大陸形成の仮説は、今までの常識をくつがえすものでした。しかし課題もありそうです。この仮説を地球初期に延長していくと、大陸形成の物語にも、答えが出せる可能性を秘めているようです。
田村さんたちは、厚い地殻(厚さ30km以上)では玄武岩質マグマが、薄い地殻では安山岩質マグマが活動するということを、伊豆小笠原とアリューシャンの海洋島弧のデータを用いて示しました。島弧固有だと考えられる安山岩質マグマは、海洋のできたての島弧で形成され、それが大陸地殻になっていくという仮説を提示しました。今までの常識と反していますが、事実に基づく、大胆な仮説でもありましたが、根拠が明瞭なので説得力があります。
ある程度の厚さで安山岩地殻が形成されると、今度は玄武岩質マグマが形成されるようにな島弧になっていき、玄武岩質マグマによる島弧地殻の溶融が起こることになります。もしそれが成熟した島弧で、多様な岩石類を多量にあるようならば、島弧の成熟を促すことになるはずです。もし海洋島弧のような環境だったら、玄武岩質マグマが島弧地殻を溶かすので地殻の成長を抑制することになります。この作用の境界や違いは、何に由来ているかは、次なる課題になるでしょう。しかし、今後の検討で、近うちに検証されていくでしょう。
この普遍性を地球初期に適用すると、もし現在のようなマントルの物理条件であれば、地殻が形成される時は、安山岩からなる薄い大陸地殻の形成が起こり、大陸地殻が一気に大量に形成されることになります。もし地球初期のマントルが現在より高温の条件であったなら、安山岩質マグマはできず、最初から玄武岩質マグマの活動が起こり、玄武岩の海洋地殻が厚くできていくだけで、安山岩質の大陸地殻は形成されることがなかったかもしれません。どちらが起こってい方は今後の課題でしょう。しかし、地球初期の温度条件がある程度精度良く推定できれば、決着を見ることになるでしょう。
この仮説の検証や議論に今後期待したいものです。もうひとつ大陸の移動に関する報告もあったので、続けてシリーズとして紹介していく予定です。
・危機意識・
北海道もなかなか気温も上がらず、
日照不足も心配されます。
短い梅雨や大雨など、平年とは違った天候が各地で起こっています。
天気予報もなかなか当たらないようです。
いくら科学が進んでも、複雑系の含まれている事象は
不確実な要素があります。
それも含めて予報として聞く必要があります。
でも今回のように警報や特別警報が出るような時は
危機意識を持ち、行動することが重要です。
これが、今回の大きな教訓となりそうです。
・協力体制・
今回の大雨の被害は、広範囲に及ぶもので
被害地域が広く、被害者の数も多くなりました。
災害復旧の目処がまた立たない地域もあるようです。
私の知り合いの地域でも大きな被害がでました。
私は、以前お世話になった地域へ、
寄付をさせていただきました。
その時ふるさと納税でするシステムをはじめて用いました。
そのシステムは、知り合いの地域に対して
他の市がいち早く名乗りを挙げて
事務処理を早急に代行する仕組みが整っていました。
このような協力体制がすぐに整うことは
非常心強いかぎりですね。
2018年7月19日木曜日
2018年7月12日木曜日
1_158 大陸の形成 3:新仮説
これまでの常識は、実は漠然としたデータに基づくものであるかもしれません。データを、整理したら、新たな事実が判明し、これまで誤解に基づいて常識が構築されてた。そんな実例が、今回の田村さんたちの報告です。
これまで安山岩質マグマは、厚い島弧地殻のあるところで形成されると考えられてきました。しかし、今回のシリーズで紹介している田村さんたちの報告では、伊豆小笠原とアリューシャンの両海洋島弧では、地殻の薄いところで安山岩質マグマが活動していることを見出しました。これは、今までの常識とは違った結果となりました。
田村さんたちは、自分たちが見つけた事実、
地殻の厚い地域(厚さ30km以上)では玄武岩質マグマ
地殻の薄い地域(厚さ30km未満)では安山岩質マグマ
が活動する、という前提を置きました。つまり、安山岩質マグマが薄い海洋島弧地殻ででき、厚いところでは玄武岩質マグマが活動します。これまでの地質学の常識に反しますが、これが事実です。そのため、島弧のマグマ形成に、新たな考え方(仮説)を導入する必要がでてきました。
沈み込み帯では、海洋プレートから水分が陸側のマントルに供給されていきます。そのため、マントルの溶融とマグマ形成は、含水量の多い条件で起こることになります。沈み込み帯は、すべて同じ条件となるはずです。
岩石溶融の高温高圧実験では、圧力が低い条件では、含水マントルでは安山岩質マグマが、高圧条件では玄武岩質マグマが形成されることがわかっています。低圧条件は地殻の薄い海洋島弧(厚さ30km未満)下のマントルで、高圧条件は厚い島弧(30km以上)の条件に相当する、と田村さんたちは指摘しています。これで海洋島弧の事実は説明できました。
次なる問題は、成熟した島弧の安山岩質マグマの活動の事実をどう説明するかです。高温高圧実験では、高圧条件では玄武岩質マグマができ、マントルを上昇してくると、すでに形成されていた海洋島弧地殻を構成する安山岩、あるいは成熟した島弧地殻の岩石に突き当たります。
成熟した島弧では、安山岩だけでなく堆積物や花崗岩もあり、玄武岩質マグマによる溶融作用でデイサイト質マグマの形成が定常的に起こます。そして、玄武岩質マグマとデイサイト質マグマのマグマ混合が起こり、島弧の安山岩質マグマができていると考えられています。伊豆小笠原弧では玄武岩質マグマが島弧地殻を溶かすことが知られています。
今回に報告で私が考えた重要な点があります。海洋島弧に安山岩や玄武岩が活動していることは、すべての地質学者は知っていました。今回の田村さんたち論文は、海洋島弧の地殻の厚さとマグマの関係を調べ、相関があることを示して、それが今までの常識に反していたのですが、事実に基づき、新たな大陸の形成メカニズが地殻に薄い海洋島弧でおこっていると提案しました。
