2014年4月10日木曜日

4_110 春の四国へ 1:付加体

 年度末の3月下旬に、四国へ調査に出かけました。5泊6日の旅でした。千歳を発って、羽田を経由して、高知龍馬空港にいき、そこからレンタカーで出かけました。目的地は四国南東部です。春の四国を巡る調査の様子を紹介しましょう。

 本来は秋に調査に出るつもりでいましたが、忙しくて出れず、延ばし延ばしにしていたのですが、校務の隙間をぬって、3月末にやっと調査に出れました。
 今回の調査で初めて行く地域もあったのですが、ほとんどは何度か行っているところでした。今回の目的は、いくつかの地域を再調査して、データを取りなおすことでした。その地質学的な意味を、何度かに分けて紹介していこうと思います。
 3月下旬、北海道は雪も何度も降っていましたし、まだ雪がたくさん残っていました。同じ日に、高知の太平洋沿岸を走っていると、桜が咲いていました。北海道の雪から四国の桜をみると、日本列島の南北の長さを感じました。
 さて、四国の地質についてです。四国の南部は、四万十帯とよばれる地質が広く分布しているところです。南海トラフと並行して東西に地層が並んでいます。四万十帯は、このエッセイでも何度かでてきました。その時も紹介しましたが、四万十帯は付加体とよばれる地質体です。
 付加体とは、海溝から大陸斜面にかけての列島の地下で形成されるものです。列島に海洋プレートが沈み込む時、海洋プレートの上部の岩石や、その上にたまった堆積物が剥ぎ取られて、列島にくっつきます。それはゆっくりとした動きですが、地球の長い時間のよって営まれる作用なので、大規模で雄大な結果となります。時には大きく激しい変化として、断層の形成や地震を起こします。
 付加体の中には、激しく擾乱をうけたものから規則正しく整った地層まで混在しています。これが付加体の特徴となります。
 剥ぎ取られたものは、非常に多様な岩石の様子やつくり(産状といいます)となります。もとの産状が、きれいに残されたものから、まったくわからなくなるほど乱されたもの(メランジュと呼びます)まで混在しています。
 規則正しく整った地層は、タービダイト層とよばれるものからできています。河川からもたらされた堆積物が河口付近にたまり、洪水や地震などのをきっかけに海底地すべり(重力密度流と呼ばれます)として、大陸斜面を流れ下ります。堆積物の流れ場、傾斜のゆるやかな盆地や海溝付近にたまります。これがタービダイト層となります。海溝付近のタービダイト層は、断層によって、メランジュとして巻き込まれることがよくあります。メランジュには、タービダイトに由来する堆積物が多く含まれているのが観察できます。四国南西部は、付加体がさまざまな様相で分布していることろです。
 春の四国は、付加体を巡る旅となりました。何回かに分けて紹介しましょう。

・大地を眺める・
「地球地学紀行」のコーナーは、
久しぶりの配信となります。
久しぶりになったのには、いくつかの理由があります。
私は、「大地を眺める」という
月刊のメールマガジンを発行しています。
そのエッセイを毎月書いているため、
地学紀行のネタがなくなって、
ついつい間が開いてしまいました。
しかし、今回のように、
以前「大地を眺める」で取り上げた地域であれば、
気にせずにこのエッセイで取り上げることができます。
このシリーズも以前「大地を眺める」で紹介したのですが、
気にせずに紹介してきます。
ご期待いただければと思います。

・1年生・
大学では新学期が始まりました。
1年生は、初々しいく、まじめに授業を受けています。
しかし、2年生以上は馴れて
ちょっとくだけた様子で授業を受けています。
もちろん、1年生でもくだけていたり、
2年生以上でもまじめに受けている学生もいます。
いろいろな個性があるということです。
しかし、まだ大学生活に慣れていない1年生が
まじめに大学生をはじめているのが新学期を感じさせます。
新入生が歩くキャンパスは、春を感じさせてくれます。