地球創成にはマグマオーシャンがあったことは、定説になってきました。それを前提にして、月の形成シナリオはあまり考慮されていませんでした。今回それを考慮したシミュレーションで、課題がひとつ解決されそうです。
前回、細野さんたちのグループが報告した
Terrestrial magma ocean origin of the Moon
(月の地球のマグマオーシャン起源)
で、「同位体比問題」に対する答えが得られることを紹介しました。
月は、巨大天体が衝突しできたことは定説なってきました。その仮説によれば、月には、衝突した天体の成分が多く含まれれることになるはずです。「同位体比問題」とは、月(アポロ計画が持ち帰った試料)の成分(同位体組成)は地球のものに近く、衝突した巨大天体の成分が少ないことが問題となっていました。衝突した天体の成分が多く含まれるという考えは、衝突によるシミュレーションでは、衝突天体の成分が多くなるという結果がでていました。
細野さんたちは、衝突時の条件を変更してシミュレーションをしました。その条件とは、地球にはマグマオーシャンがあったという設定でした。マグマオーシャンとは、原始地球では隕石の衝突が激しく、表層が高温になり岩石が溶けてマグマの海ができていたという仮説です。このマグマオーシャンんの存在も定説となっています。
マグマオーシャンは、岩石の地殻やマントルとは性質が異なるため、衝突によって飛び散る様子が違ってくると考えられます。しかし、これまでこのような条件でのシミュレーションはなされていませんでした。
細野さんたちのシミュレーションによると、マグマオーシャンの状態の原始地球に衝突が起こると、マグマがジェットとして吹き出し、それが地球軌道上の円盤になり、やがて月になるというものです。
もう少し詳しく見ると、衝突があると、衝突天体の物質もかなり地球周辺に飛び散ります。残った衝突天体の物質は、すぐに(40時間ほど)再度地球と衝突して合体します。最初の衝突で飛び散った成分は、両者の成分が混同しているのですが、衝突した天体の成分が地球に落ちてきます。一方、地球のマグマオーシャンの成分は、マグマのジェットのように吹き出し、軌道周辺に飛び出し存在しています。その後、軌道上に残っていた成分(地球のマグマオーシャンの多い成分)から月ができることになります。マグマオーシャンから飛び散った成分が多い素材(70%以上)からできたると、「同位体比問題」が解決できます。
月は、もっとも身近な天体です。人類が降り立った唯一の天体で、現在も探査が続けられている天体です。その天体の形成過程が、巨大天体の衝突によるものであることが定説になっています。しかし、でき方が分かっていませんでした。そんな未知が、天体観測やシミュレーションでひとつ解かれようとしています。
・京・
シミュレーションの説明では単純化していましたが
実際にはいろいろな条件で複雑な計算が繰り返されています。
その計算はスーパーコンピュータ「京」で行われました。
京は日本が誇るコンピュータで2012年に完成して
世界最速を誇っていました。
そして、数々の成果を上げていました。
2019年8月16日に運用は終了します。
その代り100倍の性能もった次世代のスーパーコンピュータ
「富岳(ふがく)」に置き換えられる予定だそうです。
「富岳」の名称は2019年5月23日に決定されました。
・地球の過去・
今まで月の地殻のデータが主でしたが、
中国の探査で、間接的でありますが、
マントルの情報を手に入れたことになります。
今回のシミュレーションの結果も取り入れると、
月の起源とその化学的性質をかなり束縛する条件となります。
このシミュレーションが正しいとすると
現在わかっている月の岩石から、
地球のマグマオーシャンを推定するこも可能でしょう。
月から地球の過去が探れるかもしれません。
2019年6月27日木曜日
2019年6月20日木曜日
6_164 月の探査 5:起源
月の探査とは違った内容の報告です。月の形成過程に関する報告です。最近だされた成果で、これまで月の起源で課題となったいたものが、解決できるのではという報告でした。
中国の月探査機玉兎2号が調べた地域は、月の岩石の中でも特殊な岩石が分布していると考えられる地域でした。隕石の衝突で地殻とマントルが部分溶融して固まったものの可能性がありました。そして、地殻で分析して確認しました。
実物試料の分析は、1970年代のアポロ計画で持ち帰えった月の表側のデータが主でした。あとは周回軌道からの遠隔からの観測でした。その観測を検証することが玉兎2号の重要な任務でした。今回の探査で、月の裏側でそれも特異な岩石が出ているところを調べ、遠隔観測のデータと一致したことは重要な成果でした。
これは、月の起源に迫れる情報となると考えられています。月は非常の大きな衛星なので、他の惑星の衛星の起源とは違ったものとだと考えられていました。月の起源には、古くからいろいろな仮説があったのですが、近年では、巨大衝突仮説が有力でした。
巨大衝突仮説とは、原始地球に火星サイズ(地球の半分ほど)の天体が衝突したというものです。衝突で、地球や天体の岩石が飛び散ったり、蒸発したりして、地球軌道上で集まったものが月になったと考える仮説です。
巨大衝突仮説は、月の大きさだけでなく、月の化学組成も説明できました。これまでのシミュレーションでは、月は、ぶつかってきた天体に由来する物質が多くなってくることを示していました。
アポロ計画で持ち帰ってきた試料のデータと比べると、いくつかの成分(同位体組成)が地球のものに近いことがわかっていました。この結果は、シミュレーションと化学組成のデータが合っていませんでした、「同位体比問題」と呼ばれて、重要な課題となっていました。
今年の4月29日にイギリスの科学雑誌「Nature Geoscience」に、海洋研究開発機構の細野七月たちの研究グループが