かつて、同じようなことがあったことを私は思い出します。島弧を代表する、あるいは平均値がマグマが安山岩質だということを多くの地質学者が知っていました。大陸も平均すると安山岩質の組成なることもしっていました。それらを結びつけて、島弧の安山岩が大陸地殻の形成につながることが指摘され、多くの地質学者は目からウロコでした。
今回の同じような驚きがあり、非常に重要な指摘です。今後慎重に検証していく必要がありますが。
西之島という海の中の新しい火山が安山岩ばかりだという事実と、なおかつそこで新しい大陸の形成が始まっているのでは、という指摘もなされました。これだけでも、興味深い仮説なのですが、この報告には、もう少し大きな可能性を示しています。それは次回としましょう。
・雨の中の調査・
本州の大雨の頃、
私は道南の4回目の調査にでていました。
北海道も降ったりやんだりの天気で、
なかなか思うように調査ができませんでした。
道路が通行止で予定通りにコースを
進むことができないところもありました。
でも、目的としていた露頭をみつけ、
ざっとですが見ることもできました。
やはり予想通りの露頭でした。
でも、海岸に降りれずに次の機会にしました。
・前期も終盤・
7月になり、大学は前期の授業が
終盤に差し掛かっています。
授業の最後の詰めになっています。
学生はそろそろ期末の試験やレポートなどが
気になってきているようです。
大学の授業評価のアンケートなどもあり、
学生にはいろいろ手間をかけていますが、
これもよりよい授業、学生が望む授業に
近づけるための基礎データとなります。
これまで安山岩質マグマは、厚い島弧地殻のあるところで形成されると考えられてきました。しかし、今回のシリーズで紹介している田村さんたちの報告では、伊豆小笠原とアリューシャンの両海洋島弧では、地殻の薄いところで安山岩質マグマが活動していることを見出しました。これは、今までの常識とは違った結果となりました。
田村さんたちは、自分たちが見つけた事実、
地殻の厚い地域(厚さ30km以上)では玄武岩質マグマ
地殻の薄い地域(厚さ30km未満)では安山岩質マグマ
が活動する、という前提を置きました。つまり、安山岩質マグマが薄い海洋島弧地殻ででき、厚いところでは玄武岩質マグマが活動します。これまでの地質学の常識に反しますが、これが事実です。そのため、島弧のマグマ形成に、新たな考え方(仮説)を導入する必要がでてきました。
沈み込み帯では、海洋プレートから水分が陸側のマントルに供給されていきます。そのため、マントルの溶融とマグマ形成は、含水量の多い条件で起こることになります。沈み込み帯は、すべて同じ条件となるはずです。
岩石溶融の高温高圧実験では、圧力が低い条件では、含水マントルでは安山岩質マグマが、高圧条件では玄武岩質マグマが形成されることがわかっています。低圧条件は地殻の薄い海洋島弧(厚さ30km未満)下のマントルで、高圧条件は厚い島弧(30km以上)の条件に相当する、と田村さんたちは指摘しています。これで海洋島弧の事実は説明できました。
次なる問題は、成熟した島弧の安山岩質マグマの活動の事実をどう説明するかです。高温高圧実験では、高圧条件では玄武岩質マグマができ、マントルを上昇してくると、すでに形成されていた海洋島弧地殻を構成する安山岩、あるいは成熟した島弧地殻の岩石に突き当たります。
成熟した島弧では、安山岩だけでなく堆積物や花崗岩もあり、玄武岩質マグマによる溶融作用でデイサイト質マグマの形成が定常的に起こます。そして、玄武岩質マグマとデイサイト質マグマのマグマ混合が起こり、島弧の安山岩質マグマができていると考えられています。伊豆小笠原弧では玄武岩質マグマが島弧地殻を溶かすことが知られています。
今回に報告で私が考えた重要な点があります。海洋島弧に安山岩や玄武岩が活動していることは、すべての地質学者は知っていました。今回の田村さんたち論文は、海洋島弧の地殻の厚さとマグマの関係を調べ、相関があることを示して、それが今までの常識に反していたのですが、事実に基づき、新たな大陸の形成メカニズが地殻に薄い海洋島弧でおこっていると提案しました。
かつて、同じようなことがあったことを私は思い出します。島弧を代表する、あるいは平均値がマグマが安山岩質だということを多くの地質学者が知っていました。大陸も平均すると安山岩質の組成なることもしっていました。それらを結びつけて、島弧の安山岩が大陸地殻の形成につながることが指摘され、多くの地質学者は目からウロコでした。
今回の同じような驚きがあり、非常に重要な指摘です。今後慎重に検証していく必要がありますが。
西之島という海の中の新しい火山が安山岩ばかりだという事実と、なおかつそこで新しい大陸の形成が始まっているのでは、という指摘もなされました。これだけでも、興味深い仮説なのですが、この報告には、もう少し大きな可能性を示しています。それは次回としましょう。
・雨の中の調査・
本州の大雨の頃、
私は道南の4回目の調査にでていました。
北海道も降ったりやんだりの天気で、
なかなか思うように調査ができませんでした。
道路が通行止で予定通りにコースを
進むことができないところもありました。
でも、目的としていた露頭をみつけ、
ざっとですが見ることもできました。
やはり予想通りの露頭でした。
でも、海岸に降りれずに次の機会にしました。
・前期も終盤・
7月になり、大学は前期の授業が
終盤に差し掛かっています。
授業の最後の詰めになっています。
学生はそろそろ期末の試験やレポートなどが
気になってきているようです。
大学の授業評価のアンケートなどもあり、
学生にはいろいろ手間をかけていますが、
これもよりよい授業、学生が望む授業に
近づけるための基礎データとなります。
2018年7月5日木曜日
1_157 大陸の形成 2:常識に反し
