2020年10月15日木曜日

3_189 地磁気逆転 1:チバニアン

 チバニアンは、日本の地層ではじめて国際的な標準地に選ばれて、時代名称になったものです。最近、チバニアンで新しい研究が報告されました。その研究には、どのような経緯があるかをみていきましょう。


 2020年1月17日、国際地質科学連合によって、地質時代の名称に日本を模式地とした「チバニアン」が認定されました。認定される前にも何度もニュースになり、このエッセイでも紹介したことがありました。そのためご存知の方も多いのではないでしょうか。

 チバニアンに関して、なぜ日本で認定されたのか、あるいはそもそもその時代名称にどのような意味があるのか、についてみていきましょう。今回紹介する論文は、この意味に関連しています。

 時代名称を決めるにあたって、その時代の前後の境界が重要になります。時代境界にははじまりと終わりの両側が必要になります。もしどちらか一方が決まっていれば、もう一方を決めればいいわけです。チバニアンの場合は、前の時代との境界を決定することになります。

 チバニアンより前の時代は「カラブリアン」です。この時代境界の決定に関しては、千葉の他にも2箇所、イタリアに候補地があって、3箇所で争っていました。カラブリアンとチバニアンの境界を、根拠をもって正確に決められたことが、チバニアンに決定される重要な根拠になっています。

 新生代第四紀更新世は、4つに区分されているうちの、チバニアンは古い方から3番目に当たります。その期間は、78.1万年前から12.6万年前までとなります。カラブリアンとチバニアンとの境界では、地磁気の逆転が起こったことが、地質学的に重要な事件とされています。

 地磁気の逆転は、地球史上何度も起こっているのがわかっているのですが、もっとも新しい地磁気の事件がチバニアンに関係しています。その事件は、現在の磁場と比べると磁気が逆転していることになるので、その事件の名称も「松山-ブリュンヌ逆転(258万~77万年前)」と呼ばれています。200万年近くの間、現在の磁極とは逆転していました。そして現在の78.1万年前に現在の磁極に変わった事件を、この時代境界にしようと考えられました。

 松山-ブリュンヌ逆転とは、二人の発見者の名称から名付けられています。松山は、日本の地球物理学者である松山基範(まつやま もとのり)さんに由来しています。松山さんは、兵庫県の玄武洞や東アジア各地で古地磁気を調べた結果、地球の磁場が、現在のものとは反転していることに初めて気づき報告しました。

 日本の研究者が日本で地磁気の逆転を発見し、その事件が、時代の境界に当たるわけです。古地磁気で逆転を発見した人も、発見された場所も、千葉とは関係はないのですが、心情的には、そのような由来の時代に、日本が関係する名称になって欲しと思ってしまいます。その結果として、千葉のチバニアンに決定され、大きなニュースになりました。

 その地を舞台に、新たな報告がありました。その内容は次回としましょう。


・冬布団・

北海道は寒くなってきました。

時々ストーブをつけるようになってきました。

長くつけていくと暖かくなりすぎることが多いので、

そんなときは停めてしまいますが、

ストーブが恋しい季節になりました。

現在、冬物の布団を打ち直しに出しています。

夜寝る時、少々寒く感じるようになってきました。

夏過ぎに出したのでどうなっているか気になってきました。

1月以上かかるとは聞いていたのですが、

現在、進行状況を問い合わせ中です。


・季節の巡り・

毎年、この時期、授業で落葉拾いをするのですが、

9月下旬は落葉が少なかったのですが、

10月に入ると、一気に紅葉が進み

落葉もたくさん落ちはじめました。

ところが、紅葉は木の上や端の方から

まだらに進んでいっています。

紅葉のはじまり工合が不順です。

今年は、天気のいい日に雪虫が

少し飛んでいるのをみたのですが、

まだ数が少ししか見かけません。

これからでてくるのかもしれませんが、

季節の移り変わりがいつもとは違うようです。

2020年10月8日木曜日

1_188 初期重爆撃期 5:隕石から地球へ

 HED隕石の母天体ベスタは小惑星帯にあります。HED隕石からベスタの記録が、そこから太陽系の形成初期の環境が復元できます。その記録は、地球形成初期の環境とも関連してくることがわかってきました。


