2012年11月22日木曜日

6_104 不確定の破れ 1:観測


 不確定性原理とは、物理学における観測には限界があることを示しています。それ以上に、客観性や観測者の影響について考えるためにも重要なきっかけとなっています。最近、不確定性原理に破れがあるという報告がなされました。それを紹介しながら、不確定性について考えていきます。

 少々前の話しになるのですが、重要な研究成果が報告されました。現在の物理学、あるいは科学において、非常に根源的な問題に関する報告です。それは「不確定性原理」に関するものです。量子的な世界における論理的な方程式で表されたもので、観測の限界を示すものです。最先端の実験装置を用いておこなわれた観測なので、実証性の高いものです。報告も、2012年1月15日付の"Nature Physics"の電子版に掲載されました。権威ある科学雑誌なので、実験やデータの信頼性はあるものです。
 そもそも不確定性原理とはどういうものでしょうか。いくつかのバリエーションがあるのですが、1947年、ドイツの物理学者ハイゼンベルクによって、思考実験として提唱されたものです。
 素粒子のような小さな物質で、位置と運動量を同時に観測しようとしたときに生じる問題です。素粒子の位置を決めるためには、素粒子を見なければなりません。見るためには「光」が必要となります。正確に測るには、できるだけ波長の短い「光」でなければ誤差が大きくなります。素粒子は小さいので、光でも当たると、その影響で運動量が変わってしまいます。光の波長が短いほど、そのエネルギーが大きくなります。正確に測ろうとするほど、光の波長が短くなければならず、エネルギーも大きくなり、運動量の変化も大きくなります。逆に運動量を測るときも、正確を期するほど、位置の精度が不確かになるということが起こります。
 これは、素粒子の世界では、観測誤差をある量より下げることができないことを意味します。つまり、観測の精度には限界があるこということです。さらに、科学にとって、もっと深刻な事態を招くことになるかもしれないのです。
 そもそも実験や観測とは、研究者によってなされているものです。観測者の影響をなしに実験や観測ができるかということです。実験や観測の客観性が保証できるのかという問題提起です。
 観測者の関与しない実験や観測もあるでしょうが、観測者の影響を与えるものもあるはずです。実験や観測は、基本的に観測者の影響は「ないはず」とみなして、データを集めています。繰り返し実験を行なったとき、明らかにおかしなデータがでてきたら、原因不明でもそのデータはとり除いてしまいます。実験システムで、おかしなデータは取り除くようなプログラムがなされていたら、たびたび出てくるデータがあっても、無視されているかもしれません。あるいは、プログラムのデータの取り除き規制を強くすれば、恣意的なデータを集めていることになるかもしれません。そんなデータでも多数集めると、統計上は、正しさを保証しているように見えます。もしそのデータが稀にしか起こらない現象を捉えていたとしたら、どうなるでしょうか。
 深く考えると、なかなか大変な問題です。科学の根本的な問題ともいえます。不確定性原理ではハイゼンベルクの誤解あったことがわかっています。紹介する報告では、限界を超えた測定が可能であることを示しています。そ内容は次回としましょう。

・貴重な経験の場・
大学は、来年度に向けて入試が
もうスタートしています。
AO入試は夏からすでにはじまっており、
もう合格発表も終わっています。
今週末から推薦入試がはじまります。
一般入試についで受験者が多い入試なので、
大学では、教職員が総出で対応します。
受かる人もいれば、落ちる人もいます。
悲喜こもごもですが、
人生にはそんな勝負の時期も
必要なのかもしれません。
ただ、若者にとって受験戦争がないのは
いいことなのでしょう。
しかし、最大限の努力、その努力が報われない挫折を
味合わなければならないときもあること。
周りの同世代の中で自分の置かれている位置を知ること。
そんな精一杯の自分実力、能力が
社会にどの程度通用するのかを
教えてくれてもいたのかもしれません。
そんな競争を経験しない受験生もいいます。
大学全入時代の若者は、幸せかもしれませんが、
貴重な経験の場もなくしてしまったかもしれませんね。

・冬到来・
北海道は一気に冬になりました。
週末から雪に一気に降り積もり、寒波襲来です。
ただし、札幌気象台観測史上、
3番目に遅い初雪の記録だそうです。
戦後ではもっとも遅い初雪だそうです。
その後も、寒気が居座り、寒い日々が続いています。
地域のよっては、雪で列車が遅れも出ています。
今年は、夏も長く、秋もそれほど寒くなかったのですが、
冬は少々遅れましたが、
寒さはしっかりときたようです。