安山岩は島弧を特徴づける岩石です。そして一般論として島弧は、大陸に成長していく、大陸形成の場と位置づけられています。しかし、西之島の安山岩は常識に反していました。その意味することは・・・。
海洋にできている列島(未成熟な島弧、海洋島弧と呼ばれる)や海の中の火山(海洋島)では、玄武岩マグマの活動が一般です。一方、安山岩は大きな列島(成熟した島弧)の特徴です。地殻の厚くなっている、成長、成熟した日本列島のような島弧での活動が主です。島弧でも、いろいろマグマが活動していますが、一番多い、平均的なものとして、安山岩マグマになっています。これが島弧の特徴だとされていました。
以上のことから、一般論として、地殻の薄いところ(海洋域)では玄武岩マグマが、地殻の厚いところ(大陸域)では、安山岩マグマが活動すると考えられていました。さらに、島弧が成長していくことで、大陸地殻になっていくと考えられています。
前回、西之島の火山を紹介したとき、以前の活動も、今回の活動も安山岩マグマであることを示しました。西之島は、もちろん海洋域での活動になります。西之島の安山岩マグマは、これまでの常識とは違っていました。その特徴を説明するためには、地下の様子を調べ、マグマの形成機構なども考えていく必要があります。田村芳彦さんたち海洋研究開発機構の研究グループは、この不思議な事実を解明するために、西之島のある伊豆小笠原弧全体と、同じく海洋島弧であるアリューシャン列島を合わせて検討していきました。
2つの海洋島弧を詳しくみていくと、地殻にはいろいろな厚さがありました。地殻の厚さと活動しているマグマの関係を詳しく検討していきました。すると、地殻が30km未満の薄いところでは安山岩質マグマが噴出し、30km以上の厚いところでは玄武岩質マグマが噴出していたことがわかりました。これまでの一般論とは、逆の結果がでてきたのです。
これまで成熟した島弧で大陸地殻が形成されていくという常識ができていました。地殻が薄い海洋島弧での安山岩マグマの形成が起こっているのです。西之島だけなら特別な条件での活動となるかもしれません。2つの島弧での、いくつも火山、マグマを調べた結果なので、一般論となりそうです。つまり、海で大陸ができるかもしれないという可能性でてきたわけです。その仕組みはどのようなものしょうか。田村さんたちの仮説の紹介は、次回としましょう。
・蒸し暑さ・
7月になりました。
6月末から全国的に雨がちの天気です。
台風の影響もあるのでしょうが、
北海道でも蒸し暑い日が続いています。
久しぶりの蒸し暑さに、ぐったりとしました。
でも夜は涼しくなるので、
なんとか寝付けるの助かっています。
・腰痛・
腰痛がでています。
先週の木曜日の夜から痛みがでだし、
金曜日の夜にひどくなり、歩くのもつらくなりました。
土曜日に治療院へいき、
少しましになったのですが、一時的のことでした。
土・日曜日は動かずに、自宅でじっと寝ていました。
月曜日には、大学に来ていたのですが、
曲げ伸ばしすると痛みます。
でも、少しずつは、回復しています。
今週末には調査にでるので、無理できません。
海洋にできている列島(未成熟な島弧、海洋島弧と呼ばれる)や海の中の火山(海洋島)では、玄武岩マグマの活動が一般です。一方、安山岩は大きな列島(成熟した島弧)の特徴です。地殻の厚くなっている、成長、成熟した日本列島のような島弧での活動が主です。島弧でも、いろいろマグマが活動していますが、一番多い、平均的なものとして、安山岩マグマになっています。これが島弧の特徴だとされていました。
以上のことから、一般論として、地殻の薄いところ(海洋域)では玄武岩マグマが、地殻の厚いところ(大陸域)では、安山岩マグマが活動すると考えられていました。さらに、島弧が成長していくことで、大陸地殻になっていくと考えられています。
前回、西之島の火山を紹介したとき、以前の活動も、今回の活動も安山岩マグマであることを示しました。西之島は、もちろん海洋域での活動になります。西之島の安山岩マグマは、これまでの常識とは違っていました。その特徴を説明するためには、地下の様子を調べ、マグマの形成機構なども考えていく必要があります。田村芳彦さんたち海洋研究開発機構の研究グループは、この不思議な事実を解明するために、西之島のある伊豆小笠原弧全体と、同じく海洋島弧であるアリューシャン列島を合わせて検討していきました。
2つの海洋島弧を詳しくみていくと、地殻にはいろいろな厚さがありました。地殻の厚さと活動しているマグマの関係を詳しく検討していきました。すると、地殻が30km未満の薄いところでは安山岩質マグマが噴出し、30km以上の厚いところでは玄武岩質マグマが噴出していたことがわかりました。これまでの一般論とは、逆の結果がでてきたのです。
これまで成熟した島弧で大陸地殻が形成されていくという常識ができていました。地殻が薄い海洋島弧での安山岩マグマの形成が起こっているのです。西之島だけなら特別な条件での活動となるかもしれません。2つの島弧での、いくつも火山、マグマを調べた結果なので、一般論となりそうです。つまり、海で大陸ができるかもしれないという可能性でてきたわけです。その仕組みはどのようなものしょうか。田村さんたちの仮説の紹介は、次回としましょう。
・蒸し暑さ・
7月になりました。
6月末から全国的に雨がちの天気です。
台風の影響もあるのでしょうが、
北海道でも蒸し暑い日が続いています。
久しぶりの蒸し暑さに、ぐったりとしました。
でも夜は涼しくなるので、
なんとか寝付けるの助かっています。
・腰痛・
腰痛がでています。
先週の木曜日の夜から痛みがでだし、
金曜日の夜にひどくなり、歩くのもつらくなりました。
土曜日に治療院へいき、
少しましになったのですが、一時的のことでした。
土・日曜日は動かずに、自宅でじっと寝ていました。
月曜日には、大学に来ていたのですが、
曲げ伸ばしすると痛みます。
