2025年9月18日木曜日

5_209 惑星形成 2:アルマ望遠鏡

 今回の研究は、チリの高原の砂漠にあるアルマ望遠鏡を用いています。そんな僻地に最先端のアンテナが設置されています。それにには理由があり、その利点を活かした観測のプロジェクトが実施されました。


 今回のシリーズで紹介している研究は、台湾中央研究院の大橋永芳さんたちの国際グループで実施されました。アルマ望遠鏡を用いてなされた大規模プログラム(eDisk:Early Planet Formation in Embedded Disks 包埋円盤内での初期惑星形成 という名称で呼ばれています)として実施されました。
 そもそもアルマ望遠鏡のアルマとは、ALMA(Atacama Large Millimeter/submillimeter Arrayアタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計)の頭文字からとっています。
 チリ北部アタカマ砂漠で、標高5000メートルもの高地に、2002年から建設がはじまり、未完ですが2011年から科学観測が開始されました。2014年6月に全てのアンテナが到着し、12メートルのパラボラアンテナ54台と、7メートルのパラボラアンテナ12台の合計66台という構成が完成しました。いくつか、あるいはすべてを1個のアンテナとして機能させることで、1つの巨大な電波望遠鏡として観測ができる電波干渉計です。
 ミリ波・サブミリ波の観測は、大気中に酸素分子(O2)や水蒸気(H2O)に水分があると吸収されていきます。アタカマ砂漠は、標高が高く、水分が少ないので、ミリ波・サブミリ波の観測に適した地域になります。
 干渉計とは、複数の電波望遠鏡(アンテナ)を離れた場所に設置して、同じ天体を同時に観測して信号を合成する装置です。解像度は、個々のアンテナの直径ではなく、組み合わせたアンテナ全体を最大の長さ(最大基線長と呼ばれる)によって決まっていきます。ですから、多数のアンテナを組み合わせることで、ひとつのアンテナではえられない高い解像度を達成できます。
 干渉計方式の電波望遠鏡では、アンテナの間隔を広げれば広げるほど解像度が上がりますが、視野(見える範囲)は狭くなります。広がった天体を観測するためには、アンテナの間隔を小さくする必要があります。目的に応じて、アンテナの組み合わせで、基線長を調整していく必要があります。
 アルマ望遠鏡は、原始惑星系円盤のような温度が低いガスや塵の分布を詳細に観測したり、構成分子を調べるに適した装置になります。そして観測環境も適しています。そんなアルマ望遠鏡を用いて、eDiskプロジェクトが進めれました。その内容は次回以降にしましょう。

・後期の講義・
後期の講義は、来週からはじまります。
担当している講義は2つで、
木曜日の1、2校時に連続して
実施することにしました。
連続しているので、
少々疲れるかもしれません。
若い学生たちと接するのは
大変さもありますが、
楽しみにもしています。

・ホッとして・
このエッセイは、休暇から戻って来た
翌日なので、予約配信としています。
北海道は、秋めいてきました。
朝夕は涼しくなりました。
朝、歩いてくるときは
上着が必要になってきました。
暑いのは、苦手なので
秋めいてくるとホッとします。