2018年3月8日木曜日

5_152 深海から陸の環境を 1:チャート

 日本列島でよく見られるチャートは、特徴がある岩石なので、量は多くはないのですが、目立つ石になっています。チャートは、どこで、どうしてできたのかなど、不思議に思えます。そんなチャートから覗く陸の様子はどう見えるのでしょうか。

 深海底は、生物も稀で、冷たく変化も少ないところです。地球上でもっとも安定した環境といえるかもしれません。それでも、地球の時間の流れでみると、少しですが、変化は起こっています。
 海の表層に暮らしていたプランクトンが死んだり、排泄したものが、沈んでいきます。それがマリンスノーと呼ばれるものです。死骸や糞などの有機物は、分解して海水中に溶けていきます。ところが、殻や外骨格、骨格などの硬い部分は残っていきます。
 プランクトンの殻は、大きく分けると炭酸塩(炭酸カルシウム)かシリカ(二酸化ケイ素)からできています。溜まった環境にもよりますが、深海の環境では、炭酸塩からできた殻は、長い時間がたつと溶けてしまいます。ですから、深海底には生物の殻としてシリカだけが残ります。陸から離れた大きな海洋では、陸からもたらされる堆積物は非常に少ないので、シリカだけが堆積します。やがて、固化したものがチャートと呼ばれる岩石になっていきます。
 チャートの堆積量は非常に少なく、地層で1mmの厚さの量がたまるのに数千年かかるほどのスピードと推定されています。しかし、地球には長い時間が流れていますので、それなりの厚さのチャートが形成されます。
 チャートの堆積している場を考えると、大きな海洋の環境を知る上で重要な証拠となるはずです。深海でできたチャートですが、その一部は陸地に持ち上げられています。海洋プレートが海溝で沈み込む時に、海洋地殻の一部が剥ぎ取られて、陸側に付加するというメカニズムが働いています。それが、深海底のチャートが陸地でみられる理由です。このような付加作用は、プレートテクトニクスの一貫として起こっています。
 日本列島は、付加作用が古くから起こっているところで、さまざまな時代のチャートが分布しています。ですから、チャートを調べることで、過去の地球の海洋域の様子を探る材料が、簡単に入手することができるという、地の利があります。
 深海底で形成されたチャートですが、日本列島でみられるチャートは、層状になっています。そのため層状チャートと呼ばれています。その形成メカニズムについては諸説あるのですが、それは次回としましょう。

・春は近い・
北海道は、激しい天候の急変が続きます。
先日は非常に暖かい嵐で、雪が一気に溶けました。
一転、寒い日がきて吹雪となり、冬に逆戻りです。
でも、春は着実に近づいています。
少々荒っぽい変動ですが、
春への移り変わりなのでしょうね。

・恒例行事・
3月は、国公立の入試と後期試験、
私立大学は最後の入試が行われています。
そして卒業式があります。
毎年の恒例行事ですが、
大学の構成員の4分の1が入れ替わります。
まあ、教職員も少しは入れ替わりますが。