でも、少しずつは、回復しています。
今週末には調査にでるので、無理できません。
2018年6月28日木曜日
1_156 大陸の形成 1:西之島
日本列島では、火山噴火は各地で繰り返し起こっています。ですから、少し前の噴火は忘れられることになります。西之島もそのひとつでニュースを聞かなくなりました。でも、研究者たちはこのマグマに注目しています。
西之島(にしのしま)は、本州から南に約1000km、小笠原諸島、父島の西の方、約130kmにあります。小さな島で、火山噴火も度々起こしている無人です。前回の噴火は1973年で、溶岩の島となりました。太平洋の真ん中の孤島ですから、波の侵食の激しいところです。植生も少なく、野鳥だけが営巣するような状態の島でした。しかし、荒々しい自然が手付かずのまま残されている状態です。海鳥にとっては、住みよい島でもあったようです。鳥獣保護区にされていました。
直径数百mほどの小さい火山島ですが、周りの深海底から盛り上がっていますので、海面下には巨大な火山体がそそり立っています。その高さは、海底から4000mもあり、直径も30kmもあります。
2013年11月20日から40年ぶりの噴火が起こりました。その噴火は激しく、旧火口よりさらに西の海底で噴火しました。1973年の噴火では、侵食を受けて島は小さくなっていたのですが、それでも浅い深度のところで、溶岩の海底が広がっていたので、この噴火で島が成長やすい状態となっていました。やがて、火山体は海面上に噴出し、顔を出し100m以上の大きさの島にまで成長しました。2013年12月には、もともとあった島と一体化して、西之島となりました。1年以上活発な火山噴火があったのですが、少し落ち着いたかと思われたのですが、2017年4月より再び噴火を再開しました。今回の噴火では前回より溶岩の噴出量が多くなってきました。そのため島も大きく成長しました。
2018年6月14日現在、160mほどの標高をもった火山体があり、火口内では白い噴気が確認されており、島の周りの海では変色域が広がっています。まだ、活動中の火山となっています。
この火山で噴出してるマグマは、安山岩質でした。一般に海洋にできる列島(伊豆諸島)や海洋島(ハワイ諸島)では、玄武岩質マグマの活動が多いのですが、なぜか太平洋の真ん中の西之島では、安山岩質マグマの活動が起こっています。2013年からの噴火でも安山岩質マグマが噴出しました。
この安山岩質マグマの活動には、どのような意味があるのでしょうか。実は今までの常識を覆す研究が報告されました。
・特別な試料・
活動中の火山を調べるのは危険を伴います。
でも、活動が活発な時は危険を感じますが、
少しでも穏やかになると、火山学者ならだれも
上陸して調べたくなります。
しかし、ここは個人ではいけるところではなく、
保護区でもありますので、
特別な許可をもった人だけが調べ、試料を手にできます。
そんな貴重な試料を得た人からの調査報告がありました。
・北国の青空・
北海道は、なかなか気温が上がらず、
曇では肌寒い日が続いていました。
でも季節は夏に向かっています。
晴れれば、強い日差しとなります。
青空は抜けるような青空となります。
この初夏から夏の北国の青空は
なかなかいいものです。
西之島(にしのしま)は、本州から南に約1000km、小笠原諸島、父島の西の方、約130kmにあります。小さな島で、火山噴火も度々起こしている無人です。前回の噴火は1973年で、溶岩の島となりました。太平洋の真ん中の孤島ですから、波の侵食の激しいところです。植生も少なく、野鳥だけが営巣するような状態の島でした。しかし、荒々しい自然が手付かずのまま残されている状態です。海鳥にとっては、住みよい島でもあったようです。鳥獣保護区にされていました。
直径数百mほどの小さい火山島ですが、周りの深海底から盛り上がっていますので、海面下には巨大な火山体がそそり立っています。その高さは、海底から4000mもあり、直径も30kmもあります。
2013年11月20日から40年ぶりの噴火が起こりました。その噴火は激しく、旧火口よりさらに西の海底で噴火しました。1973年の噴火では、侵食を受けて島は小さくなっていたのですが、それでも浅い深度のところで、溶岩の海底が広がっていたので、この噴火で島が成長やすい状態となっていました。やがて、火山体は海面上に噴出し、顔を出し100m以上の大きさの島にまで成長しました。2013年12月には、もともとあった島と一体化して、西之島となりました。1年以上活発な火山噴火があったのですが、少し落ち着いたかと思われたのですが、2017年4月より再び噴火を再開しました。今回の噴火では前回より溶岩の噴出量が多くなってきました。そのため島も大きく成長しました。
2018年6月14日現在、160mほどの標高をもった火山体があり、火口内では白い噴気が確認されており、島の周りの海では変色域が広がっています。まだ、活動中の火山となっています。
この火山で噴出してるマグマは、安山岩質でした。一般に海洋にできる列島(伊豆諸島)や海洋島(ハワイ諸島)では、玄武岩質マグマの活動が多いのですが、なぜか太平洋の真ん中の西之島では、安山岩質マグマの活動が起こっています。2013年からの噴火でも安山岩質マグマが噴出しました。
この安山岩質マグマの活動には、どのような意味があるのでしょうか。実は今までの常識を覆す研究が報告されました。
・特別な試料・
活動中の火山を調べるのは危険を伴います。
でも、活動が活発な時は危険を感じますが、
少しでも穏やかになると、火山学者ならだれも
上陸して調べたくなります。
しかし、ここは個人ではいけるところではなく、
保護区でもありますので、
特別な許可をもった人だけが調べ、試料を手にできます。
そんな貴重な試料を得た人からの調査報告がありました。
・北国の青空・
北海道は、なかなか気温が上がらず、
曇では肌寒い日が続いていました。
でも季節は夏に向かっています。