 今回紹介している報告では、5つの隕石以外に、同じ隕石内の別の鉱物での年代値、あるいはベスタ由来の別の隕石の年代値も利用して議論しています。隕石の状態や鉱物の種類によって、これらの年代値の持つ意味が異なってくることは紹介しましたがそこから母天体である小惑星ベスタの形成初期の履歴が復元されていきます。

 もっとも古いのは、角礫化していない隕石や角礫化したものでも頑丈な鉱物(ジルコンなど)から得れた45億年前より以前のもの(44.9から45.5億年前)で、これは母天体で最初にあったマグマの活動になります。玄武岩ユークリットは火成作用でできたことも前に紹介しました。他の論文によって、角礫化されていない他の隕石(NWA 6594)のアパタイトからも、45.03億万年前の年代がえられています。火成作用の条件として、最大圧力は50~60GPaで、温度は1160~1200℃と推定する報告もあります。

 角礫化した隕石からは、44~41.5億万年前の範囲の年代があり、最初のマグマの活動より新しい時期です。この報告の隕石の値は、41.5億万年前より新しい時代のものと、それより明らかに古い年代もあります。これらの隕石でも、後の衝突事件をAr年代を調べると、40億前年より新しい時代(37.5億年前)がえられています。この時代に、ベスタに大量の隕石が衝突したことが分かりました。しかし、このような新しい時代の記録は、これまでの報告を調べても、非常に少なくなっています。

 このような年代値は、角礫化した隕石ブレシア(アパタイトとメリライト)からも42~41億年前の年代が、ベレバ(アパタイト)でも42億年前のものが見つかっています。この時期が、小惑星での後期爆撃のはじまりと解釈されています。ところが、今回の報告も含めて、40億年前よりより古い年代(44~41.5億年前)が多数えられたことになります。

 これまで太陽系では隕石の衝突事件(爆撃、あるいは重爆撃と呼ばれています)で、後期爆撃のピーク年代は39億年前頃だと推測されていました。約39億年前より以前にも、隕石が月や小惑星に衝突した「初期爆撃」があったという仮説がありました。

 42億年前(41億5000万年前)より古い年代は、ベスタではこれまで知られていない年代でしたが、今回の報告で、「初期爆撃期」の年代があったことが明らかになりました。後期重爆撃に相当する年代は、リン酸塩ではえられていません。

 これまで、太陽系の惑星内では、後期爆撃期の影響を激しく受けたと考えらていました。ところが、少なくともベスタでは、後期爆撃期の衝突より前期爆撃期のほうが激しかったことになります。

 では、このベスタからわかってきたこと(初期爆撃が激しかったが、後期爆撃はそうでもなった)は、太陽系全体で起こっていたと考えられます。地球において、約39億年前という時代は、海洋が形成され、その直後には生命が誕生していたかもしれません。その後、生命は進化を続けています。つまり、地球の表層環境は、後期爆撃の影響はあまり受けず、穏やかで安定していたと推定でき、ベスタの事実は地球の初期進化において重要な意味を持っています。

 今回の報告は、太陽系において、初期爆撃期が重大な事件となり、後期爆撃期の影響はあまりなかったということがいえそうです。地球の歴史から推定された太陽系惑星空間の環境が、地球外の隕石からも支持されたことになります。これが、論文の重要な結論ではないでしょうか。


・隕石の所有・

隕石は、だれでもが目にしたことがあるでしょう。

主には博物館などの展示でしょうか。

隕石を所有することもできます。

博物館のショップや鉱物や化石を売っている店では

隕石も販売していることがあります。

博物館も隕石を扱っている業者から購入しています。

もちろん、ありふれた隕石は安価で

珍しいものは高価になります。

でも、太陽系の初期や地球外でできた石を

だれでも簡単に手にすることができます。

私も研究のためでなく、3種類の隕石を購入して、

机の引き出しに入れています。

当然、隕石の種類を代表するものです。


・ストーブ・

10月になり、北海道は涼しくなってきました。

大学の研究室では、9月の下旬にはまだ窓を開けて

空気を入れ替えていたのですが、

最近では、窓を開けることなく、

足元に置く電気ストーブを出して使いはじめました。

少しつけると暖かくなるのですぐに切りますが。

夏と冬の切り替わりの季節になりました。

2020年10月1日木曜日

1_187 初期重爆撃期 4:それぞれの年代値

 母天体のわかっている隕石で、アパタイトの年代が測定されました。5つの隕石のアパライトから、いろいろな年代値がえられました。そこから、何が読み取られるのでしょうか。


