2008年5月8日木曜日

3_72 仮説:日本のダイヤモンド3

 ダイヤモンドは如何にして形成され、捕獲されてきたのか。それに対する一つの仮説を紹介します。この仮説は水上さんが、現在唱えられている説です。


 日本列島の下で、どうしてダイヤモンドが形成されたのか。それがどのようにしてマグマに捕獲され、地表にもたらされたのか。常識破りの発見でもあっても、その仮説は合理的、科学的でなければなりません。どのような仮説が立てられているのでしょうか。それを見ていきましょう。
 水上さんは、まず、ダイヤモンドが入っていた流体包有物と、それが入っていた結晶から、形成条件を調べました。包有物をもっていた結晶は、単斜輝石と呼ばれるものでした。包有物の中身に二酸化炭素の流体、それにともなう炭酸鉱物(ドロマイト)があります。そのような物質が一緒に存在する(共存と呼びます)環境で、ダイヤモンドを形成するには、1400℃以上の温度で5.5万気圧(5.5GPa、地下約170km)以上の圧力が必要だと推定されています。
 これは物理的に推定された条件ですから、少なくともその条件を満たさなければなりません。この条件を満たすことが、ダイヤモンド形成のための必要条件となります。ところが、そのダイヤモンドを含んでいたカンラン岩の捕獲岩には、斜長石がありました。これが、必要条件に反する奇妙なことなのです。
 通常の1400℃以上、5.5万気圧以上の条件にあるカンラン岩には、斜長石は存在できないのです。
 斜長石はアルミニウム(Al)を含んでいる結晶です。アルミニウムを含む鉱物がどのような結晶になっているかによって、物理条件の違いの見当がつけられます。高温高圧の条件に同じような化学成分のカンラン岩を置くことで、どのような鉱物の組み合わせになるかが、実験で確かめられています。その実験によると、温度圧力が低い場合は斜長石ですが、圧力が高くなるとザクロ石になり、さらに高くなるとスピネルに変わっていきます。
 つまりアルミニウムが斜長石になるような条件では、ダイヤモンドは形成されないという矛盾が生じているのです。この矛盾をどう説明するかが、重要になってきます。
 水上さんは、その説明として、次のような仮説を考えました。単斜輝石の中の流体包有物がダイヤモンドができる条件にあるときに、単斜輝石を含むカンラン岩がマントルで形成されます。もちろん、それは地下170kmより深いところです。ところが、そのマントルは、マントル対流によって浅い場所に上がってきます。その結果、マントルは低温低圧の条件にさらされます。少なくともザクロ石が斜長石に変わるような条件である30kmくらいの深さ(マントルの最上部)まで上がってきます。
 そこまで上がってきても、結晶の中に閉じ込められた流体包有物には、結晶の強度があったため、強い圧力がかかったままとなっていたと考えられます。しばらくはそのままの圧力が保たれたため、ダイヤモンドの結晶は保存されていたのです。ただし、あまり長い時間、低圧条件になると、流体が結晶の隙間からゆっくりと抜けていくので、圧力が下がってしまいます。それほど長い時間、浅いところに置かれていたわけではなさそうです。
 浅いところまで上がってきたダイヤモンドを含んだマントルの岩石を、ランプロファイヤーのマグマが高速で捕獲してきた。これが、水上さんが現在考えておられる仮説です。
 矛盾は解消されています。今のところ、この仮説はもっともらしく見えます。今後、いろいろ新たなデータが出されて、検討されていくでしょう。
 さて、このような発見には、単に発見されたというだけでなく、いろいろな重要な意義があります。それは次回としましょう。

・仮説の実証・
水上さんの説は、なかなか面白い仮説です。
一応科学的にも筋が通っています。
でも仮説は、実証することが重要です。
そのためには、その仮説から導き出される何らかの予測があり、
予測どおりのデータを出せれば、説得力が出ます。
たとえば、深いところにあったマントルが
浅いところに上がってきたというマントル対流に、
他の証拠も欲しいところです。
また、単斜輝石の流体包有物の中に
その程度の時間保存されるのか、
温度や圧力の条件にどれほど左右されるのかなどの
チェックも必要になるでしょう。
このような他の証拠にこだわるのは、
そこに重要な意味があるからです。
日本列島形成の謎を解明する手がかりがあるからです。
それは次回、詳しく紹介します。

・観光地・
皆さんはゴールデンウィークをどう過ごされたでしょうか。
北海道は、いい季節になりました。
5月5日は、少々肌寒い、曇天でしたが、
それ以外は春らしい天気となりました。
私はニセコに出かけています。
ニセコの山をみることが目標でした。
山の中を抜ける道も開通しており、
予定通り、ニセコの山を裏側から見ることができました。
春まだ浅き山並みから、春真っ盛りの里まで
季節の移ろいを感じることができました。
今回は、家族サービスもかねていましたので、
観光地や土産物屋さんにもいきました。
観光客が非常に多く、驚きました。
以前にもいったことがあるのですが、
スキーシーズン以外はそんなに混んでいた記憶はありません。
ニセコは、今や外国の人もたくさん来る観光地と変わってきました。
もちろん日本人もたくさんきます。
久しぶりに人の多い観光地を廻りました。