Terrestrial magma ocean origin of the Moon
(月の地球のマグマオーシャン起源)
という報告が出されました。この論文は、「同位体比問題」に対する答えを提示しようというものでした。
詳細は次回にしましょう。
・涼しい・
北海道は、週末から数日寒い日が続いています。
自宅内も朝夕は涼しく、
さすがにストーブをたくほどではないですが、
冬の室内着を出して着ていました。
それでちょうどよかったです。
降雨も気温も少々平年とは違っています。
エルニーニョ現象のせいでしょうか。
農業に被害がでなければいいのですが。
・アポロ・
アポロ計画は、1961年から1972年まで実施されました。
アポロ11号から17号まで、月面に着陸して調査をしました。
ただし、アポロ内13号は、月に向かう途中に事故があり
月を周回して着陸せずに帰還しました。
アポロ計画では全6回に渡った調査になりました。
降り立ったの人類は、12名となります。
アポロ計画以降、月の試料は入手できていません。
月隕石とされるものもありますが、
場所も時期も不明で、月由来という確証もありません。
ですから未だにアポロの試料は
重要な役割をもっています。
ただし、限られた地点、表側だけの試料など
限定された試料なので月の全貌をみているという
保証がなく、それが不確実性となります。
中国の月探査機玉兎2号が調べた地域は、月の岩石の中でも特殊な岩石が分布していると考えられる地域でした。隕石の衝突で地殻とマントルが部分溶融して固まったものの可能性がありました。そして、地殻で分析して確認しました。
実物試料の分析は、1970年代のアポロ計画で持ち帰えった月の表側のデータが主でした。あとは周回軌道からの遠隔からの観測でした。その観測を検証することが玉兎2号の重要な任務でした。今回の探査で、月の裏側でそれも特異な岩石が出ているところを調べ、遠隔観測のデータと一致したことは重要な成果でした。
これは、月の起源に迫れる情報となると考えられています。月は非常の大きな衛星なので、他の惑星の衛星の起源とは違ったものとだと考えられていました。月の起源には、古くからいろいろな仮説があったのですが、近年では、巨大衝突仮説が有力でした。
巨大衝突仮説とは、原始地球に火星サイズ(地球の半分ほど)の天体が衝突したというものです。衝突で、地球や天体の岩石が飛び散ったり、蒸発したりして、地球軌道上で集まったものが月になったと考える仮説です。
巨大衝突仮説は、月の大きさだけでなく、月の化学組成も説明できました。これまでのシミュレーションでは、月は、ぶつかってきた天体に由来する物質が多くなってくることを示していました。
アポロ計画で持ち帰ってきた試料のデータと比べると、いくつかの成分(同位体組成)が地球のものに近いことがわかっていました。この結果は、シミュレーションと化学組成のデータが合っていませんでした、「同位体比問題」と呼ばれて、重要な課題となっていました。
今年の4月29日にイギリスの科学雑誌「Nature Geoscience」に、海洋研究開発機構の細野七月たちの研究グループが
Terrestrial magma ocean origin of the Moon
(月の地球のマグマオーシャン起源)
という報告が出されました。この論文は、「同位体比問題」に対する答えを提示しようというものでした。
詳細は次回にしましょう。
・涼しい・
北海道は、週末から数日寒い日が続いています。
自宅内も朝夕は涼しく、
さすがにストーブをたくほどではないですが、
冬の室内着を出して着ていました。
それでちょうどよかったです。
降雨も気温も少々平年とは違っています。
エルニーニョ現象のせいでしょうか。
農業に被害がでなければいいのですが。
・アポロ・
アポロ計画は、1961年から1972年まで実施されました。
アポロ11号から17号まで、月面に着陸して調査をしました。
ただし、アポロ内13号は、月に向かう途中に事故があり
月を周回して着陸せずに帰還しました。
アポロ計画では全6回に渡った調査になりました。
降り立ったの人類は、12名となります。
アポロ計画以降、月の試料は入手できていません。
月隕石とされるものもありますが、
場所も時期も不明で、月由来という確証もありません。
ですから未だにアポロの試料は
重要な役割をもっています。
ただし、限られた地点、表側だけの試料など
限定された試料なので月の全貌をみているという
保証がなく、それが不確実性となります。
2019年6月13日木曜日
6_163 月の探査 4:活断層
中国が月に、次々と探査機を送っていることは、これまで紹介してきました。今回は、月について、古くて新しい話題を紹介します。50年も前のデータを解析し直したら、最近の活動が見えてきたというものです。
月の探査は、なんといってもアポロ計画の成果が大きなものでした。アポロ計画で人類が最初に月に降り立ったのは、今年の7月でちょうど50年になります。4回の有人の月面着陸で、多くの成果をあげたのは紹介するまでもないでしょう。その時に、着陸船の近くに地震計(月震計とよばれます)も置かれていました。それぞれの着陸船でひとつずつ4個の月震計が観測をしていました。これらの月震計は、8年間稼働して、月震を多数記録しました。また、アポロの不要な部品を月に衝突させ、人工月震を起こして、観測もなされました。
当時に月震は数千回も記録され、データの解析もされてきました。その多くは、母星となる地球の引力による、月への潮汐力によるものだと考えられていました。大気のない月では、昼夜の温度差が260度以上になるため、その変化によって岩石が割れることでも、月震が起こることもあると考えられていました。それらの多くは地殻の浅いところでの地震が大半でした。
