2009年10月8日木曜日

4_90 大御神社:宮崎1

 9月に宮崎へ調査にいきました。今回から数回にわたって、宮崎の地でみて感じたことを、紹介していきたいと考えています。まず第1回目は、日向岬の大御神社で見た、柱状節理の上に建つ神社とさざれ石についてです。

 9月上旬に宮崎に1週間ほど出かけました。宮崎では、いくつかの目的地があったのですが、まずは、空港から宮崎市内を素通りして、海岸沿いを北上しました。最初の目的地は、日向岬でした。
 日向岬周辺の海岸沿いに出ている柱状節理を見るのが目的でした。単に節理が見れただけでなく、そこには人間の営みと自然そして科学が融合していることをみることができます。その一番典型が、大御(おおみ)神社でした。
 大御神社は、日向岬の南の付け根にあるところです。観光名所として有名なところですが、私は地質の見所を巡るので、観光ガイドブックをもって出かけません。ですから、そのような神社が、日向にあることを知りませんでした。しかし、現地で手にしたパンフレットに、大御神社の写真があり、そこには見事な柱状節理が映っていました。そんな柱状節理を見たら、実物を見たくなりました。実は、前日、その大御神社の前を通っていたのですが、後の祭りでした。日向岬を前日に見たので、別の地点に移動する予定でした。予定を少し変更して、再度日向岬に向かいました。
 大御神社は「日向のお伊勢さま」と呼ばれ、地域の信仰を集めています。この神社は、柱状節理のすぐ脇に立てられていますが、境内の西奥には、「さざれ石」があります。国歌の「君が代」に歌われている「さざれ石」です。「さざれ石」とは、地質学的には礫岩のことです。
 礫岩は、それほど珍しくないのですが、神社の境内にでてくると、それなりのありがたみがありそうです。この「さざれ石」は、柱状節理を形成した火山活動起こる前にできたもの(基盤といいます)です。「さざれ石」は、大陸の広い海岸平野に、2000万年前ころにできた地層で、河口付近にたまったものだとされています。
 「さざれ石」には、丸くなったもの(円磨されているといいます)が多数含まれています。礫のサイズは大小さまざま(淘汰(とうた)が悪いといいます)なものとなっています。礫の中には、割れているものもたくさんあります。あまり硬くない礫だったのでしょうか。
 火山が噴出したとき、そこから火山砕屑物が熱いままたまっていくと、砕屑物の中の軽石など溶けることがあります。そのような岩石を、溶結凝灰岩と呼びます。日向岬の柱状節理を形成している岩石は、1400万年前ころの火山活動できた溶結凝灰岩です。神社の中には、神社のつくるときに基礎部からでてきた岩石が、断面が研磨されて展示してありました。
 「さざれ石」のある海岸では、柱状節理を形成している溶結凝灰岩との境界が見ることができ、看板が立てられていました。「さざれ石」の看板には、地質についての説明もなされていました。なおこの「さざれ石」は、平成15年の境内の拡張の折に見つかったものだそうです。大御神社では、地質と宗教の融合、新旧の融合をみたような気がしました。

・訂正・
前回のエッセイで、
Tahさんから、間違い指摘を受けました。
急冷縁の英語を「child margin」と表記してしまいましたが、
「chilled margin」の間違いです。
言い訳になりますが、
Tahさんに、次のような返事を書きました。
「現在の所属が「子ども発達学科」というところで、
子ども(child)という単語をよくつかっていので、
無意識に間違ったようです」
というものでした。
ホームページでは修正をしていますが、
メールマガジンでは修正ができませんので、
ここでお詫び申し上げます。

・無意識・
無意識つながりなのですが、
無意識で、同じような経験をしました。
私は、エッセイ類を「ですます」調で書いています。
しかし、論文を書き始めると「である」調なのですが、
頭では「である」で考えているのですが、
なぜか語尾がなぜか「ですます」なってしまいます。
多分、無意識にキーボードでそんな入力しているようです。
無意識というか習慣でしょうか、
しかし、毎日書く、ホームページでは、
「である」調で書けます。
不思議なことです。