2016年1月21日木曜日

5_133 113番目の元素 3:合成3個

 前回、113番目の元素の発見には、最強の装置や独創的な検出装置が必要だということを紹介しました。今回は、発見において、なによりも目標を達成するまでの、たゆまなき努力が必要だっということを紹介します。

 113番目の元素の合成は、2003年9月に、実験が開始されました。加速した亜鉛の粒子(ビーム)をビスマスにあてる(照射といいます)という実験です。1秒間に2.4兆個の亜鉛ビームを、79日間、ビスマスに照射されました。その結果、約50兆回の衝突が起こりました。
 そして、2004年7月23日に、やっと最初の一個ができ、それが113番目の元素であることが確認されました。ただし、その元素の寿命は約1000分の2秒と非常に短いものです。その元素一粒の性質を、調べなければならないのです。非常の困難な作業です。113番目の元素は、崩壊して他の元素に変わっていきます。その時に4回の連続したアルファ崩壊(へリュウムの原子核の放出)が起こります。それを観測していきます
 4回のアルファ崩壊が起こると残った原子核は、原子番号が8小さくなり、質量数が16小さくなります。それは、ドブニウム(Db、原子番号105、質量数262)という元素になります。この原子核も放射性元素なので、時間がたては崩壊します。その崩壊のしかたは、自発核分裂(原子核が分裂すること)か、アルファ崩壊することも知られています。その確率は、自発核分裂が1/3で、アルファ崩壊が2/3程度となっています。自発核分裂をせずに、連続した6回のアルファ崩壊を観測できれば、133番目の元素であるという決定的な証拠となります。
 1回目の発見では、自発核分裂が観測されました。これで、113番目の元素であることがわかりました。しかし、6回のアルファ崩壊ではなかったので、1つの観測では確実性がないので、さらに実験がなされる必要があります。1回目の合成が10ヶ月ほどでできたので、2回目以降の1年以内にみつかるでしょう。そして予想どおり、100日間の照射により、2005年4月2日に2個目がみつまりました。これも、4個のアルファ崩壊の後、ドブニウムの自発核分裂が観測されました。
 研究チームは、この2回の合成で新元素発見の報告をしたのですが、2回では回数が少ないなどの理由で、新元素とするには不十分であるとされました。そのため、3回目の実験が必要になりました。できれば、自発核分裂をせずに、連続した6回のアルファ崩壊を観測したいところです。
 三度目の合成への挑戦が、はじまりました。ところが、3回目の合成まで350日間の照射が必要となりました。最終的に2012年8月12日になって、やっと3個目の合成が起こりました。2回目の合成から6年間、合成ができませんでした。3個目の113番目の元素は、6回のアルファ崩壊が起こりました。これで確実な証拠がでたことになります。
 たった3個の証拠ですが、工夫をこらした大きな装置を用いながらも、大変な苦労の後にできた発見なのです。

・本来の反応・
先日、全国的に大荒れで、
北海道も大雪の予報でしたが
わが町の積雪はそれほどではなく、ホッとしました。
予報がはずれると、少々不満をもってします気持ち持ちます。
私もそうでした。
しかし、予報通りにならなくて安心することが
本来の反応となるべきでしょう。
なぜなら、警告をもらったが
それほどひどくなく過ごせたという結果になったのです。
結果としては、喜ぶべきことでしょう。
このような本来すべき反応とは、逆にものは、
人の本性にかかわっているのでしょう。
しかたがないことかもしれませんが、
本来の反応をするようにはどうすればいいのでしょうか。
教育でしょうかね。

・試験・
センター試験が終わりました。
大学では後期の講義がもうすぐ終わり、
来週から定期試験がはじまります。
続いて2月になったら一般入試がスタートします。
他の私立大学も同じ時期に入試がはじまります。
大学は在学生と新入生のための試験が
並行して行われます。