 前回、アパタイトを年代測定に利用する意味を紹介しました。記録されている年代が、450℃という中間的な温度で書き換わることが、アパタイトの特徴でした。その温度での出来事は、母天体、そして地球や太陽系の天体の歴史への重要な手がかりとなっていました。

 この報告で用いられたのは、玄武岩質ユークライトという隕石、5種ですが、そのうち3つは角礫状で、他の2つは角礫化していないものでした。

 ひとつの隕石で何個もアパタイトがえられ、いくつもの年代がえられます。同一隕石内の複数の鉱物を測定することで、年代を示す線(アイソクロンと呼ばれます)から年代値を求める方法もあります。アイソクロン法では、同じ隕石内のアパタイトは同じ履歴を記録していると仮定して求めることになります。これはよく使われる手法ですが、もしかすると課題あるかもしれませんが、今回はそれには言及しません。

 それぞれの隕石からえられたいくつかの年代をみていきましょう。

 角礫状玄武岩ユークリットから見てきましょう。ジュビナ(Juvinas)は、アパタイトのアイソクロン年代は45.169億年前とメリライトという鉱物のアイソクロン年代は41.503億年前でした。キャメルドンガ(CamelDonga)は45.7~43.7億年前付近ですが値はばらつきますが、44.914億年前や、そこからはずれたものからは43.72億年前がえられました。スタナーン(Stannern)は、41.430億年前の年代がありますが、44~41.5億年前のいくつもの年代があり、もしかすると、この期間中に複数の熱変成イベントがあった記録かもしれません。

 角礫化していない玄武岩ユークリットでは、アグルト(Agoult)のアイソクロン年代は、45.248億年前と40.5248億年前の年代もえられました。イビティラ(Ibitira)は、45.52億年前でした。

 角礫化した隕石は、これまで天体形成の初期の衝突合体の時期に、激しい衝突(爆撃期)に変形して形成されたと考えられていました。年代はその痕跡を示している可能性があります。一方、角礫化していない隕石は、火成活動など母天体の形成や形成後の天体の大規模な活動の記録を残している可能性があります。

 これらの年代から、母天体である小惑星ベスタの形成初期の履歴が復元されていきます。論文では、これらの結果に加えて、同じ隕石の別の鉱物なので年代、母天体由来の隕石の年代値も利用して議論しています。その話は、少し複雑で長くなりますので、次回としましょう。


・後期の遠隔授業・

わが大学では先週の連休明けから

後期の授業がはじまりました。

半分以上の講義は、まだ遠隔授業となっています。

しかし、ゼミナールや資格課程の授業では

対面授業がおこなわれています。

私の担当の授業の半分以上が対面授業となっています。

遠隔授業もいくつかあるので、

その準備に手間取っています。

先日は音声が途中で切れているという

学生からのクレームもあり、慌てて録音し直しました。

原因は不明です。

これからも、何がおこるかわかりませんので、

緊張が強いられます。


・ストーブの季節・

北海道は9月になってから秋めいてきました。

それでも暖かい日もあったのですが、

先週末あたりからかなり涼しくなってきました。

我が家では、週末に、衣替えをしました。

日曜日の午前中は、日が差さないときは

自宅でも足元が冷たく感じてしまいました。

ストーブの調子をみるためにも一度たきました。

しばらく炊いていると、暖かくなりすぎたので消しましたが、

もうストーブの季節になってきました。

2020年9月24日木曜日

1_186 初期重爆撃期 3:アパタイト

 論文では、隕石中の微小な鉱物で年代測定をしています。その鉱物は、丈夫な鉱物ではあるのですが、ある程度の温度で変成を受けてしまいます。その特徴を逆手にとって、温度と年代を利用しようというアイディアです。



 年代測定には、アパタイト(燐灰石)という鉱物が利用されました。アパタイトは、リン酸カルシウムという鉱物で、その化学組成は、Ca5(PO4)3F(一部ハロゲン元素を含むことがあります)となっています。いったん結晶が形成されると、変成や変質でも壊れにくい、かなり丈夫な鉱物です。ですから、変成作用などを受けた古い時代にできた岩石でも、もとの化学組成や年代を残しています。

