2025年9月11日木曜日

5_208 惑星形成 1:理論と観測

 惑星の形成は、シミュレーションが主で、観測が難しくて実体はよくわかっていませんでした。観測技術の進歩とともに、徐々に形成過程がわかってきました。形成過程を、詳細に観測した結果が報告されました。


 惑星系の形成過程については、コンピュータを用いたシミュレーション(理論)と、新しい恒星の周辺を観察(観測)することで進められています。理論だけでは、検証できません。観察だけでは法則性や原理がわかりません。両者がそろって確実性が高まってきます。理論と観測の両輪で、研究が進められています。
 惑星の形成過程のシミュレーションは、1960年代から京都大学の林忠四郎を中心としたグループが、世界をリードしていました。「林モデル」という惑星形成モデルがつくられてきました。林モデルによると、中心にある恒星の形成のスタートの直後(100から1000万年経過)に、恒星の周辺に円盤状に集まった物質内で惑星が形成されていくと考えられてきました。惑星形成の場所は、「原始惑星系円盤」と呼ばれています。
 シミュレーションがはじまった時は、観測技術はまだ進歩していなかったのですが、進歩とともに、実際に若い恒星の周りに原始惑星が形成されている円盤が存在することが確かめられました。
 観測は難しかったのは、ガスやチリが多くある恒星周辺は通常(可視光)の観測では見えないからです。ガスやチリの内部の観測は、赤外線、あるいは可視光・近赤外の散乱光の観測、ガスやチリの吸収線や放射線のスペクトル解析、そしてミリ波・サブミリ波の観測などで、実施する必要がありました。
 赤外線の観測では、チリの分布や円盤の温度構造がわかります。可視光・近赤外の散乱光の観測では、円盤の傾きや厚み、形状を調べることができます。
ガスやチリの吸収線や放射線のスペクトル解析では、円盤内の分子を見分けることができます。そしてミリ波・サブミリ波の観測では、いくつかの分子の区分や分布、ガス分子(COなど)の運動、そしてチリのリングや隙間の存在を見つけることができます。
 そのような各種の観測技術の発達と、それぞれの特性を組み合わせることによって、シミュレーションの結果が確認されてきました。いずれも難しい観測になるので、詳細な観測はまだ不足していました。
 また、ひとつの惑星系を調べることは、ある時期のある状態の惑星系を調べていることなります。ですから、惑星の形成「過程」をみていることにはなりません。形成「過程」を調べるには、形成中のさまざまな段階にある、惑星系を同じ精度で調べていく必要があります。
 今回、そんな研究が大規模になされました。まだ成果の解析や報告の途上にある研究プロジェクトですが、その概要を紹介していきましょう。

・地球の調べ方・
この「地球の調べ方」のセッションは
前回は、タンデムモデルのシリーズでした。
その配信は2023年9月28日が
最後になっています。
この時期は、四国にサバティカルで滞在していて
北海道に戻って来る直前に
配信したエッセイとなっていました。
かなり間があいてしまいました。
久々のこのセッションのシリーズになります。

・休暇・
今日から、休暇をとることにしています。
1週間、北海道の田舎で
のんびりと過ごすことにしました。
コロナ禍前はこのようなことをしていたのですが、
その後、サバティカルから退職時期と
バタバタしている時期があったので、
今回、久しぶりに北海道の田舎で
夫婦でのんびりすることにしました。
滞在記は、機会があれば、紹介していきましょう。

2025年9月4日木曜日

4_197 支笏の秘湖へ:オコタンペ湖

 久しぶりの地球地学紀行となります。7月から8月にかけては暑くて、旅行のハイシーズンでもあるので、でかけるのを控えていました。涼しくなってきた8月下旬に、大好きな支笏にでかけました。


 先週、支笏湖を訪れました。退職すると、平日に活動できるという利点を、最大限に利用して出かけました。自宅で昼食とってから、のんびりと出発しました。途中で、恵庭にある白扇の滝や、そして今回紹介するオコタンペ湖、支笏湖畔などいろいろ寄り道してから宿に入りました。
 今回はオコタンペ湖を紹介します。何度が訪れているのですが、奥譚キャンプ場までいったこともあります。ところが、2020年6月から現在も、キャンプ場までは、土砂崩れのため通行止めとなっていました。前回、11月に来たときは、冬期の通行止めでオコタンペ湖にはいけませんでした。5月からはオコタンペ湖までは入れるようになったので、今回でかけました。
 オコタンペ湖は、支笏湖カルデラができる大噴火のあと、恵庭火山の噴火活動で放出された火山放出物が、オコタンベ川を堰き止めてできた堰止湖です。湖水は、その日の太陽光線の位置や、天候、見る時間帯などによって、湖面の色合いが変化します。訪れた日は曇りで風も少しあり波立っていましたが、岸辺はコバルトブルーからエメラルドグリーンになっていました。きれいな色合いが神秘的で、そして近づくのが大変なので、秘湖と呼ばれています。
 オコタンペ湖は、周囲約5km、最大水深20.5mで、西岸には高層湿原があります。オコタンペ川は、急な湖畔には近づけませんが、湖の全域が特別指定保護区であり立ち入りは禁止されています。道路沿いの展望台から見ることができます。
 オコタンベ川は、支笏湖に流れ込む、長さ約3.5kmほどの短い沢ですが、オコタンベ湖が支笏湖より標高差が300mもある高い位置にあるので、急流となっています。下流の河口となる奥潭のキャンプ場には、道路が通じていた時にいったことがあり、撮影もしていました。しばらくは再訪は難しいでしょうね。
 北海道には三大秘湖があり、オコタンペ湖はそのひとつになっています。その他にオンネトー、東雲湖があります。オンネトーは今年の初夏にいきましたが、東雲湖には昔いったきり、しばらくいっていません。そんな昔に思いを馳せきましょうか。

・いろいろな面・
今回、支笏湖の周辺を散策しました。
いつ来ても、その豊かな自然に癒やされます。
その自然の背景には、
活火山の激しさ、
人里離れた地の静寂、
山深い自然の神秘さ、
人を寄せ付けない火山の厳しさ、
火山の恵みたる温泉の心地よさ、
そんないろいろな面を感じさせてくれます。

・多くが望まない・
湖畔は、団体や観光客が多数訪れています。
湖畔のホテル街は、賑わっていていました。
小さい観光地なので、土産や飲食店が充実しています。
ビジターセンターもあり、
情報がえやすくなっています。
ただし、少々価格が高くなっています。
私たちは老夫婦なので、
多くを望むことはありません。
美しい景色と温かい温泉、
美味しい食事が少々あれば
満足できます。