2018年10月18日木曜日

2_160 ムカワリュウ 1:1934か1978か、それとも21

 恐竜の化石の発見は、日本でも最近はよく聞くニュースとなりました。しかし、化石の発見は、ほんの40年ほど前のことです。恐竜研究や研究者養成は、もっと後のことでした。

 かつて日本では、恐竜の化石はほとんど見つかることがなく、恐竜発掘や研究は欧米での話だと考えられていました。ですから、恐竜研究をしたければ、アメリカやヨーロッパにいって、そちらの標本を借りて、研究しなければならない状況でした。日本では、恐竜の研究者も少ない状態でした。
 日本で最初の恐竜の発見は、1934年のことでした。北海道大学の長尾巧教授のもとに、恐竜の化石が発見されたという一報がありました。場所は、当時日本領であった樺太の川上炭坑(現シネゴルスク)の病院の建築現場でした。化石を取り出すために、建築中の病院を壊しています。3年かけて発掘した結果、全身の60%(40%とも)の骨が発掘されました。今でも、日本でもっとも保存状態のよい恐竜化石となっています。
 その恐竜は、ニッポノサウルス・サハリネンシス(Nipponosaurus sachalinensis)として、1936年に報告されました。通称、ニッポノサウルスという名称と呼ばれています。しかし、この化石の詳しい研究は、ほとんど進められることなく、北大に埋もれたままになっていました。その後、2004年に再び研究されて、ハドロサウルス科の恐竜で、大人になる前のもの(2歳~3歳の亜成体)だとわかりました。復元骨格のレプリカがつくられ、現在では、北海道大学総合博物館と国立科学博物館に展示されています。
 樺太は当時日本領だったのですが、現在はロシア領になっています。ですから、日本産とはいいづらいものがあります。
 日本国内での発見は、1978年、岩手県岩泉町茂師(もし)で発見されたフタバスズキリュウ(学名:Futabasaurus suzukii フタバサウルス・スズキイ)です。首長竜のプレシオサウルスの仲間です。上腕骨が発見され、発見場所にちなんでモシリュウと呼ばれています。これも、2006年に佐藤たまきと真鍋真主、長谷川善和館さんたちが記載して、新属の新種の首長竜と判明しました。
 最初の恐竜の発見が40年前のことですから、日本の恐竜発掘の歴史は、浅いものです。また、恐竜の記載の状況を見ると、恐竜の研究者も、21世紀になって、やっと何人も育ってきたように見えます。今では、日本各地から恐竜の化石が、各地で研究者が育ってきました。

・復元骨格・
ニッポノサウルスの復元骨格には、少々、思い出があります。
当時国立科学博物館の地学部長をされておられたSさんと
ある学会誌で博物館の特集を組むことになりました。
その時、一緒に編集作業をしているとき、
Sさんから、国立科学博物館で
ニッポノサウルスのレプリカを作成している
という話を聞きました。
それはいい思い、二人で相談して、
その特集の表紙をニッポノサウルスの復元骨格で飾ることにしました。
その表紙は、なかなかいい出来だったと思っています。

・雪虫・
北海道は、ここしばらく、
はっきりしない天気が続いています。
一日のうちで、晴れたり、曇ったり、
雨が降ったり、それが繰り返されます。
先日の晴れた日の夕方、
今年はじめての雪虫を見ました。
しかし、大量発生ではなく、少ない数でした。
雪虫が飛ぶと初雪が近いと言われていますが、
今年の秋の深まりは、人にも雪虫にも、
ややこしいようです。
でも、着実に、冬は近づいています。

2018年10月11日木曜日

6_157 TESS 3:ミッション

 新しい宇宙望遠鏡には、新たなミッションが託されます。その結果は、科学者の期待を裏切るほどであって欲しいものです。TESSの主たるミッションは、地球のような惑星が、特別なのか普遍的なのか、を検証することです。

