2009年4月23日木曜日

4_86 千畳敷の堆積構造:南紀3

 南紀白浜に千畳敷と呼ばれる岩場があります。起伏に富んだ広い岩場で、うろうろしてみるには最適の場所です。千畳敷は、堆積岩の地層が広がっているところです。地層のその構造を詳しく見ると、どのようなところでできたかをうかがい知ることができます。

 南紀白浜の白砂の白良浜がある鉛山湾を南に回りこんで、西に突き出た瀬戸崎という岩場があります。そこは、千畳敷とよばれている観光名所となっています。本当に畳、千枚分の広さがあるかどうかは知りませんが、地層がきれいにでているところをあちこち散策できます。
 千畳敷という名称はよく耳にしますが、青森県の西の海岸にある千畳敷ということには、私も行ったことがあります。調べると、千畳敷と呼ばれている地名は日本各地にけっこうあるようです。
 木曾駒ケ岳の千畳敷カールや、福井県小浜市の第三紀中新世の砂岩の千畳敷、兵庫県香住町の広い波食台の千畳敷、函館山南部の平坦な台地をつくる溶岩の千畳敷、島根県仁多郡仁多町の花崗岩(粗粒黒雲母花崗岩)の大きな岩塊の千畳敷など、他にもいっぱいあります。実際には、それほど広くはない千畳敷もあるようですが、回りのものと比べると広々としていると千畳敷と表現されているようです。千畳敷は、実際の広さではなく、広さの比喩として用いられているだけです。
 南紀白浜がある湯崎半島では、地層が馬の背状に曲がる(背斜(はいしゃ)と呼ばれています)軸が東西に伸びています。背斜の軸の海側で、隆起が起こったため、海岸は何段にも絶壁ができました。この背斜軸に沿って、鉛山湾を中心して高温の温泉が湧き出しています。
 白浜の千畳敷をつくっている地層は、田辺層群白浜累層にあたります。砂岩や礫岩、泥岩からできています。地層の中には、いくつかの海岸近くで形成された構造を見ることができます。
 分かりやすいものでは、砂岩層の上面にリップルマークがみられます。リップルマークとは、漣痕とも呼ばれ、水流による波の模様が海底の土砂にできたものが、そのまま化石のように保存されたものです。リップルマークは深海でも水流があればできますが、千畳敷で見られるリップルマークは、波の頂部がとがり、谷の部分が丸くなっていて、その波が頂部を軸にして左右対称の形をしていることが特徴です。これは、ウェーブリップルと呼ばれるもので、沿岸で繰り返し打ち寄せる波の作用によってできたものです。
 また、ハンモッキー斜交葉理や大規模な斜交層理がみられます。これらの構造は、激しい波によって浅い海底できたと考えられています。波浪によってこのような模様ができる限界の水深は、波が穏やかなときは15~30mで、激しい波浪のときは50~80mといわれています。いずれにしても、千畳敷の地層は、比較的浅い海に堆積したことを示しています。地質学的には、浅海の外浜から陸棚のようなところだと推定できます。もちろん、地層ができた新第三紀中新世(1500~1600万年前)のころの海ですが。
 南紀白浜は、一方では白い砂浜の海岸が広がっていると思うと、すぐ近くには岩場の絶壁があります。そして、そこに温泉もあります。硬軟おりまぜた観光要素が白浜の魅力となっています。

・落書き・
千畳敷におりようしたら、
落書き禁止の看板が目に付きました。
理由は岩場に出るとすぐにわかりました。
岩場をつくっている地層がやわらかい岩石であるため、
石ころなどでこすると、簡単に傷がつけられ、
文字も書けてしまうのです。
そこに落書きをする輩がでてくるわけです。
旧跡名跡であっても、ところかまわず落書きをする人がいます。
実際には、私が訪れたときにも、人目を気にしながらも
落書きをしようとしている人を見かけました。
私は、このような落書きに及ぶ行為をみて、
2008年2月の岐阜市立女子短期大学修学旅行で学生が
イタリアの世界遺産のサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂の壁に
落書きをして大きくマスコミが騒いだ事件を思い出しました。
私は子供を連れていたので、
こんな現場を見せたくありませんでした。
しかし、現実に起こっていることはどうしようもありません。
子供たちには、あんなことをしないようにと、
大切な遺跡に落書きをして大事件となったことがあることを紹介して、
戒めとしましたが、本当に伝わったでしょうか。
少々心配ですが。

・体が発する声・
いつものことですが、春は眠くなります。
特に授業が始まって1、2週目あたりが
疲れのピークになり眠さも増します。
私の場合は、朝方なので、夕食後が猛烈に眠くなります。
そんなときは、睡魔に負けてあっさりと寝てしまいます。
すると朝が早く起きてしまい、
夜がますます眠くなります。
悪循環ですが、あまり抵抗しないようにしています。
体が要求するのに可能な限り、従うようにしています。
これは、時期的にそのようなときだと思うからです。
時差ボケならぬ季節ボケでしょうか。
若いときのように無理が利かないので、
体が発する声をよく聞くようにしています。