2007年1月18日木曜日

3_50 エルニーニョ

 今年の冬の前半は、北国としては雪が少なく、暖かい日々が続きました。しかし、ここ数日の大雪や冷え込みで、一気に冬らくしなってきました。暖冬の原因について考えましょう。


 今年の北海道は雪が少なく、12月から1月上旬にかけて暖かい日が続きました。暖かい天候が続くと、すぐに温暖化がいわれます。でも、それは早計です。
 温暖化が本当に起きると、世界各地で異常気象が起こり、陸にある氷が解けて海水が増加するということが起こると予想されます。これらが温暖化現象の一番の問題となります。
 異常気象によって、暖かくなる地域もあるでしょうが、寒くなる地域も、大雨、旱魃などが起こる地域もあります。ですから、暖かくなったからといって、温暖化現象が起きたというわけではないです。
 気象庁によれば、2006年秋からエルニーニョ現象が起きているようです。北海道の暖冬は、このエルニーニョ現象が起こしている可能性があります。
 エルニーニョ現象とは、太平洋の赤道付近での海水温度の変動によるもので、赤道の中央から南アメリカのペルー沖の海面温度が平年より高くなることをいいます。
 赤道付近では貿易風と呼ばれる東から西への風が、定常的に吹いています。赤道付近の暖められた海水が、貿易風によって太平洋の西側に吹き寄せられます。その結果、インドネシア沖では、暖かい海水が、数100mもの厚さで集まります。
 暖かい海水が西に移動すると、ペルー沖では深い海から、冷たい海水が上昇します。この冷たい海水は、栄養分が豊富で、海面近くに上がってくるとプランクトンの大量発生が起こります。食物連鎖によって魚もたくさん育ちます。ペルー沖は良い漁場となり、ペルーは世界第2位の漁獲高を誇っています。
 これが通常の状態です。
 この通常の状態が起きず、暖かい海水が西に移動しないことがあります。これがエルニーニョ現象です。エルニーニョ現象が起きると貿易風が弱まるか、貿易風が弱まるからエルニーニョ現象が起こるか、その因果関係ははっきりしていません。
 エルニーニョ現象が一度発生すると、1年から1年半の間、持続しますが、昨年秋にはじまった今回のエルニーニョは、春には終わると予測されています。
 前回は、2002年夏から2003年冬までエルニーニョ現象が起きました。ここ数年は、4年ごとくらいに発生してます。
 エルニーニョ現象が起きると、世界各地で異常気象が起きます。地域差や特徴にばらつきがあり、一概には言えないのですが、日本では一般に冷夏、暖冬になります。降雨量はさまざまです。いずれにしても、エルニーニョ現象が起きると、各地で平年とは違う気象現象が起こります。時には大きな災害が起こります。
 でも、エルニーニョ現象は、規則性はあまりよくないですが、繰り返し起こります。ですから、エルニーニョ現象は、平年的な現象として考えた方がいいのかもしれません。そうなると、エルニーニョ現象でおこる気象変化も、異常というべきではなく、平年のこととして受け入れるべきなのかもしれませんね。

・感覚的判断・
人は繰り返し起こることは、前回のことを思い出して、
今回はどう違うかを考え、判断し、評価します。
その良い例が、季節ごとの比較です。
今年の冬を話すとき、前回の冬と比べらて語られることが多くなります。
今回のエッセイも、それではじめました。
もし比較の結果、今回のものに大きな違いや異常があれば、
そんな経験が今までにないかを思いこしてみます。
記憶とは、特別なことが起きた場合をよく覚えています。
それと比べてどうだったかを考えるわけです。
そんな経験がないときは、今回は異常だと思ってしまいます。
このようなプロセスは、非常に感覚的な判断といえます。
現在では、気象に関しては気象庁が、
科学的で正確な判断ができるような情報を提供しています。
ですから調べさえすれば、異常かどうかは誰にでも判断できます。
特別とか異常というものは、比較による判断です。
その比較で、データがないこともあります。
それが、時候の挨拶程度ならいいのですが、重要な判断は、
くれぐれも感覚だけで下さないように、注意しなければなりませんね。

・経験を活かす・
いよいよ大学の講義も残すところ、あと1週間ほどとなりました。
その後には定期試験があります。
大学受験生は、今週末にセンター試験があります。
我が大学も600名の受験する会場となっています。
2月になるといよいよ一般入試がはじまります。
来年度は、入学者数と大学入学定員が一緒になります。
ということは、選り好みさえしなければ、
受験生はどこかの大学に入ることができるということです。
全入時代と呼ばれています。
しかし、希望の大学や希望の分野の学部、学科に
必ずしも全員が入れるわけではありません。
ということは、人気のある大学や分野では、やはり競争が起こります。
それはしかたがないことです。
しかし、団塊の世代や、その後の子供の多い時代に育った大人は、
もっと厳しい受験戦争を生き抜いてきたわけです。
しかし、その受験勉強、その大学、その専門が、
どの程度、社会に出た役に立ったかは、本人が一番知っているはずです。
自分の経験を活かして、子供に伝えるべきでしょう。
私の子供たちには、大学へいかなくて良いといっています。
手に職をつけ、衣食住などの人間になくてはならない職業の
職人になるよう薦めています。
長男は大工、次男はコックなるといってましたが、
次男は幼稚園の保育士になるというのに変わったようです。
まだまだ長い人生ですから、いろいろな可能性を探ってもらいましょう。