晴れれば、強い日差しとなります。
青空は抜けるような青空となります。
この初夏から夏の北国の青空は
なかなかいいものです。
2018年6月14日木曜日
3_171 核の姿 6:二酸化ケイ素の結晶
核には、鉄に軽い元素として、ケイ素と酸素が含まれているようです。液体の鉄の中で、結晶化することが実験でわかってきました。結晶化が起こす現象が、地球には重要な意味があったようです。
東京工業大学の廣瀬敬さんとその共同研究者は、2017年2月に、イギリスの科学誌ネイチャーに、
Crystallization of silicon dioxide and compositional evolution of the Earth's core
(二酸化ケイ素の結晶化と地球の核の化学組成の進化)
という論文を報告されました。
これは、地球の核では二酸化ケイ素の結晶ができるということを、実験的に示し、さらに結晶することで核に何がおこるのかを検討したものです。
何度も述べてきましたが、核は、金属鉄からできています。隕石などの類推から、鉄を主とし、ニッケルを少し含む(5%ほど)合金となります。ところが、地震波のデータからみると、その密度をもっと軽くする成分が加わっている必要があります。その量は鉄の密度を10%ほど小さくするほどです。軽い元素ですから、その量はかなり多く混じっていることになります。
軽い成分の候補として、硫黄と酸素、水素、ケイ素などが考えられ、議論されてきましたが、まだ定まっていませんでした。地球の形成史を考えていくと、最初から核があったのではなく、初期に徐々に形成されていったと考えられます。
材料物質の隕石が、次々と衝突していた時期があり、その材料のから溶けた鉄が深部に向かって沈んでいったはずです。鉄が、高温のマントルを通り抜けるとき、岩石の主成分であるケイ素と酸素が、鉄に取り込まれたと考えられます。そのため、核の軽元素として、ケイ素と酸素が有力だと目されていました。
廣瀬さんたちは、液体の鉄にケイ素と酸素が溶け混んでいたと想定して実験をおないました。このシリーズで紹介したダイアモンドアンビルセル装置を用いて高圧を発生し、そこにレーザーで加熱することで高温にもしました。その条件は、133~145万気圧と3600~3700℃という高圧高温で、核の条件に近いものでした。そこで、溶けた鉄の中で二酸化ケイ素がどう振る舞うかを調べました。
その結果、二酸化ケイ素の結晶化ができることがわかりました。そこから重要なことがわかってきました。核の対流の起源と、そこから地球磁場の形成の問題への答えがでてきそうだということです。
実験によれば、核最上部で、溶けた鉄の中にケイ素と酸素があれば、それが二酸化ケイ素として結晶化していくことになります。二酸化ケイ素の結晶は、溶けた鉄より軽いので、浮いていきます。浮いた二酸化ケイ素は、マントルの一部になっていきます。
一方、二酸化ケイ素の抜けた液体鉄は、軽い元素を含む液体鉄より重くなります。同じ液体鉄でも、密度の差があれば、重いほうが沈んでいくことになります。そして核で対流が起こることになります。そこで、重要な関わりでてくるのが、前回の内核の形成時期が若いという結果です。
その関係は、次回としましょう。
・変動する天候・
北海道は、肌寒い日が続いています。
晴れると暑いくらいなのですが、
曇ったり雨だと、一気に肌寒くなります。
夏になったり、春に戻ったり、変動の激しい天候です。
皆様の地域はいかがでしょうか。
体調を崩さないように、
気をつけなければなりませんね。
・恒例のこと・
大学の前期の講義も、折り返しとなりました。
私のいる学科では、4年生では教職の教育実習、
3年生では介護等体験、特別支援の実習、
2年生では保育士の施設実習など
いろいろな実習が次々と行われています。
そして教職の採用試験もあります。
担当の教員は、その対応に追われます。
このような慌ただしい状況が、7月上旬まで続きます。
その後は、教職の1次の合格発表と
2次試験のための対策講座などが続いていきます。
これは、恒例のことなんですが、
風物詩というには、かなり生々しすぎますね。
東京工業大学の廣瀬敬さんとその共同研究者は、2017年2月に、イギリスの科学誌ネイチャーに、
Crystallization of silicon dioxide and compositional evolution of the Earth's core
(二酸化ケイ素の結晶化と地球の核の化学組成の進化)
という論文を報告されました。
これは、地球の核では二酸化ケイ素の結晶ができるということを、実験的に示し、さらに結晶することで核に何がおこるのかを検討したものです。
何度も述べてきましたが、核は、金属鉄からできています。隕石などの類推から、鉄を主とし、ニッケルを少し含む(5%ほど)合金となります。ところが、地震波のデータからみると、その密度をもっと軽くする成分が加わっている必要があります。その量は鉄の密度を10%ほど小さくするほどです。軽い元素ですから、その量はかなり多く混じっていることになります。
軽い成分の候補として、硫黄と酸素、水素、ケイ素などが考えられ、議論されてきましたが、まだ定まっていませんでした。地球の形成史を考えていくと、最初から核があったのではなく、初期に徐々に形成されていったと考えられます。
材料物質の隕石が、次々と衝突していた時期があり、その材料のから溶けた鉄が深部に向かって沈んでいったはずです。鉄が、高温のマントルを通り抜けるとき、岩石の主成分であるケイ素と酸素が、鉄に取り込まれたと考えられます。そのため、核の軽元素として、ケイ素と酸素が有力だと目されていました。
廣瀬さんたちは、液体の鉄にケイ素と酸素が溶け混んでいたと想定して実験をおないました。このシリーズで紹介したダイアモンドアンビルセル装置を用いて高圧を発生し、そこにレーザーで加熱することで高温にもしました。その条件は、133~145万気圧と3600~3700℃という高圧高温で、核の条件に近いものでした。そこで、溶けた鉄の中で二酸化ケイ素がどう振る舞うかを調べました。
