2011年10月20日木曜日

3_101 系譜:超大陸 3

 現在の大陸の配置は、ばらばらで、超大陸は存在しません。過去の超大陸の存在は、ジグソーパズルのピースを読み取り復元するような労力が必要になります。それは先陣の努力の結果を利用することにほかなりません。

 前回、超大陸がいつ、どこに存在したのか、そもそも超大陸などというものが、本当に存在したのか、という疑問を提示しました。その疑問に答えるためには、過去の大陸配置をどう復元すればいいかを示すことが必要でしょう。
 プレートテクトニクスが、その答えを与えてくれます。プレートテクトニクスは、地表の地質現象をおこすメカニズムを、海洋プレートと大陸プレートが移動することで説明するものです。現在のプレートの運動は、方向も速度も実測されています。それを遡れば、過去の配置が復元できます。
 現在のプレート運動は、現在の海嶺でのプレートの生産と、海溝での消費、あるいは大陸同士の衝突などの復元は、数学的にもかなり厳密にできます。古くなるほどその精度は格段に悪くなります。現在のプレート運動が適用できるのは、現在の海嶺-海溝系が存在していた期間で、せいぜい1、2億年で、それ以前のプレート運動は不確かになります。さらに復元を難しくするのは、古い海洋プレートが海溝でマントルに沈み込んでおり、もはや存在せず海洋プレートの記録が消えてしまっているためです。
 一方、大陸プレートの記憶は、大陸地殻中に保存されています。幸いなことに、大陸地殻の中には、海洋プレートの破片や、海洋プレートの状態の情報を残す岩石があります。例えば、沈み込み帯で形成される変成岩(高圧変成岩や高温変成岩など)や火山岩(島弧の火山活動によるもの)、あるいは、海溝付近で形成される堆積岩(付加体の岩石やタービダイト)などがあります。そのような過去のプレートの断片的なピースを読み取って、古い時代を復元していきます。
 断片的なピースですから、古い時代のプレート運動を厳密に復元することは不可能です。大陸の配置や位置の概略は、なんとか復元できます。大陸の位置では、化石や堆積物の特徴から、熱帯や寒帯、湿地や氷河の様子、地球全体の寒暖の状態などの復元が可能です。
 大陸の配置では、現在はひとつになっている大陸でも、いくつかの素性の違った大陸が合体していることを復元することも可能です。例えば、まったく形成時代(A時代、B時代としましょう)が別の岩石種(A時代では暖かい地域、B時代は寒い地域でできた岩石)の違う大陸の岩石が、より新しい時代(C時代)の付加体の堆積物を挟んで接していたとしたら、次のような歴史が考えられます。まず、A時代にある大陸が暖かい地域で形成されます。次にまったく違ったB時代に寒帯で別の大陸が形成されます。それらの大陸がプレートの移動によって、C時代に衝突して合体します。このような履歴が、大陸の中のピースを解読することで復元できます。実際にはもっと複雑な履歴でしょうが。
 上の2つの例の大陸自身も、もっと古いものが寄せ集まってからできているかもしれません。その復元の背景には、膨大な作業と労力が投入されています。しかし、原理としては上述の復元を時代ごとに、大陸のピースからできれば、大陸の配置が復元できます。
 このような復元の結果、かつていくつかの時代で超大陸が存在したことがわかってきました。そして、一番新しい時代の超大陸は、パンゲア(Pangea)と呼ばれるものです。パンゲアは、古生代ペルム紀の終わり(2億5000万年前ごろ)、以前にあったいくつかの大陸(ローレンシア、バルティカ、シベリアなど)の衝突合体によって形成されたものです。この超大陸は、中生代三畳紀(2億年前ごろ)に、再び分裂をはじめました。これが、現在の大陸の配置につながっています。
 パンゲア超大陸以前には、どのようなものがあったのでしょうか。それは次回としましょう。

・出張・
水曜日から木曜日には、
出張で青森で出かけています。
木曜日朝に教育実習の授業があるので、
青森で1泊しなければなりません。
陸路でもなんとか行けるのでしょうが、
幸い千歳から飛行機を利用することが
大学で許されています。
体力的には楽できますが、
多くの移動時間が必要になります。
札幌-青森も遠いのですが、
道内でも網走や釧路、稚内もかなり遠くなりますが
陸路の移動になります。
そんな時は、北海道の広さを体感させられます。

・予防接種・
ここしばらく、天候が
めまぐるしく変わります。
夕立の様な激しい風雨があったかと思うと
すぐに青空が広がったりします。
室内では上着もいらないほど暖かったり、
あるいはストーブを焚くほど寒かったりします。
体調を崩しそうです。
インフルエンが怖いので
予防接種を早めにしました。