2013年10月24日木曜日

1_119 日本の隕石衝突 2:オスミウム

 科学成果が普及するには、多くの研究者がその論を信じ、その方法を適用し、その結果を次なる成果に利用することが必要です。日本発のこの報告は、どの程度普及するのでしょうか。今後に期待できそうです。

 誤解のないようにいっておきますが、今回紹介している論文は、日本で隕石の衝突の証拠が見つかったのであって、クレータが見つかったわけではありません。衝突があったという証拠ですので、ご注意を。
 衝突の証拠を見つける原理としては、隕石固有の成分を地層の中から検出する、というものです。これは、K-Pg境界でイリジウム(Ir)の濃集から隕石の衝突を証明したものと、同じ原理です。
 見つけるための原理は単純なのですが、いくつかの困難があります。
 まず、分析の難しい成分を検出しなければないという技術的困難さがあります。また、そのような地層を見つけることも大切です。無作為に分析をすることはできないので、事前に吟味をしてピンポイントで目星をつけておかなければなりません。さらに、眼に見えない成分ですから、見つけるまで、大量の処理をしなければなりません。そして、見つけたら、再度精査して分析する必要もあるでしょう。できれば、その地層境界が、地質学的に意義のあるもののほうが、分析したデータの価値が高まります。例えば、K-Pg境界の恐竜などの大絶滅と結びつくようなものだと、得た結果が重要な意義を持ってきます。たとえ二番煎じでも、この点は重要です。そんな幾多の困難さを乗り越えなければ、発見につながりません。
 今回の発見の決め手となったのは、オスミウム(Os)という元素でした。オスミウムは、周期律表ではイリジウムの左隣にあり、白金族と呼ばれるグループ(オスミウム、イリジウム、白金など)で、似た性質を持つ元素です。オスミウムは、イリジウムと同様に地表の岩石には少なく、隕石に多い成分となっています。さらに隕石のオスミウムの同位体比(187Os/188Os)は、地球の岩石と比べて低いことが知られています。これで、隕石の関与を確認することができます。
 そのようなオスミウムの特徴を、佐藤さんたちは、三畳紀後期の層状チャートの間にある薄い粘土層(数cmの厚さ)から見つけました。また、粘土層の中から、球顆(きゅうか)、あるいはスフェルールと呼ばれる、隕石の衝突によってできた粒子を、多数含んでいる部分があることもわかりました。さらに、イリジウムの濃集も認められています。
 佐藤さんらの研究では、2012年に岐阜県坂祝町、今回の報告では大分県津久見市江之浦の地層で証拠を見つけました。今回の報告の重要な事は、日本の同時代の2ヶ所の地層から見つかったことです。これは、衝突が局所的なものではなく、広域な現象であることがわかりました。
 問題は、この衝突が起こした異変、あるいは影響が気になります。それは、次回としましょう。

・化石・
層状チャートは数cm程度の地層が繰り返しています。
色もさまざまで、白っぽいもの、赤っぽいもの、
緑っぽいものなどあり、多彩です。
チャートは、プランクトンの死骸が
積み重なってできたもので、
化石がたくさん見つかることもあります。
今回の論文にも化石のデータがついています。
時代を示す化石があると、
詳細な年代決定ができます。
そのような時代データは
事件の重要性を考えるときに必要になります。

・新米・
先日、母から新米が送ってきました。
我が家は食いざかりの男の子が二人いるので
コメが送ってこられるのは助かります。
実家には、今も田畑があるのですが、
母も、高齢なので、畑だけをつかって、
田は知り合いに頼んで作ってもらっています。
その田でできたコメを
母は、家族で必要な分を購入しています。
そこには我が家の分のはいっています。
今年の夏は暑く、古米には虫がわきました。
母は保管するためにコメ用の冷蔵庫を
購入しているのですが、
新米にもわき出しました。
そこで、我が家の分を
すべて送ってもらうことにしました。
30kg一袋の米袋が9袋です。
大量ですが、我が家には涼しい倉庫があるので
そこに入れました。
これがなかなか大変でした。
我が家には大きな男の子が二人いるのですが、
まだ帰ってなかったので
家内と私で入れました。