2025年11月20日木曜日

5_214 隕石の由来 3:コンドライトの特徴

 隕石の由来を明らかにしたという論文がありました。そこで扱われている隕石は2種だけでした。その2種は、隕石の中でも重要で主要なタイプなので、それらの由来がわかることは、重要な情報となります。


 今回紹介している論文のタイトルにあったのは、Lコンドライトと炭素質コンドライトと呼ばれる2種類のコンドライトでした。コンドライトは、いずれも太陽系の初期にできたものでした。それぞれ、どのような種類で意味をもつのかを説明していきます。
 隕石の種類の中でもっとも多い種類は、コンドライトで、隕石全体の79.4%を占めています。そのため普通コンドライトと呼ばれています。普通コンドライトは、HコンドライトとLコンドライトに区分されています。その違いは、化学組成で鉄(Fe)の占める比率が大きいものをH(25〜31 重量%、以下wt%と略します)で、Lコンドライトが小さくなり(20~22wt%)、さらに小さいものをLLコンドライト(19~22wt%)と区分しています。普通コンドライトの内でHコンドライトの比率(47〜50%)と、Lコンドライト(40〜45%)が多く、LLコンドライト(10〜12%)は少なくなっています。Lコンドライトは、隕石全体の中でも35〜40%を占めているため、多く見つかる隕石だといえます。
 Lコンドライトは、ある程度の熱が加わった(熱変成作用を受けた)組織をもっていていますが、コンドリュールの組織が残っていることから、隕石できたときの組織が残っています。水などの揮発成分をあまり含んでいません。
 普通コンドライトは、熱変成作用を受けていますが、揮発性成分が含まれていませんので、太陽系でも太陽から離れた場が固化した可能性があります。ただし、揮発性成分はないので、熱変成で母天体形成時、もしくは形成後に抜けていく過程があったことになります。
 もうひとつの炭素質コンドライトの隕石に占める比率は、4.4%しかないので、かなり稀な種類となります。名前が示すように、炭素(C)を含んでいることが大きな特徴になります。他にも、有機物や水(H2O)などの揮発性成分を多く含んでいることから、母天体となった後、熱や圧力を受けることがなかったと考えられます。
 炭素質コンドライトにはCAI(Ca-Al-rich Inclusions CaとAlに富む包有物)とよばれる、白っぽい不定形のものがあります。CAIは高温で形成される鉱物からできており、太陽系を形成したガスが高温になったのち、最初に固体として凝縮した物質が含まれています。
 炭素質コンドライトは変成作用を受けることなく、炭素や有機物や太陽系でもっとも初期に固化した(始源的と呼ばれます)隕石です。炭素質コンドライトは、炭素、水、揮発成分、岩石、金属鉄など、現在の地球を形成するための成分がすべてそろっています。そのため、地球の材料ではないかとも考えられています。
 では、Lコンドライトと炭素質コンドライトの母天体を、どのようさぐったのか、次回としましょう。

・石ころの声・
隕石は、地球から見れば小さな石ころに過ぎません。
小さくても重要性を理解し、
それを読み取ることで、
石ころの声を聞くことができます。
小さな石ころは隕石だけでなく、
いろいろなところに、いろいろなものが
転がっています。
その声が聞こえれば、
もっと多くの声が聞こえ
地球の秘密が解き明かされることでしょう。
私たちは、まだまだ耳が聞こえてないようです。

・福岡山口の旅行・
福岡、山口の周辺に旅行にいきました。
長男が北九州に住んでいるので、
車を出してもらって、三人で
1泊2日の旅行を楽しみました。
これまではまったく訪れたことがないところで
行きたいところを楽しみました。
若い息子は、体力があるので、
あちこち盛りだくさんに
連れて行ってくれたのですが、
夫婦ともども少々疲れました。
特に妻が疲れているようなので
自宅でのんびりしてもらいましょう。