ところが、当時も数kmの地殻内で起こる地震が、28回ほど起こっていたことが知られていました。これらは、非常にエネルギーの大きな地震でした。地球ではマグニチュード5.5に匹敵するエネルギーとなります。これらの地震がなぜ起こっているのか、その原因は不明でした。ただし、月震計は4台しかなく、その観測範囲も160km程度なので、精度があまり良くありませんでした。
スミソニアン研究所のWatters氏らの研究グループは、昔のデータを再度分析し直し、2019年5月13日の「Nature Geoscience」にその結果を報告しました。最新のシミュレーションで検証もおこなっていました。その結果、月の28回の月震のうち、8回は月の断層崖の30km以内の近所で起こっていること、そのうち6回は、月が地球から一番離れた時に起きていることがわかってきました。2009年から観測していたNASAの月探査機ルナー・リコネサンス・オービターの画像で、多くの断層が見つかっていました。そこには、断層によってできた崖も見つかっていました。それらの断層が、周囲の地質状況から、最近できていると推定していました。最近とは5000万年以内の現象と考えました。
月の断層が最近の活動の可能性があること、その周辺で月震が起こっていることから、月では、最近でも断層を形成する活動が起こっていると推定しました。手法は問題ないのですが、データがあまり精度が良くないで、今後は検証作業が必要となるでしょう。
・YOSAKOIソーラン・
先週の5日から9日まで、
北海道はYOSAKOIソーラン祭りでした。
私は、週末から月曜日まで調査にでていました。
ですから、YOSAKOIの様子は知りません。
自宅にいても、YOSAKOIは、
いつもテレビで見るだけですが。
でも学科やゼミや学生が大学のチームに参加しているので、
気にはしているます。
今は、野外調査で頭が一杯です。
・調査・
このエッセイも、毎回のことですが、
週末に調査に出るので、事前に予約配信をしています。
本来であれば、調査を終え帰ってきて
送信してもいいのですが、
やるべきことがあると、落ち着かないので、
できることは早めに済ませてしまいます。
そういう性質なので仕方がありません。
YOSAKOIも調査も終わっているのですが
その様子は、まだ知りません。
調査様子は別の機会に紹介します。
月の探査は、なんといってもアポロ計画の成果が大きなものでした。アポロ計画で人類が最初に月に降り立ったのは、今年の7月でちょうど50年になります。4回の有人の月面着陸で、多くの成果をあげたのは紹介するまでもないでしょう。その時に、着陸船の近くに地震計(月震計とよばれます)も置かれていました。それぞれの着陸船でひとつずつ4個の月震計が観測をしていました。これらの月震計は、8年間稼働して、月震を多数記録しました。また、アポロの不要な部品を月に衝突させ、人工月震を起こして、観測もなされました。
当時に月震は数千回も記録され、データの解析もされてきました。その多くは、母星となる地球の引力による、月への潮汐力によるものだと考えられていました。大気のない月では、昼夜の温度差が260度以上になるため、その変化によって岩石が割れることでも、月震が起こることもあると考えられていました。それらの多くは地殻の浅いところでの地震が大半でした。
ところが、当時も数kmの地殻内で起こる地震が、28回ほど起こっていたことが知られていました。これらは、非常にエネルギーの大きな地震でした。地球ではマグニチュード5.5に匹敵するエネルギーとなります。これらの地震がなぜ起こっているのか、その原因は不明でした。ただし、月震計は4台しかなく、その観測範囲も160km程度なので、精度があまり良くありませんでした。
スミソニアン研究所のWatters氏らの研究グループは、昔のデータを再度分析し直し、2019年5月13日の「Nature Geoscience」にその結果を報告しました。最新のシミュレーションで検証もおこなっていました。その結果、月の28回の月震のうち、8回は月の断層崖の30km以内の近所で起こっていること、そのうち6回は、月が地球から一番離れた時に起きていることがわかってきました。2009年から観測していたNASAの月探査機ルナー・リコネサンス・オービターの画像で、多くの断層が見つかっていました。そこには、断層によってできた崖も見つかっていました。それらの断層が、周囲の地質状況から、最近できていると推定していました。最近とは5000万年以内の現象と考えました。
月の断層が最近の活動の可能性があること、その周辺で月震が起こっていることから、月では、最近でも断層を形成する活動が起こっていると推定しました。手法は問題ないのですが、データがあまり精度が良くないで、今後は検証作業が必要となるでしょう。
・YOSAKOIソーラン・
先週の5日から9日まで、
北海道はYOSAKOIソーラン祭りでした。
私は、週末から月曜日まで調査にでていました。
ですから、YOSAKOIの様子は知りません。
自宅にいても、YOSAKOIは、
いつもテレビで見るだけですが。
でも学科やゼミや学生が大学のチームに参加しているので、
気にはしているます。
今は、野外調査で頭が一杯です。
・調査・
このエッセイも、毎回のことですが、
週末に調査に出るので、事前に予約配信をしています。
本来であれば、調査を終え帰ってきて
送信してもいいのですが、
やるべきことがあると、落ち着かないので、
できることは早めに済ませてしまいます。
そういう性質なので仕方がありません。
YOSAKOIも調査も終わっているのですが
その様子は、まだ知りません。
調査様子は別の機会に紹介します。
2019年6月6日木曜日
6_162 月の探査 3:嫦娥4号
中国の嫦娥4号は、多くの科学者がぜひ調べたい思えるような地に、着陸しました。探査車も動き出して調査をはじめました。期待通りの成果を挙げつつ、また思わぬ成果も挙げています。
中国の月探査機、嫦娥4号は、月の裏側、つまり地球から見えない側へ2019年1月3日に着陸しました。また、玉兎(ぎょくと)2号と呼ばれる月面探査車も搭載されており、活動をはじめているようです。