 TESSは、Transiting Exoplanet Survey Satellite、「トランジット系外惑星探索衛星」の略なので、トランジット法を用いて系外惑星を見つけようというものです。トランジット法とは、惑星が恒星の前を通るときの明るさの変化をとらえるものでした。宇宙空間ですから、大気の影響を受けないで精度良く観測できます。
 最後に、TESSのミッション(使命)について、説明をしていきましょう。TESSは、安定してはいるのですが、不思議な軌道を用いています。月の共鳴軌道と呼ばれるもので、大きな楕円の軌道で、月によって安定したものだそうです。これまで使われたことがない軌道でが、地球からかなり離れたところめぐります。そのため、地球近辺のデブリや大気の影響で、観測装置や本体の損傷が最小限になると考えられています。
 この軌道で、13.7日ごとに地球に近づくことになります。そのため、観測データを近づいた時、3時間ほどで一気に送信する仕組みとなっています。4台のカメラで、最初の1年は南天を、あとの1年は北天を観測して、全天のほとんど(85%)を網羅することが、ミッションになっています。
 探査は、主系列星の恒星を対象にしています。主系列星でも、太陽に似たG型と赤色矮星(M型矮星)やそれに近いK型を中心に観測されます。赤色矮星とは、私たちの太陽より暗く小さい天体なのですが、その数は非常に多くなります。惑星で、恒星に近いところを巡っているのものが、見つかりやすくなります。赤色矮星でそのような軌道の惑星であれば、表面に水がある可能性が高くなります。
 TESSのミッションでは、太陽系に近い(地球からおよそ300光年以内)、50万個の恒星が対象になり、これまで見つけることが難しかった、地球程度のサイズの惑星で、比較的長い(2ヶ月)の公転周期の天体なども見つけられるのではないかと考えられています。
 TESSの最初の写真が、2018年5月に送られてきました。そこには、ケンタウルス座近辺の天体が20万個以上写っているそうです。ケプラー宇宙望遠鏡は、多様な系外惑星の発見し、私たちの太陽系が、惑星系の典型ではなく、多様性の一つに過ぎないことを教えてくれました。TESSでは、地球のような水や生命が存在しうる惑星が、特別なのか、普遍的なのかを教えてくれることが期待されます。今後も注目していきたい話題です。

・秋めいて・
北海道は、秋が本格的になってきました。
日が出ているうちは、室内は暑いくらいでしたが、
日が陰ると、一気に肌寒くなりました。
先日の日曜日、自宅で、はじめてストーブを焚きました。
しかし、2時間ほど焚いたら、暖かくなったので切りました。
そんなストーブを焚いたり消したりの日々が
少しずつ増えてくる季節になりました。
いよいよ秋が深まってきました。

・入試・
大学は、入試が始まっています。
AO入試は9月から始まっていますが、
いよいよ本格的になります。
続いて、推薦入試、そして一般入試となります。
来年度から新しく大学入試共通テストが実施されるのですが、
今年の11月には、そのプレテストが行われます。
高校2年生が対象のプレテストとなります。
まだ私たちには、、詳細は知らされていないので、
どのようになるのでしょうかね。

2018年10月4日木曜日

6_156 TESS 2:ケプラー宇宙望遠鏡

 宇宙からの観測は、費用がかかるし、動かすためのエネルギーも必要だし、メインテナンスもできないし、などという欠点は多々あります。大気の影響がないという点は、非常に大きなメリットになっています。

 前回は系外惑星の最初の発見の経緯を紹介しました。1995年の最初の発見を契機に、次々と新しい惑星が見つかってきました。最初の発見は、前回説明したようなドップラー法でしたが、惑星が恒星の前を通るときの明るさの変化をとらえるトランジット法、手前の天体の重量により実際より明るく見える効果を利用する重力レンズ法、などいろいろな方法でも、系外惑星が発見されるようになってきました。
 地表の望遠鏡を用いた系外惑星の発見を受けて、2009年に、NASAはケプラー宇宙望遠鏡を打ち上げました。大気の影響のない宇宙空間から観測をするためです。ケプラーは、恒星の明るさの変化を調べるトランジット法で観測をおこないました。惑星の存在や特徴も調べていくものです。
 当初の運用計画では、3年半で10万個の恒星の観測をすることになっていました。その結果、多数の4000個以上の惑星候補を発見しました。惑星候補とは、今後検証が必要ですが、惑星の存在の可能性を捉えたということです。今後の詳細な観測で確定してくことになります。
 運用期間を5年以上も過ぎた2018年には、推進剤がなくなりそうなので、観測は休止になりました。しかし、2016年5月15日までに、2325個の系外惑星を発見しています。大きな成果となりました。
 多数の系外惑星の発見から、多様な惑星系ががあることわかってきました。多様な惑星として、ホット・ジュピター以外にも、特異な軌道を持つもの(エキセントリック・プラネット、逆行惑星)、木星より小さい海王星サイズの惑星(ホット・ネプチューン)、地球の数十倍から数倍のサイズの惑星(ミニ・、ネプチューン、スーパー・アース)、そして地球に似た惑星、水がありそうな惑星(海洋惑星)など、多様な惑星が発見されてきました。私たちの太陽系の惑星は、多様な惑星系のひとつに過ぎなかったのです。
 宇宙からの観測は、非常に有効であることが、ケプラー望遠用によって、証明されました。そこで次期の宇宙望遠鏡としてTESSが打ち上げれました。詳細は、次回としましょう。

