2014年11月13日木曜日

4_117 高知 2014年 2:足摺岬

 秋の四国調査で、足摺岬にいきました。足摺岬ではラパキビ花崗岩という珍しい石を見ることが目的でした。この花崗岩は、いろいろと不思議なことがある火成岩なのです。

 四国の西に、太平洋につきだした足摺半島があり、その先端が足摺岬です。今年の秋の調査では、高知県の西部を訪れました。足摺岬は半島の真ん中を通る足摺スカイライン(県道348号線)が主要な道路となります。住居の多くは海岸沿いにあるのですが、道が狭いので今ではお遍路や生活道となっているようです。今回も足摺半島を調査でウロウロしたので、足摺スカイライン(県道348号線)だけでなく、西の海岸道(県道27号線)も東の海岸道(県道27号線)も通りました。
 足摺岬は、四国の南側の大地はすべて付加体という地質でできているのですが、足摺岬には何故かマグマの活動があります。このマグマは、付加体の構成物を突き抜けている(貫入)ということがわかります。マグマの原因は、まだ十分に解明されていません。
 マグマの成因が不明だけでなく、そのマグマからできた火成岩も珍しいものなのです。火成岩は、アルカリ花崗岩、閃長岩などと呼ばれる、カリ長石に富んだ花崗岩の仲間です。なかでも、もっと珍しいものがあります。
 ラパキビ花崗岩と呼ばれている岩石です。ラパキビ花崗岩は、アルカリ長石(淡い肌色に見える鉱物)の周りを斜長石(白い鉱物)によって取り囲まれているのが特徴です。そのようなラパキビ状の長石は丸み(ピタライトと呼ばれます)を持っています。
 ラパキビ花崗岩というのは変わった名称ですが、ラパキビとは、フィンランド語で、ラパは「もろくて崩れやすい」、キビは「石」という意味だそうです。スカンジナビア半島、ロシア、北アメリカなどの大陸地域に広く分布する岩石で、赤っぽく見栄えのする岩石となっています。日本各地のビルで、石材としてよく利用されています。
 大陸地域のラパキビ花崗岩は、13~17億年前という非常に古い時代に形成されたものです。ところが、足摺岬のラパキビ花崗岩は、1400万年前の新しい時代にできました。できた時期でも非常に珍しい岩石です。
 そもそも、足摺岬の火成岩は、非常に不思議な位置にあります。四国の火山列(火山フロント)は山陰地方の火山群にまで奥まっています。なのに、こんな海側の火成岩類がどうしてあるのか、不思議です。それも次第に明らかにされつつあります。

・地学紀行・
これからは、ぽつりぽつりと
地学紀行も書いていくつもりです。
以前はまとめて書いていたのですが、
ついつい新しい話題や
興味をもった話題を追いかけてしまい、
疎かになっていました。
ネタがあるかぎり、
1ヶ月か2ヶ月に一度は書いていきたいと思います。

・落ち着いた色合い・
ラパキビ花崗岩の露頭は崖の下にあるようで、
私は、海岸沿いにある転石をみました。
以前にも来て見たのですが、再訪です。
大陸地域のラパキビ花崗岩のカリ長石は
濃いピンク色なので岩石全体が赤っぽくなります。
日本のものはカリ長石が淡い色なので
赤っぽくはなりません。
でもそこが日本的な
落ち着いた色合いに思えるのは
私だけでしょうか。