2013年10月3日木曜日

2_119 火星生命 4:パンスペルミア

 生命はどこから来たのか。これは、人類のルーツにもつながる重要な問いで、古くから考えられている問いでもあります。答えがありそうで、なかなか見つからない問いであります。そんな難しい問いに対して、古くからあり、そして新しくもある答えが提示されてきました。

 生命にとって重要な成分で、地球の初期になく、火星に存在したものとして、ホウ素とモリブデンがありました。これからの成分が地球に少なかったという証拠は、非常に難しい問題を提示してきます。生命誕生の場として、地球はふさわしくないというのです。ところが、現在、火星には生命がいなくて、地球では生命が満ちあふれている、というパラドクスはでてきます。このパラドクスを、どう説明すればいいのでしょうか。
 新しい説では、火星初期に生命が発生しやすい環境であれば、すなおに火星で生命が誕生したと考えます。その後、生命の一部が隕石にくっついて、地球に飛来したとします。火星由来の生命が、地球の環境に適応し、地球で進化を続けます。一方、故郷の火星は、惑星のサイズが小さく、大気を長く保持できませんでした。やがて、二酸化炭素を主成分とする大気は薄くなり、温室効果も働かず、海も喪失しました。今では、生命にはいない(ほとんどいない)星となってしまいました。このようなシナリオでパラドクスを回避しようと考えられています。
 火星を故郷とした生命が、地球に飛来したという考え方です。実は、このような考え方は、パンスペルミア説として古くからあったものです。時代によって、パンスペルミア説の装いは、変わってきましたが。新たな証拠に基づき、火星を起源とする説として、復活となるかもしれません。
 パンスペルミア説は、胚種広布説などとも呼ばれています。宇宙にはいたるところに生命があり、生命の種(胚種)のようなものが、宇宙を飛び交っていて、地球にも達したとする考え方です。一連のエッセイで紹介した2つの報告は、パンスペルミア説の有力な証拠となるかもしれません。ただし、今回の説では、宇宙のどかからではなく、火星からの飛来したことになり、より具体性をもった説として再登場します。
 ただし、このパンスペルミア説にも、いろいろな困難があります。誕生してまもなくで、海から独立できない生命が、真空、低温、水も栄養のない過酷な環境である宇宙空間を飛んで、地球に生きて達することができるのか。宇宙空間に耐えれるほど進化した生物であれば、火星の環境変化にも対応できたであろうに、なぜ今はいないのか。地球に飛んできても、隕石の落下時の高温高圧の条件に、通常の生物は耐えられません。また地球の海にうまく軟着陸したとしても、その環境に適応できるたのか。などなど、いろいろな困難さはあります。
 このような困難さを回避するためには、いろいろな時期に、多様な種類の火星生命の飛来が、何度もあればいいのですが、そんなことが本当に起こったでしょうか。少々疑問もあります。火星起源の隕石は見つかっていますが、まれなもので、しょっちゅう飛来してとも考えにくくもあります。
 そして、繰り返しの疑問ですが、そんなにタフな生命であれば、なぜ今の火星で生き延びて、発見されないのか。
 問題はいろいろありそうですが、地球だけが生命誕生の場でないという発想は重要です。そして、生命はもっとタフであったという視点も必要かもしれません。一見、ひ弱な生物も、実はタフであるという証拠もあります。環境さえ整えば、多様で多数の生物が進化してきます。その中には、タフな奴もいたかもしれません。そんな空想が、科学にも必要なのかもしれませんね。

・紅葉の秋・
北海道の秋は、一進一退です。
しかし、木々の紅葉は、日に日に進んでいます。
気温は変動して、秋を忘れさせることはあっても、
紅葉のような不可逆な変化は、
着実に時や季節を刻んでいきます。
先日は霜をみました。
秋が進んでいます。

・ストーブ・
先日、業者の方に、ストーブのメインテナンスを頼みました。
2台あるうちの1台が、型が古いため、
メインテナンスできませんといわれました。
とりあえず、使っていく予定ですが、
近々、新しいストーブに買い替えが必要かもしれません。
高い買物なので、少々考えてしまいます。
しかし、北海道ではストーブなしでは、生活できません。