・台風の影響・
10月になり、北海道は秋めいてきました。
ただし、不順な天候もあり、
紅葉の進み具合があまりよくないようです。
先週末に調査にでたのですが
台風の影響で、2泊のところを1泊にしました。
札幌周辺は台風の影響はほとんどなかったのですが、
大雪から十勝にかけてはなかり雨が降ったので、
途中で中止してよかったです。
今週末にも、また台風が・・・

・はやぶさ・
宇宙望遠鏡は、手間も時間もかかる観測になります。
アメリカのように国力ある国では
一国で打ち上げ、運用することできます。
日本では、一機ずつの費用を抑えて、
特化した目的での観測となります。
はやぶさ、はやぶさ2などはその典型でしょう。
最近は、はやぶさの調査も気になっています。

2018年9月27日木曜日

6_155 TESS 1:ペガスス座51番星b

 私たちの太陽系以外の惑星を、系外惑星と呼びます。1995年以来、多数の系外惑星が見つかってきました。もっと多数の惑星が見つかる探査が、はじまっています。系外惑星の新しい探査も含めて、紹介していきましょう。

 私たちの太陽系は、地球が属している恒星系のことをいいます。私たちの銀河には、数千億個の恒星があります。しかし、1995年まで、私たちの太陽系以外で惑星の存在は確認されていませんでした。
 1995年10月6日、マイヨールとケローにより、太陽系以外の恒星からはじめて惑星が見つかりました。木星サイズの惑星でした。この惑星は、ペガスス座51番星bと命名されました。惑星サイズは木星の半分ほどで想定内でしたが、その軌道が天文学者の予想を裏切る特異でした。太陽からの地球の距離を単位(auと略されています)であわらすことがあるのですが、その単位でみると、ペガスス座51番星bは0.05auのことろでした。太陽系で一番内側にある水星が0.387auですから、それよりずっと太陽に近いところに惑星があったのです。これは予想外の発見でした。
 太陽に近いため、惑星の環境は非常に暑いものとなります。大きさが木星のサイズで、なおかる暑いので、「ホッと・ジュピター」と呼ばれるようになります。
 この発見で、太陽系外に惑星が存在することは、私たちの惑星系が銀河や宇宙内で、特別なものではない可能性を示したことになります。他にもいろいろな影響を与えました。その後、一気に系外惑星の発見が相次ぎました。
 太陽系外で惑星を探す方法にはいくつかあるのですが、この発見は、恒星のふらつきを観測するものです。そのふらつきは、波長伸び縮みを観測することで、惑星の存在を間接的に推定するものです。ドップラー法と呼ばれています。この方法では、恒星の近くを巡る惑星、質量の大きな惑星が発見されやすくなります。ペガスス座51番星bはその条件を満たしていました。
 ただし、太陽系の例から、質量の大きな惑星の公転周期は年単位だと考えられていました。そのため、長期の観測が必要だと考えられており、いくかの観測はなされていたのですが、データの解析がなされていませんでした。しかし、この発見を契機に、データの解析が進められたところ、次々と系外惑星が発見されました。
 その後も系外惑星の発見は続きます。その経緯と最新情報を紹介していきます。

・ケプラー・
以前、このエッセイで、
ケプラーという系外惑星を調べる
宇宙望遠鏡を紹介しました。
ケプラーの発見の衝撃は大きなものでした。
そして今回、新たな宇宙望遠鏡として、
TESSが打ち上げらました。
このTESSの紹介をしていくことにしました。
TESSは一体なにを目指しているのでしょうか。

・道央調査・
週末に、道央の方に調査に出ることにしました。
本州の調査が地震のために、中止になったので、
その代替として北海道の中央部を見て回ることにしました。
来年度以降の予察とも位置付けています。
北海道は急の秋めいてきたので、
北海道の中軸部では雪が心配になります。
天候ばかりはどうしようもないので、
天候に合わせて行動するしかありません。