 アパタイトは、もっと丈夫な鉱物と比べると、変成作用などによる温度の影響を受けやすくはなっていますが、もっと弱い鉱物よりは高温まで情報を保持しています。論文では、このような中間的な温度条件で影響を受けるアパタイトの特徴を利用して、変成温度に着目した年代測定がなされ、その温度と年代の意味を考えています。

 アパタイトの成分の一部(Caの部分)が、ウラン(U)に置き換えられることがあります。ウランには放射性をもった成分(核種といいます)が含まれており、その放射性核種を用いることで年代測定ができます。ウランの年代値から、アパタイトが形成された年代と、変成をうけた年代が読み取れることになります。

 この論文では、変成作用でウランが固定される温度(閉鎖温度といいます)に着目しています。アパタイトの閉鎖温度は、かなり高温(約450℃、論文では「中程度に高温」と表現されます)になっています。高温(900℃)で閉鎖するジルコンの年代測定(U-Pb法)や、低温(300℃)の斜長石の年代測定(K-Ar法)と比べて、アパタイトの450℃という温度は、中間的な温度の重要な手がかりとなります。

 ただし、隕石の中のアパタイトは非常に小さい結晶しかないので、年代測定も困難です。それを分析するためには、小池さんたちは、二次イオン質量分析計(SIM)というものでも、微小部分の分析ができるナノスケール二次イオン質量分析計(NanoSIM)という特別な装置を用いて分析されています。10μm程度の部分があれば年代測定が可能です。アパタイトの閉鎖温度と年代から、隕石が経てきた履歴を読み取ることができます。

 その年代値については、次回としましょう。


・秋の訪れ・

全国的でしょうが、一気に秋めいてきました。

北海道も、涼しくなり、朝夕は厚手の上着が欲しくなります。

気の早い家庭では、もうストーブを

たいているところもあるようです。

我が家はまだですが。

寒い夜に冬物の半纏を着ましたが、

ちょうどいいくらいでした。

今年は、暑さ寒さの変動が激しいようです。


・後期授業・

大学の後期の授業では、やっと一部ですが、

対面授業が戻ってきました。

対面授業の中で、落ち葉を用いるものがあるのですが、

あと2週で、紅葉が進み、落ち葉ができるが心配です。

毎年の心配していることですが

今年は、対面授業ができる喜びの方が大きです。

ただ、多くは遠隔授業の方が多いので、

その準備に、これから毎日、追われることになりますが。

2020年9月17日木曜日

1_185 初期重爆撃期 2:HED隕石

 石質隕石のうち、分化したHEDと呼ばれるグループは、小惑星ベスタから飛んできたのではないかと考えられています。HEDのなかでも玄武岩質ユークライトを調べることで、ベスタの地殻の情報が読み取られます。

 専門的論文をみていくのに、まず、隕石の紹介からはじめていきましょう。
 この論文では、隕石でも少々特異な種類に注目され分析されています。隕石の種類には、石質隕石、鉄隕石、両者が混在した石鉄隕石の3つに区分されています。一番多いのは石質隕石ですが、それぞれの隕石はさらに細分されています。
 隕石は、それを供給した天体(母天体と呼ばれています)があると考えられています。その天体が成長していき、ある時破壊され、その破片が地球に落ちてきたのが隕石となります。隕石の中で似たものは、同じ母天体から由来したと推定されています。
 成長していった母天体では、鉄が溶融しが落下、中心部に集積していき、核にが形成されていきます。核の部分が砕けると、鉄隕石の起源となります。石鉄隕石は、核とマントルの境界や鉄の集積途中にあたる部分から由来していることになります。
 石質隕石には、球状の粒子(コンドルール)が集まったコンドライトと呼ばれるものと、粒子がないエイコンドライトに区分されます。隕石の大半はコンドライトです。コンドライトは、太陽系の最初に形成された固体物質の集合体で、惑星や衛星などの材料になったものと見なされています。最初の固体が集まった組織が残っているので、母天体があっても、変成や溶融が起こることなく、成長していない小さい天体から由来したことになります。
 一方、エイコンドライトは稀なタイプです。エイコンドライトは、溶融した特徴をもっており、成長した母天体から由来したことになります。エイコンドライトにもいくつかの種類があり、その中で半分近くを占めるのが、HED隕石(ホワルダイト、ユークライト、ダイオジェナイトの頭文字をとったグループ)です。このHED隕石のグループの母天体は、小惑星ベスタの地殻に由来したと考えられています。
 HED隕石の研究すれば、小惑星ベスタの実態が明らかにあります。年代から、ベスタが激しい火成作用で結晶化した時期が、約44.3億年前から45.5億年前と推定されています。溶融し分化した隕石なので、当然、惑星として内部に層構造(核、マントル、地殻)ができていたり、地殻には火山岩である玄武岩もありました。かつては、火山活動をしていた可能性があることもわかってきました。
 今回の論文で分析されたのは、ベスタを母天体とするユークライトでも玄武岩質ものでした。これらを知らべることは、ベスタの惑星表層の地殻を探ることになります。論文では、5つの玄武岩質ユークライトと調べられています。その3つ(Juvinas、Camel Donga、Stannern)は角礫状で、他の2つ(AgoultとIbitira)は角礫化していないものです。