嫦娥4号は、月の裏側の南半球の南極にあるエイトケン盆地に着陸しました。この盆地は、横幅500km、あるいはそれ以上あるともされる月で最も大きく、そして最も古いもの盆地と考えられているところです。この盆地は、巨大な隕石の衝突によってできたものだと考えられています。その盆地の中にある直径180kmのクレータ(フォン・カルマン・クレーター)に着陸しました。
嫦娥4号には、植物や種、ハエの卵、イースト菌などをもっていきました。植物の種は、綿花ものですが、発芽に成功したようです。月面での生物の栽培ははじめてのことでした。今後、生物や生態系を維持するためには、環境を整えていく必要があるでしょうが、大きな成果といえます。
エイトケン盆地は、実は多くの研究者が目を付けていた地点だったのです。激しい隕石の衝突があり、地殻を突き破りマントルまでむき出しになっている可能性がありました。産業技術総合研究所の中村良介さんと石原吉明さんは、日本の月探査衛星「かぐや」の観測したデータを用いて、低カルシウム輝石を多く含む(約20%以上)物質に着目して、月表面上での分布を調べまた結果を、2012年に報告しています。エイトケン盆地に多く分布していることがわかっていました。中国も周回軌道からの事前の観測データでも、この盆地の岩石が、月の高地の岩石とは異なっていることを確認していました。
月面探査車の玉兎2号は、クレーター内を動き回り、衝突によるエジェクター(放出物)や構成岩石の鉱物を調べることになっていました。カメラで調査にふさわしい地点を探りながら、月中レーダー(深さ100mほど)で地下の構造も調べてました。玉兎2号はクレーター内を走り回りながら、岩石の分析をしました。その結果、低カルシウム輝石とカンラン石が多くあることを確認しました。
カンラン石は地球でもマントルの主要構成鉱物です。また輝石のマントル構成鉱物ですが、カルシウムの少ない輝石は、鉱物ではピジョナイト、エンスタタイト、フェロシライトなどになります。これらの輝石は、衝突で地殻とマントルが部分溶融して、それが再度固まったときにできた鉱物だと考えれています。アポロ計画で採取された試料の中に、衝突溶融物の放出物もあり、それと一致していました。
今回の玉兎2号は、低カルシウム輝石とカンラン石の存在を実際に確認したことになります。中国はマントル物質ではなかいと考えていますが、まだ確実ではありません。科学はすべて手順を追っていきます。はじめてのことも重要ですが、検証作業も非常に重要です。
・汚染・
スペースシャトルや国際宇宙ステーションなどの地球軌道上では、
生物を栽培や飼育はおこなってきました。
しかし、月面でははじめてのことになります。
アポロ計画で、人類はさまざまな足跡、痕跡を
月に残してきました。
他天体への検疫や地球生物による汚染などは
当初は考えませんでした。
宇宙飛行士からの地球の汚染は考えていましたが。
今では、天体の環境を考えるようになってきましたが、
月面着陸での探査は、しばらくなされていませんでした。
今後、中国が月面での探査を繰り返していくのであれば
また考えていくことも必要でしょうね。
・道東調査・
6月になりました。
北海道では、おだやかな初夏がスタートしています。
天気続きで降雨量が少ないので少々心配ですが。
今週末にまた道東へ調査にいきます。
そこには知床も含まれています。
北海道は、離島以外はかなりのところは訪れているのですが、
知床だけは私にとって未踏の地でした。
天気がよければいいのですが。
もしだめだったら、再度チャレンジなければなりません。
中国の月探査機、嫦娥4号は、月の裏側、つまり地球から見えない側へ2019年1月3日に着陸しました。また、玉兎(ぎょくと)2号と呼ばれる月面探査車も搭載されており、活動をはじめているようです。
嫦娥4号は、月の裏側の南半球の南極にあるエイトケン盆地に着陸しました。この盆地は、横幅500km、あるいはそれ以上あるともされる月で最も大きく、そして最も古いもの盆地と考えられているところです。この盆地は、巨大な隕石の衝突によってできたものだと考えられています。その盆地の中にある直径180kmのクレータ(フォン・カルマン・クレーター)に着陸しました。
嫦娥4号には、植物や種、ハエの卵、イースト菌などをもっていきました。植物の種は、綿花ものですが、発芽に成功したようです。月面での生物の栽培ははじめてのことでした。今後、生物や生態系を維持するためには、環境を整えていく必要があるでしょうが、大きな成果といえます。
エイトケン盆地は、実は多くの研究者が目を付けていた地点だったのです。激しい隕石の衝突があり、地殻を突き破りマントルまでむき出しになっている可能性がありました。産業技術総合研究所の中村良介さんと石原吉明さんは、日本の月探査衛星「かぐや」の観測したデータを用いて、低カルシウム輝石を多く含む(約20%以上)物質に着目して、月表面上での分布を調べまた結果を、2012年に報告しています。エイトケン盆地に多く分布していることがわかっていました。中国も周回軌道からの事前の観測データでも、この盆地の岩石が、月の高地の岩石とは異なっていることを確認していました。
月面探査車の玉兎2号は、クレーター内を動き回り、衝突によるエジェクター(放出物)や構成岩石の鉱物を調べることになっていました。カメラで調査にふさわしい地点を探りながら、月中レーダー(深さ100mほど)で地下の構造も調べてました。玉兎2号はクレーター内を走り回りながら、岩石の分析をしました。その結果、低カルシウム輝石とカンラン石が多くあることを確認しました。
カンラン石は地球でもマントルの主要構成鉱物です。また輝石のマントル構成鉱物ですが、カルシウムの少ない輝石は、鉱物ではピジョナイト、エンスタタイト、フェロシライトなどになります。これらの輝石は、衝突で地殻とマントルが部分溶融して、それが再度固まったときにできた鉱物だと考えれています。アポロ計画で採取された試料の中に、衝突溶融物の放出物もあり、それと一致していました。