2018年9月20日木曜日

5_159 火星の水 4:地下の水

 火星の地下に広がる氷の下に、H2Oの水がある可能性が示されました。複雑な解析や前提があるのですが、今まで生物の存在に対して、否定的な状況だったのですが、これは明るい材料となりそうです。

 火星の表層には、恒常的なH2Oの水はないのですが、地下で水を見つけたという報告がありました。
 火星の南極には、H2Oの氷があります。氷だけでなくチリも混じっている、多層構造になっているようですが、巨大な氷を主成分とする塊があります。広さは200 kmもあるようです。オロセイさんの報告では、それらの氷の層の下、1.6 kmほどの深さのところに、20 kmの広さにわたって、明るく見えるレーダーの反射が見つかりました。
 この明るい部分は、氷の可能性もあったのですが、堆積物の組成や地下の温度構造を想定して、詳しく解析していきました。この明るい部分は、固体状の物質としては強すぎるため、液体の水が染みこんだ堆積物と氷との境界面であることだと推定されました。さらに、装置の検出限界を考えると、液体の水の厚みは、少なくとも数十cm以上となると推定されています。
 かなり複雑な処理をしていますし、いくつかの仮定もおいているので、今後も検討が必要になります。もしこれがH2Oの水の層だとしたら、という仮定が持てるような根拠ができのです。
 この水の層は、地下の深いところに、広くひろがっているので、恒常的に存在しそうです。この水が、どのようにできたのか、そしてどれくらい前にでき、途絶えることなく継続しているのか、などの疑問は今後、解かなければなりません。これまでは、火星生命の探査では、否定できな証拠しか出てきませんでした。これは、火星生命にとっていは、非常に有望な証拠となります。
 もし火星に生命が誕生していれば、そして地球生物のように水を基本的に必要とするものであれば、この水の存在は重要な意味を持ちます。火星には、かつては海や河川もありました。その頃に誕生した生物が、火星の表層から海や河川が恒常的に存在できなくなるような環境になってきたとき、この地下の氷の下に逃げ込んだかもしれません。そして、水が長期間存在していれば、今でも生きのびているかもしれません。などという妄想がもてるようになりました。
 少々深いところですが、この水の層までボーリングすればいいのです。そして、そこに生物いるかどうかをチェックすればいいのです。火星生物の存在する可能な環境が見つかってので、その検証ができるのです。今まで生物の現在の生存にとって、あまり有利な証拠はなかったのですが、今回の報告は希望が持てるものとなりました。

・通常号・
前回は、北海道胆振東部地震で、
急遽作成したエッセイを配信しました。
今回は通常号に戻って、続きのエッセイとなります。
火星の水は、生命の起源となったのでしょうか。
生命は誕生したとしても
現在まで生き延びるは大変だったでしょうか。
真実を知りたいものです。
今後の探査や研究が待たれます。

・後期のスタート・
大学の授業がはじまりました。
地震の被害を受けた学生はいないようですが、
精神的にダメージを受けた学生はいるようです。
一人で地方から出てきた学生にとって、
知り合いの少ない都会での被災は、
心細い思いをした学生もいるようです。
自宅で家族と共に過ごしても、
精神的には疲労感があったのですから、
一人暮らしの学生には辛い体験となったようです。

2018年9月13日木曜日

6_154 台風と地震と

 予定していたエッセイを変更して、今回の北海道の連続した災害について考えたことを書きます。

 今回、北海道は台風21号の被害を受けた直後に、地震が起こりました。私事になりますが、2つの災害での私の状況を書きながら、災害、防災ついて少し考えたことを書きます。とりあえず時系列で私の状況を説明します。

