2008年5月15日木曜日

3_73 意義:日本のダイヤモンド4

 今回は、日本のダイヤモンドの最後の回として、発見によって得られた重要な意義とは、何かを考えていきます。


 水上さんの発見は、単にダイヤモンドが日本ではじめて見つかったというニュースとしてだけではなく、重要な意義があります。その意義を以下、思いつくことをいくつか挙げていきます。
 まず、日本列島の地下の様子を知る重要な情報となります。地球のマントルは、地球内部の熱を運んでいるため、対流しています。その対流が地大地の営みのもととなっています。日本列島下のマントルでも、対流は起こっていると考えられていました。対流に関する仮説はいろいろありましたが、対流の規模や深度、方向などは、まったく証拠といえる手がかりはありませんでした。今回の発見で、日本列島下のマントル対流の証拠となるかもしれません。
 今回の発見によって、日本列島の下部にあるマントルは、100km以上の深さから、沈み込み帯近くの四国愛媛県まで、対流しているというモデルが有力になります。この対流は、予想以上に大規模で、そして予想以上に沈み込み帯近くまで来ていることになります。今後、証拠を伴うより詳細なモデルが提唱できるはずです。
 また、日本列島の他地域、他種類の捕獲岩からも、タイヤモンドが見つかる可能性ができてきました。沈み込み帯から遠い中国山地や日本海側は、マントルの対流の上昇部に近いと考えられます。ですから、水上さんの仮説が正しければ、マントルが上がってきて、あまり時間がたっていなのですから、マントルの捕獲岩には、より多くのダイヤモンドが保存されているはずです。もし、各地でダイヤモンドが発見されれば、日本列島のマントル対流の情報を各地から得ることができるはずです。これは、対流の実態を解き明かす上で重要な証拠となります。
 最後に、新しい手法あるいは視座が確立されたということです。流体包有物の中に、このような微小のダイヤモンドが発見する方法が確立されたのですから、他の深部にあったマントルの岩石からも、同様にダイヤモンドを発見できる可能性があります。これは、手法だけでなく、今まで目をつけれれていなかったもの(微小な流体包有物の中身)に、地球深部を探る手がかりがあったことに気づいたことになります。もしかすると、ダイヤモンド以外にも他の重要な鉱物なども見つかるかも知れません。このような新たな視座を確立したという意義があります。
 上で述べた以上に関連の研究分野で、新しいことがわかる可能性がでてきました。今回の発見は、大変意義深い発見であったと思います。そして若き研究者がそれを成し遂げ、学会がその重要性を認め、公開の場で議論を深めていきました。今後、この分野でさらなる発展があればいいですね。

・意識改革・
日本でのダイヤモンドの発見は、
上で述べたようにいろいろと重要な意味がありました。
たったひとつの発見なのですが、
この発見が波及して、さまざまなところに
新しい視点や観点が持ち込まれるようになります。
もしかすると小規模ながら
地球科学者たちの意識改革ともいうべきことが
起こるかも知れません。
まあ、それは今後の進展と歴史が証明することなのですが。

・淡々とした日々・
北海道はここしばらく肌寒い日が続いています。
快晴の時の日が当たれば暖かいのですが、
日陰や曇ると上着を着ないと寒いほどです。
体調をくずす人も出ています。
特に薄着の若者は風邪をひいてしまいます。
先週のゴールデンウィーク明けは、
かなり休みが目立ちました。
今週からは、7月中旬までは休みもなく
淡々とした穏やかな日々が続いていくはずです。