2016年2月18日木曜日

6_132 重力波の観測 1:時空間のゆがみ

 重力波の観測がなされた、というニュースが流れました。このニュースは、他のいろいろな科学ニュースと同列に考えられる方も多いと思いますが、実は今後の天文学の進展に、革命的な影響を与える可能性をもっているものでした。

 先日(2016年2月11日カリフォルニア時間)、世界中に大きなニュースが流れました。重力波を観測したというニュースでした。あちこちでニュースが流れたのですが、その重要性をメディアは、必ずしも十分紹介していなかったように思えます。ここでは、そのあたりを紹介していきましょう。
 そもそも重力とは、質量をもった物質同士が起こす相互作用でした。高校の物理でも、力学で中心的な役割を果たすのは、質量や重力でした。その規則性はニュートンが解明しています。重力は距離の自乗に反比例します。あらゆる物質を通りぬけることができます。通り抜けても、影響をうけることも、減衰することもありません。そんな不思議な性質をもった重力は、どのようにして伝わのでしょうか。
 重力を伝えるものは、波だと考えられていました。それは、今からちょうど100年前に、アインシュタインが予測していたものでした。アインシュタインは、1915年11月に一般相対性理論を発表しました。その後、1916年に、その一般相対性理論から重力波の存在することを予測しました。それからちょうど100年目の記念すべき年に、重力波の存在が証明されたことになりました。
 さて、そもそも重力波とは、なんでしょうか。重力とは物質から発生する力です。アインシュタインは、質量をもった物質があれば、その周辺に質量に応じた時空間にゆがみが生じることを示しました。そのゆがみに変動が起これば、時空間を伝わることになります。時空間のゆがみが、波として伝わります。それが重力波です。重力が伝わる速度は光速です。時空間のゆがみなので、どんな物質の影響を受けることなく伝わることになります。
 その重力波をなんとか捉えたいと、科学者たちが努力してきました。
 重力波は、間接的に捉える方法で、すでに見つけられています。お互いの周りを回る連星は、時空間をゆがませ続けています。そこからは変動する重力波が連続的に発生しているはずです。重力波を発生している分、エネルギーを失っていることになります。そのエネルギーのロスは、連星の回転周期に反映されているはずです。その周期の減速分を計算しました。その計算を証明するために、実際の観測をして、予想通りに結果を得て、証明しました。これにより、重力波の存在が、間接的ですが、証明したことになりました。
 さて、今回の発見は、直接観測でした。その詳細は、次回以降としましょう。

・好奇心・
連星の観測は、アメリカの天体物理学者の
テイラー(Joseph H. Taylor)とハルス(Russell A. Hulse)によって、
1974年におこなわれました。
彼らは、重力波の間接的存在を証明した功績で
1993年にノーベル賞を受賞しました。
今回の観測も、ノーベル賞の呼び声が高いですが、
どうなることでしょうか。
賞や名声を求めて研究している人は、
少ないのではないでしょうか。
一番の動機は、好奇心だと思います。
ただし、研究の規模が大きくなり、
巨額の予算を使うようになります。
そうなると、成果を出さなければならないという
責任感、義務感も強くなってきます。
それに追われる以上に、好奇心が優っていることを願っています。

・合否判定・
大学は一般入試が終わり、
現在、合否判定が進んでおり、
その発表がおこなわる時期になりました。
受験生は、その結果に悲喜こもごもでしょう。
最近は、AO入試や推薦入試で
すでに大学を決定している学生も
多くなっているようです。
最近は、高等学校の卒業生の多数が
大学にいくようになってきています。
しかし、18歳人口が年々減っているため、
大学はなかなか厳しい時代になっているのですが。