2016年2月11日木曜日

2_137 最古のヒト属化石 2:アフリカにて

 古いヒトの化石の出る場所はアフリカが多くなっています。そもそもヒトはアフリカで生まれ、そこから世界各地に広がっていきました。ヒトは、未知の地に向かい、探検する性癖をもっていたのでしょうか。

 今回、報告されたヒトの化石は、属という分類の階層で最古となるものでした。属とは、種の上位のグループになります。ヒトを、人類の進化として扱うときは、ヒト属という分類でもちいることが多く、ここでもヒト属で考えていきます。なお、生物の分類は、種からはじまり、大きな階層に向かって、属、科、目、綱、門、界、ドメインとなっています。
 現在の私たち人類は、ヒト属(ホモ属とも呼ばれています)のホモ・サピエンスという種に区分され、現生人類と呼ばれることがあります。現生人類を分類名でいうと、真核生物ドメイン、動物界、脊索動物門、哺乳綱、サル目、ヒト科、ヒト属、サピエンス種となります。
 ヒト属は、230万年~240万前ころのアフリカで、アウストラロピテクス属と分かれて現在にいたります。同じ属の中には、有名なネアンデルタール人(ホモ・ネアンデルターレンシス、2万数千年前に絶滅)のように、さまざまな種を経て、現在のサピエンスという種に至ります。それが、今から40万から25万年前ことです。現在ヒト属に分類されている種は、私たちホモ・サピエンスの一種だけ、他のすべての種がすでに絶滅しています。つまり私たちの祖先につながる種は化石でしか探すことができないのです。
 ヒト属の中で、いろいろな化石が発掘され、それを元にヒトの進化が考えられています。ヒトの化石は、産出はまれです。それは、陸上の大型動物全般にいえるものです。化石の多くは、体の一部、それも破片の場合が多く、一部分から進化を考えるのは、なかなか難しいことです。今回見つかった化石(標本番号LD 350-1)は、エチオピアのアファール州(Ledi-Geraru調査区域)で見つかりました。下顎の左下の骨で、5本の歯がついていました。どのような種であったかはまだ確定していませんが、280万年前のものでヒト属ので最も古いものとされています。
 この年代は、現在見つかっている最古のものより40万年ほど古い時代のものでした。ヒト属のもっとも初期にいた種となります。この時代の化石の発見はあまり多くなり、進化の道筋がよくわかっていない部分でした。ヒト属がどのようにして進化してきたかを考える上で、この化石は、重要な情報を提供することになりそうです。

・氷点下・
先日、帯広に出張にいきました。
冬の帯広は、はじめての経験でした。
雪の痕跡はあるのですが、
道路も乾いていて、車も走りやすそうでした。
幸い天気には恵まれたのですが、
帯広は内陸にあるので、
真冬日で氷点下になっていました。
強い寒波の来た時期にあたっていました。
タクシーの運転手は、
「今日の気温は、16度や20度だ」
などといっています。
帯広の冬は、氷点下が当たり前なので
マイナスをつけることなく温度を表現するとのことです。
ところが変われば、温度の表現方法も変わるのですね。

・文化の記録・
ネアンデルタールの時代以降の人類は
埋葬の習慣がでてきます。
これにより、ヒトの化石は多くなり、
生物としての特徴が明確になります。
また、石器や土器などの製作もするようになり、
多数産出するようになります。
それを手がかりに、文化や時代の細分化が可能になります。
詳細な変遷の記録がつくられることになります。
しかし、そちらは考古学の世界になるのですね。

・2月の大学は・
2月になり、大学の入試が真っ盛りになりました。
北海道の私立大学は早い日程で進みます。
また、大学は後期の成績評価の時期も重なっています。
さらに来年度の講義のシラバスの準備もする必要があります。
講義は終わったのですが、
なにかと慌ただしい時期もであります。