2016年8月4日木曜日

5_143 最古の星 2:宇宙の年齢

 最古の星の年齢が妥当かどうかを知るためには、宇宙の年齢がわからなければなりません。宇宙の年齢は、人工衛星の観測によって、ほぼ確定されました。138億歳、つまり138億年前に宇宙が誕生したのです。

 宇宙の年齢の決め方を紹介してきましょう。まずは、単純に観測で古い天体を見つけます。当然のことながら、最古の天体より宇宙の誕生は以前のはずです。最古の天体の年齢が、宇宙の誕生の下限(もっとも新しい側の年代の限界)を決めることができます。
 天体までの距離が分かれば、天体の正確な明るさが見積もられます。明るさが決まれば、星の内部構造や核融合の理論から、天体の年齢を推定することが可能です。この方法はいろいろな誤差が入ってくる上に、どうして天体までの距離を決めるのかも問題です。もちろん、いろいろな工夫がなされて求められています。
 宇宙の年齢で一番よく用いられるのは、宇宙の膨張の速度から求める方法です。現在銀河同士は、距離に比例して離る速度が大きくなっています。これは宇宙が膨張しているから起こる現象で、宇宙の膨張速度はハッブル定数として表現されます。この膨張のスタート時点が、宇宙の始まりです。ハッブル定数の逆数で求めることができます。ハッブル定数の観測で、精度を上げていけば、宇宙の年齢がより正確にわかってきます。
 もうひとつは、宇宙の密度から求める方法です。宇宙の膨張は、ビックバンのときのエネルギーによるものです。宇宙に内にある物質は万有引力が働くので、宇宙を縮ませる力が働きます。宇宙の全物質量の平均密度がΩとして、Ωが1の時は釣り合い、1より小さければ膨張の力が勝ち、大きければ収縮に転じることになります。ですから、宇宙の物質量を正確に求めれば、Ωの値が決まります。
 ところが、宇宙はもっと複雑な仕組みがあり、宇宙の膨張を加速させる力(宇宙斥力と呼ばれています)があり、その力を生み出すものは、ダークエネルギーと呼ばれ、その実体は未だに不明です。ただし、宇宙の背景放射を正確に観測すること(非等方性)によってダークエネルギーが推定でき、そこから宇宙の年齢を計算できます。現在、背景放射の観測は、COBEやWMAP、Planckなどの人工衛星によって正確に定まってきました。
 まず、COBEは宇宙の背景放射にムラがあることを発見しました。その後、2001年にアメリカ合衆国が打ち上げ、2010年8月まで観測を行ったWMAPによって、137.72±0.59億年という宇宙の年齢が求められました。さらに、欧州宇宙機関(ESA)は、2009年にPlanckを打ち上げ、2013年まで観測した結果、137.98±0.37億年前という値を得ました。138億年前が、現在もっと正確とされる宇宙の年齢となります。
 宇宙の年齢は、かなり正確に決まってきました。これで、準備ができました。では、次回から最古の天体の話題に移っていきましょう。

・予想外・
多数の人工衛星が打ち上げられ、
それぞれが重要な目的、任務をもって運用されています。
それぞれの機体の運用には多数の科学者がかかわり、
得られるデータに一喜一憂しているはずです。
人工衛星のような莫大な費用を投じておこなわれる研究は
成果を得ることが義務付けられています。
これはかなりのプレッシャーになるはずです。
予想に反したデータが出てくればどうなるでしょうか。
人によっては、苦痛に感じることもあるでしょう。
そもそも科学は予想通りにはいかないことも楽しみだったはずです。
予想外だからこそ、新しいものが見つかり、生み出されるはずです。
しかし、巨大科学になってからは
予想外が嫌がられるようになってきたようです。
残念ですね。

・蒸し暑さ・
北海道は蒸し暑い日が続いています。
北海道の人は暑さに弱いので、
暑い上に蒸したりすると
すぐにぐったりとなってしまいます。
私ももう北海道人になりました。
2日ほど蒸し暑い日が続いているので、
ぐったりとしています。
夜も湿度が高いのですが、
気温が下がっているので、
なんとか寝れる状態になっています。
今年は天候が不順で、体調を崩しそうなので
気をつけなければなりませんね。