2009年12月24日木曜日

3_78 無黒点日:黒点1

 太陽は、地球にとって、決定的に重要な役割を果たしています。しかし、その実態は、必ずしも解明されているわけではありません。でも、観測は続けられていて、観測データからも、いろいろなことがわかります。中でも太陽の黒点による活動の11年周期が有名です。現在、その周期の極小期にあたっています。ただ、その極小期が従来のものと違っているようです。その意味を考えてきましょう。

 太陽の活動が極小期になっているのをご存知でしょうか。
 太陽は約11年周期で活動が変化しています。その活動の変動は、黒点数の多少で調べられます。黒点が少なくなると活動は穏やかになり、多くなると激しくなります。
 黒点が、ここ2、3年、極端に減っています。太陽表面に黒点が見られない日が、2007年には163日、2008年には266日、そして今年もその傾向は継続しているようで、12月20日現在で、無黒点の日数は260日に達しています。ただ、今年の8月、9月をピークに、無黒点の日は減ってきているようですが。
 これほどの極小期は珍しく、異常ともいえる状態になっているようです。前回の極小期は1996年だったのですが、そのときの無黒点の日数は165日でした。それを比べると、今回の無黒点の状態がいかに長く、異常かがわかるでしょう。このような状態は、無黒点が311日あった1913年以来のことのようです。
 太陽活動を議論する前に、そもそも黒点とは、どのようなものでしょうか。それをみておきましょう。
 黒点とは、太陽の表面にみられる黒い点のようなものです。正確には、単なる点ではなく、暗い部分とその周辺のやや明るい部分(半暗部とよばれています)があります。その形は不規則で、丸いとは限りません。黒点は、いくつか集まって現れること(黒点群とよばれます)が、しばしばあります。黒点は、温度が周りより低いところです。低いといっても約4000℃もあります。他の表面が約6000℃もありますので、そこと比べると温度が低いので、黒く見えているわけです。
 太陽でなぜ、黒点ができるのでしょうか。それは、太陽の磁場によるものだと考えられています。太陽の自転によって、内部ではプラズマ化した原子が流動しています。ちなみに太陽は高緯度は32日、低緯度では27日で一周します。そのとき大きな電流が発生し、同時に磁力線も形成されます。磁力線は、最初地球と同じように北極南極にできるのですが、自転のずれにともなって、半年後には赤道付近に巻きつくようにずれていきます。そして何年も赤道付近に引き伸ばされた磁力線が巻きつくことになります。この何周にもわたって巻きついた磁力線によって、太陽表面の対流が妨げられることになります。その結果、巻きついた部分の温度が下がり、黒点が発生すると考えられています。
 では、今回のように黒点が減ると何か問題があるのでしょうか。それが、地球と何か関係があるのでしょうか。それは次回としましょう。

・黒点シリーズ・
いよいよ今年のエッセイも残るところあと1回です。
今回から黒点の極小化のシリーズです。
次回だけで終わるかどうかわかりませんが、
終わらないのなら、来年も続けていくことになります。
太陽には、わからないことも多いようです。
特に地球の気候との関係が最近注目されています。
地球の気温や気候は、
太陽からのエネルギー供給が重要な働きをしています。
そのエネルギー量が周期的に変動しているわけです。
その周期性は地球の気温や気候において
何らかの形で対応しているはずです。
その対応関係が明瞭でないのではなぜでしょうか。
なにかの緩衝効果でもあるのでしょうか。
それとも私たちはまだ気候変動のメカニズムを
捕らえきっていないのでしょうか。
そのあたりを探っていきたいと考えています。

・インフルエンザ・
先週はインフルエンザにかかりました。
病院の簡易検査では新型かどうかはわからないので、
インフルエンザであるという診断でした。
しかし、現在、流行していのは大半が新型だそうで
私もたぶん新型でしょうということでした。
季節性インフルエンザの予防接種をしているので、
たぶん新型のはずです。
先週は、まだ授業があったのですが、
4つの講義が休講になってしまいました。
でも、卒業研究はなんとか全員、
個別の対応もでき、提出も無事に終わりました。
どうしても抜けられない校務があったので
今週から復帰したのですが、
まだ、あまり人に会わないほうがいいので、
研究室にこもっていました。