・隕石は人を選ぶ・
小さな隕石でも、珍しい種類もあり、
そこから読み取れる情報は、貴重なものになります。
素材は小さいですが、読み取った情報は
惑星形成や太陽系の創世期の重要な証拠となります。
小さいですが、貴重な試料です。
隕石から情報を読みとるためには、
施設や機材を備え、それを扱える研究者でなければなりません。
そしてなにより、アイディアが必要になります。
隕石の研究は、人を選びます。

・博物館にて・
博物館に在籍しているときは、
業務として多様な隕石を集めていました。
その結果、いろいろな隕石を肌で感じることができました。
しかし、隕石からの情報は、
高度な分析装置を用いてしか読み取ることができません。
博物館では、専門家の研究のために
試料を提供することもありました。
しかし貴重な展示用資料でもあるので、
誰にでもというわけにはいきませんでした。
日本では、極地研究所があり、
南極で採取した大量の隕石を収蔵しています。
目的をもった研究者には無料で提供されます。
また、研究設備も整っています。
今の研究者は恵まれた条件が提供されています。

2020年9月10日木曜日

1_184 初期重爆撃期 1:専門誌の論文

 専門誌に紹介された論文で、興味深いものが掲載されました。専門論文は、限られたコミュニティ内でのものなので、前途となる知識がそれなりにないと意味が理解できません。今回はそんな論文を紹介します。

 地球、あるいは太陽系惑星の形成過程に再考を迫る重要な論文が報告されました。地球・惑星科学の専門誌である"Earth and Planetary Science Letters"の9月号(電子版には2020年8月26日公開)に掲載されたものです。
 Evidence for early asteroidal collisions prior to 4.15 Ga from basaltic eucrite phosphates U-Pb chronology
 (玄武岩質ユークライトのリン酸塩のU-Pb年代測定から41億5000万年前より以前の初期重爆撃期の証拠)
というタイトルの論文でした。広島大学大学院の小池みずほ助教らの研究グループによる成果です。専門誌なので専門家のための論文になり、タイトルだけでは、一般の人にはその意義がなかなか理解できないものになっています。まあ、これが専門誌の役割でもあります。
 まず、この論文のタイトルを理解するためには、玄武岩質ユークライトとリン酸塩の年代測定、41億5000万年前より以前という年代、重爆撃期というものを理解していないとなりません。
 少し詳しくいうと、玄武岩質ユークライトという隕石の種類があるのですが、論文内では、角礫化していないものと、しているものでの年代測定をして比較しています。また、年代測定に利用されたのは、リン酸塩なのですが、アパタイトと呼ばれる微小な鉱物でした。そもそもアパタイトとはどのような鉱物で、なぜ年代測定に用いるのでしょうか。年代測定には、SIMという装置(この論文ではNanoSIM)という特別な装置を用いて、微小なアパタイトが分析されています。年代として、41億5000万年前というものと、それ以前の意味するところ、また重爆撃期には初期と後期があるので、年代とどう関係がるのでしょうか。これらのいろいろなことを理解していないと、次の段階へ進めません。
 この論文は、ある種の隕石から得られた年代から、今までの惑星形成の一般的なシナリオに対して修正を迫る内容となっています。次回からは、上の専門的な内容を紹介ながら、論文の意義も示していきましょう。

・専門誌・
専門誌に掲載される論文は、
専門家のコミュニティだけでの
成果報告とその評価の場に提供されるものです。
同じ専門誌に多数の掲載された論文でも
雑誌がカバーする分野が広ければ、
自身が興味を持っている分野以外は
なかなか理解が難しいこともあります。
今回の論文でいうと、隕石、年代測定、惑星形成過程など
それぞれに関する基礎知識がないと、
その意義は理解できません。
専門誌の論文は、読む人も選びます。