今回の玉兎2号は、低カルシウム輝石とカンラン石の存在を実際に確認したことになります。中国はマントル物質ではなかいと考えていますが、まだ確実ではありません。科学はすべて手順を追っていきます。はじめてのことも重要ですが、検証作業も非常に重要です。
・汚染・
スペースシャトルや国際宇宙ステーションなどの地球軌道上では、
生物を栽培や飼育はおこなってきました。
しかし、月面でははじめてのことになります。
アポロ計画で、人類はさまざまな足跡、痕跡を
月に残してきました。
他天体への検疫や地球生物による汚染などは
当初は考えませんでした。
宇宙飛行士からの地球の汚染は考えていましたが。
今では、天体の環境を考えるようになってきましたが、
月面着陸での探査は、しばらくなされていませんでした。
今後、中国が月面での探査を繰り返していくのであれば
また考えていくことも必要でしょうね。
・道東調査・
6月になりました。
北海道では、おだやかな初夏がスタートしています。
天気続きで降雨量が少ないので少々心配ですが。
今週末にまた道東へ調査にいきます。
そこには知床も含まれています。
北海道は、離島以外はかなりのところは訪れているのですが、
知床だけは私にとって未踏の地でした。
天気がよければいいのですが。
もしだめだったら、再度チャレンジなければなりません。
2019年5月30日木曜日
6_161 月の探査 2:嫦娥計画
中国は有人宇宙飛行だけでなく、月の探査も進めています。その成果も着々と上がっています。月の着陸船での探査は久しぶりになります。しかし中国はもっと深淵な計画を持っているようです。
今年の1月に中国の探査機が月の裏側に着陸したというニュースが流れました。その探査機は、嫦娥(じょうが)4号という名前でした。4号ということは、1号から3号までが先行してあるはずですし、もしかすると、5号以降もありそうです。そんな中国の月田探査計画を見ていきましょう。
嫦娥とは、昔の中国の神話に登場する人物で月に関係するものだそうです。嫦娥は、月を目指す探査機で、探査計画、着陸計画、滞在計画に分かれて順次進行しています。
嫦娥1号と2号は、探査計画に当たり、すでてに成功しています。嫦娥1号では、月の周回軌道を1年かけてめぐり、月の全体の3次元地形(標高データが加わったもの)や表層の元素分析などの科学調査をしています。嫦娥2号では、低高度(100km)で、より高精細の地形(10mメッシュ)で探査しています。これらの調査結果は次の着陸計画に活かされていきます。
嫦娥3号と4号が着陸計画で、探査機が月に着陸しました。嫦娥3号は、月への着陸船(ランダー)と探査車(ローバー)が搭載されていました。2013年12月には着陸に成功していました。ランダーは、夜にも活動しなければならないので、原子力電池(プルトニウムの崩壊熱を利用)を搭載していました。いくつかの観測装置を搭載していますが、天体望遠鏡がはじめて月に持っていかれてことで注目されました。観測のデータの一部は公開されています。調査は順調に進んでいるようです。一方、ローバーは、太陽電池を動力として移動しながら土壌分析などをする予定でいました。しかし、ほとんど探査することなく不調に陥ったようです。
嫦娥4号は2018年12月に打ち上げられ、2019年1月に着陸しました。やはり、ランダーとローバーを搭載していました。嫦娥4号の成果は、月の裏側に着陸したことでした。月の裏側の着陸は、人類史上はじめてのことでした。裏面の地形などは、日本も含めていろいろな国の周回衛星で観測はされていましたが、着陸は初めてでした。それは裏側の探査では、探査機とデータのやり取りをすることが不可能です。地球から見ると常に裏側なので通信できないからです。単独の探査機では地球との通信が直接できないため、中継システムが必要になります。中国は、鵲橋(じゃっきょう)という衛星を、地球ー月ラグランジュ点(L2)に中継衛星として置いていました。
次の嫦娥5号は、まだ計画段階ですが、サンプルリターンを考えているようです。当初の計画からは遅れていますが、やがて次の滞在計画になるのでしょう。中国は、神舟で有人飛行にすでに成功しています。宇宙ステーションも準備しています。中国は月に人を送り込み、滞在することを目指しています。
嫦娥4号の成果については、次回としましょう。
・論文執筆・
現在、論文を書いています。
当然全体的な、私自身の研究のライフワークと
年次計画を持っています。
そのため、論文ごとに、
研究計画に基づいて書いてくことになります。
私はいろいろな書き方をしているのですが、
当初書いく方針はあったのですが
なかなかまとまらないので
とりあえず書ける前半から書き始めていきました。
それが結構な量になってきたので、
後半の重要となる目標の部分は、
半分くらいにして、
別の論文にしなければならないみたいです。
こんなことはよくあることなので、
まあ、少しずつ進むことが重要だと思っています。
・調査計画・
ゴールデンウィークには私用での旅行をしました。
それ以降は、今年の調査計画に基づいて
野外調査を休日にすすめています。
まずは道北、続いて道東と道央になります。
道央は露出があまりよくないので、
短期を2回ほどを考えています。
道東は時間が必要なので、今回は1回だけの予察です。
道東は行ったことないところも
何箇所か含まれていますので楽しみですが、
でもいい露頭を見つけられるかどうかが重要なのですが。
今年の1月に中国の探査機が月の裏側に着陸したというニュースが流れました。その探査機は、嫦娥(じょうが)4号という名前でした。4号ということは、1号から3号までが先行してあるはずですし、もしかすると、5号以降もありそうです。そんな中国の月田探査計画を見ていきましょう。