その結果、二酸化ケイ素の結晶化ができることがわかりました。そこから重要なことがわかってきました。核の対流の起源と、そこから地球磁場の形成の問題への答えがでてきそうだということです。
実験によれば、核最上部で、溶けた鉄の中にケイ素と酸素があれば、それが二酸化ケイ素として結晶化していくことになります。二酸化ケイ素の結晶は、溶けた鉄より軽いので、浮いていきます。浮いた二酸化ケイ素は、マントルの一部になっていきます。
一方、二酸化ケイ素の抜けた液体鉄は、軽い元素を含む液体鉄より重くなります。同じ液体鉄でも、密度の差があれば、重いほうが沈んでいくことになります。そして核で対流が起こることになります。そこで、重要な関わりでてくるのが、前回の内核の形成時期が若いという結果です。
その関係は、次回としましょう。
・変動する天候・
北海道は、肌寒い日が続いています。
晴れると暑いくらいなのですが、
曇ったり雨だと、一気に肌寒くなります。
夏になったり、春に戻ったり、変動の激しい天候です。
皆様の地域はいかがでしょうか。
体調を崩さないように、
気をつけなければなりませんね。
・恒例のこと・
大学の前期の講義も、折り返しとなりました。
私のいる学科では、4年生では教職の教育実習、
3年生では介護等体験、特別支援の実習、
2年生では保育士の施設実習など
いろいろな実習が次々と行われています。
そして教職の採用試験もあります。
担当の教員は、その対応に追われます。
このような慌ただしい状況が、7月上旬まで続きます。
その後は、教職の1次の合格発表と
2次試験のための対策講座などが続いていきます。
これは、恒例のことなんですが、
風物詩というには、かなり生々しすぎますね。
2018年6月7日木曜日
3_170 核の姿 5:若い内核
微小な部分を内核の条件にして、そこで電気伝導度を測定してます。ただし、そのためには、微小部分への特殊な技術の導入が必要でした。その技術を開発をすることで、今回の実験が成功しました。
今回の実験を一言でいうと、レーザー加熱式ダイヤモンドアンビルセル装置内に収束イオンビーム加工装置で配線をした試料を内核の条件において、電気伝導率をSPring-8で計測した、となります。少々難しいのですが、少し詳しくみていきましょう。
ダイヤモンドアンビルとは、2つのダイヤモンドのとがった先端を少し平らにして、向かい合わせにして、押し付けると、その先端には高圧が発生します。先端の面積を小さくすればするほど、高圧になっていきます。先端を直径数10μmほどにして、そこに実験する物質を置きます。ダイヤモンドアンビルでは、約360万気圧という地球中心部の圧力まで発生することが可能です。
なぜ効果なダイヤモンドを使用するかというと、硬いということと、光もレーザー光も通します。レーザー光を用いると、挟んだ物質を加熱することができます。この装置で目的の試料となる鉄を、内核の温度圧力条件にすることが可能となります。さらに、試料を温度圧力条件を保持したまま、SPring-8から出てきたX線マイクロビームを照射します。そこから出てくるX線回折像から、高温高圧条件のまま結晶構造を求めることができます。
しかし、これまで試料が直径30μm以下の非常に小さな部分で、電気伝導率を測定することはできませんでした。そこで太田さんたちは、収束イオンビーム加工装置というものを用いて、微小な部分での電気配線をする仕組みを開発しました。その装置を用いて電気伝導率を測定できるようにしました。157万気圧、4500Kまでの条件で電気伝導率を測定しました。
その結果、約90W/m/Kという値をえました。これはシミュレーションによる値と同じになりました。そこから、前に述べた方法で、内核の年齢を計算したら、約7億年前という値になりました。
もしこの結果が正しければ、地球誕生から約7億年前まで、約30億年間、内核は存在しなかったことになります。これは、地球誕生時に核内に蓄えられた熱が非常に多く、そして冷めるスピードも遅かったことになります。そして内核の成長速度も非常に速くなります。
これまで地質学的には、約13億年前に磁場強度が増えた時期があり、それは内核の誕生に関係したものだと考えられていました。今回の結果が正しければ、内核以外で、磁場の変化の原因を考えなければなりません。地球の歴史についても、いろいろと再考が必要になりそうです。
今回の実験は、鉄を用いておこなわれていますが、核には鉄より軽い元素が含まれていることがわかっています。鉄以外の成分が入っていると、熱伝導率が変化するかもしれません。現実の核の成分で、再度実験を行う必要があります。今回の手法は、そのような成分が加わっていても実験可能だとされていますので、より現実に近い核の成分での実験がなされることが期待されます。
次回は、もうひとつの核の新知見は、核内で石英があるのではないというものです。今回の結果とも関係するものでもあります。
・道南調査3・
先週後半から今週はじめまで道南にいっていました。
少し雨がぱらついたり、風が強かったりしたのですが、
基本的には調査は順調に進みました。
ただし、目的を達成できたどうかは、問題です。
目的を達成できるような露頭が発見できるかどうかです。
今回は沢筋にはいったのですが、
露出がよくなく、風化も進んでいました。
やはり海岸沿いの露頭がいいようです。
今回新たな露頭をいくつか発見し、
これまでの調査で発見した露頭を再調査しました。
まあ、すべてが上手くいったわけではないですが、
それなりの成果を上げられたというところでしょうか。
来月にもう一度、調査に行く予定です。
・YOSAKOIソーラン・
北海道の初夏を象徴する
YOSAKOIソーラン祭りがはじまりました。