9月4日(火)
 大学の同窓会、同期の同窓会を札幌にておこない、11時ころ列車で友人と共に最寄り駅に帰る。雨が降っているが、まだひどくはなっていない。夜、台風のひどい強風と雨となり、時々目覚める。3時ころ、ひどい音が我が家の外でする。向かいの家のトタンが飛んできたものであった。隣人と消防が、我が家のチャイムを鳴らして、自宅に入ってきて、ベランダに引っかかったトタンを撤去してくれる。
9月5日(水)
 大学に家内に車で送迎してもらう。線路に倒木があり各地でJRが運休している。国道脇で巨木が何本も倒れているのを見えた。夕方、多くの線路が復旧しだしたので、翌日の調査には出かけられそうであるので、一安心する。
9月6日(木)
 明け方3時頃、大地震発生。その直後に停電。一旦は目が覚めるが、翌朝調査にでかけるので再度無理に寝る。余震で何度も目が覚める。朝、停電は継続中であった。大地震であったのはわかるが、停電で情報が届かず、様子がよくわからない。飛行機で調査地に向かう予定であったので、自家用車で出かけるつもりで、準備を進める。スマホやラジオで、地震の被害として、JRやバスなど公共の乗り物の全面運休、信号の停止がわかる。危険なので車での空港移動を躊躇する。7時頃、飛行機も全便運休になったことがJALのホームページでわかり、調査の中止を決定する。9時から、旅館やレンタカーでキャンセルの連絡をする。最初の旅館に連絡したとき、発送した荷物の転送を頼む。水とガスは大丈夫。食料も冷蔵庫、冷凍庫にあるので2日は大丈夫だと思う。懐中電灯を集めたら、家族分や全体の明かりになるものが2つあり、電池も数日は大丈夫そうである。緊急用のラジオもあった。昼、大学のある地域は電気が回復した(ということが、7日に大学に連絡して知る)。
 水が止まるという、次男が、ウワサを聞き、風評だとは思ったが、もしもときのために、バケツに水をためる。水は止まる気配はないが、昼から、家内に手元にある材料で、数回分の食事にできるように、カレーをつくりおきしてもらう。食後、20時ころには家族全員就寝。私はぬるくなりかけたビールを消費する。
9月7日(金)
 大学では電気の復旧しているので、車で大学に出る。途中の道路は、信号がほんが消えているが、一部のみで点灯しているだけであった。家内が車に乗って帰る。研究室をチェックしたところ、被害は軽微であった。インターネットもつながっている。スマホの充電をしならが、同窓生にメール連絡をする。昼、家内に車で迎えにきてもらい、自宅に帰る。夜、ガスで土鍋でコメを炊くが、少々固めになったが食べられる。ラジオで状況をチェック。私はベッドに入り寝始める。22時前、次男が通電したいうので、外を見ると街灯がついている。ブレーカを入れて、自宅の電気機器を順次確認する。ほぼ問題なく復旧している。久しぶりテレビからの情報を少し見て寝る。
9月8日(土)
 大学に車でいく。同窓生などにメールで安否確認の連絡をする。帰りにコンビニを覗くが食料は空っぽであった。家内が朝、生鮮食料を少し入手。残っている冷凍食品で、一旦解凍されたものを様子をみて食べていく。
9月9日(日)
 午前中、地元のスーパーやホームセンターをめぐり状況をみる。緊急用商品が空っぽになっている。生鮮食品も少ないが、少しずつ流通で配送されたものが、並べられるが、一瞬で購入されていく。流通の回復は認められる。
9月10日(月)
 いつものように歩いて、大学に出勤する。地震の被害は流通に残っているが、見た目にはわからない。歩いていくる時、あちこち寄り道をしながら、被害状況をみると、台風の被害が目につく。倒木によって遮断された道路の通行の確保や危険の回避のみが応急処理でなされている。

 ここ数年、被害の大きな災害が各地で起こっています。北海道のように連続して起こることは稀まもしれませんが、災害は多くなっています。自分も被災してみて、防災について考えました。
 まずは自身や家族の身を守ることが、基本となる思います。まずは、自衛といえるでしょう。次に地域住民の助け合いや連携が必要かと思います。そして、公からの情報提供や支援と、いう順になるしょうか。
 そして情報についていも考えました。スマホとインターネットからの情報は、今回被災してみて、非常に重要で有用だということもわかりました。次男を見ていると、スマホで情報を次々と仕入れるのは、良いことです。
 一方で、その中には風評が多々含まれています。それを慎重に見分ける必要があります。次男が、泊原発の新聞の記事を読んでいたのですが、ヘッドラインのみを読んで、内容をよく読んでないこともがありました。そんな不確かな、思い込みの情報が、よかれと思ってインターネットを通じて流すことが、風評となっていくのだということも実感した。
 インターネットだけでなく、大量の情報がある現代社会で、情報をどう受け入れ、どう処理、どう解釈し、どう他人に発信するのか。慎重であるべきだと痛感しました。重要そうにみえる情報は、一気に拡散していきます。ですから、人の情報に対する心がまえ、インターネットに関するスキルの必要性も感じました。