嫦娥とは、昔の中国の神話に登場する人物で月に関係するものだそうです。嫦娥は、月を目指す探査機で、探査計画、着陸計画、滞在計画に分かれて順次進行しています。
嫦娥1号と2号は、探査計画に当たり、すでてに成功しています。嫦娥1号では、月の周回軌道を1年かけてめぐり、月の全体の3次元地形(標高データが加わったもの)や表層の元素分析などの科学調査をしています。嫦娥2号では、低高度(100km)で、より高精細の地形(10mメッシュ)で探査しています。これらの調査結果は次の着陸計画に活かされていきます。
嫦娥3号と4号が着陸計画で、探査機が月に着陸しました。嫦娥3号は、月への着陸船(ランダー)と探査車(ローバー)が搭載されていました。2013年12月には着陸に成功していました。ランダーは、夜にも活動しなければならないので、原子力電池(プルトニウムの崩壊熱を利用)を搭載していました。いくつかの観測装置を搭載していますが、天体望遠鏡がはじめて月に持っていかれてことで注目されました。観測のデータの一部は公開されています。調査は順調に進んでいるようです。一方、ローバーは、太陽電池を動力として移動しながら土壌分析などをする予定でいました。しかし、ほとんど探査することなく不調に陥ったようです。
嫦娥4号は2018年12月に打ち上げられ、2019年1月に着陸しました。やはり、ランダーとローバーを搭載していました。嫦娥4号の成果は、月の裏側に着陸したことでした。月の裏側の着陸は、人類史上はじめてのことでした。裏面の地形などは、日本も含めていろいろな国の周回衛星で観測はされていましたが、着陸は初めてでした。それは裏側の探査では、探査機とデータのやり取りをすることが不可能です。地球から見ると常に裏側なので通信できないからです。単独の探査機では地球との通信が直接できないため、中継システムが必要になります。中国は、鵲橋(じゃっきょう)という衛星を、地球ー月ラグランジュ点(L2)に中継衛星として置いていました。
次の嫦娥5号は、まだ計画段階ですが、サンプルリターンを考えているようです。当初の計画からは遅れていますが、やがて次の滞在計画になるのでしょう。中国は、神舟で有人飛行にすでに成功しています。宇宙ステーションも準備しています。中国は月に人を送り込み、滞在することを目指しています。
嫦娥4号の成果については、次回としましょう。
・論文執筆・
現在、論文を書いています。
当然全体的な、私自身の研究のライフワークと
年次計画を持っています。
そのため、論文ごとに、
研究計画に基づいて書いてくことになります。
私はいろいろな書き方をしているのですが、
当初書いく方針はあったのですが
なかなかまとまらないので
とりあえず書ける前半から書き始めていきました。
それが結構な量になってきたので、
後半の重要となる目標の部分は、
半分くらいにして、
別の論文にしなければならないみたいです。
こんなことはよくあることなので、
まあ、少しずつ進むことが重要だと思っています。
・調査計画・
ゴールデンウィークには私用での旅行をしました。
それ以降は、今年の調査計画に基づいて
野外調査を休日にすすめています。
まずは道北、続いて道東と道央になります。
道央は露出があまりよくないので、
短期を2回ほどを考えています。
道東は時間が必要なので、今回は1回だけの予察です。
道東は行ったことないところも
何箇所か含まれていますので楽しみですが、
でもいい露頭を見つけられるかどうかが重要なのですが。
2019年5月23日木曜日
6_160 月の探査 1:神舟計画
1月に中国の月探査のニュースが流れてきました。その他にも、月に関する研究報告もいくつかでてきたので、まとめて紹介していきたいと思います。まずは中国の宇宙探査についてです。
今年1月に中国の嫦娥(じょうが)4号が月の裏側に着陸した、というニュースが流れました。中国の宇宙開発に関するニュースが時々報道されますが、中国は宇宙開発に関しても着実に実力をつけてきているようです。
中国は、長く宇宙探査に取り組んでいたようです。中国は、米ソの冷戦中、ソビエト連邦の援助を受けながら、独自の宇宙開発を目指していました。しかし、1960年代に中ソの関係悪化にともなって、ソビエト連邦の援助が受けられなくなり、独自で開発していくことになりました。それでも、長征1号というロケットの打ち上げに1970年に成功し、東方紅1号という人工衛星も、その時打ち出していました。ソビエト連邦の崩壊後、ロシアからソユーズの技術提供を再び受けて、有人衛星の技術も取り込みまれました。
次に大きくニュースに取り上げられたのは、神舟でした。神舟は、中国の有人宇宙飛行計画になります。神舟5号で、はじめて有人宇宙飛行に成功しました。自国のみの力で成功したのは、ソビエト連邦とアメリカ合衆国に次いで3国目となりました。神舟は、技術協力を受け、実績のあるロシアのソユーズの宇宙船を基本として改良を加えています。無人ですが天宮1号と命名された宇宙ステーション実証機も宇宙空間に上げています。天宮1号へ神舟8号は無人でしたが、ドッキング実験をして成功しました。なおこの天宮1号は、2018年に大気圏に突入して燃え尽きています。
神舟5号では乗員は1名でしたが、7号では3名、9号と10号でも3名、11号では2名が搭乗していました。着実に有人での宇宙飛行の実績を積み重ねています。現在では中国も、宇宙開発で世界のトップクラスの実力をもってきたことになります。
現在中国は経済力もあるので、多額の費用を宇宙探査にも投資しているので、計画はかなり進んでいるようです。次は嫦娥(じょうが)計画を少し詳しく見ていきましょう。
・早朝の快晴の空・
北海道は桜が終わり、桃とツツジ、チューリップなど
春から初夏の花が一斉に咲き始めています。
ここしばらく快晴の日が多いので、
快適な日々が続ています。
朝型の生活をしているので、
早朝の朝日が登る頃、