大学のチームも、毎年参加しています。
祭りの初日には、大学で出陣式をおこないます。
私も毎年、見学しています。
今年はゼミの学生もいます。
メンバーの学生は、この6月を目指して
日々練習を積んできました。
がんばって踊ってもらいたいと思います。
今回の実験を一言でいうと、レーザー加熱式ダイヤモンドアンビルセル装置内に収束イオンビーム加工装置で配線をした試料を内核の条件において、電気伝導率をSPring-8で計測した、となります。少々難しいのですが、少し詳しくみていきましょう。
ダイヤモンドアンビルとは、2つのダイヤモンドのとがった先端を少し平らにして、向かい合わせにして、押し付けると、その先端には高圧が発生します。先端の面積を小さくすればするほど、高圧になっていきます。先端を直径数10μmほどにして、そこに実験する物質を置きます。ダイヤモンドアンビルでは、約360万気圧という地球中心部の圧力まで発生することが可能です。
なぜ効果なダイヤモンドを使用するかというと、硬いということと、光もレーザー光も通します。レーザー光を用いると、挟んだ物質を加熱することができます。この装置で目的の試料となる鉄を、内核の温度圧力条件にすることが可能となります。さらに、試料を温度圧力条件を保持したまま、SPring-8から出てきたX線マイクロビームを照射します。そこから出てくるX線回折像から、高温高圧条件のまま結晶構造を求めることができます。
しかし、これまで試料が直径30μm以下の非常に小さな部分で、電気伝導率を測定することはできませんでした。そこで太田さんたちは、収束イオンビーム加工装置というものを用いて、微小な部分での電気配線をする仕組みを開発しました。その装置を用いて電気伝導率を測定できるようにしました。157万気圧、4500Kまでの条件で電気伝導率を測定しました。
その結果、約90W/m/Kという値をえました。これはシミュレーションによる値と同じになりました。そこから、前に述べた方法で、内核の年齢を計算したら、約7億年前という値になりました。
もしこの結果が正しければ、地球誕生から約7億年前まで、約30億年間、内核は存在しなかったことになります。これは、地球誕生時に核内に蓄えられた熱が非常に多く、そして冷めるスピードも遅かったことになります。そして内核の成長速度も非常に速くなります。
これまで地質学的には、約13億年前に磁場強度が増えた時期があり、それは内核の誕生に関係したものだと考えられていました。今回の結果が正しければ、内核以外で、磁場の変化の原因を考えなければなりません。地球の歴史についても、いろいろと再考が必要になりそうです。
今回の実験は、鉄を用いておこなわれていますが、核には鉄より軽い元素が含まれていることがわかっています。鉄以外の成分が入っていると、熱伝導率が変化するかもしれません。現実の核の成分で、再度実験を行う必要があります。今回の手法は、そのような成分が加わっていても実験可能だとされていますので、より現実に近い核の成分での実験がなされることが期待されます。
次回は、もうひとつの核の新知見は、核内で石英があるのではないというものです。今回の結果とも関係するものでもあります。
・道南調査3・
先週後半から今週はじめまで道南にいっていました。
少し雨がぱらついたり、風が強かったりしたのですが、
基本的には調査は順調に進みました。
ただし、目的を達成できたどうかは、問題です。
目的を達成できるような露頭が発見できるかどうかです。
今回は沢筋にはいったのですが、
露出がよくなく、風化も進んでいました。
やはり海岸沿いの露頭がいいようです。
今回新たな露頭をいくつか発見し、
これまでの調査で発見した露頭を再調査しました。
まあ、すべてが上手くいったわけではないですが、
それなりの成果を上げられたというところでしょうか。
来月にもう一度、調査に行く予定です。
・YOSAKOIソーラン・
北海道の初夏を象徴する
YOSAKOIソーラン祭りがはじまりました。
大学のチームも、毎年参加しています。
祭りの初日には、大学で出陣式をおこないます。
私も毎年、見学しています。
今年はゼミの学生もいます。
メンバーの学生は、この6月を目指して
日々練習を積んできました。
がんばって踊ってもらいたいと思います。
2018年5月31日木曜日
3_169 核の姿 4:熱伝導率の測定
内核と同じ条件に鉄をおいて、電気伝導率を測定をする実験の報告がされました。その結果から、内核の形成速度を見積もり、年齢を求めることができます。そこから得られた結果は、なかなか興味深いものでした。
東京工業大学の太田健二さんと共同研究者が、Nature誌で報告した論文のタイトルは、
Experimental determination of the electrical resistivity of iron at Earth’s core conditions
(地球の核の条件での鉄の電気抵抗率の実験的決定)
というものでした。電気抵抗率(電子による電気の通しにくさ)の逆数をとると、電気導電率(電子による電気の伝わりやすさ)となります。この報告では、鉄を内核と同じ条件(温度と圧力)にして、電気伝導率を求める実験がなされたことになります。電気伝導率を決定した意味は、次のような理由がありました。
金属内で、熱は自由電子によって伝わっていきまうす。熱の伝わり方は、熱伝導率です。熱伝導率は電気伝導率の値から求めることができます。熱伝導率で物質内の熱の伝わり方が決まってくると、内核の冷却速度を推定することができます。冷却速度が定まると、内核の形成時期が推定できます。
