2012年8月16日木曜日

1_106 LHB 2:反論

 LHB(後期重爆撃)という地球創世時に大事件があったという考えがあります。ただし、それに対する反論も古くからあります。その反論は、なかなか手ごわいもののようです。その反論を紹介しながら、LHBの意味を考えていきましょう。

 月の形成史の研究から、40億年前から38億5000万年前の間に、激しい隕石の衝突、LHB(Late Heavy Bombardment:後期重爆撃)があったことがわかりました。月の母星せある地球にも、同じようにLHBの事件が、起こってたと考えられています。
 LHBの認定に関しては、古くから反論があります。反論は大きく分けると、2つの点についてで起こっています。
 一つ目は、データの偏りの可能性です。
 年代のデータは、アポロ計画で持ち帰られた試料に基づいています。持ち帰った試料の大部分が、「雨の海」という大きな一つの衝突クレータの近くから飛び散ったものではないかという疑問です。「雨の海」のクレータは巨大です。その衝突は激しく、その衝突によって飛び出した放出物が、かなり大量であったと考えられます。実際にシミュレーションの結果もでています。もしかすると、アポロ計画の着陸地点すべてが、「雨の海」からの放出物に覆われている可能性もあります。
 クレータのあったところが、どんな時代の岩石でできていても、その年代は衝突によって消されてしまいます。衝突の高温高圧の条件によって、岩石が溶けて飛び散るときに、年代が新しくなってしまいます。これが、39億年ころに年代が集中している原因ではないかという批判です。
 これは、あり得ることです。この反論に対抗するには、「雨の海」の影響をあまり受けない地域からの試料で、年代測定を実施することが確実でしょう。ところが、アポロ計画以降、人類は月に調査にはいってないので、新たな試料を入手することができません。反論への反論もなかなか難しいようです。
 2つ目の反論は、LHBが継続していた衝突の最後のものに過ぎないというものです。
 月も地球も激しい衝突がずっと継続していたのですが、39億年前の衝突で終わったという考えです。ある時期に激しい衝突があると、それ以前の表面の物質の年代が、すべてリセットされたのではないかというものです。激しい衝突によって、大量の放出物が飛び散り、地表を覆ってしまうはずです。39億年前に激しい衝突が終わると、39億年前の物質に表面がすべて覆われているはずです。
 飛び散ったものがすべて溶けるわけではなく、溶けずに飛び散った古い岩石の破片もあるでしょう。そのような破片は、年代測定できないくらい小さく、情報が読み取れていないのかもしれません。
 これもなかなか手ごわい反論です。いろいろな古い年代の物質がないことを示さなければなりません。ただし、小さい破片までも39億年前の年代であったとしても、反論を否定できません。なぜなら、激しい衝突が表面を覆い尽くしたかもしれないからです。
 このような反論を考えていくことは、地球や月の歴史について考えていくことにもなります。逆にどちらかの反論に根拠が与えられると、LHBの存在が危うくなります。
 最近、LHBを支持する2つの論文が提示されました。その内容は次回としましょう。

・科学の進歩・
ある分野で、ある新説がでると、
それに対する反論がよくでてきます。
そんな新説には、重要な意味があるということです。
新説に注目されているということで、
その分野の研究に携わっている
研究者が多いということを示しています。
注目されている分野では
今もいろいろな考え方があり、
まだ結論がでていないということです。
このようにして、科学は進んでいくのではないでしょうか。

・洪水・
近畿地方で激しい雨で各地で
洪水の被害が出ました。
皆さんは大丈夫だったでしょうか。
私の実家周辺でも被害がありました。
幸い実家は被害がありませんでしたが、
親戚(叔母)の店舗が2度ほど水に浸かったようですが、
幸い大きな被害はなかったようです。
せっかくのお盆休みで
出かける予定がダメになった人も
いるかもしれませんが、安全無事がなによりですね。