかなか難しいものがあります。そこに仮説(理論)を投入して、観測と結びつけということになります。観測の精度が上がれば、仮説の信頼度も上がります。逆に仮説から観測の方向性も決めることができます。
ピーブルズ博士の業績はいずれも優れたものなので、それらが観測で実証されたとき、あるいは観測が理論で説明できた時などに、受賞すると一番わかりやすかったはずです。そんなタイミングがなかったのでしょう。今回の受賞は、それら数多くの業績に対して与えられました。彼の業績はいずれも重要なものなので、素直に受賞を祝いたいと思います。
・ガモフ全集・
12冊+別巻3冊からなる「ガモフ全集」があります。
いくつかの巻では、トムキンス氏が主人公で
いろいろな不思議がことを体験していきます。
そのような興味を惹く展開で、
先端の科学を紹介していきます。
元素合成や相対性理論、宇宙のはじまりなど、
宇宙に関することが中心でした。
他にも、生命や地球に関する専門でない巻もありました。
高校生の頃に全集を購入して読み始めました。
先端の科学を楽しく紹介されていました。
非常にワクワクとして読みました。
ガモフも数々の宇宙論で業績があったのですが、
ノーベル賞を受賞していません。
研究者の中には無冠ですが、偉大な人も多々います。
まあ、彼らはノーベル賞のために
研究しているのではないでしょうが。
・火の玉宇宙・
ガモフ全集の中で、
「わが世界線」という巻があります。
これは、ガモフ自身の自伝となっています。
もともとソビエト連邦の物理学者でしたが、
アメリカに亡命してきたことも記されていました。
命がけの逃避行があったことも知りました。
そんな経歴にかかわらず、
ガモフは明るくジョーク好きでした。
例えば、自分では「火の玉宇宙」として提唱したのですが、
フレッド・ホイルに「ビックバン」と揶揄されたので
その言葉を自身も使いだしたことで、
現在のビックバンが定着しました。
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