理論としては、いくつかのステップは経るのですが、原理は簡単です。ところが、この条件で実験すること、なおかつその状態のまま測定することが難しいのです。これまで実験できていた条件はマントル内のものでしたので、その実験条件からさらに高温高圧条件側へと推定(外挿といいます)してきました。そこから得られた熱伝導率の値は、30W/m/Kというものでした。この30W/m/Kという値から推定される内核の誕生時期は、30億年前となりました。地質学的推定の「25億年前には内核も成長しはじめた」というものと似ていましたので、これでいいのではないかと考えられていました。
その後、コンピュータによる計算実験がおこなわれ、内核の温度圧力状態では、鉄の熱伝導率が約90W/m/Kという、3倍も大きな推定値が示されました。この値では、従来の内核の冷却速度より3倍も速くなります。形成時期も、非常に新しい時代になります。
実験の外挿とシミュレーションとの2つの方法による推定値には、大きな違いがありました。そこで太田さんたちは、内核の条件で実験をして、その状態で電気伝導率を測定することに成功しました。それが今回の報告でした。
実験は、レーザー加熱式ダイヤモンドアンビルセル装置内に、収束イオンビーム加工装置で配線をほどこした試料をおいて、SPring-8で計測されました。その紹介と結果は、次回としましょう。
・SPring-8・
SPring-8は、兵庫県播磨にある理化学研究所の
大型放射光施設にある
Super Photon ring-8 GeVに由来しています。
SPring-8は世界最高の放射光を発生できます。
電子を光速近くまで加速します。
電子は電荷をもっていますので、
電磁石で方向を曲げることができます。
電子が曲がるとき、細く強力な電磁波(放射光)が発生します。
この放射光を用いて、微小部分の観察に利用されています。
今回の報告はこの放射光を用いてなされました。
・今日から調査・
今日から調査にでます。
今回は、4泊5日の調査になりますが、
実質は3日半の調査となります。
今日は昼前にでて、調査地近くまで移動し、
翌日からすぐに調査できるように予定しています。
今回で道南調査の3度目になります。
いくつかの集中的に調査する地点を見つけていますので、
そこを調査する予定です。
もう一回の調査の予定をしていますが、
それは確認のためとしています。
車で、4、5時間ほどで調査につけますので、
半日の行程で調査地に出向けるのは
なかなか便利です。
ただ、研究テーマに合う地域を見つけるのが難しいのですが。
東京工業大学の太田健二さんと共同研究者が、Nature誌で報告した論文のタイトルは、
Experimental determination of the electrical resistivity of iron at Earth’s core conditions
(地球の核の条件での鉄の電気抵抗率の実験的決定)
というものでした。電気抵抗率(電子による電気の通しにくさ)の逆数をとると、電気導電率(電子による電気の伝わりやすさ)となります。この報告では、鉄を内核と同じ条件(温度と圧力)にして、電気伝導率を求める実験がなされたことになります。電気伝導率を決定した意味は、次のような理由がありました。
金属内で、熱は自由電子によって伝わっていきまうす。熱の伝わり方は、熱伝導率です。熱伝導率は電気伝導率の値から求めることができます。熱伝導率で物質内の熱の伝わり方が決まってくると、内核の冷却速度を推定することができます。冷却速度が定まると、内核の形成時期が推定できます。
理論としては、いくつかのステップは経るのですが、原理は簡単です。ところが、この条件で実験すること、なおかつその状態のまま測定することが難しいのです。これまで実験できていた条件はマントル内のものでしたので、その実験条件からさらに高温高圧条件側へと推定(外挿といいます)してきました。そこから得られた熱伝導率の値は、30W/m/Kというものでした。この30W/m/Kという値から推定される内核の誕生時期は、30億年前となりました。地質学的推定の「25億年前には内核も成長しはじめた」というものと似ていましたので、これでいいのではないかと考えられていました。
その後、コンピュータによる計算実験がおこなわれ、内核の温度圧力状態では、鉄の熱伝導率が約90W/m/Kという、3倍も大きな推定値が示されました。この値では、従来の内核の冷却速度より3倍も速くなります。形成時期も、非常に新しい時代になります。
実験の外挿とシミュレーションとの2つの方法による推定値には、大きな違いがありました。そこで太田さんたちは、内核の条件で実験をして、その状態で電気伝導率を測定することに成功しました。それが今回の報告でした。
実験は、レーザー加熱式ダイヤモンドアンビルセル装置内に、収束イオンビーム加工装置で配線をほどこした試料をおいて、SPring-8で計測されました。その紹介と結果は、次回としましょう。
・SPring-8・
SPring-8は、兵庫県播磨にある理化学研究所の
大型放射光施設にある
Super Photon ring-8 GeVに由来しています。
SPring-8は世界最高の放射光を発生できます。
電子を光速近くまで加速します。
電子は電荷をもっていますので、
電磁石で方向を曲げることができます。
電子が曲がるとき、細く強力な電磁波(放射光)が発生します。
この放射光を用いて、微小部分の観察に利用されています。
今回の報告はこの放射光を用いてなされました。
・今日から調査・
今日から調査にでます。
今回は、4泊5日の調査になりますが、
実質は3日半の調査となります。
今日は昼前にでて、調査地近くまで移動し、
翌日からすぐに調査できるように予定しています。
今回で道南調査の3度目になります。
いくつかの集中的に調査する地点を見つけていますので、
そこを調査する予定です。
もう一回の調査の予定をしていますが、
それは確認のためとしています。
車で、4、5時間ほどで調査につけますので、
半日の行程で調査地に出向けるのは
なかなか便利です。
ただ、研究テーマに合う地域を見つけるのが難しいのですが。
登録:
投稿 (Atom)