快晴の空のもと農場の中の道を歩くのは
非常に心地よいものです。
・道北の露頭・
今週末から再び道北の調査にでます。
前回は、初日から2日目まで天気が悪くて
目的の露頭をあまりじっくり見ることができませんでした。
できれば、今回はじっくりと露頭を見たいと思っています。
調査とは、目的に合う露頭をみつけて、
しっかりと観察していくことです。
いい露頭が見つかるといいのですが。
道北では、景観のきれないところは
いくつもあるのですが、
何度も通いたくなるような露頭は
まだみつかっていません。
今年1月に中国の嫦娥(じょうが)4号が月の裏側に着陸した、というニュースが流れました。中国の宇宙開発に関するニュースが時々報道されますが、中国は宇宙開発に関しても着実に実力をつけてきているようです。
中国は、長く宇宙探査に取り組んでいたようです。中国は、米ソの冷戦中、ソビエト連邦の援助を受けながら、独自の宇宙開発を目指していました。しかし、1960年代に中ソの関係悪化にともなって、ソビエト連邦の援助が受けられなくなり、独自で開発していくことになりました。それでも、長征1号というロケットの打ち上げに1970年に成功し、東方紅1号という人工衛星も、その時打ち出していました。ソビエト連邦の崩壊後、ロシアからソユーズの技術提供を再び受けて、有人衛星の技術も取り込みまれました。
次に大きくニュースに取り上げられたのは、神舟でした。神舟は、中国の有人宇宙飛行計画になります。神舟5号で、はじめて有人宇宙飛行に成功しました。自国のみの力で成功したのは、ソビエト連邦とアメリカ合衆国に次いで3国目となりました。神舟は、技術協力を受け、実績のあるロシアのソユーズの宇宙船を基本として改良を加えています。無人ですが天宮1号と命名された宇宙ステーション実証機も宇宙空間に上げています。天宮1号へ神舟8号は無人でしたが、ドッキング実験をして成功しました。なおこの天宮1号は、2018年に大気圏に突入して燃え尽きています。
神舟5号では乗員は1名でしたが、7号では3名、9号と10号でも3名、11号では2名が搭乗していました。着実に有人での宇宙飛行の実績を積み重ねています。現在では中国も、宇宙開発で世界のトップクラスの実力をもってきたことになります。
現在中国は経済力もあるので、多額の費用を宇宙探査にも投資しているので、計画はかなり進んでいるようです。次は嫦娥(じょうが)計画を少し詳しく見ていきましょう。
・早朝の快晴の空・
北海道は桜が終わり、桃とツツジ、チューリップなど
春から初夏の花が一斉に咲き始めています。
ここしばらく快晴の日が多いので、
快適な日々が続ています。
朝型の生活をしているので、
早朝の朝日が登る頃、
快晴の空のもと農場の中の道を歩くのは
非常に心地よいものです。
・道北の露頭・
今週末から再び道北の調査にでます。
前回は、初日から2日目まで天気が悪くて
目的の露頭をあまりじっくり見ることができませんでした。
できれば、今回はじっくりと露頭を見たいと思っています。
調査とは、目的に合う露頭をみつけて、
しっかりと観察していくことです。
いい露頭が見つかるといいのですが。
道北では、景観のきれないところは
いくつもあるのですが、
何度も通いたくなるような露頭は
まだみつかっていません。
2019年5月10日金曜日
1_168 グランドキャニオンの不整合 5:クレーター
グランドキャニオンの不整合には、クレーターに関する謎を解決するヒントも隠されていました。不整合とクレーターが、どう結びついているのでしょうか。そこには、スノーボールアースが関わっていました。
カンブリア紀の少し前の時代に、グランドキャニオンなどに見られる大きな時代ギャップをもった不整合は、スノーボールアースの氷河による激しい侵食ためだという報告があることを紹介してきました。陸地の岩石が侵食を受けて、その堆積物が地殻深部に入り込みmマグマをつくる起源物質として再利用されていることになったと考えられています。ジルコンという鉱物の化学組成を用いて検証していました
論文では不整合の存在の他に、スノーボールアースの氷河の影響を、クレーターの問題についても言及しています。クレーターは、隕石の衝突によってできます。隕石は惑星の材料ですので、惑星形成期には多数の隕石が衝突合体していました。ある程度原始の惑星(地球も含みます)が成長すると、惑星の軌道付近の隕石は、すべて衝突合体してしまいます。
現在でも、隕石は落下しています。隕石の衝突は偶発的なものですが、大きさを問わなければ、多数の隕石が、今でも地球には落ちてきています。小さな隕石ほど多く、大きな隕石は少なくなっています。しかし、地球創成期は別にすれば、その衝突では大きいものが少なく、小さいものが多いという比率は一定であると考えられます。大気や海洋のない月で、クレーターのサイズと時代ごとの落下頻度の関係が調べれています。
稀ではあっても、長い時間で考えれば、大きな隕石の衝突も一定の比率で起こったと考えられます。大きなクレーターは、新しいものから古いものまであるはずです。もちろん、クレーターは見つけられるのは、見えるところが主なので、大陸域にものが主となります。海洋地域では、海洋プレートが沈み込んでしまうので、古いものは表面から消えてしまいます。陸地では浸食作用が働くので、古いクレーターは、消されていきます。ですから同じ比率でクレーターが形成されていたとしても、古いものは少なく、新しいものは多くなるはずです。その傾向はカンブリア紀以降のクレーターで検討できます。
論文では、25億年前まで遡ってクレーターの形成年代を調べています。カンブリア紀以前には、巨大なクレーター(直径100km以上)のものが2個見つかるだけでした。現在からカンブリア紀までの統計的推定からは、カンブリア紀以前にももっと見つかっていていいはずなのですが、見つからないということになります。つまり、約6億年前以前に形成されていたクレーターがなくなっていることになります。この問題も、陸地の巨大氷河がクレーターを削り取ってしまえば、答えとなります。