・自然災害・
大型の台風10号が沖縄から九州を襲いました。
大型であったので、早くから特別警報がだされ、
その後も各地で警報が続きました。
九州や四国、中国では、洪水や停電の被害もでたようです。
お見舞い申し上げます。
幸い北海道は大きな影響を受けまぜんでした。
夏の暑さから一転、台風の被害です。
自然災害がここ数年繰り返されています。
しかし、気象の観測技術が向上して予報が正確になっても
やはり最終的に個々の人の判断が重要になってきます。

2020年9月3日木曜日

4_154 支笏の森で昼食を

 新型コロナウイルスの猛威はとどまりません。北海道も下火ではありますが、まだ抑えられていません。大学では自粛が継続しているのですが、久しぶりに私的に市外へ出かけました。

 先週の平日、一日、休みをとって、人気のなさそうなところで、好きなコースを巡ることにしました。今年は、8月下旬に北海道では蒸し暑い日が続いたので、避暑として一日涼みにいくことにしました。恵庭の市街地から漁川を遡り、支笏湖を周って、千歳川を千歳の市街地へと下るコースです。このコースには、漁川沿いには、いくつもの滝があり、千歳川沿いには、きれいな川による景観が広がっています。気温に関係なく、清涼感があるところです。それに標高もかなりあるので、外界よりは涼しいはずです。2、3年に一度は、この気に入ったコースをドライブします。
 支笏湖周辺には温泉や旅館も多数あり、またキャンプ場もいくつもあるので、短時間でも宿泊でも、さまざまな時間で楽しむことできます。今回は、標高の高い支笏湖の涼しいところで、昼食を食べるという短時間のドライブを予定していました。
 まだコロナ禍なので、人出は少ないだろうなと考えていました。漁川沿いの道は、もともと人通りの少ないところですので、のんびりと川や滝を見学しながら、進みました。しかし驚いたことに、支笏湖のキャンプ場は三密といえるほどの混みようでした。自然の中でのキャンプなら、三密にならないだろうとのことで、多くの人が来ていたようです。札幌からも近いし、支笏湖なら涼しいしと、考えることは、皆同じですね。
 売店は人がいっぱいの様子なので、すぐに諦めて、Uターンをして、別のところを目指すことにしました。支笏湖の温泉街の駐車場は、車を多くなかったのですが、それなりに停まっていました。もともとそこは行く予定ではなかったので、地元の人だけが知っている公園にいきました。
 ところが、そこも駐車場が思ったより多く車が停まっていました。しかし、広い公園なので、視界に人はいません。湖を眺める展望台に時々人が見えたり、車の出入りが少しあります。多くは、湖を散策に行っているのでしょう。人気のない穴場となっていました。
 その湖畔の森は、暑いほどではなかったので、標高が高く、湖沿いの静かな森の中なので、昼食をとることにしました。持ってきたキャンプ用に椅子を担いで、気持ちのよさそうな木陰を見つけて、買ってきた食事を、家内とのんびりと摂りました。コロナを避けながら楽しめるドライブでしたが、久しぶりの外出で、半日の外出でしたが、リフレッシュしました。

・涼しい北海道・
北海道は先週末から涼しくなりました。
一気に10℃ほど下がってきました。
多分、これが例年の北海道の気候ではないでしょうか。
暑い日から、一気に涼しくなると、
一気に気持ちも体も、ホッとするような気がします。
涼し気温のままでいることはないのでしょうが、
もう真夏の暑さはこないでしょうね。
そう願いたいものです。

・野生との共存・
今年の北海道では、ヒグマの目撃ニュースが
各地から報道されています。
2年ほど前、わが町にもヒグマが徘徊していると
警戒されてたことがありました。
畑を荒らしたり、
設置さられたカメラに写ったりしていました。
被害を与えたり、人に危険にならない限り
駆除されることはありません。
人間側が警戒して近づかないという方針です。
そもそも、人間が野生の中へと侵略していったため
起こっている摩擦のはずです。
だから、人間側が遠慮すべきなのですが、
いつも遠慮させられるのは野生側ですね。
野生動物との共存はなかなか難しい問題です。