2013年4月4日木曜日

3_118 ホットスポット 2:古地磁気

 ホットスポットは地球の不動点として、長く常識が支配していました。しかし、マントルは対流して動いていますし、地表付近のプレートも動いています。ですから、止まっているとは、どういう意味があるのか、何故なのかなどを考えることがありませんでした。常識を考え直す必要がありそうです。

 ホットスポットはマントルの深部に由来しているので、プレートが移動しても、ホットスポットの火山は移動しません。結果として、プレートの上を次々とできた定点の火山が移動しているように見えます。火山の移動経路から、プレートの移動の歴史を読み取っていました。
 ところが最近、ホットスポットも移動していることがわかってきました。その動きはもちろん、プレートの動きとは別の運動となります。10年ほど前に、アメリカの研究チームが、天皇海山列の調査から、ホットスポットが移動していることを示しました。8000万年前から5000万年前の間に、1700kmほど南(緯度で約15度、6cm/yほどのスピード)に移動している可能性を示しました。太平洋プレートは北へ移動していますので、明らかに違った方向への移動となります。
 現在、ホットスポットが10個ほど知れていますが、そのうち1つが動いていることがわかりました。あとのホットスポットも同じように移動しているのでしょうか。
 それを解決するには、もうひとつのホットスポットで調査が必要になります。研究成果としては、2番煎じになりますが、上で述べたような疑問を解決するには、少なくともあとひとつのホットスポットでの検証が必要になります。
 もし、2つ目が移動していないとなると、移動するもとのしないものがあり、それは何故か、その違いは何かという新たな疑問が生まれます。もし移動しているとなると、多分多くのホットスポットは移動している可能性が高くなります。では、ホットスポットはなぜ移動するのかという原因究明が必要になります。新たな疑問や課題が生まれてくることになります。
 ホットスポットの調査は、海底の掘削調査をすることになるので、大規模な国際プロジェクトになります。統合国際深海掘削計画(Integrated Ocean Drilling Program、IODPの略されています)の第330次航海(2010年12月から2011年2月)によるもので、南太平洋のニュージーランド沖のルイビル(Louisville)海山列に属する5つの海山で掘削調査がされました。2012年11月25日にその成果が報告され、多数の著者が名前を連ねた論文となっています。
 アメリカのオレゴン州立大学のアンソニー・コパーズさん(Anthony A.P Koppers)と東大大気海洋研究所の山崎俊嗣さんが共同主席研究者として、愛知教育大学の星博幸さんも参加されていました。星さんは古地磁気学の専門家で、今回の研究では、古地磁気学が重要な決め手のデータとなります。
 マグマが固まるとき、磁気をもった結晶(磁性鉱物)ができます。できた磁性鉱物は、その時の地球の地磁気の方向に並んでできて固まるので、岩石全体が当時の地磁気を記録していることになります。このように岩石に記録されている過去の地磁気を古地磁気学と呼んでいます。
 また、地球の磁力線は、緯度によって下をむく角度(俯角といいます)が決まっています。つまり、岩石の古地磁気から、その岩石が形成された緯度を読み取ることができます。
 ホットスポットでできた時代ごとに古地磁気を調べていけば、ホットスポットの移動が有無がわかるという理屈です。もし、ホットスポットが移動していなければ俯角は変化ぜす、移動していれば変化していくくはずです。さてその結果は・・・、次回としましょう。

・入学式・
大学は、新学期を迎え、入学式があります。
(このメールマガジンの発行時には終わっています)
例年になく、雪深い入学式になりました。
新入生向けのガイダンスや健康診断などがあり、
講義は来週からになります。
キャンパスが賑やかになります。
入学式は新しい年度のはじまりを
強く感じさせてくれます。

・風邪・
先週中頃に長男が風邪をひきました。
週末には私が風邪をひきました。
現在は家内が風邪をひいて寝込んでいます。
次男はまだ風邪をひいていません。
長男も次男も入学式が近いので体調が心配です。
我が家は風邪のウイルスが蔓延しています。