複数の岩石を用いた年代値はどうしても信頼性が、高くなりません。そこでSmの2種の放射性核種の用いた年代測定から、年代の精度を保証していくという方法です。議論を呼びそうな方法論ですが、今度どうなるでしょうか。
一連のマグマでできたことが明らかな場合は、ひとつの火成岩の中で、同時にできたいくつ種かの鉱物で、147Smを測定することです。しかし、そのためには、変成・変質作用を受けていない鉱物を見つけて、きれいな状態で分離するという手続きが必要です。さらに、鉱物によっては、少ない量の147Smの測定する技術が必要になります。
かつては、岩石全体でしか、147Smの量を測定することができませんでした。その後、比較的147Smの量の多い鉱物を見つけて、分離して測定することに挑戦されるようになりました。そのためには、きれいな鉱物を、より多く分離していく必要がありした。
大学院生のとき、その方法にチャレンジしたことがありました。研究対象としてた地域の岩石は、激しく変成作用や変質作用を受けていました。その中で、火成作用で形成された(初成のといいます)鉱物であった単斜輝石が、変成作用・変質作用に耐えて、かろうじて残っていました。それを分離していくことにしました。その苦労は並大抵ではありませんでした。
まず、4つの岩石を選び、単斜輝石の分離に挑戦しました。きれいに単斜輝石だけが分離できたは、ひとつの岩石のみで、あとは単斜輝石を多く含むもの(「mafic fraction 苦鉄質濃集物」と論文では呼びました)になりました。分離したものから、変成・変質物を取りぞくために、何度も洗浄してから、147Smの測定をしました。その結果、なんとか年代を求めることができました。
現在では、より微量の147Smであっても、測定精度は上がっていますが、変成作用を受けていない鉱物を分離する作業は、今でも大変です。このような鉱物の分離による年代測定は、ジルコンを用いたウランの年代測定ほどは、用いられていません。
この論文では、同じマグマだ「と考えられる」岩石の147Smを用いてのアイソクロン年代が41.57±1.74億年と求められました。上述したように、この年代が、火成岩の年代を示しているかどうかの確実性が、これだけでは足りません。
論文では、年代の精度をチェックするために、放射性核種の146Smも用いています。146Smは崩壊すると142Ndになりますが、その半減期は6800万年と短いものです。短い半減期の核種は、古い岩石の年代測定には使えません。冥王代に形成された岩石では、146Smはすべて142Ndに改変しています。
もしこの岩石が冥王代に形成されていたら、形成時にもっていた146Smからの142Ndと、147Smからの143Ndの間に相関が残っているはずです。崩壊してできた143Nと142Nd(実際には144Ndとの比の規格化しています)の相関関係を、アイソクロン法とみなして調べています。
半減期の短い142Nd/144Nd比では、誤差が大きくなっていましたが、直線状の相関が見られました。これをアイソクロンとみなして、その年代を求めると、41.96+0.53-0.81億年前となりました。この年代は、半減期の長い147Smからえられた年代と似ています。したがって、半減期の短い146Smのアイソクロンも、形成時の情報を保存しているという根拠だと主張しています。
したがって、この地域の岩石の年代が41.57億年前となり、冥王代に火成作用でできた可能性が高いといっています。仮定や論理が複雑なので、今後も議論は続きそうです。まだ誰もが納得できる冥王台の岩石は見つかったとはならないようですね。
・人間の忍耐力・
正確なアイソクロン年代をえるには、
必要な素材の分離技術、
そして微量成分のために測定技術が必要です。
分離も測定も、技術の進歩で
簡便化、高精度化されています。
しかし、分離には、研究者の忍耐力が必要です。
いつの世も、人間側の問題には
進歩はなかなか訪れませんね。
・症状悪化・
早朝の出勤は涼しいのですが、
昼間の暑い中を、
連日歩いて帰宅していました。
夏の暑さと日差しのせいでしょうか。
それとも年齢による衰えでしょうか。
先日、検査にいったら、
一旦治まっていた症状が、まだ悪化していました。
それまで自覚症状はまったくなかったのですが、
その診断されると、つらく感じるようになりました。
新たな対処薬も加わることになりました。
今日から暑い中を歩くのはやめて
妻に迎えに来てもらうことにしました。
次回の診察まで様子を見ていきましょう。