しかし、スノーボールアースの考えにも問題があります。それは、スノーボールアースの氷河期の終わり(約6億3500万年前)とカンブリア紀始まり(5億4100万年前)までの間に、1億年近い時間差があることです。カンブリア紀の生物が爆発的増える現象(カンブリアの大爆発)は、生物の進化なので時間が必要でしょうが、堆積物はそれだけの時間があれば、大量に形成されているはずで、その期間の堆積物が少ないのが問題となっています。著者たちもいっているのように、今後の課題でしょう。
・スケーリング則・
隕石の落下の頻度は、小さいものが多く、
大きいものが少ない、といいました。
同じような傾向は、
多くの自然現象で見られるものです。
地震のマグニチュードとその発生頻度、
雪や雨の降雨量とその頻度、
自然災害の規模とその頻度
などがあります。
社会現象にも似たものが見られます。
株価の変動幅の大きさとその頻度、
事故の規模の大きさとその頻度など
いろいろなもので、小さくものは多く
大きものは少ない、という現象が挙げられます。
このような現象で、関係が明らかにされたものは
スケーリング則と呼ばれ、現象の解明のヒントなります。
・5月病・
ゴールデンウィークも終わり、
私は半分の期間で、研究に専念できる時間があり
ありがたかったのですが、
授業がある日常に復帰するのに少々時間がかかりました。
少々5月病になってしまっていたようです。
学生たちも、連休から1周間経って、
やっと平常的な気分になってきたようです。
中には5月病に悩んでいる学生もいるでしょうが、
なんとか立ち直って欲しいものです。
カンブリア紀の少し前の時代に、グランドキャニオンなどに見られる大きな時代ギャップをもった不整合は、スノーボールアースの氷河による激しい侵食ためだという報告があることを紹介してきました。陸地の岩石が侵食を受けて、その堆積物が地殻深部に入り込みmマグマをつくる起源物質として再利用されていることになったと考えられています。ジルコンという鉱物の化学組成を用いて検証していました
論文では不整合の存在の他に、スノーボールアースの氷河の影響を、クレーターの問題についても言及しています。クレーターは、隕石の衝突によってできます。隕石は惑星の材料ですので、惑星形成期には多数の隕石が衝突合体していました。ある程度原始の惑星(地球も含みます)が成長すると、惑星の軌道付近の隕石は、すべて衝突合体してしまいます。
現在でも、隕石は落下しています。隕石の衝突は偶発的なものですが、大きさを問わなければ、多数の隕石が、今でも地球には落ちてきています。小さな隕石ほど多く、大きな隕石は少なくなっています。しかし、地球創成期は別にすれば、その衝突では大きいものが少なく、小さいものが多いという比率は一定であると考えられます。大気や海洋のない月で、クレーターのサイズと時代ごとの落下頻度の関係が調べれています。
稀ではあっても、長い時間で考えれば、大きな隕石の衝突も一定の比率で起こったと考えられます。大きなクレーターは、新しいものから古いものまであるはずです。もちろん、クレーターは見つけられるのは、見えるところが主なので、大陸域にものが主となります。海洋地域では、海洋プレートが沈み込んでしまうので、古いものは表面から消えてしまいます。陸地では浸食作用が働くので、古いクレーターは、消されていきます。ですから同じ比率でクレーターが形成されていたとしても、古いものは少なく、新しいものは多くなるはずです。その傾向はカンブリア紀以降のクレーターで検討できます。
論文では、25億年前まで遡ってクレーターの形成年代を調べています。カンブリア紀以前には、巨大なクレーター(直径100km以上)のものが2個見つかるだけでした。現在からカンブリア紀までの統計的推定からは、カンブリア紀以前にももっと見つかっていていいはずなのですが、見つからないということになります。つまり、約6億年前以前に形成されていたクレーターがなくなっていることになります。この問題も、陸地の巨大氷河がクレーターを削り取ってしまえば、答えとなります。
しかし、スノーボールアースの考えにも問題があります。それは、スノーボールアースの氷河期の終わり(約6億3500万年前)とカンブリア紀始まり(5億4100万年前)までの間に、1億年近い時間差があることです。カンブリア紀の生物が爆発的増える現象(カンブリアの大爆発)は、生物の進化なので時間が必要でしょうが、堆積物はそれだけの時間があれば、大量に形成されているはずで、その期間の堆積物が少ないのが問題となっています。著者たちもいっているのように、今後の課題でしょう。
・スケーリング則・
隕石の落下の頻度は、小さいものが多く、
大きいものが少ない、といいました。
同じような傾向は、
多くの自然現象で見られるものです。
地震のマグニチュードとその発生頻度、
雪や雨の降雨量とその頻度、
自然災害の規模とその頻度
などがあります。
社会現象にも似たものが見られます。
株価の変動幅の大きさとその頻度、
事故の規模の大きさとその頻度など
いろいろなもので、小さくものは多く
大きものは少ない、という現象が挙げられます。
このような現象で、関係が明らかにされたものは
スケーリング則と呼ばれ、現象の解明のヒントなります。
・5月病・
ゴールデンウィークも終わり、
私は半分の期間で、研究に専念できる時間があり
ありがたかったのですが、
授業がある日常に復帰するのに少々時間がかかりました。
少々5月病になってしまっていたようです。
学生たちも、連休から1周間経って、
やっと平常的な気分になってきたようです。
中には5月病に悩んでいる学生もいるでしょうが、
なんとか立ち直って欲しいものです。
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