2009年4月9日木曜日

4_84 日ノ御崎から付加体の旅へ:南紀1(2009.04.09)

 北海道は暖かかったとはいえ、まだ雪解けが終わったばかりです。花の季節はもう少し先です。春の南紀に出かけました。南紀では、咲きはじめた桜をいっぱい見かけました。南紀では、付加体を見る旅となりました。その様子をシリーズで紹介していきます。

 春休みを利用して、家族で紀伊半島を一周しました。私は、和歌山や三重の伊勢志摩は来たことがあるのですが、一周するのは初めてでした。レンタカーで、できるだけ海岸線を走りたいと思っていました。
 ところが初日から、そうもいきませんでした。海岸沿いは狭い道が多く、時間がかかりました。予定の宿に着けそうもないので、大きな国道にルートを変えて、やっと一泊目の日ノ御碕までたどり着きました。
 今回の旅の目的は、紀伊半島の南半分、南紀と呼ばれる地域の海岸沿いを見て回ることです。南紀は、地質学的見ると、日本でも有数の地層が見られるところです。さまざまな地層の姿を、南紀で見る予定でした。
 その日、予約していた宿舎は、町並みを抜け、道路の突き当り、岬の丘の上にありました。人里から少々離れた、緑に囲まれ、海の見える、眺めのいい宿でした。ここから、南紀の旅行をはじめました。
 南紀には、四万十帯(地層の区分では累層群(るいそうぐん)とよばれます)に属する地層が見られます。四万十帯は、古いものから、日高川帯(地層の区分では層群(そうぐん)とよばれます。以下同じ)、音無川帯、牟婁(むろ)帯に区分されています。日ノ御崎では、四万十帯のなかでも、もっとも古い日高川帯の地層が見られます。
 日高川帯の地層は、砂岩や泥岩、あるいはその繰り返し(互層(ごそう)といいます)からできています。これらは、風化や侵食によって陸地の岩石が砕かれ、河川によって土砂が海底に運ばれ、固まったものです。いわば陸を起源とする(陸源といいます)物質によってできた堆積岩です。
 ところが、日高川帯の地層の中には、土砂だけでなく、火山岩やチャートなどが混じっています。
 火山岩は、海底で活動したマグマによってできたものです。溶岩が水中でつくる枕状の形が残っています。枕状溶岩と呼ばれるものです。また、枕状にならずに、溶岩流や岩脈として大きく固まったもの、あるいは壊れてしまったものなどもあります。このような火山岩は、海底をつくっているマグマと同じ性質を持っています。つまり、海洋底の本体の切れ端といっていいものが見つかっています。
 チャートは、海洋のプランクトンが死んで、その遺骸が海底にたまって固まったものです。チャートがたまるには、長い時間が必要です。その間、陸が近くにあれば、堆積物がチャートの間に挟まってきます。ところが、多くのチャートには、陸源物質をはさむことは、ほとんどありません。つまり、陸から遠く離れた深海底で、多くのチャートが形成されていることを意味します。
 日高川帯は、多くの陸源堆積物と、陸から遠く離れた深海堆積物、および海底の破片という、いろいろなものからできていることになります。このような地層は、プレートの沈み込みによって、海底にあった堆積物が陸にくっついた付加体と呼ばれるものです。四万十帯は、付加体によってできています。四万十帯は、西日本の海側の大地の代表的な構成物で、似たものが房総半島、関東、東海、四国、九州へと連続して分布しています。
 日ノ御崎では、桜が咲き始めていました。日ノ御崎に至る道でも、咲き始めた桜をいっぱい見かけました。北海道は暖かかったとはいえ、まだ雪解けが終わったばかりです。花の季節はもう少し先です。春の南紀で付加体を見る旅を紹介していきます。

・常識破り・
地層は、つぎつぎと新しい土砂が海底にたまっていきます。
ですから、先にできたものが下になり、
時代も古いということになります。
これは地層累重の法則という地質学では基本的な常識です。
ところが、この地質学の常識を、付加体は破ったのです。
付加体は、沈み込むプレートの作用で形成されます。
堆積物は、沈みこまれるプレートの下に付加されていきます。
すると、新しい地層が、前の地層の下に付け加わることになります。
この作用が連続すると、地質学的上にあるものが古く、
下のもが新しいという構造の地質体ができてきます。
このようなことが起こっていることは、
地層の含まれている微化石を丹念に調べる技術ができ、
それを付加体に適用してはじめてわかってきたことです。

・風邪・
3月25日に関西空港からスタートして、南紀をめぐり、
最後は三重県伊賀上野から奈良を通り抜けて、
31日には、関西空港に戻ってきました。
三重県伊賀上野に行ったのは、
次男が忍者が大好きなのです、
忍者発祥の地である伊賀にいきたいというので、
そのリクエストに応えたためです。
長男は鳥羽の水族館でした。
この間、次男がずっと鼻水をかんでいました。
行動には支障がなく
大事に至らなかったのでよかったのですが、
たぶんその風邪が私にうつったようです。
私は、最後の夜になった、
急に悪寒がしだし、ダウンしましたが、
翌日も車を運転していたのですが、
何とか大事にならず、自宅まで戻ってきました。
しかし、自宅で一気に風邪が悪化しました。
その風邪がまだ抜けてないのです。