2016年8月18日木曜日

5_145 最古の星 4:鉄が決めて

 古い天体を見つけるために、いろいろ工夫がなされています。古い天体を見つけるためには、いくつか手がかり必要です。しかし、一番の問題は年代を決めることです。それが問題です。

 このシリーズのはじめに、最古の星の話題が、今回はふたつあるといいました。前回はひとつ目の報告を紹介して、もともと見つかっていた古いとされてたい星を、観測しなおして計算したら、古い年代になったというものでした。ただし、その誤差は大きものでした。もうひとつは、最も古い天体が見つかったという報告です。これは、イギリスのネイチャー誌に2014年に掲載されものです。
 この星は、SMSS J031300.36-670839.3という標識がつけられているもので、SM0313と略されています。この星の年齢は、約136億年前となりました。宇宙の誕生が138億年前ですから、宇宙の誕生してからたたった2億年程度しかたっていないときに形成された星です。
 宇宙の誕生間もない時期に形成された天体なので、特別な性質をもっているはずです。それは、前回も述べましたが重い元素が少ないというものです。本当に最初の天体は、水素のヘリウムだけから形成されるはずです。これはまだ発見されていない仮説上の星で、前回も紹介した種族IIIとされています。
 種族IIIがあるのなら種族IIも種族Iもあるはずです。種族Iは、私たちの太陽もこれにあたりますが、ごく普通の恒星で、「重い元素」を多く含む天体です。「重い元素」には、ヘリウムより重く鉄よりは軽い「重い元素」という意味と、超新星爆発で形成された金属と呼ばれる元素で、鉄より重い元素が多い「重い元素」の二通りの意味があります。種族Iは、鉄より重い元素が多い「重い元素」を含んでいます。
 種族IIは、IとIIIの中間的な特徴の星になります。重い元素も少し含むのですが、鉄より重い元素はほとんど含まないという星です。ただし、小さな超新星爆発できる鉄より軽い「重い元素」は比較多く含んでいます。また、このタイプの星は、年齢が古いということも特徴となっています。
 古い天体において鉄が重要な元素と考えられます。星が超新星爆発をへて世代交代を繰り返すたびに、鉄の含有量が増えていきます。鉄が少ないほど古い星ということになります。
 さて、SMSS J031300.36-670839.3ことSM0313です。SM0313は、みずへび座にあり、地球からは約6000光年離れている星です。この星を調べると鉄が検出できませんでした。この星には、炭素、マグネシウム、カルシウム、そしてメチリジン(CH)という化合物も検出されました。酸素や窒素は検出されず、鉄も観測装置では検出できないことから、種族IIの星であることがわかります。そしてこれは、古い天体であると推定できます。
 今回調べた装置において、鉄の検出限界は、太陽に含まれる鉄の量のおよそ100万分の1です。この装置で検出できないということは、鉄が太陽の100万分の1以下となります。この量は、今まで見つかっている恒星と比べても、60分の1にも満たない少なさです。そこから年代を推定すると、約136億年前という値を得たわけです。
 でも、天体の年齢の求め方、あるいは精度には、直接求めたもののではなく、いくつかの仮定をおいて求めているため、どうもしっくりこないものがあります。いずれにしても、最古の天体の報告は、精度がまた不確かな部分があるので、宇宙の創生モデルに変更を迫るまでには至っていません。

・スカイマッパー・
今回の発見は、オーストラリアにある
スカイマッパーとよばれる望遠鏡によってなされたものです。
南半球の空を主に調べる装置です。
オーストラリア国立大学の
サイディング・スプリング天文台に設置されています。
スカイマッパーは完全自動化されている装置だそうです。
5年にわたって観測を続けているそうです。
骨の折れる仕事でも、
たんたんと継続しなければならない作業もあります。

・今年のお盆は・
お盆はいかがお過ごしだったでしょうか。
私は、ふだんとかわりなく
いつもの同じような日々を過ごしました。
いや少々、大変でした。
そして、13日には学科の10周年記念式典でした。
卒業生の顔を久しぶりに見ることができました。
懐かしかったです。
この式典は私が主担当だったのですが、
有能な職員が何名も手伝ってくださったので
だいぶ楽でした。
しかし、記念文集は私が編集をするので、
少々大変ですが。