・災害に対して・
このエッセイは野外調査に出る前に
予約していたものを解除し、
新たに書いたものです。
野外調査を中止にしたので、
大学でもいろいろと予定変更になりました。
出張の取りやめの手続きと、研究計画の変更、
大学生協でのチケットのキャンセルなどを急遽しました。
2年前の熊本地震も調査出発の直前に起こり、
同じようにキャンセルしたことがありました。
災害が続くと、人の心構えが重要であるを痛感します。
自然災害は避けることはできません。
ですから復旧段階で、人が如何に着実に
避難、対処するかが求められます。

2018年9月6日木曜日

5_158 火星の水 3:科学的後退

 存在が証明できれば、そこから次なるステップにいけます。しかし、存在が証明できないときは、後退を余儀なくされます。どのような後退の仕方をするかも、なかなか悩ましい問題です。

 科学は面倒くさい手段を取っていきます。科学的な証明は、証拠と論理に基づいてなされていきます。例えば、火星生命や化石が発見されとしたとしましょう。その生命や化石をだれでも調査でき、検証できれば、その存在証明ができます。その後、生物がどのように誕生したのか、どのような生物なのか、地球生物との共通点と相違点などが、次なるステップとなるでしょう。現状までに、何度かの探査が繰り返されてきたのですが、まだ火星生命(化石)の存在は、確認ができていません。少なくともすべての科学者が納得できるような証拠は、出されていません。
 生物の存在が証明できないのであれば、研究を諦めるかというと、一歩下がってスタートすることになります。
 火星には、生命が誕生でき、長く生存でき、進化できるような条件を満たしていたのか、などを探ることです。前回紹介したH2Oの液体の存在が、生命の誕生にとって非常に重要な条件だと考えられています。ですから、液体の水を火星で見つけることに重点がおかれることになります。
 このステップに関しては、成果を上げています。かつては、水が存在した証拠は見つかっています。火星には、海にできる海岸地形や、河川がつくりだした地形があることは、火星表層の詳細な地形調査でわかってきました。
 2015年のNASAが、火星の表面で「過塩素酸塩」を検出したいう報告をしました。過塩素酸塩は、水が存在しなければ、合成されない物質です。それまでにも、この物資は発見されていたのですが、今回は地質学的に重要な意義を持つ場所で見つかりました。火星には、斜面で、暗い筋ができたり消えたりするところが見つかっていました。それは、季節変化だと考えられていました。5年前に見つかっていた筋で、この物質が発見されました。2つの根拠から、水が存在するとされていました。ただし、水を直接、検出したわけでありませんでした。
 火星の両極には白っぽく見える氷があります。その大部分は二酸化炭素の個体ですが、一部はH2Oの氷であることもわかっています。ですから、恒常的にH2Oの氷があることはわかってきました。
 生命誕生や進化には、液体の水として、長期に渡って継続的に存在している場所があるかどうかが重要になります。もし、現在も生きている生物が存在するならば、そのような現在も水の存在することが不可欠になるはずです。
 これまで、液体の水の存在は不明でした。火星表面は詳細に調べられているので、大規模な海や恒常的な河川はありません。季節変化でできる河川はありそうですが、それは恒常的な水の存在ではありません。
 あるとすれば、地下になるでしょう。しかし、氷ではだめです。液体の水が重要です。オロセイさんたちは、地下でH2Oの液体を発見したとサイエンス誌の報告しました。その手段は、軌道上の探査機のレーダーでした。詳細は次回としましょう。

・熱中症・
先週は、帰省していました。
暑かったです。
北海道は涼しかったので、バテてました。
暑い中、母に関する所用で
あちこち、歩き回ったので、
夜、調子が悪くなってきた。
熱中症になってしまいました。
2日間不調で所用を
こなすのに支障をきたしました。

・老母・
酷暑の京都で、母は一人で、
かなりよぼよぼになっていますが、
たくましく生きています。
毎日、連絡をとっていたのですが、
いつも暑いという言葉を聞いていました。
その暑さは実感しました。
北海道に来ていれば、暑く苦しい思いをしなくて
すんだはずなのですが、まあ、母の希望です。
独居できるかぎり、現状で暮らせればと思います。
子としては、そんな母を
できる限りサポートするしかありません。